寝づらい熱帯夜… 【医師監修】良質な睡眠のための食事・環境・マインドフルネス
[24/08/26]
提供元:共同通信PRワイヤー
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睡眠で脳も肉体も効率よく回復させるには?
記録的な猛暑で寝づらい夜が続いています。夏の暑い夜に快適な睡眠を確保することは、多くの方の悩みではないでしょうか。
2024年7月に大正製薬株式会社(本社:東京都豊島区 社長:上原 茂)が全国の20代以上の男女1000名にインターネットを通して実施した調査によると、夏の夜に快眠を得るためにしていることを訊ねたアンケート調査結果によると、多い順に「クーラーをつけっぱなしにする」(519名)、「扇風機をつけっぱなしにする」(304名人)、次いで「照明を真っ暗にする」(235名)、「規則正しい生活を送る」(181名)、「夜遅くに食事をしない」(155名)が上位5項目となりました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202408265347-O2-7zM3W4W7】
脳神経内科医で医学博士の山下あきこ先生によると、夏の暑い夜に良質な睡眠を確保するためには、適切な食事、環境を心がけ、リラックス効果のあるルーティンを取り入れることがおすすめだそうです。
医師監修の、マインドフルネス思考を取り入れた快眠テクニックを紹介します。
【監修】内科医、脳神経内科医、医学博士 山下あきこ先生
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202408265347-O5-Cz4T3H5q】
医療法人社団如水会今村病院 神経内科/株式会社マインドフルヘルス代表。
佐賀県鳥栖市生まれ。1999年 川崎医科大学卒業後、総合診療部に入局。2001年 福岡大学病院神経内科に入局。2005年 フロリダ州メイヨークリニックジャクソンビル神経内科に留学し、パーキンソン病について研究。2006年 Movement Disorder Societyにて国際学会で若手研究者の賞を取得。2007年 如水会今村病院理事、脳神経内科医として勤務。2016年 株式会社マインドフルヘルスを設立。マインドフルネス、well-being、栄養、運動、睡眠、脱依存、習慣化という7つの要素にを軸にした「セブンアプローチ」という健康法を提唱。現在は、診療、産業医活動、YouTube配信、執筆とマルチに活躍中。
著書に、『マインドフルネスこそ最強のクスリ』(スール)、『やせる呼吸』(二見書房)、『こうすれば、夜中に目覚めずぐっすり眠れる』(共栄書房)、『死ぬまで若々しく元気に生きるための賢い食べ方』(あさ出版)、『悪習慣の罠』(扶桑社新書)、『「やめられない」を「やめる」本』(小学館)など。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202408265347-O6-7r2BI5eb】
体内時計とホルモン分泌の正常化の基本、“朝日を浴びる”
朝日を浴びながらウォーキングなどの軽い運動をすることで、体内時計を整えることができます。特に太陽が昇りきる前の時間帯、できれば朝9時頃までに窓を開け、朝日を浴びてください。朝15分くらいの日光浴をするのがもっとも理想的なので、涼しい時間帯の散歩も推奨されます。
良質な睡眠のための食べ方と栄養
良質な睡眠のためには、意識的に特定の栄養素を摂取すること、また、サプリメントの摂取も有効である場合があります。
食事のタイミング
朝、たんぱく質をたっぷり摂ることで、夜のメラトニン生成が促進されると考えられます。夕食は軽めにして、お腹いっぱい食べるのは避けるのが得策です。脂質の多い食事も夜は避けましょう。睡眠時に胃腸に負担がかかり、睡眠の質を下げてしまいます。
寝る前に、飲むといいもの・悪いもの
寝る前にはカフェインを含む飲み物を避けましょう。ただし、カフェインを含むものでも玉露の緑茶はカフェインの覚醒効果を打ち消すテアニンを含むため、適量ならば睡眠を妨げないと言われています。温かいノンカフェインのハーブティーなどはおすすめで、冷たい飲料は胃腸の負担になるので避けましょう。
アルコールは一時的に眠気を誘発するので眠るために飲んでしまうという方もいるようですが、深い睡眠を妨げるため、寝酒は避けましょう。アルコールは睡眠の質を低下させ、夜中に覚醒しやすくなります。
睡眠の質の向上に有効な栄養素・成分
脳の疲労回復を促進(※)するグリシン:
グリシンは血管を拡張し体温を調節することで、睡眠を促してくれる効果があるといわれています。特に脳疲労の回復のキー成分の1つです。不足すると不眠の原因になる可能性があります。グリシンを多く含む食品は、エビ、カニ、ホタテ、牛すじ、鶏軟骨、豚足など。
