キットアライブ Research Memo(6):2023年12月期は28.3%増収を予想
[23/05/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*15:06JST キットアライブ Research Memo(6):2023年12月期は28.3%増収を予想
■今後の見通し
1. 2023年12月期の業績見通し
キットアライブ<5039>の2023年12月期の業績は、売上高が前期比28.3%増の906百万円、営業利益は同3.0%増の188百万円、経常利益が同7.9%増の191百万円、当期純利益は同3.7%増の132百万円を見込んでいる。売上高については、クラウドサービスの伸長やコロナ禍の影響からの回復に伴う商圏拡大により、2022年12月期より大幅な増収を見込んでいる。利益面については、成長の原点であるITエンジニアの採用を優先していくため、2022年12月期とほぼ横ばいで伸び率を抑えた見通しとなっている。
2. 成長戦略
同社は2022年9月に上場した。中長期経営計画などの具体的な施策はまだ発表していないが、同社では3ヶ年計画を策定し毎年見直しを行っている。今後は採用計画や社員1人当たりの労働稼働率などをKPIとして開示内容を検討している。
同社は成長期へ順調に推移しており、ホワイトスペース戦略、ITエンジニア育成の強化などをはじめとするこれまでの施策や東京事業所及び拡張する本社の機能を生かした戦略を考えながら、健全な基盤をつくる内部留保を進める方針である。現在は、人材採用による成長を重視しているが、その先にM&Aなども成長拡大の1つの手段として検討する可能性がある。
(1) ホワイトスペース戦略
同社は、未開拓領域に進出しようとする「ホワイトスペース戦略」を推し進めている。同社が上場するまで親会社であったテラスカイは、同社との協業によるグループシナジーを追求するため、同社の株式を一定比率で保有する方針である。首都圏で大企業をターゲットにするテラスカイとは事業領域が異なり、同社は地方で中小企業、IT関連部署のない企業、創業間もないスタートアップ企業がターゲットである。テラスカイグループにおける同社の特徴は、1)札幌に本拠地を置くことでIT人材を獲得する機会を増やしていること、2)予算が少ない企業に対して少人数・低予算で対処が可能であること、3)リモートワークによるWeb会議の推進、がある。こうした独自のビジネスモデルで「ホワイトスペース戦略」を推進している。なお「Salesforce」以外のSaaS製品等の分野では、テラスカイと共同提案で事業を展開している。
その結果、累積取引社数は、2016年12月期の設立当初において北海道以外が9社、北海道内が6社であったが、コロナ禍による急速なWeb会議の浸透により北海道以外の企業も増加傾向に転じ、2022年12月期には北海道以外が54社(13都府県)、北海道内が39社と北海道以外取引先が大幅に増加した。近隣は東北の青森県、遠方は九州の佐賀県、鹿児島県に取引先を獲得した。
(2) ITエンジニア育成の強化
同社は地方の中小IT企業である。このため地元の直接業務だけでは成り立たず、多くは首都圏からの下請業務が主となり、ITエンジニアのキャリアアップや収入アップを見出しにくかった。その打開策として、創業当初からリモートワークによる全国のエンドユーザーとの元請業務を増やすことを目指し、開発に関する基礎知識に加え、企画力、発想力、コンサルティング力(ITとビジネスをつなげる力)などの能力を身につけたITエンジニアの育成を推し進めてきた。顧客と直接向き合うことで、顧客が本当に必要とするシステムに「気づき」を見つけられる人材育成が同社にとっては必要であり、ITとビジネスをつなげられる人材を増やすことで同社の成長スピードを上げることができる。
(3) ハイブリッドワークの推進
ウィズコロナにおける同社の日々の業務は、リモートワークのみでも有効に機能し順調である。一方で、社員同士のコラボレーションを通じてさらに成長していくためには、顔を合わせてコミュニケーションを図る重要性にも気づいた。事務所の拡張を通じてオフィスワークとリモートワークを組み合わせた「ハイブリッドワーク」を行い、オフィスの価値を最大化する。「リモートワークで働きながら、オフィスワークでイベントを楽しむ」といった働き方改革を進めていく。
快適に作業ができる広いフリーアドレスデスク、気軽に利用できる打ち合わせスペース、そのほかバーカウンターやカフェエリアなどのリラックススペースも準備し、社内でのコミュニケーションとコラボレーションが最大限に発揮できる「社内コワーキングスペース」を新たに構築する。拡張した事務所は、2023年4月から利用を開始し、株主総会でも利用している。
(4) 東京事業所
「Salesforce」を利用するとコミュニティやポータルを簡単に構築し顧客やパートナーとも共有できるため、情報共有に適している特徴を持つ。こうした特徴を生かして、東京事業所に在籍する5名ほどの社員が首都圏で開催されるオフラインイベントに参加し、積極的に情報共有を行う。札幌や地方だけでは得られない首都圏ユーザーからの情報を獲得しながら、今後の事業展開に反映していく。
(5) IR活動
道内では、まだ同社や「Salesforce」の知名度が低いため、四半期に一度の説明会の生配信、札証と共同の北海道各地での投資家への説明会などといった積極的なIR活動を行っていく。こうしたIR活動を踏まえて、投資家とのコミュケーションの機会を増やし、透明性の高い経営を社内外にアピールしていく。
同社が本拠地を置く北海道は、地方のなかでも少子高齢化をはじめとした課題を多く抱えている。その状況下でも自社の技術力・ノウハウを生かし地方での生産性をもって発展できるというモデルケースとなり、地方の中小企業に発信していきたいと同社は考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)
