医師へ緊急アンケートを実施。『新型コロナウイルス感染拡大。かかりつけ医・クリニックが患者さんに求めることとは?』―来院前に事前連絡とマスク着用など感染予防の徹底をお願いー
[20/02/26]
提供元:PRTIMES
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医師人材総合サービスを提供する株式会社エムステージ(東京都品川区、代表取締役:杉田雄二)は、2月17日に厚生労働省が新型コロナウイルスに関する医療機関への受診目安を発表したことを受け、「Dr.なび(医師向け転職・アルバイト求人サイト)」登録の医師向けに、アンケート調査『新型コロナウイルス感染拡大。かかりつけ医・クリニックが患者さんに求めることとは?』を実施しました。調査結果によると、新型コロナウイルス感染、新型肺炎罹患が疑われる患者さんは帰国者・接触者相談センターへ電話相談をすることが前提の上、かかりつけ診療所や病院への来院前には、事前に電話し症状の経過などを相談すること、来院時にはマスクを着用し感染予防をすることなどが求められています。
■結果概要とポイント
・帰国者・接触者相談センターに相談をすることは前提ではあるが、医療機関に受診をする際は来院前に事前に電話での連絡、症状の説明をしてほしいという回答が半数以上でした。
・新型コロナウイルスの感染、新型肺炎が疑われる場合は、患者さんだけでなく同居する家族なども症状の経過や直近の行動などをまとめておくことが求められています。
・ハイリスク患者(高齢者、持病(糖尿病、高血圧、心血管疾患)のある方)の場合は手洗い、うがい、マスクの着用などによる予防の徹底、不急な外出は控えること、服薬を怠らないこと、過度なストレスを感じないようにすることがアドバイスとしてあげられています。
・今後の懸念点は、ウイルスが潜伏期間中で無症状の患者さんが来院され、待合室などで他の患者さんや、医療従事者へ感染が広まってしまうこと、電話連絡や問い合わせなどの増加により窓口業務が増えてしまうことや、医療機関の混雑により定期外来受診、一般外来受診の患者さんの待ち時間が増えてしまうことなどが考えられます。
※本アンケート結果は200床以上の病院勤務医の回答数22件を除いた、199床以下の病院・診療所で働く医師からの回答(61件)をまとめています。
■アンケート項目(すべて自由記述)
1.新型肺炎が疑われる患者さんに来院前にやってほしいことは何でしょうか?
2.逆にやってほしくないことは何でしょうか?
3.新型肺炎が疑われる患者さんのご家族へお願いしたいことは何でしょうか?
4.新型コロナウイルス感染拡大が予想される中、高齢者、持病(糖尿病、高血圧、心血管疾患)をお持ちの患者さんに特に気を付けてほしいことをかかりつけ医の立場からご教示ください
5.今後、貴病院・貴診療所であらたに対応を予定していることはございますか?
6.今後の懸念点など教えてください。
7.その他、現時点で困ったことはありますか?
■アンケート結果
<1>新型肺炎が疑われる患者さんに来院前にやってほしいことは何でしょうか?
⇒(帰国者・接触者相談センターへの事前相談は前提の上で)来院予定の医療機関へ電話での事前連絡が58%、熱の推移など症状の経過や中国への渡航歴や新型肺炎・新型コロナウイルス感染者との接触の有無など状況をまとめておくことが26%でした。医療機関受診の前に、自身(または家族)の症状や状況をまとめておき、事前に電話での相談が求められています。
[画像1: https://prtimes.jp/i/19504/56/resize/d19504-56-457362-4.png ]
▼コメント抜粋
“熱型をしっかり記録し、症状経過を正確に伝えてほしい。来院前の連絡もマストです。”(総合診療科)
“電話連絡してもらいたい、高齢者や子供は経過のわかる付き添いの人がついてきてほしい。”(内科)
“事前に電話してから受診予約をとって欲しい。”(神経内科)
“海外渡航歴、接触歴、濃厚接触者の症状をまとめること。”(内科)
“症状の経過をまとめる。渡航歴や周囲の感染情報の把握。事前連絡での受診相談。”(総合診療科)
“事前に電話してから来院してもらう。病院前まで来たら外から電話してもらう。”(内科)
“マスクなど厳重に感染予防をする、事前に病院に電話で相談をする”(整形外科)
“マスク着用、日中ならまずは保健所への電話後に受診、接触歴の確認、受診前に受診予定の医療機関へ受診の旨を電話連絡する”(心臓血管外科)
“症状の経過や、家族で同症状の有無の確認。”(皮膚科)
“発熱時期や症状の経過、周りの感染者などをまとめてもらう。”(麻酔科)
“新型肺炎の検査ができる医療機関は限られることを理解してもらう”(精神科)
<2>逆にやってほしくないことは何でしょうか?
