ハウスコム Research Memo(3):営業収益は期初計画比未達だったが、店舗効率化や費用抑制は順調に進展
[23/06/30]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
*12:43JST ハウスコム Research Memo(3):営業収益は期初計画比未達だったが、店舗効率化や費用抑制は順調に進展
■業績動向
1. 2023年3月期の連結業績概要
ハウスコム<3275>の2023年3月期の連結業績は、営業収益が前期比0.2%減の14,179百万円、営業利益が同5.8%減の394百万円、経常利益が同0.9%増の620百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同12.2%減の327百万円だった。同社では2022年4月28日の期初に発表した営業収益14,735百万円、営業利益447百万円の達成を目指してきたが、営業収益、営業利益ともに若干の未達となった。営業収益は過去最高だった2022年3月期の14,206百万円からの更新を目指してきたが、着地はわずかながら前期比で減収となった。これはコロナ禍の第7波、第8波の下で同社グループ社員の罹患者が増加し、一時的に営業活動の稼働率が低下した影響が大きい。一方、単価の状況については、転居需要の回復プロセスが進行するなか、仲介手数料だけでなく、仲介1件あたりの特別依頼広告料、周辺商品販売等の収入も回復傾向を示している。
セグメントごとの業績は、不動産関連事業の営業収益が前期比2.3%減の12,540百万円、セグメント利益が同8.7%増の2,185百万円だった。従業員のコロナ罹患に伴う一時的な営業活動の稼働率低下により営業収益は前年比で減収となったが、セグメント利益については地域内の転居需要取り込みの効率性の観点から、新規出店5店舗を行う一方で既存店舗の統廃合として11店舗を退店したことに加え、費用面における効率化とそれによる費用抑制が進んだ結果、収益性の改善が進み前年比で増益となった。施工関連事業については、営業収益が同19.2%増の1,638百万円、セグメント利益が同110.4%増の183百万円だった。ハウスコム内のリフォーム事業と、会社分割によりそれを承継したハウスコムコミュニケーションズ(株)とを合算した営業収益が前期比16.0%増の1,125百万円まで回復したこと、及びエスケイビル建材の営業収益が同26.8%増の513百万円となったことを反映している。
2022年10月1日付での持株会社制への移行に伴う営業保証金の増加により自己資本比率は低下も、引き続き同社の財務健全性は高い
2. 財務状況と経営指標
2023年3月期末時点の同社の財務状況は、親会社に帰属する当期純利益が327百万円と堅調に推移したことにより純資産の部の利益剰余金が211百万円増加している。利益剰余金は2019年3月期以降順調に増加しており、事業活動の結果としてしっかりと利益を積み上げてきたことが窺える。
自己資本比率が2022年3月期末の66.4%から2023年3月期末においては60.9%へと低下しているが、これは固定資産において持株会社体制への移行に伴う営業保証金の預入によって投資その他の資産が前期比で1,032百万円増加したことによるものである。また、流動比率と固定比率がそれぞれ162.0%、80.9%であり、長短の手元流動性にも全く問題がないと言える。キャッシュも4,821百万円としっかりと積み上がっており、同社の財務健全性は高いと弊社は考える。
収益性に関しては、低下傾向にあるものの、新成長戦略のもとに強化された成長性・収益性によって今後、回復していくものと弊社では見ている。ROAが減少した要因は、コロナ禍の影響を受け、利益水準が下がるなかで積極的なIT投資を行ってきた結果である。これらの投資は2024年3月期以降に実を結んでいくものと考える。ROEに関してはコロナ禍以前の2019年3月期が15.6%と非常に高い数値を出していたことから、今後、利益水準が回復していくなかで再び高まっていくことが予想される。
キャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の増加等により営業活動によるキャッシュ・フローが670百万円の収入となった。投資活動によるキャッシュ・フローは2022年10月1日付での持株会社制への移行に伴う営業保証金の増加に伴い1,279百万円の支出となった。営業保証金の増加に伴う投資活動によるキャッシュ・フローの支出分は短期借入れ1,000百万円により賄われており、それに伴い財務活動によるキャッシュ・フローが883百万円の収入となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)
