ココナラ Research Memo(3):業界随一のマッチング型ECプラットフォームに成長(1)
[23/05/26]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*13:03JST ココナラ Research Memo(3):業界随一のマッチング型ECプラットフォームに成長(1)
■会社概要
2. ビジネスモデルと強み
(1) ビジネスモデル
「ココナラ」とは、個人が持つ知識・スキル・経験を商品化し、「ECのように売り買いできる」マッチング型プラットフォームのことである。その特長は、納品まで「オンライン」(非対面)で完結すること、EC型で簡単に購入/出品ができること、450以上のカテゴリの商品(サービス)を70万件以上と豊富に揃えていることの3点となる。サービスの流れは、出品者(個人)が自身の知識・スキルやプロフィール、サービス内容などを「ココナラ」に出品(掲載)し、これらの情報を基に購入者(個人、法人)はメッセージ機能を使って依頼内容に応じ条件等について出品者に確認し、問題がなければ購入、サービス提供(制作物の場合は納品)後にサービスのレビュー(評価)を行う流れとなる。購入代金についてはサービス提供の確認があるまでココナラ<4176>で預かる格好となっており、サービス提供が何らかの事由により実施されずキャンセルされた場合、代金は購入者に返金される仕組みとなっている。
同社は手数料として販売額の20%を出品者から、5%を購入者からそれぞれ徴収している※。出品者の手数料率について20%の水準が高いかどうかだが、例えば、企業で働くデザイナーが同じ案件を受注した場合、企業の取り分が約70%でデザイナーの収入は残り30%というのが相場と言われている。しかし「ココナラ」では自身で販売額を設定できることもあり、20%という手数料率に割高感を感じる出品者はいないと思われる。一方、購入者側から見ても5%という手数料を支払うことになるが、制作会社あるいは広告代理店などを通じて同一案件を発注した場合は中間マージンが発生するため、「ココナラ」で購入するよりも数倍から10倍以上になるケースもあり、手数料負担は感じないものと思われる。こうしたコストメリットの認知が広がってきたことで、ここ数年はビジネス目的の購入比率が上昇しており、現在はユーザーの約半数程度がビジネス目的になっていると同社では推計している。
※2021年4月11日までは販売額が5万円以下の部分については25%、5万円超〜10万円の部分は20%、10万円超〜50万円の部分は15%、50万円超の部分は10%(税抜)とし、出品者のみ手数料を徴収していたが、同年4月12日に現在の手数料体系に変更した。なお電話相談サービスについては、出品者から約50%の手数料を徴収している。
「ココナラ」を利用するためには会員登録(無料)が必要となるため、会員数の獲得が流通高を拡大していくためのカギを握る。会員属性は男女比に偏りがなく、20〜40代を中心に幅広い年齢層が利用している。商品を購入した会員はその後も継続してサービスを利用する傾向が強く、全体として収益が層のように積み上がることで右肩上がりの成長が続いており、会員数を獲得することで流通高が伸びるリカーリング型のビジネスモデルとなっている。
またKPIとして、会員数に加えて流通高を構成する「購入UU数」と「1人当たり購入額」を挙げている。それぞれを引き上げる施策を行うことで流通高を拡大しており、この流通高に手数料率を掛け合わせたものが営業収益となる。営業費用の主なものは、人件費・採用費や広告宣伝費、業務委託費(管理部門の業務委託、「ココナラ法律相談」の顧客開拓のための業務委託)、地代家賃のほか変動費となる支払手数料(クレジット会社の決済手数料等)やシステム費などが挙げられる。営業収益に占める変動費率は20%台前半の水準で、限界利益率の高いビジネスモデルとなっていることが特長だ。
「ココナラ」以外のサービスとして、「ココナラ法律相談」がある。「ココナラ法律相談」は、法律トラブルを抱えるユーザーがインターネット上で弁護士に無料相談できる法律Q&Aと、依頼を検討するユーザーが弁護士検索・問い合わせを行うことができる2つの機能を持ったプラットフォームである。有料登録弁護士からの広告掲載料(月額3〜6万円)を営業収益として計上するストック型ビジネスモデルで、有料登録弁護士数をいかに増やすことができるかが成長のカギを握る。登録弁護士獲得のための営業活動はすべて外部委託している。
