「医学生向けキャリアセミナー」開催レポート
[22/08/27]
提供元:PRTIMES
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医療現場の第一線で活躍する当財団奨学生OGから聞く医師の仕事
小児医学・医療・保健の発展を支援する公益財団法人川野小児医学奨学財団(所在地:埼玉県川越市、理事長:川野幸夫/株式会社ヤオコー代表取締役会長)は、2022年7月25日に当財団の奨学生を対象に「奨学生OG吉田有里先生による医学生向けキャリアセミナー」を開催しました。その内容をご報告いたします。
奨学金事業について
当財団では、小児医学の永続的な発展のためには人材の育成・輩出が重要であるという考えから、1990年に小児医学を志す医学生への奨学金事業を開始しました。現在は埼玉県内または千葉県内の高校を卒業し、小児科医や小児医学研究者を目指す医学生を対象として、月額6万円を給付しています。2022年度までで当財団の奨学生は97名となり、卒業生の多くが第一線で医師として活躍をしています。
セミナー開催の背景
[画像1: https://prtimes.jp/i/104845/6/resize/d104845-6-90bc332473100449244f-1.jpg ]
当財団は、奨学生がこれからの医学界を担う原石であると確信しています。そのような彼らが激変する社会の中で、医師として、そして人としてどのような人生を歩んでいくのかを自ら考えることは非常に重要であると感じています。キャリアを考えるうえで様々な先輩医師から声を聞くことは大変有意義ですが、卒業に向け日々学業や研修に集中する彼らにとって、そのような機会が限られることも事実です。そこで、当財団が奨学金事業を通じて得た先輩医師とのつながりを奨学生に還元したいと思い、奨学金事業の一環として本セミナーを行うことを決めました。今回オンライン形式で開催し、奨学生9名が参加しました。当財団はこれからも、奨学生が素晴らしい人財に成長できるよう、奨学金給付という経済的な支援に加え、様々なプログラムを提供していく予定です。
セミナー実施内容
●タイトル 奨学生OG 吉田有里先生 による 医学生向けキャリアセミナー
●講師プロフィール
[画像2: https://prtimes.jp/i/104845/6/resize/d104845-6-47dec747328e1e937596-3.jpg ]
吉田有里 先生
旭川医科大学 救急医学講座 助教
博士(医学)、日本外科学会 外科専門医、
日本心臓血管外科学会 心臓血管外科専門医。
現在は、旭川医科大学病院心臓外科・血管外科、
旭川医科大学病院救命救急センター、道北ドクターヘリフライトドクター
を兼務。
<講演内容(抜粋)>
■「何科に行こうか?」ではなく、「10年後、どんな医師になりたいですか?」ー卒業してからの歩みー
「10年後、どんな医師になりたいですか?」という一言が、私の進路の分け目のキーワードでした。
ある先生の話を聞いたときに「10年後どんな医者になりたいの?何科にいくかなんてほんとに小さな問題で、大事なのはその先」と言われ、目からうろこが落ちました。
「大学がいい」、「市中病院がいい」などいろいろな考え方がありますが、どちらにもメリットデメリットはあります。どちらでも結局は「自ら腐るか腐らないか」な気がします。いくら良い環境にいても、自ら腐ったら何も得ることができません。どんなところでも、場所は前提条件であって、結局のところどれだけ楽しく学んで上を見られるかは、自分次第です。
■ 想定できる範囲の事なんて起こらないー医師として今思うことー
臨床業務、特に救急領域や心臓血管外科という緊急疾患を扱う領域では、急転直下の驚きの事態に遭遇することが多々あります。例えばヘリで現場に向かった時、聞いていた状況と全く違い、患者さんのバイタルが崩れていたことや、大出血していたことなど、いろいろなことが起こります。ありとあらゆるシーンを想定したうえで、「想定できる程度の事なんて起こらない」と思っておけば、想定外のことがあっても、冷静にいられます。
■ なるようになる!おのずと道は拓けるー人生の決断における心構えについてアドバイスー