⇒連絡なしの突然の来院が50%、情報を開示しない(嘘をつく)が14%で、質問1と同様に、症状の経過などをまとめておき、事前に電話などで相談後の来院を求められていることがわかります。また症状や所見がないにも関わらず検査を求めることや、たとえ症状があっても検査ができる医療機関が限られていることを理解してほしいというコメントもありました。
[画像2: https://prtimes.jp/i/19504/56/resize/d19504-56-387804-5.png ]
▼コメント抜粋
“相談センターへ電話相談もせず、当院にも事前に連絡もせずいきなり受付へ現れる事だけはしないでもらいたい。”(耳鼻咽喉科)
“夜間受診や、相談窓口へ相談なくの予約外受診。”(腎臓内科)
“(事前に連絡がなく)診察室でいきなり申告してくること。”(整形外科)
“連絡なし、マスク着用なしでの来院。”(腎臓内科)
“マスクなしで来院。対応困難なクリニックなどを受診すること。”(循環器内科)
“連絡なしで受診して、窓口で症状を話し始める。”(精神科)
“必要な情報を提示しない、突然来院すること。”(漢方)
“症状・所見がないのに検査のみ希望する。”(内科)
“飛び込み受診で検査を要望されること。”(総合診療内科)
“該当しない症状での検査の希望。”(内科)
“病歴を隠して受診すること”(神経内科)
“真実を偽って話すこと”(外科)
“解熱剤で無理に熱を下げること”(内科)
<3>新型肺炎が疑われる患者さんのご家族へお願いしたいことは何でしょうか?
⇒外出を控えて、同居でもできる限り接触を避けるといったコメントが多くありました。衣服や身に着けるものを分けること、自身も検温するなど健康状態に気を付けることが必要です。
▼コメント抜粋
“可能な限り外出しない、家庭内での感染症予防対策。”(内科)
“テレワーク推奨、自宅待機推奨、食事時間を家族とずらし共有を避けること。”(総合内科)
“症状が無くても外出を控えて様子を見る。”(消化器内科)
“自宅で安静にし、熱型表の記入。”(内科)
“外出を控えて、症状が出現したときは速やかに医療機関へ連絡をしてほしい。”(内科)
“家族も外出を控え、手洗い・うがいを徹底する。”(腎臓内科)
“とにかくマスク。家庭内でもなるべく接触しない。”(循環器内科)
“なるべくタオルや身に着けるものは分ける。”(皮膚科)
“自身の健康状態をこまめにチェックし、保健所などに家族が発症した旨を伝え、(必要であれば)積極的に検査を受ける”(整形外科)
<4>新型コロナウイルス感染拡大が予想される中、高齢者、持病(糖尿病、高血圧、心血管疾患)をお持ちの患者さんに特に気を付けてほしいことを、かかりつけ医の立場からご教示ください。
⇒手洗いうがい、マスク着用といった感染予防の徹底に加え、処方薬を飲み忘れのないように確実に服薬することや、不安になりすぎずストレスをためないことなどがありました。また全身症状の悪化などがみられた場合は早めに主治医に相談してほしいというコメントもありました。
▼コメント抜粋
“処方された薬は確実に服用する、基礎疾患の悪化症状があればすぐに受診する。”(内科)
“体調が悪い時には安静を心がけてください。”(耳鼻咽喉科)
“しっかり睡眠をとる、むやみやたらに出歩かない。”(内科)
“常備薬を飲み忘れない。”(皮膚科)
“不安障害を引き起こし得る情報の出方であるが、基本的な睡眠、食事、排泄などをしっかりと。過度に緊張状態になりすぎないように。”(漢方)
“喫煙や飲酒をやめること。基礎疾患のコントロールをよくする。免疫をあげるためゆっくり休み、ストレスをためない。”(内科)
“手洗いうがいなどの予防措置の励行と、免疫力の低下を引き起こす過労などのストレスを避ける。”(消化器内科)
“人混みを避ける、今まで以上に標準予防策の徹底。”(腎臓内科)
“よく寝ること、不要不急の外出をしない。”(神経内科)
“手洗い・うがいの徹底。体調不良時は主治医に早めの相談。”(腎臓内科)
“呼吸器症状など全身状態悪化あれば早めの受診。”(内科)
<5>今後、貴病院・貴診療所であらたに対応を予定していることはございますか?