競合としては、業界最大手の「弁護士ドットコム」のほか複数のサービスがある。法律Q&A機能について「弁護士ドットコム」は有料課金ユーザーでないと部分的にしか閲覧・投稿ができないが、「ココナラ法律相談」では無料ユーザー登録ですべての閲覧や投稿が可能となっている。また、弁護士広告ページについては、競合にはない独自取材の弁護士インタビュー記事を掲載するなどコンテンツ内容を充実させているほか、Google検索において幅広い検索キーワードで表示されるようSEO対策も強化しており、「ココナラ」からの流入もあって訪問ユーザー数は順調に推移している。営業収益の規模は全体の約1割とまだ小さく「弁護士ドットコム」との差も大きいが※、有料登録弁護士数は2023年2月末で1,215人と順調に増加しており、2022年8月期はサービス開始以降初めて黒字化するなど収益貢献し始めている。
※弁護士ドットコムの有料登録弁護士数は2022年12月末で5,220人、弁護士支援サービスの年間売上高は約22億円とここ数年は頭打ち傾向となっている。「ココナラ法律相談」の2022年8月期営業収益は382百万円。
また、2023年1月より開始した「ココナラエージェント」は、ITフリーランス向けの業務委託案件の紹介サービスとなる。「ココナラ」がスポット型のマッチングサービスでスキルを持った人材が出品するのに対して、「ココナラエージェント」はスキルを持つ人材を探している企業または個人と同社が業務委託契約を締結し、同プラットフォーム上で業務内容や勤務条件などを公開募集する(非公開案件もある)。この公開案件を見て「ココナラ」会員がプラットフォーム上から申し込み、エージェントを介して詳細な条件等の確認を行ったうえで同社と当該会員が再委託契約を結ぶ格好となる※。募集案件はITエンジニアやデザイナーなど専門職の人材だけにとどまらず、経験や管理能力が求められるプロダクトマネージャーやプロデューサーといった職種の案件も多い。同社の営業収益には企業から支払われる報酬が計上されることになり、そのなかから再委託料を契約会員に支払う。再委託料は売上原価に該当するが、サービス開始当初は金額が小さいこともあり営業費用のその他に含んでいる。
※求める人材が見つからない場合等は、メディアに同社が募集広告を出してマッチングするケースもある。「ココナラ」会員を紹介した場合は費用も発生しないが、その他のメディアを通じて人材を紹介する場合には広告費用が発生する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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■会社概要
2. ビジネスモデルと強み
(1) ビジネスモデル
「ココナラ」とは、個人が持つ知識・スキル・経験を商品化し、「ECのように売り買いできる」マッチング型プラットフォームのことである。その特長は、納品まで「オンライン」(非対面)で完結すること、EC型で簡単に購入/出品ができること、450以上のカテゴリの商品(サービス)を70万件以上と豊富に揃えていることの3点となる。サービスの流れは、出品者(個人)が自身の知識・スキルやプロフィール、サービス内容などを「ココナラ」に出品(掲載)し、これらの情報を基に購入者(個人、法人)はメッセージ機能を使って依頼内容に応じ条件等について出品者に確認し、問題がなければ購入、サービス提供(制作物の場合は納品)後にサービスのレビュー(評価)を行う流れとなる。購入代金についてはサービス提供の確認があるまでココナラ<4176>で預かる格好となっており、サービス提供が何らかの事由により実施されずキャンセルされた場合、代金は購入者に返金される仕組みとなっている。
同社は手数料として販売額の20%を出品者から、5%を購入者からそれぞれ徴収している※。出品者の手数料率について20%の水準が高いかどうかだが、例えば、企業で働くデザイナーが同じ案件を受注した場合、企業の取り分が約70%でデザイナーの収入は残り30%というのが相場と言われている。しかし「ココナラ」では自身で販売額を設定できることもあり、20%という手数料率に割高感を感じる出品者はいないと思われる。一方、購入者側から見ても5%という手数料を支払うことになるが、制作会社あるいは広告代理店などを通じて同一案件を発注した場合は中間マージンが発生するため、「ココナラ」で購入するよりも数倍から10倍以上になるケースもあり、手数料負担は感じないものと思われる。こうしたコストメリットの認知が広がってきたことで、ここ数年はビジネス目的の購入比率が上昇しており、現在はユーザーの約半数程度がビジネス目的になっていると同社では推計している。
