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FB Research Memo(8):5G生活様式支援事業を中心に全事業が増益

注目トピックス 日本株
*13:08JST FB Research Memo(8):5G生活様式支援事業を中心に全事業が増益
■フリービット<3843>の業績動向

2. 2024年4月期第2四半期のセグメント別業績動向
セグメント別の業績動向は次のとおりである。いずれのセグメントも2ケタ増益を確保、ギガプライズ4月分を除いた5G生活様式支援事業の実質ベースでのセグメント利益も2ケタ増益となった。

(1) 5Gインフラ支援事業
5Gインフラ支援事業の業績は、売上高が4,924百万円(前年同期比4.1%増)、セグメント利益が906百万円(同23.6%増)となった。固定回線網は、コロナ禍をきっかけとする働き方や生活スタイルの変化に伴い、自宅におけるテレワークや在宅学習などが一般化したことに加え、オンライン動画やゲームなどリッチコンテンツ及びSNSの利用は進んだものの、巣ごもり需要の一巡やモバイル回線網へシフトする動きなどから、伸び悩んでいる状況にあると言える。加えて、固定回線網のネットワーク原価が高止まり基調となっていることもあり、固定回線網の利益は減益となった。

一方、モバイル回線網は、大手モバイル通信キャリアによる格安プランの提供やサブブランドでの展開によって独自型MVNOサービス事業者の成長に影響を与える状況が生じているが、IoTやインバウンド向けの利用増加を背景にモバイル市場全体としての成長は続いており、顧客ニーズに合わせた独自プランやコンポーネントの提供などを通じてMVNO向け事業支援(MVNE)サービスを広げたこと、より付加価値の高いデータ+SMS+音声SIMの販売構成比が48.5%と2年半で15.6ポイントも上昇したことにより、モバイル回線網の利益は大幅な増益となった。全体としては、モバイル回線網の好調が、固定回線網の減益やエンジニアなど人材強化を目指した人件費増加などをカバーして、セグメント利益の増加につながった。なお、戦略投資は131百万円(前年同期比0.8%減)で、5Gデータセンターの整備やデータ連携プロジェクトに充てられた。

(2) 5G生活様式支援事業
5G生活様式支援事業の業績は、売上高が13,654百万円(前年同期比22.4%増)、セグメント利益が1,746百万円(同78.2%増)となった。なお、決算期変更により5G Homestyle(集合住宅向けインターネットサービス)を担うギガプライズが7ヶ月の変則決算となったが、これを6ヶ月に修正した実質ベースでも増収増益と好調な推移となった。その5G Homestyleでは、テレワークやオンライン授業、動画コンテンツ視聴などの利用が一般化していること、それゆえ建物の資産価値及び入居率の向上を目的に新規/既存の物件を問わず高速ブロードバンド環境の導入が進んでいることから、集合住宅向けISPサービスの提供戸数が2024年4月期第2四半期末に113.0万戸となり、また期末には122.6万戸(2023年3月期末比16.7%増)となることが見込まれるなど需要が着実に拡大している。

また従来の集合住宅向けインターネットサービスに加え、より高速なインターネット接続サービスや多目的施設へのインターネット接続サービス、戸建賃貸住宅向けのサービスの提供を新たに開始した。既に、(株)Secualと共同リリースしている全戸一括型ISPサービス「NiSUMU CONNECT」で、戸建賃貸住宅へのサービス導入を決定した。ほかに、(株)TOKIUMやNICリテールズ(株)との間で社宅管理業務代行委託契約を締結した。また、「スマートタウン」実現に向けた取り組みの一環として、2023年にオープンしたコミュニティタウン「LIVING TOWN みなとみらい」において、IoTをはじめ次世代通信や同社が有するブロックチェーン技術など様々な先進テクノロジーを活用した5G/web3時代の新たな住まいや暮らし方を提案したり、防犯・防災・見守り機能を搭載した次世代街灯「Secual Smart Pole」を設置したりするなど、「SiLK VISION 2027」を見据えた概念実証も進めた。

