バルテスHD Research Memo(1):ソフトウェアテストの専門企業。独自の教育メソッドに特色
[23/12/29]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*12:21JST バルテスHD Research Memo(1):ソフトウェアテストの専門企業。独自の教育メソッドに特色
■要約
バルテス・ホールディングス<4442>は、現 代表取締役会長兼社長である田中真史(たなかしんじ)氏によって2004年に設立された。同氏は、それまでは一般的なソフトウェアハウスを経営していたが、日本ではソフトウェアを第三者的に評価するテスト市場が未熟であるため、ソフトの品質が低くコスト高にもなっていることに懸念・疑念を持ち、「世に出るソフトウェアの品質をより向上させていきたい」という想いから同社を設立した。その後、多くのソフトウェアテスト案件に携わると同時に、社内のエンジニア教育にも力を入れ、独自の教育メソッドを確立している。現在でもソフトウェアテストの多くはソフトウェアベンダーの内部で行われる場合が多く、外部企業によるソフトウェアテスト市場は発展途上であることから、今後の同社の成長余力は大きいと言える。
1. 2024年3月期第2四半期連結業績(実績)
2024年3月期第2四半期の連結業績は、売上高が5,065百万円(前年同期比21.5%増)、営業利益が333百万円(同29.7%減)、経常利益が336百万円(同29.8%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益が200百万円(同35.2%減)となった。主要な重要指標(以下、KPI)では、「平均単価(ソフトウェアテスト)」は759千円(前年同期比30千円増)、「第2四半期末の稼働エンジニア数」は1,189名(前年同期末比67名増、うち正社員は131名増)、期中の案件数は2,184件(前年同期比324件増)となり、いずれも過去最高となった。売上総利益率は28.1%(前年同期は28.9%)と前年同期比で低下したが、期初に大量の新規採用を行ったことが主要因。一方で、販管費は採用の増加や業容の拡大に伴い前年同期比49.3%増となったが予算内であった。この結果、営業利益は減益となったが、想定内の結果であり、むしろ計画に対しては上回った。売上高は順調に伸びており、懸念される結果ではなかったと言える。
2. 2024年3月期連結業績(予想)
2024年3月期の連結業績は、引き続き各KPIの上昇を目指すことで、売上高で11,178百万円(前期比23.4%増)、営業利益で1,228百万円(同26.7%増)、経常利益で1,233百万円(同25.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益で833百万円(同28.0%増)を見込んでいる。期初に採用した技術者が戦力化することから、利益率は改善し通期では増益を見込んでいる。主力のソフトウェアテストサービス事業ではエンタープライズ案件の拡大・深化を進め、さらなる案件大型化・単価上昇を目指す。Web/モバイルアプリ開発サービス事業では、セキュリティ事業の拡大、新規技術を積極導入し高品質な開発を進める。オフショアサービス事業では、エンジニアの教育を継続しさらなる品質向上を目指す。また2023年4月に子会社化した(株)シンフォーや2023年11月に子会社化したフェアネスコンサルティング(株)も徐々にだが業績に寄与するものと思われる。
3. 成長戦略
日本のソフトウェアテスト市場においては、依然としてソフトウェアベンダー自身による内部テストが多いのが実情であるが、アウトソーシングの必要性が高まっているのも事実だ。そのため今後は、同社のような専門的な企業へのアウトソーシングが増加することが予想される。このような環境下で、同社は主に4つの基本戦略((1) 人的資本への投資、(2) エンタープライズ領域拡大、(3) 知的財産の拡大、(4) M&Aと組織強化)を掲げ、投資をコントロールすることで「規模成長」と「高利益率」を両立させる計画だ。定量的な目標としては2024年3月期に売上高100億円を掲げていたが、この目標は既に射程内なので、2024年3月期の下期には新しい中期経営計画が発表される予定だ。この新中期経営計画がどのような内容になるか、配当の恒常化と合わせて楽しみである。
■Key Points
・主力はソフトウェアテストサービス事業、市場の拡大に合わせて成長を図る
・2024年3月期は、第2四半期は営業減益だが通期では前期比26.7%営業増益を予想
・中期戦略の目標である売上高100億円は既に射程内、新中計を策定中