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■今後の見通し
1. 2023年12月期の業績見通し
キットアライブ<5039>の2023年12月期の業績は、売上高が前期比28.3%増の906百万円、営業利益は同3.0%増の188百万円、経常利益が同7.9%増の191百万円、当期純利益は同3.7%増の132百万円を見込んでいる。売上高については、クラウドサービスの伸長やコロナ禍の影響からの回復に伴う商圏拡大により、2022年12月期より大幅な増収を見込んでいる。利益面については、成長の原点であるITエンジニアの採用を優先していくため、2022年12月期とほぼ横ばいで伸び率を抑えた見通しとなっている。
2. 成長戦略
同社は2022年9月に上場した。中長期経営計画などの具体的な施策はまだ発表していないが、同社では3ヶ年計画を策定し毎年見直しを行っている。今後は採用計画や社員1人当たりの労働稼働率などをKPIとして開示内容を検討している。
同社は成長期へ順調に推移しており、ホワイトスペース戦略、ITエンジニア育成の強化などをはじめとするこれまでの施策や東京事業所及び拡張する本社の機能を生かした戦略を考えながら、健全な基盤をつくる内部留保を進める方針である。現在は、人材採用による成長を重視しているが、その先にM&Aなども成長拡大の1つの手段として検討する可能性がある。
(1) ホワイトスペース戦略
同社は、未開拓領域に進出しようとする「ホワイトスペース戦略」を推し進めている。同社が上場するまで親会社であったテラスカイは、同社との協業によるグループシナジーを追求するため、同社の株式を一定比率で保有する方針である。首都圏で大企業をターゲットにするテラスカイとは事業領域が異なり、同社は地方で中小企業、IT関連部署のない企業、創業間もないスタートアップ企業がターゲットである。テラスカイグループにおける同社の特徴は、1)札幌に本拠地を置くことでIT人材を獲得する機会を増やしていること、2)予算が少ない企業に対して少人数・低予算で対処が可能であること、3)リモートワークによるWeb会議の推進、がある。こうした独自のビジネスモデルで「ホワイトスペース戦略」を推進している。なお「Salesforce」以外のSaaS製品等の分野では、テラスカイと共同提案で事業を展開している。
その結果、累積取引社数は、2016年12月期の設立当初において北海道以外が9社、北海道内が6社であったが、コロナ禍による急速なWeb会議の浸透により北海道以外の企業も増加傾向に転じ、2022年12月期には北海道以外が54社(13都府県)、北海道内が39社と北海道以外取引先が大幅に増加した。近隣は東北の青森県、遠方は九州の佐賀県、鹿児島県に取引先を獲得した。
(2) ITエンジニア育成の強化
同社は地方の中小IT企業である。このため地元の直接業務だけでは成り立たず、多くは首都圏からの下請業務が主となり、ITエンジニアのキャリアアップや収入アップを見出しにくかった。その打開策として、創業当初からリモートワークによる全国のエンドユーザーとの元請業務を増やすことを目指し、開発に関する基礎知識に加え、企画力、発想力、コンサルティング力(ITとビジネスをつなげる力)などの能力を身につけたITエンジニアの育成を推し進めてきた。顧客と直接向き合うことで、顧客が本当に必要とするシステムに「気づき」を見つけられる人材育成が同社にとっては必要であり、ITとビジネスをつなげられる人材を増やすことで同社の成長スピードを上げることができる。
(3) ハイブリッドワークの推進
ウィズコロナにおける同社の日々の業務は、リモートワークのみでも有効に機能し順調である。一方で、社員同士のコラボレーションを通じてさらに成長していくためには、顔を合わせてコミュニケーションを図る重要性にも気づいた。事務所の拡張を通じてオフィスワークとリモートワークを組み合わせた「ハイブリッドワーク」を行い、オフィスの価値を最大化する。「リモートワークで働きながら、オフィスワークでイベントを楽しむ」といった働き方改革を進めていく。
快適に作業ができる広いフリーアドレスデスク、気軽に利用できる打ち合わせスペース、そのほかバーカウンターやカフェエリアなどのリラックススペースも準備し、社内でのコミュニケーションとコラボレーションが最大限に発揮できる「社内コワーキングスペース」を新たに構築する。拡張した事務所は、2023年4月から利用を開始し、株主総会でも利用している。
(4) 東京事業所
「Salesforce」を利用するとコミュニティやポータルを簡単に構築し顧客やパートナーとも共有できるため、情報共有に適している特徴を持つ。こうした特徴を生かして、東京事業所に在籍する5名ほどの社員が首都圏で開催されるオフラインイベントに参加し、積極的に情報共有を行う。札幌や地方だけでは得られない首都圏ユーザーからの情報を獲得しながら、今後の事業展開に反映していく。
(5) IR活動
道内では、まだ同社や「Salesforce」の知名度が低いため、四半期に一度の説明会の生配信、札証と共同の北海道各地での投資家への説明会などといった積極的なIR活動を行っていく。こうしたIR活動を踏まえて、投資家とのコミュケーションの機会を増やし、透明性の高い経営を社内外にアピールしていく。
同社が本拠地を置く北海道は、地方のなかでも少子高齢化をはじめとした課題を多く抱えている。その状況下でも自社の技術力・ノウハウを生かし地方での生産性をもって発展できるというモデルケースとなり、地方の中小企業に発信していきたいと同社は考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)
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