⇒手洗い、うがいなど感染予防の徹底を基に、職場関連イベントの中止やイベントへの参加を控えるよう呼びかけや、投薬日数を伸ばすことで来院患者同士の感染を防ぐなどの対応がみられました。
▼コメント抜粋
“スタンダードプリコーション※の徹底。”(内科)※標準予防策
“来院患者の肺炎様症状の有無の確認。” (皮膚科)
“ドアノブの頻繁な消毒。”(神経内科)
“歓送迎会禁止、人が集まるイベントすべて中止。”(循環器内科)
“発熱のある方は、別の部屋へ案内する。”(消化器内科)
“これまで以上に手洗いうがい、マスク着用の徹底に加えて、家族の訪問や外来透析患者への教育。”(腎臓内科)
“来院後全員すぐに手洗いまたはアルコール消毒を徹底する。アルコール消毒はスタッフがポンプスプレー操作を補助して実施する。”(消化器内科)
“職員の集まりや集まりへの参加は禁止ではないまでも、なるべく控えるように言われている。”(整形外科)
“ホームページやパンフレットでの注意喚起、アルコール消毒設置の強化。”(救急、外科、心臓血管外科)
“外来患者さんの投薬を当院は原則30日にしていましたが原則60日に伸ばしました。”(整形外科)
“MRの立ち入りを制限。”(精神科)
<6>今後の懸念点など教えてください。
⇒ウイルスの潜伏期間で無症状の患者さんが来院されることで、院内で医療従事者や他の患者さんに感染してしまうことや、電話相談など窓口業務の増加、それに伴う混雑や、そもそもの患者数増加による患者さんの待ち時間の増加などが考えられます。医療従事者へ感染が広がると、病院機能がまわらなくなる可能性も指摘されています。
▼コメント抜粋
“無症状の保因者の外来受診、一般の風邪との鑑別。”(内科)
“潜伏期間にある患者がそうとは知らず来院して感染を広げてしまう事。”(耳鼻咽喉科)
“受診目安より軽症での来院により、他の受診者へ移してしまうことが懸念されます。”(内科)
“病院でコロナウイルスの飛散蔓延の可能性。”(皮膚科)
“診察室で相談が増えるため患者の待ち時間が長くなる。不安なら感染の疑いのある人との接触時間を長くしないために、相談窓口に連絡してほしい。”(内科)
“問い合わせ増加による窓口業務の増加や混雑。”(内科)
“医療者への感染で外来中止など病院機能が停止への懸念。”(腎臓内科)
“微熱と咳は多いもの。区別がつかないしすべて相談センター後に検査では処理しきれないのでは。”(内科)
“受診を制限せざるを得なくなる可能性。”(精神科)
“感染拡大による不安・軽症受診の増大。”(内科)
<7>その他、現時点で困ったことはありますか?
