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プロパティAG Research Memo(4):2023年3月期決算は20期連続の増収増益

注目トピックス 日本株
*12:54JST プロパティAG Research Memo(4):2023年3月期決算は20期連続の増収増益
■業績動向

1. 2023年3月期決算の業績概要
プロパティエージェント<3464>の2023年3月期決算の業績は、売上高37,259百万円(前期比5.9%増)、営業利益2,919百万円(同32.2%増)、経常利益2,518百万円(同31.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,576百万円(同29.5%増)となった。売上高では、マンション価格の高騰とDX推進の成長が業績をけん引し、20期連続の増収となった。営業利益では、販管費の増加があったものの、マンション価格の高騰や高粗利の不動産販売により過去最高益を達成した。DX不動産事業は、市場の強いニーズとデジタル化による効率的なマッチングで物件の販売・引渡しが好調に進捗した。DX推進事業では、売上高が前期の約2.2倍という想定を上回る成長となった。

2. セグメント別の事業動向
(1) DX不動産事業
DX不動産事業は、売上高35,639百万円(前期比3.4%増)、セグメント利益4,302百万円(同19.5%増)となった。マンション価格の高騰を背景に、高粗利物件の販売と順調な物件引渡しにより20期連続の増収増益を達成した。不動産市場は強い相場が続いており、2024年3月期以降に向けた在庫の積み上げも順調に推移した。顧客ニーズに合わせた商品提供により好調な販売状況であった。商品別の提供数では、新築マンションブランド「クレイシア」シリーズ等415戸・中古マンション535戸・新築コンパクトマンションブランド「ヴァースクレイシア」シリーズ等117戸・都市型アパートブランド「ソルナクレイシア」シリーズ4棟となった。居住用物件は1都3県を基本にエリアを拡大するとともに、投資用物件は首都圏近郊で2024年3月期も販売戸数を伸ばす計画である。また、ストック収入のベースとなる管理戸数も着実に拡大し、賃貸管理戸数4,101戸・建物管理戸数4,744戸となり、 ストック収入も着実に増加している。入居率は、コロナ禍の人口移動の減少により一時的に1ポイント程度落とした時期があるものの、足元ではコロナ禍前水準かそれ以上の99%台を平均的に出しており、足元ではコロナ禍前の水準に回復したと言える。

また、不動産投資型クラウドファンディング「Rimple」や不動産投資情報サイト「不動産投資Times」など、顧客のニーズに合わせたプラットフォームを展開。「Rimple」の応募は好調に推移しており、累計ファンド組成額は34億円を突破した。不確実な世の中に対する投資意欲は上昇傾向にあり、業界全体としてもニーズが伸びている。DX不動産会員数についても増加を続けており、2023年3月期末時点で159,060人(前期末比7,129人増)となった。オウンドメディア「不動産投資Times」からの流入も好調に推移している。また、販売契約数も増加しており、契約ベースで前年対比1.6倍を記録した。

(2) DX推進事業
DX推進事業は、売上高1,799百万円(前期比115.9%増)、セグメント利益51百万円(前期は9百万円の損失)となった。同セグメントは連結子会社を中心に事業を推進しているが、各連結子会社ともに受注件数が順調に増加、DX推進事業全体での売上高は約18億円へ大幅に成長した。注力領域として成長を加速させるべく、人員の採用及びM&Aを積極的に実行し、2022年9月にシービーラボを、2023年2月にCloudTechPlusを、それぞれ連結子会社化した。四半期毎の業績を見ると、両社の同事業への業績寄与と2022年2月から連結子会社化しているバーナーズも設立1期目として、3.7倍と業績寄与が確認できる。シービーラボは第2四半期15百万円、第3四半期51百万円、第4四半期96百万円と積み上がった。CloudTechPlusは第4四半期からの業績寄与となり、36百万円となった。

アヴァントは、SI稼働案件数は減少しているものの保守サービスの増加で売上高は拡大した。DXYZは、成長ドライバーの1つである顔認証プラットフォーム「FreeiD」の導入先が拡大し、累計ユーザー数は前期末の2.2倍・ソリューション数は前期末の1.9倍となった。バーナーズでは、新規受注を順調に積み上げ、受注増に伴い稼働数も増加した。連結子会社は様々なリーディングカンパニーをクライアントとして持つが、業界構成割合では金融・保険業、情報通信業のクライアントが過半数を占める。今後はより幅広い業種へ提供可能なDX支援サービスを強化する方針だ。

3. 財務状況
2023年3月期決算の資産合計は、前期末比11,459百万円増の43,441百万円となった。これは主に、2024年3月期に向け新築・中古マンションともに在庫量を増やしたため、販売用不動産が11,340百万円増加したことによる。また、負債合計は同10,107百万円増の33,869百万円となった。これは主に、中古マンションや開発用地の取得にかかる資金調達により短期借入金が5,561百万円、1年内返済予定を含む長期借入金が3,553百万円それぞれ増加したことに加え、当連結会計年度末に物件の竣工が集中したことにより買掛金が1,006百万円増加したことによる。純資産合計は同1,351百万円増の9,572百万円となった。これは主に、期末配当を実施したことにより利益剰余金が197百万円減少した一方、親会社株主に帰属する当期純利益1,576百万円を計上したことにより利益剰余金が増加したことによる。自己資本比率は前期比3.6pt下落の21.8%、借入金の増加は正常な営業循環における販売用不動産及び開発用地の取得に伴う一時的なものであり、短期的な懸念事項はないものと弊社では見ている。

2023年3月期末の現金及び現金同等物の残高は、前期比1,089百万円減の6,809百万円となった。営業活動によるキャッシュ・フローが9,307百万円の支出となった。これは主に、販売による資金回収があったものの、用地仕入や中古収益不動産の取得による棚卸資産の増加、法人税等の支払があったことによる。投資活動によるキャッシュ・フローは285百万円の支出であった。これは主に、投資有価証券の取得や子会社株式の取得に伴う支出に加えて、システム投資等にかかる固定資産の取得があったことによる。財務活動によるキャッシュ・フローは8,504百万円の収入であった。これは主に、長期借入金の返済による支出があったものの、それを上回る用地仕入及び物件開発にかかる資金の確保、機動的な資金の確保にかかる短期借入金の増加及び長期借入れによる収入があったことなどによる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)



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