ベルシス24 Research Memo(3):CRM事業を中心に事業を展開、経営資源を集中する体制を整える
[23/05/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*13:03JST ベルシス24 Research Memo(3):CRM事業を中心に事業を展開、経営資源を集中する体制を整える
■事業概要
1. セグメント
同社グループは、持株会社であるベルシステム24ホールディングス<6183>と、(株)ベルシステム24、CTCファーストコンタクト(株)(以下、CTCFC)、(株)ベル・ソレイユ、Horizon One(株)、BELLSYSTEM24 VIETNAMの子会社5社で構成されており、コンタクトセンター業務を中心とするCRM事業を主たる事業として、日本全国及びベトナム・タイ・台湾で事業展開している。同社グループの報告セグメントは、CRM事業とその他の2つである。
(1) 基礎業務等
ベルシステム24(同社100%子会社)によるCRM事業には、クライアント企業の商品やサービスに関する質問などに対応するカスタマーサポート業務、クライアント企業の商品・サービスなどの販売促進をサポートするセールスサポート業務、クライアント企業のIT製品などの操作方法などに関する質問に対応するテクニカルサポート業務、クライアント企業のデータ入力やWeb制作などを請け負うBPOなどがある。いずれも電話での対応を軸に、Webやメールのほか、近年は成長が著しいソーシャルメディアやチャットにも対応している。また、2020年10月には、凸版印刷が51%、同社が49%出資した(株)TBネクストコミュニケーションズが、コンタクトセンター業務を中心とするアウトソーシングサービス、コンサルティングサービス業務を開始した。
海外にも事業展開をしており、2017年7月にはベトナムのコンタクトセンター最大手であるHoa Sao Group Joint Stock Companyへ出資した(持分比率49.0%)が、2023年3月には持分比率を80.0%に引き上げて連結子会社化し、社名をBELLSYSTEM24 VIETNAM Inc. に変更した。同社は、ベトナム国内8拠点でコンタクトセンター事業を展開している。さらに、2020年1月にはタイのコンタクトセンター事業者大手のTrue Touch Co., Ltd.に出資し(49.9%保有)、同年2月には台湾最大手の総合通信会社である中華電信股份有限公司の子会社と業務提携契約を締結するなど、CRM事業の海外展開を活発化している。
(2) その他事業
a) CTCファーストコンタクト
BPO分野でのビジネス拡大を目的に、伊藤忠テクノソリューションズ<4739>(CTC)の100%子会社でサービスデスクやコンタクトセンターなどのアウトソーシングサービスを担うCTCファーストコンタクトを2017年7月より合弁会社化し、同社はCTCFCの51.0%の株式を取得した。ITに関する専門的な知識を有するCTCFCは、これまでHDI国際認定に準拠したサービスデスク/コンタクトセンターの運用サービス、教育・研修やマニュアル作成を含めたバックオフィスサービスなど、業務アウトソーシングサービスを展開している。
b) ベル・ソレイユ
2011年3月に設立した同社の100%子会社。「障がい者の雇用の促進等に関する法律」による特例子会社の認定を受け、事務・清掃作業、オフィスカフェ運営、チョコレート製造、野菜・胡蝶蘭栽培を展開する。ベルシステム24にも多く人材を紹介している。
c) Horizon One
2022年3月設立の子会社で、同社が51%、経営コンサルティング事業の(株)レイヤーズ・コンサルティングが49%保有する。両社は、この合弁会社を通じ、コンサルティングとアウトソーシングを軸として、人事・経理分野における戦略立案・業務改革・テクノロジー活用・リスキル・業務運用等、川上から川下までの機能をワンストップでサービス提供することを目指す。
CRM事業が売上及び利益の大部分を占める
2. 収益構造
(1) 売上収益の内訳
