エージェント・インシュアランス・グループ Research Memo(6):2023年12月期第2四半期は増収減益
[23/09/27]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*12:06JST エージェント・インシュアランス・グループ Research Memo(6):2023年12月期第2四半期は増収減益
■業績動向
1. 2023年12月期第2四半期の業績概要
エージェント・インシュアランス・グループ<5836>の2023年12月期第2四半期の連結業績は、営業収益1,684百万円(前年同期比8.5%増)、営業利益32百万円(同41.2%減)、経常利益31百万円(同44.5%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益20百万円(同28.1%減)となった。営業収益は、ビジネスモデルの根幹である事業承継及びM&Aの取り組みが引き続き順調に推移し増収となった。営業利益については、合流する保険募集人を「保険代理店支援プラットフォーム」を通じて支援する組織体制・運営体制の強化を先行して行ったことにより、前年同期比で減益となった。なお、第2四半期は、社内計画に対し、保険診断アプリ「ほけチョイス」の活用進捗が遅れたことでクロスセル・アップセルが想定を下回りややビハインドとなったもようである。経常利益は上場関連費用を計上したため、親会社株主に帰属する四半期純利益は旧基幹システムの除却等に伴う固定資産除却損や社有車のリース解約損により、それぞれ前年同期比で減益となった。
損害保険のストック型ビジネスを基盤にKPIは順調に拡大
2. KPIの状況
同社は損害保険のストック型ビジネスを基盤に、M&A及び事業承継によるマーケットの拡大(顧客数の拡大)及びアップセル・クロスセルを通じた事業規模の拡大(取扱保険料の増加)を目指している。このため、(1) パートナー社員及び勤務型代理店数、(2) 取扱保険料(損害保険、生命保険別)、(3) 顧客数(個人、法人別)の3つをKPIとしている。なお、弊社ではこれらに加え(4) 合流件数(事業承継やM&Aを実施した件数)を独自にKPIとして見ている。
(1) パートナー社員及び勤務型代理店数
同社はM&A及び事業承継を通じて受け入れた募集人をパートナー社員、勤務型代理店の2つに分類している。パートナー社員は同社と雇用関係にあり、同社が取り扱う生命保険商品及び損害保険商品を販売する社員を指す。勤務型代理店は個人代理店としての登録であるため、生命保険は複数の保険会社の取扱いはできないが、損害保険は損害保険会社との委託契約書締結により複数社の商品を取り扱うことができる。勤務型代理店に対しては、活動実績に応じて保険会社から同社が受け取る代理店手数料を基に、委託契約書に基づいた報酬割合を支払う。2023年12月期第2四半期累計で22件のM&A及び事業承継を実施した結果、パートナー社員12名、勤務型代理店1名が増加した。パートナー社員の多くが損害保険募集人であり、同社への合流を通じて損害保険のマーケット拡大が進む。同社は拡大した損害保険マーケットでアップセルやクロスセルを推進することで、スピード感を持った成長を実現している。なお、M&A及び事業承継の件数(前期末比22件増)に対してパートナー社員の増加(前期末比12名増)が少ないが、契約のポートフォリオだけを買い取るケースがあったこと、退職したパートナー社員及び勤務型代理店があった(定年退職や承継を終えて退職するケース)ことによる。
(2) 取扱保険料
取扱保険料とは年度末時点で顧客から受け取り保有している保険料のことであり、単年度での取扱保険料の増加幅は翌年度の営業収益の増加に直結する。2023年12月期第2四半期はストック型ビジネスを基盤に、M&A及び事業承継によるマーケット拡大(顧客数増加)及びアップセル・クロスセルを通じて事業規模が拡大し、取扱保険料は前期末比約5億円増の312億円(損害保険は同5億円増の180億円、生命保険は横ばいの131億円)となった。
(3) 顧客数
M&A及び事業承継によりマーケットは順調に拡大し、顧客数は個人が前期末比3.2%増の128,568人、法人が同11.3%増の12,287社となった。
(4) 合流件数
同社は合流件数が営業収益の拡大に直結することから、弊社で独自にKPIとした。年間合流件数は2019年12月期の77件をピークに、2020年12月期は65件、2021年12月期は54件、2022年12月期は47件、2023年12月期第2四半期は22件と減少傾向にあるが、これは小規模代理店の事業承継が一巡し、規模が段階的に大型化していることが背景にある。なお、累計合流件数は506件(2023年12月期第2四半期)となった。
M&Aを多用も買収に係る費用は大きくなく、財務内容は良好
3. 財務状況と経営指標
2023年12月期第2四半期末の総資産は前期末比72百万円増加の1,976百万円となった。流動資産は現金及び預金を中心に同59百万円増加し1,473百万円、固定資産は同13百万円増の503百万円となり、ほぼ変動がなかった。
負債合計は前期末比36百万円増加の845百万円となった。営業未払金が67百万円減少する一方、大型のM&A等に備えるため有利子負債を135百万円増加し、371百万円とした。また、純資産合計は同35百万円増加の1,131百万円となった。
財務内容は良好で、自己資本比率は57.2%(前期末は57.5%)、ネットキャッシュ(現金及び預金-有利子負債)は625百万円となった。なお同社のバランスシートの特徴として、のれん代の計上がないことが挙げられる。一般的にM&Aを多用する会社においては、買収額と買収先企業純資産との差額がのれん代として大きく計上される。同社の場合には、小規模のM&Aでは保険契約の移管が行われるだけであり、のれん代が発生しない。比較的規模が大きい保険契約を譲り受ける場合も、譲渡対価はその保険契約から得られる手数料の1年分未満となるケースが多いため、M&Aに係る費用は大きくならないようになっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 田窪芳人)
