カーボンナノチューブ使った熱電変換を社会利用へ 株式会社東海理化と共同開発
[24/08/28]
提供元:共同通信PRワイヤー
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1. 概要
熱電変換とは、温度差から電力を取り出す技術です。社会のなかで放出される様々な排熱を、電力として再利用できれば、環境からエネルギーを取り出すことができ、省エネルギー社会の実現に大きく役に立ちます。ビスマスとテルライドなどからなる無機物を利用した熱電変換材料は、変換性能が良いことが知られていますが、様々な形状や場面で放出される比較的中低温領域の排熱を有効に利用する為には、無機物には無い柔軟性や伸縮性を有する熱電変換材料が求められています。カーボンナノチューブ1は柔軟性、伸縮性そして導電性に優れた材料であり、近年、その熱電変換の性質が注目されています。東京都立大学と株式会社東海理化(以下、「東海理化」という)は、カーボンナノチューブに化学的な処理を施すことで発電性能を向上させるための共同開発を進めており、この度、電気伝導率を高めた効率のよい熱電変換を実現しました。共同開発の成果である『カーボンナノチューブを用いた熱電発電技術』の内容は、東海理化が出展する9月4日(水)から9月6日(金)まで幕張メッセで開催される「第3回 ネプコン ジャパン[秋]」(エレクトロニクス開発・実装展)にて初めて公開します。
2. ポイント
・カーボンナノチューブ糸(ヤーン)に、P型、N型を化学的処理で自在に形成し、効率のよい熱電変換を実現
・柔軟性や伸縮性に優れた熱電変換が可能
・高品質かつ高配向なカーボンナノチューブを用いて実用性を高める
3. リリースの詳細
私たちの社会では、生産設備から直接廃棄される熱、排ガス処理装置から廃棄される熱、冷却機器から廃棄される熱等、多くの未利用の熱エネルギーがあります。この熱エネルギーを電気エネルギーとして活用することができれば、地球温暖化や、化石燃料の枯渇といった社会問題を解決する助けの一つとなります。未利用熱の多くは、比較的温度の低い排熱(100度〜200度)であり(参考文献1)、様々な形状・場面で放出される排熱を高効率に電気エネルギーに変換する為には、既存の無機材料ではなく柔軟性や伸縮性に優れた材料での熱電変換が必要となっています。
東京都立大学大学院理学研究科 物理学専攻 柳 和宏教授らの研究グループは、これまでカーボンナノチューブにおける熱電変換の起源の研究(JST-CREST “フレキシブルマテリアルナノ界面熱動態の解明と制御”プロジェクト(5.特記事項参照))を進め、高性能化の道筋を示し、高配向のカーボンナノチューブヤーン(ファイバー)において、極めて高い熱電出力因子を示すことを報告してきました(2021年8月17日プレスリリース「ナノチューブのファイバーで温度差から非常に大きな電力を取り出すことを実現」
https://www.tmu.ac.jp/news/topics/31213.html)。東海理化は持続可能な社会へ貢献するための技術開発の観点から、カーボンナノチューブを用いた熱電変換に着目し、柳教授との共同研究を2022年より進めてきました。高効率な熱電変換には、温度差から正の電圧を発生するP型のナノチューブと、温度差から負の電圧を発生するN型のナノチューブを用意する必要があります。高配向・高電気伝導2のナノチューブヤーンでは、N型のナノチューブヤーンを作製することが困難でしたが、共同研究を通して、化学的処理を施すことでN型のナノチューブヤーンを実現しました(図1)。P型およびN型のナノチューブヤーンを、ファイバー上のあらゆる位置に自在に作製することが可能となり、実用性の高いナノチューブヤーン熱電変換素子の開発の道筋を立てました。その共同開発の成果、『カーボンナノチューブを用いた熱電発電技術』の内容を、東海理化が出展する9月4日(水)から9月6日(金)まで幕張メッセで開催される「第3回 ネプコン ジャパン[秋]」(エレクトロニクス開発・実装展)にて初めて公開します。
フレキシブル性と伸縮性を兼ね備えたカーボンナノチューブヤーンを用いた熱電変換は、排熱利用だけでなく防災など、様々な用途に活用されていくと考えられます。今後も地球温暖化問題の解決に繋がる研究開発を進めていきます(図1)。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202408265377-O1-7xlK5kDB】
図1;共同開発の成果と社会利用イメージ
4. 補足説明
[1]カーボンナノチューブ
グラフェンシートを巻いた直径が1nm程のチューブ構造を持つカーボンからなるナノ物質
[2]高配向・高電気伝導
ナノチューブが一方向に並ぶことを配向とよび、ほぼ全てのナノチューブが同一方向を向いて並んでいる高配向な試料では、向きが乱れている試料と比較して、飛躍的に電気伝導性が高くなる。
参考文献:
1.産業分野の排熱実態調査報告書、未利用熱エネルギー革新的活用技術組合(NEDO)(2019年)
5. 特記事項
本プロジェクトは、科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業 (JST-CREST)として行われました。
プロジェクト名:“フレキシブルマテリアルナノ界面熱動態の解明と制御”
研究代表:柳和宏(東京都立大学、理学研究科物理学専攻)