同社では、従来グループのセグメント情報について、本業であるCRM事業とその他事業に分けて開示し、CRM事業の内訳として継続業務(1年以上の案件)とスポット業務(1年未満の契約のものから、数日で対応窓口を開設するものなど、比較的小さい案件)を開示してきた。ただ、従来のスポット業務には継続性が高い業務も多く混在していることから、2023年2月期より継続業務と合わせて、新たに基礎業務として分類することにした。さらに従来はスポット業務に含まれていたコロナ関連業務を、急拡大に伴って独立した区分とした。以上から、現在のセグメント情報は、売上収益の内訳を基礎業務、コロナ関連業務、その他として開示しており、基礎業務とコロナ関連業務の合計がCRM事業の売上収益である。こうした変更は、投資家に対して最も的確な情報を提供したいとする同社の経営姿勢を示すものと言えよう。
2023年2月期の売上収益の内訳を見ると、基礎業務が85.3%、コロナ関連業務が14.2%を占めており、CRM事業の比率は99.4%を占める。事業再編によるCRM事業への経営資源集中の結果、2016年2月期の92.7%から年々拡大を続けてきた。また、2023年2月期は政府によるコロナ禍対策の一環であるワクチン接種や給付金など、各種支援に関する案内対応業務の増加に伴ってコロナ関連業務が大幅増収となり、同社の好業績に貢献した。一方、その他のシェアは、2016年2月期の7.3%から2023年2月期には0.6%に大きく縮小している。
また、税引前利益では、同期間にCRM事業が一貫して大幅利益を計上しているのに対し、その他は損失や小幅利益に留まっている。2022年3月に占い事業を展開していた(株)ポッケがベルシステム24に吸収合併されたことで、2023年2月期のCRM事業のシェアは98.2%に拡大し、その他は1.8%に留まる。このように、同社では事業再編を進めることで、グループのコア事業であるCRM事業に集中する体制を整えている。
(2) CRM事業の業種別売上収益
CRM事業における2023年2月期の売上収益上位300社の業種別構成比を見ると、サービス業が28.8%、運輸・通信業が23.7%、金融・保険業が15.9%、卸売・小売業が13.2%、製造業が12.8%、電気・ガス・水道等が2.6%、その他が3.0%となっている。サービス業は、人材・教育関連業務、デリバリー関連業務の拡大に、コロナ関連業務の寄与も加わり、前期比11.1%増であった。金融・保険業は、保険関連、キャッシュレス決済関連の業務拡大等により同9.0%増となった。製造業は、主にコロナ関連業務の拡大により同14.4%増であった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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■事業概要
1. セグメント
同社グループは、持株会社であるベルシステム24ホールディングス<6183>と、(株)ベルシステム24、CTCファーストコンタクト(株)(以下、CTCFC)、(株)ベル・ソレイユ、Horizon One(株)、BELLSYSTEM24 VIETNAMの子会社5社で構成されており、コンタクトセンター業務を中心とするCRM事業を主たる事業として、日本全国及びベトナム・タイ・台湾で事業展開している。同社グループの報告セグメントは、CRM事業とその他の2つである。
(1) 基礎業務等
ベルシステム24(同社100%子会社)によるCRM事業には、クライアント企業の商品やサービスに関する質問などに対応するカスタマーサポート業務、クライアント企業の商品・サービスなどの販売促進をサポートするセールスサポート業務、クライアント企業のIT製品などの操作方法などに関する質問に対応するテクニカルサポート業務、クライアント企業のデータ入力やWeb制作などを請け負うBPOなどがある。いずれも電話での対応を軸に、Webやメールのほか、近年は成長が著しいソーシャルメディアやチャットにも対応している。また、2020年10月には、凸版印刷が51%、同社が49%出資した(株)TBネクストコミュニケーションズが、コンタクトセンター業務を中心とするアウトソーシングサービス、コンサルティングサービス業務を開始した。
海外にも事業展開をしており、2017年7月にはベトナムのコンタクトセンター最大手であるHoa Sao Group Joint Stock Companyへ出資した(持分比率49.0%)が、2023年3月には持分比率を80.0%に引き上げて連結子会社化し、社名をBELLSYSTEM24 VIETNAM Inc. に変更した。同社は、ベトナム国内8拠点でコンタクトセンター事業を展開している。さらに、2020年1月にはタイのコンタクトセンター事業者大手のTrue Touch Co., Ltd.に出資し(49.9%保有)、同年2月には台湾最大手の総合通信会社である中華電信股份有限公司の子会社と業務提携契約を締結するなど、CRM事業の海外展開を活発化している。