心臓血管外科医としての修練を行っていた期間は、厳しく、辛いこともたくさんありました。しかし今は、その経験があったからこそ今の私がいて、苦しかった日々が土台になっていることを実感できています。その時は先の事なんて考えられなかったけれど、なんとか道が拓けていった気がします。前例やロールモデルがなくても、自分がやりたいと思うことをやってみるといいと思います。その時は先が見えなくとも、道はつながっていたな、と思える日が必ずくると感じています。
■ 迷ったらやってみる(あえて厳しい方を選ぶ)ーキャリアを選択する際に大切にしていることー
やろうかな、やめておこうかなと迷う瞬間があるときは、「やる」方を選ぶことにしています。また、厳しい方と楽な方で迷ったら、厳しい方を選んでみるようにしています。
心配なことも多いと思いますが、必要以上に心配がらずに、楽しんでやっていくと道は拓けると信じています。
<参加者からの質問に回答(一部)>
「先生自身が学生の頃に想像していた“研修医・医師”の姿について、今感じているものとのギャップはありますか?」
■ どこでも専門診療は必要とされている
「Dr.コトー診療所」というドラマをみて、地域で働く医療職、ジェネラリストに憧れ、無医村で働きたいと思っていました。しかし、現在私は心臓血管外科・救急という専門診療を行っています。
スペシャリティ、サブスペシャルティを持つ時に、自分の夢や理想の姿と違うのではないかと葛藤を感じていました。ただ、働いてみると、地域の患者さんも専門医療を求めていますし、地域に根ざした医療をされている先生方も専門医の意見を求めている、ということを今痛感しています。
■ 医師は転勤族だとはじめて知った
転勤が多いことを、私は全く知りませんでした。ずっと同じ場所にいると思っていましたが、私の場合働いてみると、北海道の散在する地域の医療体制を維持していくため、診療応援にいくことも多々あります。また、自分自身のスキルアップのために、さまざまな病院に行きます。そこで出会ういろいろな患者さんや手術、疾患が修練になっています。
<講師からのメッセージ>
今回のセミナーを通して、私自身も改めて自分自身について振り返ることができ、これまでのあゆみは間違っていなかったんだと思うことができました。奨学生の皆さんにとって、何かひとつでも感じたり考えたりするきっかけになってもらえたら嬉しいです。
イベント終了後アンケート結果(抜粋)
※出席者9人中7人が回答
Q1. 本日のセミナーの満足度を教えてください。
満足 5名(71%)/やや満足 2名(29%)/普通 0名/やや不満 0名/不満 0名 計7名(100%)
Q2. Q1のように回答した理由を教えてください。
・キャリアパスなどを聞く機会は学内でもありますが、他大学の方のお話を伺う機会はこれまで無かったので新鮮でした。
・実際に現場に出ていないとわからない、感じえないことをセミナーという形で聞くことができたのは、普段学生生活を送っているうえではなく、大変貴重な機会になりました。
・コロナ禍もあり上級生からの情報がなかなか入らない中、学生時代や将来にやっておいた方が良いことを聞けたことは将来を考えるうえで大変参考になりました。
Q3. 最も興味を持った内容を教えてください。
・どんな時もいつも通りにするというのがコミュニケーションをとるうえで大事だと感じ、心がけたいなと思いました。
・医師視点で学生時代にやっていればよかったことを聞く機会は今までなかったため、大変参考になりました。人とコミュニケーションをとるということを意識して今後の学生生活を送っていきたいです。
・誰かのために尽くすためには自分自身の健康をまず大切にすることが大事というお話。
Q4. ご自身の今後のキャリアの参考になったことがあれば教えてください。
・働き方や進路に関しては思わぬところで分岐点があるのかなと思いました。来年から初期研修が始まりますが、どんな科でも興味をもって積極的に医療に参加していきたいと思いました。
・迷ったら困難な道を進めという言葉が強く心に響いた。
財団概要
財団名: 公益財団法人川野小児医学奨学財団
所在地: 〒350-1124 埼玉県川越市新宿町1-10-1
理事長: 川野 幸夫(株式会社ヤオコー 代表取締役会長)
事務局長: 川野 紘子
設立: 1989年12月25日
行政庁: 内閣府
URL: https://kawanozaidan.or.jp/
TEL: 049-247-1717
Mail: info@kawanozaidan.or.jp
