エヌ・シー・エヌ Research Memo(2):大型化・特殊化する非住宅での事業体制強化と事業領域拡大
[24/07/11]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*13:02JST エヌ・シー・エヌ Research Memo(2):大型化・特殊化する非住宅での事業体制強化と事業領域拡大
■会社概要
エヌ・シー・エヌ<7057>は、木造建築の耐震性を確保するための高度な構造計算を事業化するとともに、構造計算された耐震性の高い木造建築を実現するため、鉄骨造やRC造で主流だったラーメン構法を木造住宅に取り入れた同社独自の建築システムであるSE構法を、工務店を中心としたSE構法登録施工店ネットワークを通じて提供する。構造設計や材料の安定供給だけでなく、木造住宅の断熱性能の確認や保証・保険の手配に至るまで、工務店や設計事務所の抱える課題をワンストップで解決するサービスを提供する。同社グループは、同社を中心に、木構造デザイン、MAKE HOUSE、翠豊によるテクノロジー分野、SE住宅ローンサービス(株)によるアセット分野、そして、MUJI HOUSE、YADOKARI(株)、(株)一宮リアライズ、N&S開発によるライフスタイル分野が融合した企業グループである。
テクノロジー分野では、合弁先企業からMAKE HOUSEの株式を取得して完全子会社化し、木造業界向けのBIM※1事業をさらに強化した。国土交通省により、2023年4月にすべての公共工事(小規模工事を除く)へのBIMの原則適用が始まったため、非住宅物件を扱う設計事務所・中小ゼネコン向けのBIMサポートを強化している。また、大断面集成材※2加工や木材の特殊加工、大規模木造建築の施工力に強みを持つ翠豊の連結子会社化により、大規模木造建築(非住宅)分野での事業領域が順調に拡大している。2023年5月にはSE構法による木造5階建対応について、(一財)日本建築センターの構造評定を取得した。同社の研究施設「木構造技術センター(Timber Structure Lab.)」を活用し、従来の仕様では困難であった木造5階建に対応する仕様を追加した。
※1 Building Information Modelingの略。コンピュータ上に建物の立体モデルを再現し、建物づくりに活用するソリューション。設計から施工、維持管理に至るまでの属性情報が追加されているため、各図面に必要な情報を活用できる。
※2 集成材:板材を接着剤で再構成して作られる木質材料。
ライフスタイル分野では、世界中の新たな暮らしの調査研究・メディア運営、小屋・可動産活用により遊休地や暫定地の企画・開発、まちづくり支援を手掛けるYADOKARIと、2019年12月に資本業務提携契約を締結した。2016年8月には、地域再生を図るために、千葉県長生郡一宮町と同社など民間企業の出資で、まちづくり会社として一宮リアライズを設立した。2022年4月には、サブスクリプションサービス「SANU 2nd Home(サヌ セカンドホーム)」を展開する(株)Sanuと共同でN&S開発を設立した。Sanuが展開する「SANU 2nd Home」にSE構法による宿泊棟を提供することで、脱炭素社会の実現に向けた木造建築の普及促進を目指す。2024年4月には、SE構法がスペックインされた新商品「SANU Apartment(海SANUに設営される宿泊棟)」が千葉県一宮町で竣工し、2024年4月から営業を開始している。
同社は日本に安心・安全な木構造を普及させ、資産価値のある住宅を提供する仕組みをつくることを目的として1996年に設立された。現 代表取締役社長の田鎖郁夫(たくさりいくお)氏が日商岩井(株)(現 双日<2768>)で商社マンとして活躍していた1995年に発生した阪神・淡路大震災では、住宅が壊滅的な被害を受けた。そこで田鎖氏が知ったことは、住宅のほとんどを占める木造住宅においては、構造計算をしていないという事実だった。「木造だから弱い」のではなく、そもそも構造設計がされていなかったのである。
この経験を下に、1996年にセブン工業<7896>と日商岩井による合弁で(株)エヌ・シー・エヌが設立された。当時、長野オリンピック記念アリーナを手掛けていた構造家の播繁(ばんしげる)氏に協力を求め、大型建造物のノウハウを一般的な住宅に生かすSE構法を開発し、木造技術のイノベーションを図った。圧倒的な強度を持つ独自の木造建築用システムは、現在に至るまで同社の強みである。SE構法は、これまでの施工・建築経験の蓄積により、他社には追随できない知的財産となっており、OEM供給を依頼する大手ハウスメーカーも多い。なお、「New Constructor’s Network=新しい建設会社のネットワーク」が同社社名の由来で、木造住宅を巡る既存の課題(構造計算をしない慣習、資産価値が急速に下がってしまうという弱点)に対して、同社が中核となって工務店、ビルダー、ハウスメーカー等とともに立ち向かっていくことを表している。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