5G Lifestyle(個人向けのモバイル通信サービスやインターネット関連サービス)では、同社が提供している独自テクノロジーを活用したスマートフォンサービス「トーンモバイル」において、5G/web3/メタバース時代の到来を見据えた端末の提供を行っている。また、「トーンモバイル」独自のサービスとしては、AIで家族を見守る「TONEあんしんAI」を搭載した家族向け見守りサービス「TONEファミリー」を展開、次世代オンライン健康相談サービス「TONE Care」ではネット依存などスマホの使いすぎに関する専門相談も行うなど、様々な社会問題の解決にも取り組んでいる。また、「トーンモバイル」の契約数増加に向けて、費用対効果を考慮した成果報酬型広告へとマーケティング施策をシフトした。

この結果、固定回線網のネットワーク原価の高止まりや5G Lifestyleの固定網サービスの利用減少を、5G Homestyleでサービス提供戸数が順調に伸びたこと、前期に発生した「トーンモバイル」新端末発売の際のドコモショップへの働きかけなどの初期費用がなくなったことなどにより、増収増益となった。なお、戦略投資は271百万円(前年同期比0.7%減)で、「TONE」「TONE Labo」ユーザーの獲得やTONE Open化施策※、5G Healthstyle領域での「TONE Care」の開発及び実証実験、web3(Blockchain)関係の開発及び実験、「LIVING TOWN みなとみらい」プロジェクト関連費用などに充当された。

※TONE Open化施策:自社端末以外でも同社のサービスを使えるようにする施策。


(3) 企業・クリエイター5G/DX支援事業
企業・クリエイター5G/DX支援事業の業績は、売上高が9,799百万円(前年同期比21.3%増)、セグメント利益が428百万円(同67.8%増)となった。新型コロナウイルス感染症の5類への移行に伴い行動制限が緩和されたことで経済活動が正常化へと向かい始め、インターネット広告に対する需要が増加している反面、クッキー規制などにより時代の転換点にあるとも言われている。そのなかでフルスピードが展開するインターネットマーケティング、アドテクノロジーサービスにおいて、これまで培ってきたインターネットマーケティングのノウハウを生かすとともにその時々の季節に合わせたアフィリエイト広告が好調に推移し、新規顧客の獲得も進んだ。加えて、フルスピードの完全子会社化に伴うPMI効果などにより業務の効率化やコストの抑制が進んだことで大幅増益となった。なお、戦略投資は24百万円(同65.7%減)で、主として「StandAlone」プラットフォームの多面展開にあてた。

インターネットマーケティング支援ツールで新機能の提供を開始するとともに、「StandAlone」では新規アプリの開発に着手した。新機能としては、被リンク分析・競合調査ツールの「Ahrefs」で生成AIを使ったライティングツールの無料提供を開始した。搭載された合計22種類のAIツールによって、入力したテキストを再校正した文章が生成されるほか、「固め」「親しみやすい」「カジュアル」といった書式スタイルの文章生成も可能で、ライティングの省力化を実現した。アフィリエイト広告のリスク管理を行うシステム「ブランドセーフアフィリエイト」では、ステルスマーケティング規制対策の強化を受け、他社にない新機能「PR表記チェッカー」をリリースした。従来人的チェックや代行業者に頼っていた掲載面のPR表記(PR、広告、プロモーションなど)の有無判定をシステム化した。また、web3時代を見据えたファンコミュニティツールで、大手プラットフォーマーを介さず自ら情報を発信することができるクリエイター向けプラットフォ―ム「StandAlone」では、クリエイターエコノミー(クリエイターが自らのスキルによって収益化を行う経済圏)の拡大やクリエイターのためのNFT※発行支援サービスの提供を強化した。この結果アーティストがアプリを順次リリースするなど、クリエイターコミュニティー向けサービスの横展開が拡大した。

※NFT:非代替性トークン。デジタルデータにブロックチェーン技術を掛け合わせた技術によるデジタル証明書。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)



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