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■業績動向
1. 2023年12月期第2四半期の業績概要
エージェント・インシュアランス・グループ<5836>の2023年12月期第2四半期の連結業績は、営業収益1,684百万円(前年同期比8.5%増)、営業利益32百万円(同41.2%減)、経常利益31百万円(同44.5%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益20百万円(同28.1%減)となった。営業収益は、ビジネスモデルの根幹である事業承継及びM&Aの取り組みが引き続き順調に推移し増収となった。営業利益については、合流する保険募集人を「保険代理店支援プラットフォーム」を通じて支援する組織体制・運営体制の強化を先行して行ったことにより、前年同期比で減益となった。なお、第2四半期は、社内計画に対し、保険診断アプリ「ほけチョイス」の活用進捗が遅れたことでクロスセル・アップセルが想定を下回りややビハインドとなったもようである。経常利益は上場関連費用を計上したため、親会社株主に帰属する四半期純利益は旧基幹システムの除却等に伴う固定資産除却損や社有車のリース解約損により、それぞれ前年同期比で減益となった。
損害保険のストック型ビジネスを基盤にKPIは順調に拡大
2. KPIの状況
同社は損害保険のストック型ビジネスを基盤に、M&A及び事業承継によるマーケットの拡大(顧客数の拡大)及びアップセル・クロスセルを通じた事業規模の拡大(取扱保険料の増加)を目指している。このため、(1) パートナー社員及び勤務型代理店数、(2) 取扱保険料(損害保険、生命保険別)、(3) 顧客数(個人、法人別)の3つをKPIとしている。なお、弊社ではこれらに加え(4) 合流件数(事業承継やM&Aを実施した件数)を独自にKPIとして見ている。
(1) パートナー社員及び勤務型代理店数
同社はM&A及び事業承継を通じて受け入れた募集人をパートナー社員、勤務型代理店の2つに分類している。パートナー社員は同社と雇用関係にあり、同社が取り扱う生命保険商品及び損害保険商品を販売する社員を指す。勤務型代理店は個人代理店としての登録であるため、生命保険は複数の保険会社の取扱いはできないが、損害保険は損害保険会社との委託契約書締結により複数社の商品を取り扱うことができる。勤務型代理店に対しては、活動実績に応じて保険会社から同社が受け取る代理店手数料を基に、委託契約書に基づいた報酬割合を支払う。2023年12月期第2四半期累計で22件のM&A及び事業承継を実施した結果、パートナー社員12名、勤務型代理店1名が増加した。パートナー社員の多くが損害保険募集人であり、同社への合流を通じて損害保険のマーケット拡大が進む。同社は拡大した損害保険マーケットでアップセルやクロスセルを推進することで、スピード感を持った成長を実現している。なお、M&A及び事業承継の件数(前期末比22件増)に対してパートナー社員の増加(前期末比12名増)が少ないが、契約のポートフォリオだけを買い取るケースがあったこと、退職したパートナー社員及び勤務型代理店があった(定年退職や承継を終えて退職するケース)ことによる。
(2) 取扱保険料
取扱保険料とは年度末時点で顧客から受け取り保有している保険料のことであり、単年度での取扱保険料の増加幅は翌年度の営業収益の増加に直結する。2023年12月期第2四半期はストック型ビジネスを基盤に、M&A及び事業承継によるマーケット拡大(顧客数増加)及びアップセル・クロスセルを通じて事業規模が拡大し、取扱保険料は前期末比約5億円増の312億円(損害保険は同5億円増の180億円、生命保険は横ばいの131億円)となった。
(3) 顧客数
M&A及び事業承継によりマーケットは順調に拡大し、顧客数は個人が前期末比3.2%増の128,568人、法人が同11.3%増の12,287社となった。
(4) 合流件数
同社は合流件数が営業収益の拡大に直結することから、弊社で独自にKPIとした。年間合流件数は2019年12月期の77件をピークに、2020年12月期は65件、2021年12月期は54件、2022年12月期は47件、2023年12月期第2四半期は22件と減少傾向にあるが、これは小規模代理店の事業承継が一巡し、規模が段階的に大型化していることが背景にある。なお、累計合流件数は506件(2023年12月期第2四半期)となった。
M&Aを多用も買収に係る費用は大きくなく、財務内容は良好
3. 財務状況と経営指標
2023年12月期第2四半期末の総資産は前期末比72百万円増加の1,976百万円となった。流動資産は現金及び預金を中心に同59百万円増加し1,473百万円、固定資産は同13百万円増の503百万円となり、ほぼ変動がなかった。
負債合計は前期末比36百万円増加の845百万円となった。営業未払金が67百万円減少する一方、大型のM&A等に備えるため有利子負債を135百万円増加し、371百万円とした。また、純資産合計は同35百万円増加の1,131百万円となった。
財務内容は良好で、自己資本比率は57.2%(前期末は57.5%)、ネットキャッシュ(現金及び預金-有利子負債)は625百万円となった。なお同社のバランスシートの特徴として、のれん代の計上がないことが挙げられる。一般的にM&Aを多用する会社においては、買収額と買収先企業純資産との差額がのれん代として大きく計上される。同社の場合には、小規模のM&Aでは保険契約の移管が行われるだけであり、のれん代が発生しない。比較的規模が大きい保険契約を譲り受ける場合も、譲渡対価はその保険契約から得られる手数料の1年分未満となるケースが多いため、M&Aに係る費用は大きくならないようになっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 田窪芳人)
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