<AS>
■会社概要
エヌ・シー・エヌ<7057>は、木造建築の耐震性を確保するための高度な構造計算を事業化するとともに、構造計算された耐震性の高い木造建築を実現するため、鉄骨造やRC造で主流だったラーメン構法を木造住宅に取り入れた同社独自の建築システムであるSE構法を、工務店を中心としたSE構法登録施工店ネットワークを通じて提供する。構造設計や材料の安定供給だけでなく、木造住宅の断熱性能の確認や保証・保険の手配に至るまで、工務店や設計事務所の抱える課題をワンストップで解決するサービスを提供する。同社グループは、同社を中心に、木構造デザイン、MAKE HOUSE、翠豊によるテクノロジー分野、SE住宅ローンサービス(株)によるアセット分野、そして、MUJI HOUSE、YADOKARI(株)、(株)一宮リアライズ、N&S開発によるライフスタイル分野が融合した企業グループである。
テクノロジー分野では、合弁先企業からMAKE HOUSEの株式を取得して完全子会社化し、木造業界向けのBIM※1事業をさらに強化した。国土交通省により、2023年4月にすべての公共工事(小規模工事を除く)へのBIMの原則適用が始まったため、非住宅物件を扱う設計事務所・中小ゼネコン向けのBIMサポートを強化している。また、大断面集成材※2加工や木材の特殊加工、大規模木造建築の施工力に強みを持つ翠豊の連結子会社化により、大規模木造建築(非住宅)分野での事業領域が順調に拡大している。2023年5月にはSE構法による木造5階建対応について、(一財)日本建築センターの構造評定を取得した。同社の研究施設「木構造技術センター(Timber Structure Lab.)」を活用し、従来の仕様では困難であった木造5階建に対応する仕様を追加した。
※1 Building Information Modelingの略。コンピュータ上に建物の立体モデルを再現し、建物づくりに活用するソリューション。設計から施工、維持管理に至るまでの属性情報が追加されているため、各図面に必要な情報を活用できる。
※2 集成材:板材を接着剤で再構成して作られる木質材料。
ライフスタイル分野では、世界中の新たな暮らしの調査研究・メディア運営、小屋・可動産活用により遊休地や暫定地の企画・開発、まちづくり支援を手掛けるYADOKARIと、2019年12月に資本業務提携契約を締結した。2016年8月には、地域再生を図るために、千葉県長生郡一宮町と同社など民間企業の出資で、まちづくり会社として一宮リアライズを設立した。2022年4月には、サブスクリプションサービス「SANU 2nd Home(サヌ セカンドホーム)」を展開する(株)Sanuと共同でN&S開発を設立した。Sanuが展開する「SANU 2nd Home」にSE構法による宿泊棟を提供することで、脱炭素社会の実現に向けた木造建築の普及促進を目指す。2024年4月には、SE構法がスペックインされた新商品「SANU Apartment(海SANUに設営される宿泊棟)」が千葉県一宮町で竣工し、2024年4月から営業を開始している。
同社は日本に安心・安全な木構造を普及させ、資産価値のある住宅を提供する仕組みをつくることを目的として1996年に設立された。現 代表取締役社長の田鎖郁夫(たくさりいくお)氏が日商岩井(株)(現 双日<2768>)で商社マンとして活躍していた1995年に発生した阪神・淡路大震災では、住宅が壊滅的な被害を受けた。そこで田鎖氏が知ったことは、住宅のほとんどを占める木造住宅においては、構造計算をしていないという事実だった。「木造だから弱い」のではなく、そもそも構造設計がされていなかったのである。
この経験を下に、1996年にセブン工業<7896>と日商岩井による合弁で(株)エヌ・シー・エヌが設立された。当時、長野オリンピック記念アリーナを手掛けていた構造家の播繁(ばんしげる)氏に協力を求め、大型建造物のノウハウを一般的な住宅に生かすSE構法を開発し、木造技術のイノベーションを図った。圧倒的な強度を持つ独自の木造建築用システムは、現在に至るまで同社の強みである。SE構法は、これまでの施工・建築経験の蓄積により、他社には追随できない知的財産となっており、OEM供給を依頼する大手ハウスメーカーも多い。なお、「New Constructor’s Network=新しい建設会社のネットワーク」が同社社名の由来で、木造住宅を巡る既存の課題(構造計算をしない慣習、資産価値が急速に下がってしまうという弱点)に対して、同社が中核となって工務店、ビルダー、ハウスメーカー等とともに立ち向かっていくことを表している。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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