<YI>
■業績動向
1. 2023年3月期の連結業績概要
ハウスコム<3275>の2023年3月期の連結業績は、営業収益が前期比0.2%減の14,179百万円、営業利益が同5.8%減の394百万円、経常利益が同0.9%増の620百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同12.2%減の327百万円だった。同社では2022年4月28日の期初に発表した営業収益14,735百万円、営業利益447百万円の達成を目指してきたが、営業収益、営業利益ともに若干の未達となった。営業収益は過去最高だった2022年3月期の14,206百万円からの更新を目指してきたが、着地はわずかながら前期比で減収となった。これはコロナ禍の第7波、第8波の下で同社グループ社員の罹患者が増加し、一時的に営業活動の稼働率が低下した影響が大きい。一方、単価の状況については、転居需要の回復プロセスが進行するなか、仲介手数料だけでなく、仲介1件あたりの特別依頼広告料、周辺商品販売等の収入も回復傾向を示している。
セグメントごとの業績は、不動産関連事業の営業収益が前期比2.3%減の12,540百万円、セグメント利益が同8.7%増の2,185百万円だった。従業員のコロナ罹患に伴う一時的な営業活動の稼働率低下により営業収益は前年比で減収となったが、セグメント利益については地域内の転居需要取り込みの効率性の観点から、新規出店5店舗を行う一方で既存店舗の統廃合として11店舗を退店したことに加え、費用面における効率化とそれによる費用抑制が進んだ結果、収益性の改善が進み前年比で増益となった。施工関連事業については、営業収益が同19.2%増の1,638百万円、セグメント利益が同110.4%増の183百万円だった。ハウスコム内のリフォーム事業と、会社分割によりそれを承継したハウスコムコミュニケーションズ(株)とを合算した営業収益が前期比16.0%増の1,125百万円まで回復したこと、及びエスケイビル建材の営業収益が同26.8%増の513百万円となったことを反映している。
2022年10月1日付での持株会社制への移行に伴う営業保証金の増加により自己資本比率は低下も、引き続き同社の財務健全性は高い
2. 財務状況と経営指標
2023年3月期末時点の同社の財務状況は、親会社に帰属する当期純利益が327百万円と堅調に推移したことにより純資産の部の利益剰余金が211百万円増加している。利益剰余金は2019年3月期以降順調に増加しており、事業活動の結果としてしっかりと利益を積み上げてきたことが窺える。
自己資本比率が2022年3月期末の66.4%から2023年3月期末においては60.9%へと低下しているが、これは固定資産において持株会社体制への移行に伴う営業保証金の預入によって投資その他の資産が前期比で1,032百万円増加したことによるものである。また、流動比率と固定比率がそれぞれ162.0%、80.9%であり、長短の手元流動性にも全く問題がないと言える。キャッシュも4,821百万円としっかりと積み上がっており、同社の財務健全性は高いと弊社は考える。
収益性に関しては、低下傾向にあるものの、新成長戦略のもとに強化された成長性・収益性によって今後、回復していくものと弊社では見ている。ROAが減少した要因は、コロナ禍の影響を受け、利益水準が下がるなかで積極的なIT投資を行ってきた結果である。これらの投資は2024年3月期以降に実を結んでいくものと考える。ROEに関してはコロナ禍以前の2019年3月期が15.6%と非常に高い数値を出していたことから、今後、利益水準が回復していくなかで再び高まっていくことが予想される。
キャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の増加等により営業活動によるキャッシュ・フローが670百万円の収入となった。投資活動によるキャッシュ・フローは2022年10月1日付での持株会社制への移行に伴う営業保証金の増加に伴い1,279百万円の支出となった。営業保証金の増加に伴う投資活動によるキャッシュ・フローの支出分は短期借入れ1,000百万円により賄われており、それに伴い財務活動によるキャッシュ・フローが883百万円の収入となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)
<YI>