事業内容: 研究助成/奨学金給付/小児医学川野賞/医学会助成
小児医療施設支援/ドクターによる出前セミナー
小児医学・医療・保健の発展を支援する公益財団法人川野小児医学奨学財団(所在地:埼玉県川越市、理事長:川野幸夫/株式会社ヤオコー代表取締役会長)は、2022年7月25日に当財団の奨学生を対象に「奨学生OG吉田有里先生による医学生向けキャリアセミナー」を開催しました。その内容をご報告いたします。
奨学金事業について
当財団では、小児医学の永続的な発展のためには人材の育成・輩出が重要であるという考えから、1990年に小児医学を志す医学生への奨学金事業を開始しました。現在は埼玉県内または千葉県内の高校を卒業し、小児科医や小児医学研究者を目指す医学生を対象として、月額6万円を給付しています。2022年度までで当財団の奨学生は97名となり、卒業生の多くが第一線で医師として活躍をしています。
セミナー開催の背景
[画像1: https://prtimes.jp/i/104845/6/resize/d104845-6-90bc332473100449244f-1.jpg ]
当財団は、奨学生がこれからの医学界を担う原石であると確信しています。そのような彼らが激変する社会の中で、医師として、そして人としてどのような人生を歩んでいくのかを自ら考えることは非常に重要であると感じています。キャリアを考えるうえで様々な先輩医師から声を聞くことは大変有意義ですが、卒業に向け日々学業や研修に集中する彼らにとって、そのような機会が限られることも事実です。そこで、当財団が奨学金事業を通じて得た先輩医師とのつながりを奨学生に還元したいと思い、奨学金事業の一環として本セミナーを行うことを決めました。今回オンライン形式で開催し、奨学生9名が参加しました。当財団はこれからも、奨学生が素晴らしい人財に成長できるよう、奨学金給付という経済的な支援に加え、様々なプログラムを提供していく予定です。
セミナー実施内容
●タイトル 奨学生OG 吉田有里先生 による 医学生向けキャリアセミナー
●講師プロフィール
[画像2: https://prtimes.jp/i/104845/6/resize/d104845-6-47dec747328e1e937596-3.jpg ]
吉田有里 先生
旭川医科大学 救急医学講座 助教
博士(医学)、日本外科学会 外科専門医、
日本心臓血管外科学会 心臓血管外科専門医。
現在は、旭川医科大学病院心臓外科・血管外科、
旭川医科大学病院救命救急センター、道北ドクターヘリフライトドクター
を兼務。
<講演内容(抜粋)>
■「何科に行こうか?」ではなく、「10年後、どんな医師になりたいですか?」ー卒業してからの歩みー
「10年後、どんな医師になりたいですか?」という一言が、私の進路の分け目のキーワードでした。
ある先生の話を聞いたときに「10年後どんな医者になりたいの?何科にいくかなんてほんとに小さな問題で、大事なのはその先」と言われ、目からうろこが落ちました。
「大学がいい」、「市中病院がいい」などいろいろな考え方がありますが、どちらにもメリットデメリットはあります。どちらでも結局は「自ら腐るか腐らないか」な気がします。いくら良い環境にいても、自ら腐ったら何も得ることができません。どんなところでも、場所は前提条件であって、結局のところどれだけ楽しく学んで上を見られるかは、自分次第です。
■ 想定できる範囲の事なんて起こらないー医師として今思うことー
臨床業務、特に救急領域や心臓血管外科という緊急疾患を扱う領域では、急転直下の驚きの事態に遭遇することが多々あります。例えばヘリで現場に向かった時、聞いていた状況と全く違い、患者さんのバイタルが崩れていたことや、大出血していたことなど、いろいろなことが起こります。ありとあらゆるシーンを想定したうえで、「想定できる程度の事なんて起こらない」と思っておけば、想定外のことがあっても、冷静にいられます。
■ なるようになる!おのずと道は拓けるー人生の決断における心構えについてアドバイスー
心臓血管外科医としての修練を行っていた期間は、厳しく、辛いこともたくさんありました。しかし今は、その経験があったからこそ今の私がいて、苦しかった日々が土台になっていることを実感できています。その時は先の事なんて考えられなかったけれど、なんとか道が拓けていった気がします。前例やロールモデルがなくても、自分がやりたいと思うことをやってみるといいと思います。その時は先が見えなくとも、道はつながっていたな、と思える日が必ずくると感じています。