グリシンは、実はコンビニのおにぎりにも保存料として使われることがあります。
(※)脳の疲労回復とは睡眠の質の向上のことです。
肉体の疲労回復を促進するタウリン:
グリシンに加え、タウリンを摂取することで、肉体の疲労回復の効率が向上することが期待できます。タウリンは、筋肉の回復を助け、疲労を解消する可能性がわかっている栄養素で、2024年3月には、国立長寿医療研究センターと北翔大学、大正製薬株式会社が共同で行った研究(※)で、40歳以上を対象に8年間の体力変化とタウリン推定摂取量の関係を評価したところ、タウリン推定摂取量が多い人ほど脚の筋力を維持しているという研究結果も発表されています。そのほか、肝機能の改善など、内臓の疲労回復もサポートすることがわかっています。タウリンを摂ることで、睡眠中の全身の回復が促進されると考えられます。
睡眠で疲れが取れない場合には、タウリンを含む魚介類(特にイカやタコなど)を積極的に摂ることもおすすめです。
睡眠の質を改善するサプリメントにはグリシンを主成分とするものが多いですが、脳や神経を休めることに役立つと言われるグリシンのみでなく、筋肉などの臓器の細胞に作用することがわかっているタウリンも併せて配合されている もののほうが ものであれば、脳と身体への 相互の 相乗的なアプローチが期待できます。
※Domoto T, Kise K, Oyama Y, Furuya K, Kato Y, Nishita Y, Kozakai R, Otsuka R. Association of taurine intake with changes in physical fitness among community-dwelling middle-aged and older Japanese adults: An 8-year longitudinal study. Front Nutr. 11:1337738, 2024. doi: 10.3389/fnut.2024.1337738.?
興奮した神経を落ち着かせるGABA:
GABA(ギャバ)はγ(ガンマ)-アミノ酪酸というアミノ酸の一種で、もともと哺乳類の脳や脊髄に存在し、神経伝達物質としての役割を果たしています。活動時に優位になる交感神経を抑制する働きがあり、心理的なストレスを和らげてスムーズな眠りを促します。穀物や野菜、果物に多く、例えば発芽玄米やお茶、カカオ、トマト、キムチなどに多く含まれます。
神経伝達物質を作るタンパク質
肉や野菜、大豆などから摂取できるタンパク質は、神経伝達物質を作る重要な栄養素です。タンパク質を構成する成分のうち、トリプトファン、チロシン、フェニルアラニンなどの必須アミノ酸は神経活動の伝達に必要不可欠な神経伝達物質を作ります。
トリプトファンは、セロトニンの材料となる成分。セロトニンはノルアドレナリンやドーパミンの分泌の調整をしており、不足すると抑うつ状態や不安障害になりやすく、不眠などの睡眠障害との関連が示唆されています。トリプトファンは乳製品や大豆製品、魚類、ナッツ類、バナナや卵、小麦胚芽などに多く含まれます。
セロトニンの合成に不可欠なビタミンB6:
セロトニンの合成には、トリプトファンと合わせてビタミンB6も必要となります。ビタミンB6は玄米や牛・豚・鶏レバー、魚の赤身に多く含まれます。
脳神経の正常な働きを助けてくれるビタミンB12:
快眠を得るには、自律神経を安定させる必要がありますが、そのために欠かせないのが脳神経の正常な働きです。ビタミンB12はその働きをサポートします。ビタミンB12はシジミや赤貝などの貝類や牛・豚・鶏レバーなどに多く含まれます。
ドーパミンを作るのに必須といわれる鉄:
神経伝達物質の一つであるドーパミンは主に筋肉に分布しており、快活さや元気さをもたらします。ドーパミンがしっかり分泌され、日中に元気に活動していれば、夜になるにつれて眠気がやってきて、自然に眠りにつくことができます。ドーパミンはフェニルアラニンやチロシンという成分から合成され、その過程で鉄が使われます。鉄はヘム鉄と非ヘム鉄の2種類に分かれますが、ヘム鉄は牛・豚・鶏レバーや牛肉、赤貝、マイワシ、カツオ、マグロなどに多く含まれ、非ヘム鉄はレンズ豆や納豆、枝豆、小松菜、ひじき、厚揚げ、サラダ菜などに多く含まれます。
ラクチュコピクリン:
レタスに含まれる成分であるラクチュコピクリンには、睡眠を促進する効果があることがわかっています。特に夜にレタスを食べると、寝付きが良くなる効果が期待できます。誰もが知るイギリスの有名なウサギのキャラクターの物語で「畑でレタスを食べたら眠ってしまった」というくだりがありますが、実はこれもラクチュコピクリンの効果かもしれません!?