期間:2017年度〜2023年度
※本件は、株式会社東海理化が同時にプレスリリースをしています。
熱電変換とは、温度差から電力を取り出す技術です。社会のなかで放出される様々な排熱を、電力として再利用できれば、環境からエネルギーを取り出すことができ、省エネルギー社会の実現に大きく役に立ちます。ビスマスとテルライドなどからなる無機物を利用した熱電変換材料は、変換性能が良いことが知られていますが、様々な形状や場面で放出される比較的中低温領域の排熱を有効に利用する為には、無機物には無い柔軟性や伸縮性を有する熱電変換材料が求められています。カーボンナノチューブ1は柔軟性、伸縮性そして導電性に優れた材料であり、近年、その熱電変換の性質が注目されています。東京都立大学と株式会社東海理化(以下、「東海理化」という)は、カーボンナノチューブに化学的な処理を施すことで発電性能を向上させるための共同開発を進めており、この度、電気伝導率を高めた効率のよい熱電変換を実現しました。共同開発の成果である『カーボンナノチューブを用いた熱電発電技術』の内容は、東海理化が出展する9月4日(水)から9月6日(金)まで幕張メッセで開催される「第3回 ネプコン ジャパン[秋]」(エレクトロニクス開発・実装展)にて初めて公開します。
2. ポイント
・カーボンナノチューブ糸(ヤーン)に、P型、N型を化学的処理で自在に形成し、効率のよい熱電変換を実現
・柔軟性や伸縮性に優れた熱電変換が可能
・高品質かつ高配向なカーボンナノチューブを用いて実用性を高める
3. リリースの詳細
私たちの社会では、生産設備から直接廃棄される熱、排ガス処理装置から廃棄される熱、冷却機器から廃棄される熱等、多くの未利用の熱エネルギーがあります。この熱エネルギーを電気エネルギーとして活用することができれば、地球温暖化や、化石燃料の枯渇といった社会問題を解決する助けの一つとなります。未利用熱の多くは、比較的温度の低い排熱(100度〜200度)であり(参考文献1)、様々な形状・場面で放出される排熱を高効率に電気エネルギーに変換する為には、既存の無機材料ではなく柔軟性や伸縮性に優れた材料での熱電変換が必要となっています。
東京都立大学大学院理学研究科 物理学専攻 柳 和宏教授らの研究グループは、これまでカーボンナノチューブにおける熱電変換の起源の研究(JST-CREST “フレキシブルマテリアルナノ界面熱動態の解明と制御”プロジェクト(5.特記事項参照))を進め、高性能化の道筋を示し、高配向のカーボンナノチューブヤーン(ファイバー)において、極めて高い熱電出力因子を示すことを報告してきました(2021年8月17日プレスリリース「ナノチューブのファイバーで温度差から非常に大きな電力を取り出すことを実現」
https://www.tmu.ac.jp/news/topics/31213.html)。東海理化は持続可能な社会へ貢献するための技術開発の観点から、カーボンナノチューブを用いた熱電変換に着目し、柳教授との共同研究を2022年より進めてきました。高効率な熱電変換には、温度差から正の電圧を発生するP型のナノチューブと、温度差から負の電圧を発生するN型のナノチューブを用意する必要があります。高配向・高電気伝導2のナノチューブヤーンでは、N型のナノチューブヤーンを作製することが困難でしたが、共同研究を通して、化学的処理を施すことでN型のナノチューブヤーンを実現しました(図1)。P型およびN型のナノチューブヤーンを、ファイバー上のあらゆる位置に自在に作製することが可能となり、実用性の高いナノチューブヤーン熱電変換素子の開発の道筋を立てました。その共同開発の成果、『カーボンナノチューブを用いた熱電発電技術』の内容を、東海理化が出展する9月4日(水)から9月6日(金)まで幕張メッセで開催される「第3回 ネプコン ジャパン[秋]」(エレクトロニクス開発・実装展)にて初めて公開します。
フレキシブル性と伸縮性を兼ね備えたカーボンナノチューブヤーンを用いた熱電変換は、排熱利用だけでなく防災など、様々な用途に活用されていくと考えられます。今後も地球温暖化問題の解決に繋がる研究開発を進めていきます(図1)。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202408265377-O1-7xlK5kDB】
図1;共同開発の成果と社会利用イメージ
4. 補足説明
[1]カーボンナノチューブ
グラフェンシートを巻いた直径が1nm程のチューブ構造を持つカーボンからなるナノ物質
[2]高配向・高電気伝導
ナノチューブが一方向に並ぶことを配向とよび、ほぼ全てのナノチューブが同一方向を向いて並んでいる高配向な試料では、向きが乱れている試料と比較して、飛躍的に電気伝導性が高くなる。
参考文献:
1.産業分野の排熱実態調査報告書、未利用熱エネルギー革新的活用技術組合(NEDO)(2019年)
5. 特記事項
本プロジェクトは、科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業 (JST-CREST)として行われました。
プロジェクト名:“フレキシブルマテリアルナノ界面熱動態の解明と制御”
研究代表:柳和宏(東京都立大学、理学研究科物理学専攻)
期間:2017年度〜2023年度
※本件は、株式会社東海理化が同時にプレスリリースをしています。