イード Research Memo(1):メディアポートフォリオ戦略と収益の多角化で年率2ケタ成長を目指す
[23/09/19]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*13:01JST イード Research Memo(1):メディアポートフォリオ戦略と収益の多角化で年率2ケタ成長を目指す
■要約
イード<6038>は、Webメディア・コンテンツの運営を行うクリエイタープラットフォーム事業(以下、CP事業)と、リサーチ及びECソリューションを提供するクリエイターソリューション事業(同、CS事業)を展開している。売上高の約9割を占めるCP事業には、インターネット広告やデータ・コンテンツ提供(EC物販含む)、メディア・システムのほか、出版ビジネスなども含まれる。運営するWebメディア数は自動車、IT、エンターテインメント、暮らしなど合計21ジャンル79サイト(2023年6月末時点)と多岐にわたっており、特定メディアに依存しない「メディアポートフォリオ戦略」と、ネット広告収入のみに依存しない収益の多角化「360度ビジネス」を、M&Aも活用しながら推進している。
1. 2023年6月期の業績概要
2023年6月期の連結業績は、売上高で前期比8.9%増の6,072百万円、営業利益で同10.8%減の568百万円となった。2022年11月に自動車関連事業を行うエフ・アイ・ティー・パシフィック(株)(以下、FITパシフィック)※の株式を取得し連結子会社化したほか、専門メディアを複数譲受するなどM&Aを積極推進したことにより、売上高は連続で過去最高を更新した。営業利益はネット広告収入の減少やM&A関連費用などの計上により減益となったものの、EBITDA(償却前営業利益)では同0.5%増と増益が続いており、ここ数年の収益成長トレンドが継続しているとの見方に変わりない。M&A効果でネット広告の依存度が低下し(売上構成比で前期31.5%から27.3%に低下)、収益の多角化が進んでいる点も前向きに評価される。
※車両衝突実験関連事業、ケーブル&ファシリティマネジメント事業などを展開しており、2022年3月期は売上高686百万円、営業利益58百万円を計上した。2023年6月末時点の出資比率は90.1%となった。
2. 2024年6月期の業績見通し
2024年6月期の業績は、売上高で前期比10.3%増の6,700百万円、営業利益で同14.3%増の650百万円と2ケタ増収増益となり、営業利益で2期ぶりの過去最高更新を目指す。上期はネット広告の低迷で伸び悩む可能性があるが、下期からは回復色が鮮明化する見通しだ。FITパシフィックの業績が通年で寄与するほか、国内最大級の自動車情報メディア「Response(レスポンス)」や投資情報メディアなどのサブスクリプションサービスの成長が続く。企業向け越境学習サービス「複業留学」を展開する(株)エンファクトリーやEC支援事業を展開するSAVAWAY(株)など子会社も増収増益に貢献する見通しだ。また、生成AIをコンテンツの制作・編集工程などに活用することで、生産性向上の効果も期待される。
3. 中期目標
同社は中期業績目標として、2026年6月期に売上高100億円、EBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額)で12億円を目指している(2023年6月期実績717百万円)。インターネットの進化とともに多様化が進むインターネットメディア市場において、M&A戦略と収益の多角化を推進することで成長を加速させる戦略だ。注力分野としては、MaaS※1市場の拡大やEV、自動運転などの普及で新たなビジネス創出が期待される自動車分野のほか、教育、金融、エンタメ分野が挙げられる。エンタメ分野では新たなプロモーション施策としても活用できる「エンタメプリント」※2の案件が増え始めており、今後の展開が注目される。
※1 MaaS(Mobility as a Service)とは、地域住民や旅行者一人ひとりのトリップ単位での移動ニーズに対応して複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせ、検索・予約・決済などを一括で行うサービスである。観光や医療など目的地における交通以外のサービスなどとの連携により、移動の利便性向上や地域の課題解決にも資する重要な手段となるもの。
※2 コンビニエンスストアに設置されているマルチコピー機で、アニメ、声優、ゲームなどのブロマイドをはじめとした様々なジャンルのコンテンツを購入・プリントできるサービスで、「映画前売券付きブロマイド」などIPを活用したプロモーション施策として生かすことができる。
■Key Points
・2023年6月期はネット広告収入減やM&A関連費用の計上などにより減益となるも売上高は過去最高を更新
・2024年6月期は収益の多角化推進で2ケタ増収増益を目指す
・年率2ケタ成長を続け、2026年6月期に売上高100億円、EBITDA12億円の達成を目指す
・連結株主資本配当率1.5%を目安に安定かつ継続的な配当を実施、自社株買いも適宜検討