サプリメントや漢方で摂れるシゴカ:
「シゴカ」とは、エゾコウギという植物の根茎の部分を使った生薬です。シゴカの主要な活性成分であるエレウテロサイドは、ストレスホルモンであるコルチゾールのレベルを低下させ、身体の自然なリラクゼーションを促進します。これにより、入眠が容易になり、深い睡眠が促進されます。
ストレスを軽減し胃腸に負担をかけない「マインドフルネスイーティング」
ストレスを軽減し胃腸に負担をかけない食べ方としておすすめなのが「マインドフルネスイーティング」と呼ばれる食べ物を使った瞑想です。食事中にスマートフォンを見たり、考えごとをしたりするのはいったん休止して、食べることに集中してみましょう。アメリカでは、肥満や糖尿病の治療にも役立てられています。
ここではタウリンやたんぱく質といった快眠におすすめの栄養素が豊富な魚のお刺身を例にやり方をご説明します。
お腹を意識して今の空腹度を確認したら、「目→手→香り→舌→喉→口の動き→耳→心→ストーリーを思い描く→自由に味わう」の順に意識を移していきます。
まずは今日、「自分は初めて魚を食べることになった」という状況を想像し、お刺身の見た目はどんな印象かを目で確認。そしてお刺身を箸でつまみ、重みや感触、香りを感じたら、「ツヤツヤだぁ」ですとか、「脂が美味しそう」など、浮かんでくる感覚を頭で言葉にします。
はじめはお醤油など何もつけずにそのままの味を感じると良いです。一口目はお刺身を舌にのせて噛まずに味わい、舌である程度、柔らかくしたら飲み込んで喉で感じます。硬くて飲み込めない場合は無理をせず、少量ずつにしましょう。お醤油をつけてみて二口目を口に運んだら、お刺身を上下の歯で噛んですりつぶす動きを感じ、口の中の動きからくるもぐもぐ、ごくりなどの音を聞きます。食べながら自分の感じる思い、美味しい、新鮮、もっと食べたい、好き、苦手、満腹などの感覚や思考が湧き上がってくるのに気づきましょう。
次にそのお刺身の魚のストーリーを思い描きます。例えば、広大な海で漁師さんが網にかかった魚を引っ張って水揚げし、仕分けしている様子、箱いっぱいの氷の上の活きの良い魚、その箱を漁師さんが市場まで運ぶ姿。最近は漁獲量が減っており、魚はますます貴重な食糧です。私たちはいつでもスーパーに行けば新鮮な魚を買って食べることができますが、それは当たり前ではなく、とてもありがたいことです。漁師さんの努力や、健康な体があることへの感謝の気持ちを持って魚を味わってみましょう。
三口目では自由に好きなように、五感をフルに使って、香りや味、音、口の中の感覚、浮かんでくる思いなどを感じてください。食べ物や自分自身に意識をしっかり向けて味わうことを楽しみましょう。そして2、3回呼吸をしながら余韻を味わい、食べる瞑想は終了です。
睡眠環境の整え方
睡眠環境を整えることも、質の高い睡眠に不可欠です。以下のポイントに注意して、快適な睡眠環境を作りましょう。
室温と湿度
夏の夜には、室温を16〜25度に保つことが理想的です。また、湿度は40〜70%の範囲で管理するのがおすすめ。湿度が高すぎると不快感を引き起こし、自律神経が乱れやすくなります。
寝具の選び方
寝具は自分が触り心地が良いと感じる、リラックスできる素材を選びましょう。リネンやコットン製のシーツなど、汗を吸収しやすい素材が適しています。シルクは天然素材ですが、吸湿性が低くべたつきやすいのであまりおすすめはできません。色に関しては、薄い青色がリラックス効果が高いといえます。
照明
部屋を完全に暗くするほうが理想的な眠りを得られると考えられます。脳波はわずかな光でも影響を受けるため、真っ暗な環境で眠ることで、アルファ波が促進されるためです。
香り
ラベンダーなどのリラックス効果のある香りを使うと、脳波が安定し、良質な睡眠が得られます。自分が好きな香りを選ぶこともポイントです。
良質な睡眠を得るための、マインドフルネス思考の睡眠前ルーティン