⇒マスクや消毒液の不足は現時点(2020年2月18〜21日)でもみられ、困っている医療機関は少なくありません。マスクの1日使用量を制限される医療機関もあります(※エムステージが実施した「新型コロナウイルスによるマスク不足など医療機関での影響に関して」より)。また検査が手軽にできないこと、検査ができる医療機関が限られていることを知らずに受診される患者さんがいるなど、対応に困ることがあるようです。
▼コメント抜粋
“マスク、手指消毒剤が入手できない。”(内科)
“マスク不足。”(皮膚科)
“検査もできないし対処療法しかないのに検査しろと怒鳴られる。”(内科)
“(通常の)患者さんが多すぎて対応困難。”(精神科)
“院内で隔離するスペースが無いので、他の患者さんへの感染拡大が心配。”(消化器内科)
“現時点では手軽に検査できないこと。”(総合診療内科)
“検査を希望し来院されても検査できる施設が限られていることをご存じない。”(内科)
“定期外来受診の患者が受診を拒否している(病院にコロナウイルス罹患患者が受診している可能性があると考えているらしい)。”(救急、外科、心臓血管外科)
” 新型コロナウイルス診断目的での受診。” (腎臓内科)
■考察
・新型コロナウイルスの感染拡大、新型肺炎罹患者の増加により、指定医療機関だけでなくかかりつけ診療所や病院でも、疑い患者さんの対応が必要になってくることが予想されます。
・帰国者・接触者相談センターへの電話相談が大前提ではあるものの、風邪やインフルエンザの罹患も疑われる中で医療機関にいかないという選択肢はなかなか選びにくく、医療機関に来院する場合は来院前に電話で症状の説明などをしっかりとし、医療機関でのパニックや感染拡大を防ぐことが重要です。
・無症状患者さんの来院などで感染拡大が懸念される中、現状では手洗い、うがい、マスクの着用、手指消毒、外出や人出の多い場所に行くことを控える、など各自の感染予防が大切となります。
■アンケート概要
「新型コロナウイルス感染拡大。かかりつけ医・クリニックが患者さんに求めることとは?」
集計期間:2020年2月18日(火)〜2月21日(金)
有効回答数:83名(調査まとめ:199床以下病院・診療所に務める医師61名)
対象:「Dr.なび」会員医師
方法:インターネット調査(会員医師へのメールマガジンにより回答フォームを送信)
※引用・転載時のお願い
本アンケート結果の引用・転載時には「株式会社エムステージ」と弊社クレジットを明記ください。
■「Dr.なび」について
「Dr.転職なび」:https://tenshoku.doctor-navi.jp/
「Dr.アルなび」:https://arbeit.doctor-navi.jp/
株式会社エムステージが運営する医師向け転職求人サイト、アルバイト求人サイトで、会員医師数は24,000人(2020年2月現在)。多様な働き方を推進し、医師の不足・過重労働などの課題解決を目指しています。日本全国の専任担当者が「医師が本当に欲しい情報」にこだわり、詳細な求人情報を収集。質の高い情報を提供することで医師の求職を支援します。
「Dr.アルなび」では、マイページ内で応募から勤務まで完結する独自システムを提供し年間3万件のマッチングが成立しています。
■エムステージについて
https://www.mstage-healthcare.jp/
「すべては持続可能な医療の未来をつくるために」をミッションに、医師のキャリア支援と医療機関向け採用支援、産業医を軸とした企業向け健康支援サービスを運営。企業向け健康支援サービスは、産業医の手配と業務支援を担う「産業医サポートサービス」をメインに利用事業所数800件を突破(2019年6月現在)。日本の働き方改革推進に貢献しています。
■エムステージグループについて
https://www.mstage-corp.jp/
2003年、株式会社メディカル・ステージ(現 株式会社エムステージ)を設立。医師の転職や定期・スポットアルバイトの求職を支援する「Dr.転職なび」「Dr.アルなび」で医師の柔軟な働き方を切り開き、医療機関の採用課題を解決してまいりました。2016年からは企業の産業保健活動を支援する「産業保健サポート」を開始。働く人の健康に寄与し、予防医療の観点から医療費の削減に貢献しています。2019年10月、ブランドリニューアルを行い、産業保健・医療人材・医療経営の3つの領域から医療課題の解決を図るエムステージグループとして再スタートを切りました。