■ 迷ったらやってみる(あえて厳しい方を選ぶ)ーキャリアを選択する際に大切にしていることー
やろうかな、やめておこうかなと迷う瞬間があるときは、「やる」方を選ぶことにしています。また、厳しい方と楽な方で迷ったら、厳しい方を選んでみるようにしています。
心配なことも多いと思いますが、必要以上に心配がらずに、楽しんでやっていくと道は拓けると信じています。
<参加者からの質問に回答(一部)>
「先生自身が学生の頃に想像していた“研修医・医師”の姿について、今感じているものとのギャップはありますか?」
■ どこでも専門診療は必要とされている
「Dr.コトー診療所」というドラマをみて、地域で働く医療職、ジェネラリストに憧れ、無医村で働きたいと思っていました。しかし、現在私は心臓血管外科・救急という専門診療を行っています。
スペシャリティ、サブスペシャルティを持つ時に、自分の夢や理想の姿と違うのではないかと葛藤を感じていました。ただ、働いてみると、地域の患者さんも専門医療を求めていますし、地域に根ざした医療をされている先生方も専門医の意見を求めている、ということを今痛感しています。
■ 医師は転勤族だとはじめて知った
転勤が多いことを、私は全く知りませんでした。ずっと同じ場所にいると思っていましたが、私の場合働いてみると、北海道の散在する地域の医療体制を維持していくため、診療応援にいくことも多々あります。また、自分自身のスキルアップのために、さまざまな病院に行きます。そこで出会ういろいろな患者さんや手術、疾患が修練になっています。
<講師からのメッセージ>
今回のセミナーを通して、私自身も改めて自分自身について振り返ることができ、これまでのあゆみは間違っていなかったんだと思うことができました。奨学生の皆さんにとって、何かひとつでも感じたり考えたりするきっかけになってもらえたら嬉しいです。
イベント終了後アンケート結果(抜粋)
※出席者9人中7人が回答
Q1. 本日のセミナーの満足度を教えてください。
満足 5名(71%)/やや満足 2名(29%)/普通 0名/やや不満 0名/不満 0名 計7名(100%)
Q2. Q1のように回答した理由を教えてください。
・キャリアパスなどを聞く機会は学内でもありますが、他大学の方のお話を伺う機会はこれまで無かったので新鮮でした。
・実際に現場に出ていないとわからない、感じえないことをセミナーという形で聞くことができたのは、普段学生生活を送っているうえではなく、大変貴重な機会になりました。
・コロナ禍もあり上級生からの情報がなかなか入らない中、学生時代や将来にやっておいた方が良いことを聞けたことは将来を考えるうえで大変参考になりました。
Q3. 最も興味を持った内容を教えてください。
・どんな時もいつも通りにするというのがコミュニケーションをとるうえで大事だと感じ、心がけたいなと思いました。
・医師視点で学生時代にやっていればよかったことを聞く機会は今までなかったため、大変参考になりました。人とコミュニケーションをとるということを意識して今後の学生生活を送っていきたいです。
・誰かのために尽くすためには自分自身の健康をまず大切にすることが大事というお話。
Q4. ご自身の今後のキャリアの参考になったことがあれば教えてください。
・働き方や進路に関しては思わぬところで分岐点があるのかなと思いました。来年から初期研修が始まりますが、どんな科でも興味をもって積極的に医療に参加していきたいと思いました。
・迷ったら困難な道を進めという言葉が強く心に響いた。
財団概要
財団名: 公益財団法人川野小児医学奨学財団
所在地: 〒350-1124 埼玉県川越市新宿町1-10-1
理事長: 川野 幸夫(株式会社ヤオコー 代表取締役会長)
事務局長: 川野 紘子
設立: 1989年12月25日
行政庁: 内閣府
URL: https://kawanozaidan.or.jp/
TEL: 049-247-1717
Mail: info@kawanozaidan.or.jp
事業内容: 研究助成/奨学金給付/小児医学川野賞/医学会助成
小児医療施設支援/ドクターによる出前セミナー