マインドフルネスのメソッドを取り入れた、睡眠前におすすめのルーティンを解説します。
入浴は、40度のぬるめのお湯で、就寝の2時間前がおすすめです。就寝時に自然に深部体温が下がり、眠りに入りやすくなります。熱いお湯の湯舟に浸かるのは避けましょう。
寝る直前に感情が高ぶると脳が覚醒してしまい、眠りが浅くなります。寝る1時間前からは静かに過ごし、リラックスする時間を持つことが大切です。パソコンやスマートフォンのブルーライトは脳を覚醒させてしまうので、電灯の下で日記を書いたり、家族と穏やかに話をするといった過ごし方がおすすめです。
ふとんの中に入ってからぜひ実践してほしいのが、マインドフルネスに通じる、ボディースキャンと呼吸法です。
ボディースキャンとは、身体の感覚に意識を向ける瞑想のこと。CTスキャンで調べるかのように、自分の意識で身体をスキャンしていくのです。眠る前10分くらいの時間をかけて行います。
身体のどの部分に緊張があるかに気付いて、そこをリラックスさせてあげることで、疲労の取れる効率的な睡眠を得る一助となるはずです。
目を閉じて、呼吸に集中してゆっくり息をしてください。ゆっくり吐き出すことに留意をしてみてください。二酸化炭素をゆっくり排出することで体内の二酸化炭素濃度が一定に保たれ、リラックスに繋がります。
その後、左足の親指に意識を向けます。次に人差し指、中指、とそれぞれの指に意識を向けていきます。そして土踏まず、踵、足首へと意識するところを上げていきます。吸った息が口から左の足先へと流れていくようにイメージしてみましょう。
そしてゆっくりと上の方へと意識が戻ってくるように、それぞれの足の部位に意識を向けてみましょう。ふくらはぎ、すね、膝、太もも、骨盤まで来たら、今度は右足の親指に意識を移動させ、左足同様、意識を爪先から骨盤に向かってゆっくりと移動させていきます。
その後、おへその少し下のあたりに意識を向けて、呼吸とともにお腹が上下するのを感じてみてください。そのまま少し上のほうに意識を上げ、背中が布団に当たっているところを感じます。
続いて、身体の中にある肺や心臓に意識を向けて、肩に意識を向けます。そこから、手のひら、前腕、上腕、肩、首、喉へと意識するところを上げていき、顔の口、鼻、目、耳、そして頭のてっぺんを意識します。
頭のてっぺんにぽっかりと穴があき、息を吸うとそこからエネルギーが入り、吐くときは両足先から入ってきて頭のてっぺんから抜けていくようなイメージをしてみます。
規則的な生活と神経も身体も緩ませ、メンテナンスしてあげる意識が、睡眠の質改善につながります。ぜひ実践してみてください。
記録的な猛暑で寝づらい夜が続いています。夏の暑い夜に快適な睡眠を確保することは、多くの方の悩みではないでしょうか。
2024年7月に大正製薬株式会社(本社:東京都豊島区 社長:上原 茂)が全国の20代以上の男女1000名にインターネットを通して実施した調査によると、夏の夜に快眠を得るためにしていることを訊ねたアンケート調査結果によると、多い順に「クーラーをつけっぱなしにする」(519名)、「扇風機をつけっぱなしにする」(304名人)、次いで「照明を真っ暗にする」(235名)、「規則正しい生活を送る」(181名)、「夜遅くに食事をしない」(155名)が上位5項目となりました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202408265347-O2-7zM3W4W7】
脳神経内科医で医学博士の山下あきこ先生によると、夏の暑い夜に良質な睡眠を確保するためには、適切な食事、環境を心がけ、リラックス効果のあるルーティンを取り入れることがおすすめだそうです。
医師監修の、マインドフルネス思考を取り入れた快眠テクニックを紹介します。
【監修】内科医、脳神経内科医、医学博士 山下あきこ先生
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202408265347-O5-Cz4T3H5q】