(2) その他事業
a) CTCファーストコンタクト
BPO分野でのビジネス拡大を目的に、伊藤忠テクノソリューションズ<4739>(CTC)の100%子会社でサービスデスクやコンタクトセンターなどのアウトソーシングサービスを担うCTCファーストコンタクトを2017年7月より合弁会社化し、同社はCTCFCの51.0%の株式を取得した。ITに関する専門的な知識を有するCTCFCは、これまでHDI国際認定に準拠したサービスデスク/コンタクトセンターの運用サービス、教育・研修やマニュアル作成を含めたバックオフィスサービスなど、業務アウトソーシングサービスを展開している。
b) ベル・ソレイユ
2011年3月に設立した同社の100%子会社。「障がい者の雇用の促進等に関する法律」による特例子会社の認定を受け、事務・清掃作業、オフィスカフェ運営、チョコレート製造、野菜・胡蝶蘭栽培を展開する。ベルシステム24にも多く人材を紹介している。
c) Horizon One
2022年3月設立の子会社で、同社が51%、経営コンサルティング事業の(株)レイヤーズ・コンサルティングが49%保有する。両社は、この合弁会社を通じ、コンサルティングとアウトソーシングを軸として、人事・経理分野における戦略立案・業務改革・テクノロジー活用・リスキル・業務運用等、川上から川下までの機能をワンストップでサービス提供することを目指す。
CRM事業が売上及び利益の大部分を占める
2. 収益構造
(1) 売上収益の内訳
同社では、従来グループのセグメント情報について、本業であるCRM事業とその他事業に分けて開示し、CRM事業の内訳として継続業務(1年以上の案件)とスポット業務(1年未満の契約のものから、数日で対応窓口を開設するものなど、比較的小さい案件)を開示してきた。ただ、従来のスポット業務には継続性が高い業務も多く混在していることから、2023年2月期より継続業務と合わせて、新たに基礎業務として分類することにした。さらに従来はスポット業務に含まれていたコロナ関連業務を、急拡大に伴って独立した区分とした。以上から、現在のセグメント情報は、売上収益の内訳を基礎業務、コロナ関連業務、その他として開示しており、基礎業務とコロナ関連業務の合計がCRM事業の売上収益である。こうした変更は、投資家に対して最も的確な情報を提供したいとする同社の経営姿勢を示すものと言えよう。
2023年2月期の売上収益の内訳を見ると、基礎業務が85.3%、コロナ関連業務が14.2%を占めており、CRM事業の比率は99.4%を占める。事業再編によるCRM事業への経営資源集中の結果、2016年2月期の92.7%から年々拡大を続けてきた。また、2023年2月期は政府によるコロナ禍対策の一環であるワクチン接種や給付金など、各種支援に関する案内対応業務の増加に伴ってコロナ関連業務が大幅増収となり、同社の好業績に貢献した。一方、その他のシェアは、2016年2月期の7.3%から2023年2月期には0.6%に大きく縮小している。
また、税引前利益では、同期間にCRM事業が一貫して大幅利益を計上しているのに対し、その他は損失や小幅利益に留まっている。2022年3月に占い事業を展開していた(株)ポッケがベルシステム24に吸収合併されたことで、2023年2月期のCRM事業のシェアは98.2%に拡大し、その他は1.8%に留まる。このように、同社では事業再編を進めることで、グループのコア事業であるCRM事業に集中する体制を整えている。
(2) CRM事業の業種別売上収益
CRM事業における2023年2月期の売上収益上位300社の業種別構成比を見ると、サービス業が28.8%、運輸・通信業が23.7%、金融・保険業が15.9%、卸売・小売業が13.2%、製造業が12.8%、電気・ガス・水道等が2.6%、その他が3.0%となっている。サービス業は、人材・教育関連業務、デリバリー関連業務の拡大に、コロナ関連業務の寄与も加わり、前期比11.1%増であった。金融・保険業は、保険関連、キャッシュレス決済関連の業務拡大等により同9.0%増となった。製造業は、主にコロナ関連業務の拡大により同14.4%増であった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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