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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■要約
イード<6038>は、Webメディア・コンテンツの運営を行うクリエイタープラットフォーム事業(以下、CP事業)と、リサーチ及びECソリューションを提供するクリエイターソリューション事業(同、CS事業)を展開している。売上高の約9割を占めるCP事業には、インターネット広告やデータ・コンテンツ提供(EC物販含む)、メディア・システムのほか、出版ビジネスなども含まれる。運営するWebメディア数は自動車、IT、エンターテインメント、暮らしなど合計21ジャンル79サイト(2023年6月末時点)と多岐にわたっており、特定メディアに依存しない「メディアポートフォリオ戦略」と、ネット広告収入のみに依存しない収益の多角化「360度ビジネス」を、M&Aも活用しながら推進している。
1. 2023年6月期の業績概要
2023年6月期の連結業績は、売上高で前期比8.9%増の6,072百万円、営業利益で同10.8%減の568百万円となった。2022年11月に自動車関連事業を行うエフ・アイ・ティー・パシフィック(株)(以下、FITパシフィック)※の株式を取得し連結子会社化したほか、専門メディアを複数譲受するなどM&Aを積極推進したことにより、売上高は連続で過去最高を更新した。営業利益はネット広告収入の減少やM&A関連費用などの計上により減益となったものの、EBITDA(償却前営業利益)では同0.5%増と増益が続いており、ここ数年の収益成長トレンドが継続しているとの見方に変わりない。M&A効果でネット広告の依存度が低下し(売上構成比で前期31.5%から27.3%に低下)、収益の多角化が進んでいる点も前向きに評価される。
※車両衝突実験関連事業、ケーブル&ファシリティマネジメント事業などを展開しており、2022年3月期は売上高686百万円、営業利益58百万円を計上した。2023年6月末時点の出資比率は90.1%となった。
2. 2024年6月期の業績見通し
2024年6月期の業績は、売上高で前期比10.3%増の6,700百万円、営業利益で同14.3%増の650百万円と2ケタ増収増益となり、営業利益で2期ぶりの過去最高更新を目指す。上期はネット広告の低迷で伸び悩む可能性があるが、下期からは回復色が鮮明化する見通しだ。FITパシフィックの業績が通年で寄与するほか、国内最大級の自動車情報メディア「Response(レスポンス)」や投資情報メディアなどのサブスクリプションサービスの成長が続く。企業向け越境学習サービス「複業留学」を展開する(株)エンファクトリーやEC支援事業を展開するSAVAWAY(株)など子会社も増収増益に貢献する見通しだ。また、生成AIをコンテンツの制作・編集工程などに活用することで、生産性向上の効果も期待される。
3. 中期目標
同社は中期業績目標として、2026年6月期に売上高100億円、EBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額)で12億円を目指している(2023年6月期実績717百万円)。インターネットの進化とともに多様化が進むインターネットメディア市場において、M&A戦略と収益の多角化を推進することで成長を加速させる戦略だ。注力分野としては、MaaS※1市場の拡大やEV、自動運転などの普及で新たなビジネス創出が期待される自動車分野のほか、教育、金融、エンタメ分野が挙げられる。エンタメ分野では新たなプロモーション施策としても活用できる「エンタメプリント」※2の案件が増え始めており、今後の展開が注目される。
※1 MaaS(Mobility as a Service)とは、地域住民や旅行者一人ひとりのトリップ単位での移動ニーズに対応して複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせ、検索・予約・決済などを一括で行うサービスである。観光や医療など目的地における交通以外のサービスなどとの連携により、移動の利便性向上や地域の課題解決にも資する重要な手段となるもの。
※2 コンビニエンスストアに設置されているマルチコピー機で、アニメ、声優、ゲームなどのブロマイドをはじめとした様々なジャンルのコンテンツを購入・プリントできるサービスで、「映画前売券付きブロマイド」などIPを活用したプロモーション施策として生かすことができる。
■Key Points
・2023年6月期はネット広告収入減やM&A関連費用の計上などにより減益となるも売上高は過去最高を更新
・2024年6月期は収益の多角化推進で2ケタ増収増益を目指す
・年率2ケタ成長を続け、2026年6月期に売上高100億円、EBITDA12億円の達成を目指す
・連結株主資本配当率1.5%を目安に安定かつ継続的な配当を実施、自社株買いも適宜検討
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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