医療法人社団如水会今村病院 神経内科/株式会社マインドフルヘルス代表。
佐賀県鳥栖市生まれ。1999年 川崎医科大学卒業後、総合診療部に入局。2001年 福岡大学病院神経内科に入局。2005年 フロリダ州メイヨークリニックジャクソンビル神経内科に留学し、パーキンソン病について研究。2006年 Movement Disorder Societyにて国際学会で若手研究者の賞を取得。2007年 如水会今村病院理事、脳神経内科医として勤務。2016年 株式会社マインドフルヘルスを設立。マインドフルネス、well-being、栄養、運動、睡眠、脱依存、習慣化という7つの要素にを軸にした「セブンアプローチ」という健康法を提唱。現在は、診療、産業医活動、YouTube配信、執筆とマルチに活躍中。
著書に、『マインドフルネスこそ最強のクスリ』(スール)、『やせる呼吸』(二見書房)、『こうすれば、夜中に目覚めずぐっすり眠れる』(共栄書房)、『死ぬまで若々しく元気に生きるための賢い食べ方』(あさ出版)、『悪習慣の罠』(扶桑社新書)、『「やめられない」を「やめる」本』(小学館)など。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202408265347-O6-7r2BI5eb】
体内時計とホルモン分泌の正常化の基本、“朝日を浴びる”
朝日を浴びながらウォーキングなどの軽い運動をすることで、体内時計を整えることができます。特に太陽が昇りきる前の時間帯、できれば朝9時頃までに窓を開け、朝日を浴びてください。朝15分くらいの日光浴をするのがもっとも理想的なので、涼しい時間帯の散歩も推奨されます。
良質な睡眠のための食べ方と栄養
良質な睡眠のためには、意識的に特定の栄養素を摂取すること、また、サプリメントの摂取も有効である場合があります。
食事のタイミング
朝、たんぱく質をたっぷり摂ることで、夜のメラトニン生成が促進されると考えられます。夕食は軽めにして、お腹いっぱい食べるのは避けるのが得策です。脂質の多い食事も夜は避けましょう。睡眠時に胃腸に負担がかかり、睡眠の質を下げてしまいます。
寝る前に、飲むといいもの・悪いもの
寝る前にはカフェインを含む飲み物を避けましょう。ただし、カフェインを含むものでも玉露の緑茶はカフェインの覚醒効果を打ち消すテアニンを含むため、適量ならば睡眠を妨げないと言われています。温かいノンカフェインのハーブティーなどはおすすめで、冷たい飲料は胃腸の負担になるので避けましょう。
アルコールは一時的に眠気を誘発するので眠るために飲んでしまうという方もいるようですが、深い睡眠を妨げるため、寝酒は避けましょう。アルコールは睡眠の質を低下させ、夜中に覚醒しやすくなります。
睡眠の質の向上に有効な栄養素・成分
脳の疲労回復を促進(※)するグリシン:
グリシンは血管を拡張し体温を調節することで、睡眠を促してくれる効果があるといわれています。特に脳疲労の回復のキー成分の1つです。不足すると不眠の原因になる可能性があります。グリシンを多く含む食品は、エビ、カニ、ホタテ、牛すじ、鶏軟骨、豚足など。
グリシンは、実はコンビニのおにぎりにも保存料として使われることがあります。
(※)脳の疲労回復とは睡眠の質の向上のことです。
肉体の疲労回復を促進するタウリン:
グリシンに加え、タウリンを摂取することで、肉体の疲労回復の効率が向上することが期待できます。タウリンは、筋肉の回復を助け、疲労を解消する可能性がわかっている栄養素で、2024年3月には、国立長寿医療研究センターと北翔大学、大正製薬株式会社が共同で行った研究(※)で、40歳以上を対象に8年間の体力変化とタウリン推定摂取量の関係を評価したところ、タウリン推定摂取量が多い人ほど脚の筋力を維持しているという研究結果も発表されています。そのほか、肝機能の改善など、内臓の疲労回復もサポートすることがわかっています。タウリンを摂ることで、睡眠中の全身の回復が促進されると考えられます。