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<AS>
■要約
バルテス・ホールディングス<4442>は、現 代表取締役会長兼社長である田中真史(たなかしんじ)氏によって2004年に設立された。同氏は、それまでは一般的なソフトウェアハウスを経営していたが、日本ではソフトウェアを第三者的に評価するテスト市場が未熟であるため、ソフトの品質が低くコスト高にもなっていることに懸念・疑念を持ち、「世に出るソフトウェアの品質をより向上させていきたい」という想いから同社を設立した。その後、多くのソフトウェアテスト案件に携わると同時に、社内のエンジニア教育にも力を入れ、独自の教育メソッドを確立している。現在でもソフトウェアテストの多くはソフトウェアベンダーの内部で行われる場合が多く、外部企業によるソフトウェアテスト市場は発展途上であることから、今後の同社の成長余力は大きいと言える。
1. 2024年3月期第2四半期連結業績(実績)
2024年3月期第2四半期の連結業績は、売上高が5,065百万円(前年同期比21.5%増)、営業利益が333百万円(同29.7%減)、経常利益が336百万円(同29.8%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益が200百万円(同35.2%減)となった。主要な重要指標(以下、KPI)では、「平均単価(ソフトウェアテスト)」は759千円(前年同期比30千円増)、「第2四半期末の稼働エンジニア数」は1,189名(前年同期末比67名増、うち正社員は131名増)、期中の案件数は2,184件(前年同期比324件増)となり、いずれも過去最高となった。売上総利益率は28.1%(前年同期は28.9%)と前年同期比で低下したが、期初に大量の新規採用を行ったことが主要因。一方で、販管費は採用の増加や業容の拡大に伴い前年同期比49.3%増となったが予算内であった。この結果、営業利益は減益となったが、想定内の結果であり、むしろ計画に対しては上回った。売上高は順調に伸びており、懸念される結果ではなかったと言える。
2. 2024年3月期連結業績(予想)
2024年3月期の連結業績は、引き続き各KPIの上昇を目指すことで、売上高で11,178百万円(前期比23.4%増)、営業利益で1,228百万円(同26.7%増)、経常利益で1,233百万円(同25.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益で833百万円(同28.0%増)を見込んでいる。期初に採用した技術者が戦力化することから、利益率は改善し通期では増益を見込んでいる。主力のソフトウェアテストサービス事業ではエンタープライズ案件の拡大・深化を進め、さらなる案件大型化・単価上昇を目指す。Web/モバイルアプリ開発サービス事業では、セキュリティ事業の拡大、新規技術を積極導入し高品質な開発を進める。オフショアサービス事業では、エンジニアの教育を継続しさらなる品質向上を目指す。また2023年4月に子会社化した(株)シンフォーや2023年11月に子会社化したフェアネスコンサルティング(株)も徐々にだが業績に寄与するものと思われる。
3. 成長戦略
日本のソフトウェアテスト市場においては、依然としてソフトウェアベンダー自身による内部テストが多いのが実情であるが、アウトソーシングの必要性が高まっているのも事実だ。そのため今後は、同社のような専門的な企業へのアウトソーシングが増加することが予想される。このような環境下で、同社は主に4つの基本戦略((1) 人的資本への投資、(2) エンタープライズ領域拡大、(3) 知的財産の拡大、(4) M&Aと組織強化)を掲げ、投資をコントロールすることで「規模成長」と「高利益率」を両立させる計画だ。定量的な目標としては2024年3月期に売上高100億円を掲げていたが、この目標は既に射程内なので、2024年3月期の下期には新しい中期経営計画が発表される予定だ。この新中期経営計画がどのような内容になるか、配当の恒常化と合わせて楽しみである。
■Key Points
・主力はソフトウェアテストサービス事業、市場の拡大に合わせて成長を図る
・2024年3月期は、第2四半期は営業減益だが通期では前期比26.7%営業増益を予想
・中期戦略の目標である売上高100億円は既に射程内、新中計を策定中
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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