日本ヒューム Research Memo(4):基礎事業と下水道関連事業が2本柱
[24/06/21]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*13:44JST 日本ヒューム Research Memo(4):基礎事業と下水道関連事業が2本柱
■事業概要
2. セグメント別業績推移
過去5期(2020年3月期〜2024年3月期)のセグメント別売上高・営業利益・営業利益率の推移は以下のとおりである。なお、公共工事関連の売上・利益は年度末にあたる1月〜3月期(日本ヒューム<5262>の第4四半期)に集中する傾向がある。
事業の2つの柱である基礎事業と下水道関連事業において、基礎事業は売上高が減少傾向だったが、営業活動の強化などにより2022年3月期をボトムとして回復基調となり、これに伴って営業利益と営業利益率も回復基調となっている。特に2024年3月期は売価改善の進展も寄与して収益性が大幅に向上した。下水道関連事業はおおむね横ばいで推移している。2024年3月期は減収・大幅減益の形となったが、これは高付加価値製品の発注遅延という一時的要因によるものであり、2025年3月期は回復見込みである。なお、基礎事業と下水道関連事業の営業利益率に大きな差があるが、これは、基礎事業は民間建築工事が中心であり、下水道関連事業は公共工事が中心のためである。民間中心の建築関連工事の利益率が公共工事中心の土木関連工事に比べて低いという傾向は、同社だけでなく建設関連業界全般に共通した傾向である。また、太陽光発電・不動産事業は大きな変動がなく利益率の高い安定収益源である。
コンクリートパイルとヒューム管の両方で上位シェアは同社のみ
3. 特徴・強み
同社の強みは時代のニーズに合った新製品・新工法を開発する技術力である。1925年に日本で初めて遠心力を利用して下水用ヒューム管の製造を開始し、その技術を活用して事業領域をコンクリートパイルのほか、大口径分野や道路分野を含む各種プレキャストコンクリート製品へ広げ、下水道分野では老朽化対策の管更生事業とマンホール耐震化等の社会インフラのストックマネジメント事業へ拡大した。
地震対策や社会インフラ老朽化対策では、各種コンクリート製品の機能・強度向上に努めているほか、施工面でも下水道管路・マンホール耐震化工法や管渠更生工法などを開発するなど、新たな工法の開発を進めている。近年は、施工効率化に向けてICTを活用した施工管理「Pile-ViMSys(パイルヴィムシス)(R)」、カーボンニュートラルに向けた低炭素型高機能コンクリート「e-CON(R)」など、次世代に向けた新技術・新製品の開発を強化している。
事業環境に関しては、下水道関連事業ではヒューム管の需要が過去10年間で減少傾向となっているが、同社は一定規模の出荷量を確保し、2023年度の同社の市場シェア(出荷量ベース)は18.8%(2位)である。基礎事業で主に使用されるコンクリートパイルの需要は過去10年間おおむね横ばいで推移し、2023年度の同社の市場シェア(同)は9.3%(3位)である。ヒューム管専業あるいはコンクリートパイル専業が多い業界にあって、ヒューム管とコンクリートパイルの両方で上位市場シェアを獲得しているのは同社のみである。このことは同社の技術力や品質力の高さを示している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<SO>
■事業概要
2. セグメント別業績推移
過去5期(2020年3月期〜2024年3月期)のセグメント別売上高・営業利益・営業利益率の推移は以下のとおりである。なお、公共工事関連の売上・利益は年度末にあたる1月〜3月期(日本ヒューム<5262>の第4四半期)に集中する傾向がある。
事業の2つの柱である基礎事業と下水道関連事業において、基礎事業は売上高が減少傾向だったが、営業活動の強化などにより2022年3月期をボトムとして回復基調となり、これに伴って営業利益と営業利益率も回復基調となっている。特に2024年3月期は売価改善の進展も寄与して収益性が大幅に向上した。下水道関連事業はおおむね横ばいで推移している。2024年3月期は減収・大幅減益の形となったが、これは高付加価値製品の発注遅延という一時的要因によるものであり、2025年3月期は回復見込みである。なお、基礎事業と下水道関連事業の営業利益率に大きな差があるが、これは、基礎事業は民間建築工事が中心であり、下水道関連事業は公共工事が中心のためである。民間中心の建築関連工事の利益率が公共工事中心の土木関連工事に比べて低いという傾向は、同社だけでなく建設関連業界全般に共通した傾向である。また、太陽光発電・不動産事業は大きな変動がなく利益率の高い安定収益源である。
コンクリートパイルとヒューム管の両方で上位シェアは同社のみ
3. 特徴・強み
同社の強みは時代のニーズに合った新製品・新工法を開発する技術力である。1925年に日本で初めて遠心力を利用して下水用ヒューム管の製造を開始し、その技術を活用して事業領域をコンクリートパイルのほか、大口径分野や道路分野を含む各種プレキャストコンクリート製品へ広げ、下水道分野では老朽化対策の管更生事業とマンホール耐震化等の社会インフラのストックマネジメント事業へ拡大した。
地震対策や社会インフラ老朽化対策では、各種コンクリート製品の機能・強度向上に努めているほか、施工面でも下水道管路・マンホール耐震化工法や管渠更生工法などを開発するなど、新たな工法の開発を進めている。近年は、施工効率化に向けてICTを活用した施工管理「Pile-ViMSys(パイルヴィムシス)(R)」、カーボンニュートラルに向けた低炭素型高機能コンクリート「e-CON(R)」など、次世代に向けた新技術・新製品の開発を強化している。
事業環境に関しては、下水道関連事業ではヒューム管の需要が過去10年間で減少傾向となっているが、同社は一定規模の出荷量を確保し、2023年度の同社の市場シェア(出荷量ベース)は18.8%(2位)である。基礎事業で主に使用されるコンクリートパイルの需要は過去10年間おおむね横ばいで推移し、2023年度の同社の市場シェア(同)は9.3%(3位)である。ヒューム管専業あるいはコンクリートパイル専業が多い業界にあって、ヒューム管とコンクリートパイルの両方で上位市場シェアを獲得しているのは同社のみである。このことは同社の技術力や品質力の高さを示している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<SO>