睡眠で疲れが取れない場合には、タウリンを含む魚介類(特にイカやタコなど)を積極的に摂ることもおすすめです。
睡眠の質を改善するサプリメントにはグリシンを主成分とするものが多いですが、脳や神経を休めることに役立つと言われるグリシンのみでなく、筋肉などの臓器の細胞に作用することがわかっているタウリンも併せて配合されている もののほうが ものであれば、脳と身体への 相互の 相乗的なアプローチが期待できます。
※Domoto T, Kise K, Oyama Y, Furuya K, Kato Y, Nishita Y, Kozakai R, Otsuka R. Association of taurine intake with changes in physical fitness among community-dwelling middle-aged and older Japanese adults: An 8-year longitudinal study. Front Nutr. 11:1337738, 2024. doi: 10.3389/fnut.2024.1337738.?
興奮した神経を落ち着かせるGABA:
GABA(ギャバ)はγ(ガンマ)-アミノ酪酸というアミノ酸の一種で、もともと哺乳類の脳や脊髄に存在し、神経伝達物質としての役割を果たしています。活動時に優位になる交感神経を抑制する働きがあり、心理的なストレスを和らげてスムーズな眠りを促します。穀物や野菜、果物に多く、例えば発芽玄米やお茶、カカオ、トマト、キムチなどに多く含まれます。
神経伝達物質を作るタンパク質
肉や野菜、大豆などから摂取できるタンパク質は、神経伝達物質を作る重要な栄養素です。タンパク質を構成する成分のうち、トリプトファン、チロシン、フェニルアラニンなどの必須アミノ酸は神経活動の伝達に必要不可欠な神経伝達物質を作ります。
トリプトファンは、セロトニンの材料となる成分。セロトニンはノルアドレナリンやドーパミンの分泌の調整をしており、不足すると抑うつ状態や不安障害になりやすく、不眠などの睡眠障害との関連が示唆されています。トリプトファンは乳製品や大豆製品、魚類、ナッツ類、バナナや卵、小麦胚芽などに多く含まれます。
セロトニンの合成に不可欠なビタミンB6:
セロトニンの合成には、トリプトファンと合わせてビタミンB6も必要となります。ビタミンB6は玄米や牛・豚・鶏レバー、魚の赤身に多く含まれます。
脳神経の正常な働きを助けてくれるビタミンB12:
快眠を得るには、自律神経を安定させる必要がありますが、そのために欠かせないのが脳神経の正常な働きです。ビタミンB12はその働きをサポートします。ビタミンB12はシジミや赤貝などの貝類や牛・豚・鶏レバーなどに多く含まれます。
ドーパミンを作るのに必須といわれる鉄:
神経伝達物質の一つであるドーパミンは主に筋肉に分布しており、快活さや元気さをもたらします。ドーパミンがしっかり分泌され、日中に元気に活動していれば、夜になるにつれて眠気がやってきて、自然に眠りにつくことができます。ドーパミンはフェニルアラニンやチロシンという成分から合成され、その過程で鉄が使われます。鉄はヘム鉄と非ヘム鉄の2種類に分かれますが、ヘム鉄は牛・豚・鶏レバーや牛肉、赤貝、マイワシ、カツオ、マグロなどに多く含まれ、非ヘム鉄はレンズ豆や納豆、枝豆、小松菜、ひじき、厚揚げ、サラダ菜などに多く含まれます。
ラクチュコピクリン:
レタスに含まれる成分であるラクチュコピクリンには、睡眠を促進する効果があることがわかっています。特に夜にレタスを食べると、寝付きが良くなる効果が期待できます。誰もが知るイギリスの有名なウサギのキャラクターの物語で「畑でレタスを食べたら眠ってしまった」というくだりがありますが、実はこれもラクチュコピクリンの効果かもしれません!?