※2021年4月11日までは販売額が5万円以下の部分については25%、5万円超〜10万円の部分は20%、10万円超〜50万円の部分は15%、50万円超の部分は10%(税抜)とし、出品者のみ手数料を徴収していたが、同年4月12日に現在の手数料体系に変更した。なお電話相談サービスについては、出品者から約50%の手数料を徴収している。
「ココナラ」を利用するためには会員登録(無料)が必要となるため、会員数の獲得が流通高を拡大していくためのカギを握る。会員属性は男女比に偏りがなく、20〜40代を中心に幅広い年齢層が利用している。商品を購入した会員はその後も継続してサービスを利用する傾向が強く、全体として収益が層のように積み上がることで右肩上がりの成長が続いており、会員数を獲得することで流通高が伸びるリカーリング型のビジネスモデルとなっている。
またKPIとして、会員数に加えて流通高を構成する「購入UU数」と「1人当たり購入額」を挙げている。それぞれを引き上げる施策を行うことで流通高を拡大しており、この流通高に手数料率を掛け合わせたものが営業収益となる。営業費用の主なものは、人件費・採用費や広告宣伝費、業務委託費(管理部門の業務委託、「ココナラ法律相談」の顧客開拓のための業務委託)、地代家賃のほか変動費となる支払手数料(クレジット会社の決済手数料等)やシステム費などが挙げられる。営業収益に占める変動費率は20%台前半の水準で、限界利益率の高いビジネスモデルとなっていることが特長だ。
「ココナラ」以外のサービスとして、「ココナラ法律相談」がある。「ココナラ法律相談」は、法律トラブルを抱えるユーザーがインターネット上で弁護士に無料相談できる法律Q&Aと、依頼を検討するユーザーが弁護士検索・問い合わせを行うことができる2つの機能を持ったプラットフォームである。有料登録弁護士からの広告掲載料(月額3〜6万円)を営業収益として計上するストック型ビジネスモデルで、有料登録弁護士数をいかに増やすことができるかが成長のカギを握る。登録弁護士獲得のための営業活動はすべて外部委託している。
競合としては、業界最大手の「弁護士ドットコム」のほか複数のサービスがある。法律Q&A機能について「弁護士ドットコム」は有料課金ユーザーでないと部分的にしか閲覧・投稿ができないが、「ココナラ法律相談」では無料ユーザー登録ですべての閲覧や投稿が可能となっている。また、弁護士広告ページについては、競合にはない独自取材の弁護士インタビュー記事を掲載するなどコンテンツ内容を充実させているほか、Google検索において幅広い検索キーワードで表示されるようSEO対策も強化しており、「ココナラ」からの流入もあって訪問ユーザー数は順調に推移している。営業収益の規模は全体の約1割とまだ小さく「弁護士ドットコム」との差も大きいが※、有料登録弁護士数は2023年2月末で1,215人と順調に増加しており、2022年8月期はサービス開始以降初めて黒字化するなど収益貢献し始めている。
※弁護士ドットコムの有料登録弁護士数は2022年12月末で5,220人、弁護士支援サービスの年間売上高は約22億円とここ数年は頭打ち傾向となっている。「ココナラ法律相談」の2022年8月期営業収益は382百万円。
また、2023年1月より開始した「ココナラエージェント」は、ITフリーランス向けの業務委託案件の紹介サービスとなる。「ココナラ」がスポット型のマッチングサービスでスキルを持った人材が出品するのに対して、「ココナラエージェント」はスキルを持つ人材を探している企業または個人と同社が業務委託契約を締結し、同プラットフォーム上で業務内容や勤務条件などを公開募集する(非公開案件もある)。この公開案件を見て「ココナラ」会員がプラットフォーム上から申し込み、エージェントを介して詳細な条件等の確認を行ったうえで同社と当該会員が再委託契約を結ぶ格好となる※。募集案件はITエンジニアやデザイナーなど専門職の人材だけにとどまらず、経験や管理能力が求められるプロダクトマネージャーやプロデューサーといった職種の案件も多い。同社の営業収益には企業から支払われる報酬が計上されることになり、そのなかから再委託料を契約会員に支払う。再委託料は売上原価に該当するが、サービス開始当初は金額が小さいこともあり営業費用のその他に含んでいる。
※求める人材が見つからない場合等は、メディアに同社が募集広告を出してマッチングするケースもある。「ココナラ」会員を紹介した場合は費用も発生しないが、その他のメディアを通じて人材を紹介する場合には広告費用が発生する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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