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この1年以内の歯科検診・健診率は52% ―全国の20〜70代の男女10,000人への調査―

2014年6月26日

公益社団法人 日本歯科医師会


【歯科医療に関する一般生活者意識調査】
この1年以内の歯科検診・健診率は52%
全国的に上昇の兆し
―全国の20〜70代の男女10,000人への調査―
■受診経験者の4人に3人は治療に満足
■「技術力」「治療費軽減」「痛みの軽減」に加え、
「治療期間の適切さ」や「治療内容のわかりやすい説明」も期待
■歯の状態が体へ及ぼす影響への関心度は高いが、詳しくは知らない


 公益社団法人 日本歯科医師会(所在地:東京都千代田区九段北、会長:大久保満男)は、全国の20〜70代男女を対象に、2014年3月4日(火)から3月6日(木)まで「歯科医療に関する一般生活者意識調査」を実施しました。
 本調査は、当会の広報活動の趣旨である「歯科医療に対する国民の認知度・理解度向上」および「歯科医師や診療に対する評価・イメージの向上」に向け、現状の歯科医療を取り巻く環境や生活者の意識を把握し、今後の広報展開に役立てることを目的として、2005年から隔年に実施しているもので、今回で5回目になります。
 同調査結果によって、以下のような実態が浮き彫りになりました。

■1年以内に歯科検診・健診を受けている人は52.1%。前回(46.6%)に比べ、上昇。
 この1年間に「企業や自治体(行政等)の歯科検診・健診(チェック)」や「歯科医院でのチェック」を受けた人は全体の52.1%。前回調査(2011年:46.6%)時に比べ検診・健診率は上昇しています。全国どのエリアでも検診・健診率は上昇しており、全国的に検診・健診を受けることが広がってきている兆しがみられます。歯科検診・健診または歯科医院でのチェックを“受けている”人は、男性より女性の方が多く、また、高年齢になるほど高くなる傾向がみられます。その一方で、男性20〜50代、女性20代・50代では、この1年間の検診・健診率は5割を下回っています。

■受診の動機は、痛みやはれ、出血、過去の治療箇所の不具合
 歯科受診のきっかけとして多かったのが、「痛み・はれ・出血があったから」(36.7%)、「過去の治療箇所の不具合が生じたから」(27.4%)というものでした。生活者の多くが「具体的な痛みや症状を実感したら受診をする」という傾向は前回調査時から変わってはいませんが、今回は「定期的に通う時期だったから」が2割を超え、口内の病気予防や健康チェックのために受診する人が増える兆しが見られます。

■8割以上が、歯や口内に異常を感じながらも治療をしていない
 回答者10,000人のうち、半数以上が「歯や口腔に異常を感じている」(55.0%)と回答しています。しかしながら、異常を感じている人でも現在治療を受けている人は2割にも満たない(18.4%)状況にあります。

■受診を自己判断で決めている人も
 歯科治療を中断、または受けていない理由では、「悪いところがないから」(42.3%)、「治療が終了した、病気が治ったから」(33.8%)、「痛みを感じるなど、ひどい状況ではないから」(18.9%)などの回答が上位を占めています。自己判断によって治療を受けていないケースも多いようです。

■かかりつけ歯科医がいる割合は6割以上
 約66%の人に「かかりつけの歯科医がいる」ことが分かりました(65.8%)。男女とも、年齢が上がるとともにその割合は増える傾向にあり、70代においては約85%になっています(男性: 84.6% 女性:85.3%)。かかりつけ歯科医を選ぶポイントとしては、通院に便利な場所(自宅の近所、通勤・通学の途中)という「立地」を重視している人が多く(59.1%)、次いで「技術力」(22.6%)、「歯科医師が信頼できる」(17.3%)が挙げられています。

■4人に3人は治療に満足。決め手は「丁寧」「スタッフの対応」「時間通りの診療」
 歯科治療経験のある9,647人のうち、4人に3人にあたる約75%が治療に満足していると回答しています(74.5%)。「治療の丁寧さ」(44.1%)、「スタッフの対応の良さ」(39.5%)、「時間通りの診療」(39.5%)、「治療方法の分かりやすい説明」(30.2%)などが満足度の決め手となっています。技術力はもちろん、きめ細やかなサービスも患者の満足度を左右する上で重要なポイントとなっているようです。

■「技術力」「治療費」「痛みの軽減」に加え、「治療期間の適切さ」や「治療内容のわかりやすい説明」も期待
 生活者が歯科医師・歯科医院に期待していることは、「治療技術」(59.7%)、「治療費負担が低いこと」(54.9%)、「痛くないこと」(47.3%)が上位に挙げられています。さらに、「治療期間・回数の低減」(38.5%)、「治療内容の分かりやすい説明」(36.9%)なども期待しています。

■歯科医療に対する生活者の関心度は非常に高いが、詳しく知っている人は少ない
 歯科医療について、生活者はさまざまな関心を寄せています。「歯並びやかみ合わせの悪さが歯の病気の原因となる」(87.7%)、「歯科疾患と全身の病気との密接な関係」(85.4%)などの事柄に対する関心度は85%を超えています。
 また、認知度も、「歯並びやかみ合わせの悪さが歯の病気の原因となる」は87.9%、「歯科疾患と全身の病気との密接な関係」は76.7%と高くなっていますが、いずれも、「聞いたことがある程度」で、「詳しく知っている」の割合は1〜2割にとどまっており、詳しく理解している人が少ないことが明らかになりました。
 また、歯科疾患と全身の健康との関わりについても、「歯周病」と「低体重児出産や早産」「気管支炎」「血糖値を下げる妨げ」「脳卒中」へ影響を及ぼすことについては6〜7割が「全く知らない」としており、歯科疾患と全身の健康の具体的な事柄に関して知られていないことが明らかになりました。歯科疾患と全身の健康との関わりについては、今後ますます認知や理解を広げていくことが課題と考えられます。

■歯科医師会からは日常の基本的な口腔ケアに関する情報が求められる
 歯科医師会から欲しい情報は、「歯や口の中の主な疾病とその予防方法」(46.2%)、「歯の正しい磨き方」(40.3%)など、基本的な日常の口腔ケアに対する情報が求められています。
 また、20・30代は「正しい歯の磨き方」、女性20・30代は「子ども向け歯の手入れ方法や予防方法、食育」、60代以上の高齢者は「高齢者向け歯の手入れ方法や予防方法、介護予防、歯と健康長寿の関係」、「義歯やブリッジなど治療した歯の日ごろの手入れ方法」を求める人が多くなっており、年齢層によって求められる情報は異なっていることが明らかになりました。

 以上の調査結果により、日常の検診・健診や定期的なチェックへの意識はあがってきているものの、実際の治療率は低く、また歯科疾患とそれが及ぼす全身への影響についてきちんと理解している人は少ないという実態が明らかになりました。


≪調査実施概要≫
■調査対象およびサンプル数
・全国の20〜70代男女、10,000サンプル(有効回収スペース)
※なお、歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士等歯科医療従事者は事前に除外。
・日本歯科医師会のブロック分けに従い、全国7ブロックごとの年代別人口比でサンプルを収集。
■調査手法
・インターネット調査
※インターネット調査会社の保有する調査パネルを抽出名簿とするインターネット調査(モニター会員にアンケートを依頼、アンケートフォームにエントリーした人を対象)。
■調査期間
・2014年3月4日(火)〜2014年3月6日(木)
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