サプリメントや漢方で摂れるシゴカ:
「シゴカ」とは、エゾコウギという植物の根茎の部分を使った生薬です。シゴカの主要な活性成分であるエレウテロサイドは、ストレスホルモンであるコルチゾールのレベルを低下させ、身体の自然なリラクゼーションを促進します。これにより、入眠が容易になり、深い睡眠が促進されます。
ストレスを軽減し胃腸に負担をかけない「マインドフルネスイーティング」
ストレスを軽減し胃腸に負担をかけない食べ方としておすすめなのが「マインドフルネスイーティング」と呼ばれる食べ物を使った瞑想です。食事中にスマートフォンを見たり、考えごとをしたりするのはいったん休止して、食べることに集中してみましょう。アメリカでは、肥満や糖尿病の治療にも役立てられています。
ここではタウリンやたんぱく質といった快眠におすすめの栄養素が豊富な魚のお刺身を例にやり方をご説明します。
お腹を意識して今の空腹度を確認したら、「目→手→香り→舌→喉→口の動き→耳→心→ストーリーを思い描く→自由に味わう」の順に意識を移していきます。
まずは今日、「自分は初めて魚を食べることになった」という状況を想像し、お刺身の見た目はどんな印象かを目で確認。そしてお刺身を箸でつまみ、重みや感触、香りを感じたら、「ツヤツヤだぁ」ですとか、「脂が美味しそう」など、浮かんでくる感覚を頭で言葉にします。
はじめはお醤油など何もつけずにそのままの味を感じると良いです。一口目はお刺身を舌にのせて噛まずに味わい、舌である程度、柔らかくしたら飲み込んで喉で感じます。硬くて飲み込めない場合は無理をせず、少量ずつにしましょう。お醤油をつけてみて二口目を口に運んだら、お刺身を上下の歯で噛んですりつぶす動きを感じ、口の中の動きからくるもぐもぐ、ごくりなどの音を聞きます。食べながら自分の感じる思い、美味しい、新鮮、もっと食べたい、好き、苦手、満腹などの感覚や思考が湧き上がってくるのに気づきましょう。
次にそのお刺身の魚のストーリーを思い描きます。例えば、広大な海で漁師さんが網にかかった魚を引っ張って水揚げし、仕分けしている様子、箱いっぱいの氷の上の活きの良い魚、その箱を漁師さんが市場まで運ぶ姿。最近は漁獲量が減っており、魚はますます貴重な食糧です。私たちはいつでもスーパーに行けば新鮮な魚を買って食べることができますが、それは当たり前ではなく、とてもありがたいことです。漁師さんの努力や、健康な体があることへの感謝の気持ちを持って魚を味わってみましょう。
三口目では自由に好きなように、五感をフルに使って、香りや味、音、口の中の感覚、浮かんでくる思いなどを感じてください。食べ物や自分自身に意識をしっかり向けて味わうことを楽しみましょう。そして2、3回呼吸をしながら余韻を味わい、食べる瞑想は終了です。
睡眠環境の整え方
睡眠環境を整えることも、質の高い睡眠に不可欠です。以下のポイントに注意して、快適な睡眠環境を作りましょう。
室温と湿度
夏の夜には、室温を16〜25度に保つことが理想的です。また、湿度は40〜70%の範囲で管理するのがおすすめ。湿度が高すぎると不快感を引き起こし、自律神経が乱れやすくなります。
寝具の選び方
寝具は自分が触り心地が良いと感じる、リラックスできる素材を選びましょう。リネンやコットン製のシーツなど、汗を吸収しやすい素材が適しています。シルクは天然素材ですが、吸湿性が低くべたつきやすいのであまりおすすめはできません。色に関しては、薄い青色がリラックス効果が高いといえます。
照明
部屋を完全に暗くするほうが理想的な眠りを得られると考えられます。脳波はわずかな光でも影響を受けるため、真っ暗な環境で眠ることで、アルファ波が促進されるためです。
香り
ラベンダーなどのリラックス効果のある香りを使うと、脳波が安定し、良質な睡眠が得られます。自分が好きな香りを選ぶこともポイントです。
良質な睡眠を得るための、マインドフルネス思考の睡眠前ルーティン
マインドフルネスのメソッドを取り入れた、睡眠前におすすめのルーティンを解説します。
入浴は、40度のぬるめのお湯で、就寝の2時間前がおすすめです。就寝時に自然に深部体温が下がり、眠りに入りやすくなります。熱いお湯の湯舟に浸かるのは避けましょう。
寝る直前に感情が高ぶると脳が覚醒してしまい、眠りが浅くなります。寝る1時間前からは静かに過ごし、リラックスする時間を持つことが大切です。パソコンやスマートフォンのブルーライトは脳を覚醒させてしまうので、電灯の下で日記を書いたり、家族と穏やかに話をするといった過ごし方がおすすめです。
ふとんの中に入ってからぜひ実践してほしいのが、マインドフルネスに通じる、ボディースキャンと呼吸法です。
ボディースキャンとは、身体の感覚に意識を向ける瞑想のこと。CTスキャンで調べるかのように、自分の意識で身体をスキャンしていくのです。眠る前10分くらいの時間をかけて行います。
身体のどの部分に緊張があるかに気付いて、そこをリラックスさせてあげることで、疲労の取れる効率的な睡眠を得る一助となるはずです。
目を閉じて、呼吸に集中してゆっくり息をしてください。ゆっくり吐き出すことに留意をしてみてください。二酸化炭素をゆっくり排出することで体内の二酸化炭素濃度が一定に保たれ、リラックスに繋がります。
その後、左足の親指に意識を向けます。次に人差し指、中指、とそれぞれの指に意識を向けていきます。そして土踏まず、踵、足首へと意識するところを上げていきます。吸った息が口から左の足先へと流れていくようにイメージしてみましょう。
そしてゆっくりと上の方へと意識が戻ってくるように、それぞれの足の部位に意識を向けてみましょう。ふくらはぎ、すね、膝、太もも、骨盤まで来たら、今度は右足の親指に意識を移動させ、左足同様、意識を爪先から骨盤に向かってゆっくりと移動させていきます。
その後、おへその少し下のあたりに意識を向けて、呼吸とともにお腹が上下するのを感じてみてください。そのまま少し上のほうに意識を上げ、背中が布団に当たっているところを感じます。
続いて、身体の中にある肺や心臓に意識を向けて、肩に意識を向けます。そこから、手のひら、前腕、上腕、肩、首、喉へと意識するところを上げていき、顔の口、鼻、目、耳、そして頭のてっぺんを意識します。
頭のてっぺんにぽっかりと穴があき、息を吸うとそこからエネルギーが入り、吐くときは両足先から入ってきて頭のてっぺんから抜けていくようなイメージをしてみます。
規則的な生活と神経も身体も緩ませ、メンテナンスしてあげる意識が、睡眠の質改善につながります。ぜひ実践してみてください。