ACT Japanでシンポジウム登壇とポスター発表を行いました
[23/04/26]
提供元:PRTIMES
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株式会社スタートライン (本社:東京都三鷹市、代表取締役:西村賢治)は、2023年3月18日、19 日に開催されたACT Japan 2022年度 年次ミーティングで、シンポジウムへの登壇及びポスター発表したことをご報告します。
シンポジウム登壇とポスター発表の概要
当社は、企業の障害者雇用支援を通じて障害者への職業生活におけるサポート、そして当社の運営する就労移行支援 るりはりでは一般就労を目指す障害者への職業訓練を提供しています。うつ病や双極性障害、パニック障害、強迫性障害などが起因して、対人関係や職業生活に支障をきたしている方をサポートするにあたり、第三世代の認知行動療法と呼ばれるACT(Acceptance and Commitment Therapy、以下、ACT)や応用行動分析学などの科学的根拠に基づいた理論を取り入れています。この度、ACT Japanにてその理論に基づいた障害者への支援事例を発表しました。
ACT Japanとは、文脈主義的な行動科学とその実践を促進するとともに、人間が抱える苦悩を軽減し、生活の質を向上することを目的とした団体です。ACBS(Association for Contextual Behavioral Science、以下ACBS)の日本支部として2010年に設置され、ACTに関する研究と実践に関わる情報と教育を提供しています。ACBSは2005年に設立され、毎年ワールドカンファレンスを開催し、多くのワークショップ、シンポジウムを通して人材の教育に貢献している学会です。ACTは医師が行う専門的療法としてだけではなく、一般的なストレス対処の技法として活用できるため、世界的に広がりをみせています。
当社は2015年からACT Japanの学会発表を行っており、今回初めて大会企画シンポジウムへの話題提供者の一人として登壇しました。シンポジウムでは、障害者支援の現場で、どのようにACTや応用行動分析学を取り入れた支援を行っているのか、具体的な支援事例を用いてご紹介しました。
また、ポスター発表では、Steven C. Hayes(アメリカの臨床心理学者) や Stefan G. Hofmann(ドイツの臨床心理士)らによって提唱されたPBT(Process-Based Therapy、以下、PBT)という、エビデンスに基づいた心理療法の新しいモデルを用いた、支援事例を発表しました。PBTは、星の数ほどある心理療法を整理し、目の前の個人にとって有効な心理療法を組み立てるための枠組みとして注目を集めています。現在、英語での解説書や学術論文が次々と発表されていますが、日本では解説論文が発表されているのみで、PBTの全容を知ることは容易ではありません。当社は、社内にCBSヒューマンサポート研究所という障害者支援に関する支援技術を研究・開発する専門機関を有しており、日本でもいち早く障害者支援の現場でPBTを用いた支援を実践し、その支援事例をポスター発表しました。
ACTJapan概要
【テーマ】
論より証拠!データと語ろうACTの実践と研究
【日程】
2023年3月18日(土)、3月19日(日)
【場所】
ハイブリット(対面/オンライン)
【当社社員によるシンポジウム登壇とポスター発表内容】
■大会企画シンポジウムへの登壇
テーマ :データと語ろうCBSの実践と研究:現場での実践研究の最前線
話題提供:酒井美枝(名古屋市立大学 大学院医学研究科 麻酔科学・集中治療医学分野 特任助教)、刎田文記(株式会社スタートライン)、大月 友(早稲田大学 人間科学学術院 人間科学部 准教授)
指定討論:三田村仰(立命館大学 総合心理学部 准教授)
■ポスター発表
1.職リハにおけるPBTをベースとした支援事例
『EEMMグリッドを活用したこころの整理』
発表者:株式会社スタートライン 豊崎 美樹、刎田 文記
2.PBTをベースとした支援事例
『EEMMグリットを活用した多面的なこころの整理』
発表者:株式会社スタートライン 高津 弘明、刎田 文記
上記2件はPBTにおけるEEMMグリッドという分析手法を用いた支援事例です。
EEMMグリッドとは、診断名では言い表せない、個人の問題の複雑な連鎖を捉えることができるというPBTの分析手法です。EEMMグリッドを活用することで障害者の思考の整理と、思考に関連付けられた身体症状を可視化することができ、支援者と障害者の間の情報共有をスムーズに行うことが可能となりました。ポスター発表した支援事例の結果から、EEMMグリッドを活用することで以下のような成果が得られました。
▼支援者にとって
・初期アセスメント時に表出しなかった障害者の過去の体験や、想いを新たに知れた
・行動の傾向を知ることで優先するアプローチとその介入のタイミングのイメージが持てた
・心身の状態が一覧化され、障害者を支援するソーシャルワーカー・企業担当者など各方面との共通認識が持ちやすくなった
▼障害者にとって
・自身の思考の癖を知り心身の状態が視覚化されることで、自己理解が進みやすい
・過去のネガティブな体験が現在にも影響を及ぼしていることを認識し、その対応策が打てた
・就労する上でご自身が目指す姿を再設定できた
EEMMグリッドを活用した支援を行ったことで、障害者が自身の問題行動に気付き、適切な行動を取るという行動変容が見られました。EEMMグリッドを用いた支援を行うことは、支援者のオリエンテーションに関わらず障害者の問題について同じようなネットワーク(図参照)が導き出されるとされており、支援の質にバラつきが生じづらく、効果的なアプローチの実現性が高まると考えられます。
[画像: https://prtimes.jp/i/31296/76/resize/d31296-76-25dc7de8af39955f9be7-0.jpg ]
3.知的・発達障害児における認知能力と適応行動の変化
-関係フレーム理論に基づいたPC訓練による介入-
発表者:CBSヒューマンサポート研究所 岩村 賢、香川 紘子、下山 佳奈、刎田 文記
刺激等価性理論及び関係フレーム理論に基づく訓練は、障害児・者が言語・認知機能を獲得、形成する際に有効な手段として利用され始めています。当社は、職業リハビリテーション分野における業務習得や職業準備性の獲得において、これらの理論に基づく訓練が重要であると考えていますが、その訓練の実施には道具の準備など支援者に相当な負担がかかります。本研究では、PC上で実施できる訓練を試行し、その実施前後での能力変化について検討しました。
▼考察
・試行した訓練が参加者らの言語・認知能力や適応行動に影響した可能性がある
・参加者の知的能力(FSIQ)は訓練前後で向上
しかし、いくつかの先行研究で示されているようなFSIQの非常に大きな変化は確認できなかった
今後は、参加者人数やより幅広い層の方に訓練を実施し、訓練の有効性を検証するとともに、PC上で行う訓練方法を追加開発するなど、より発展的な訓練が実施できる体制を整えてまいります。
まとめ
事業を通じて得られた障害者支援に関する知見を、ACT Japanの年次ミーティングにて発表いたしました。これらの成果は、当社が提供する障害者雇用支援サービスや独自のシステム開発、社員研修などに反映させ、発展させていきます。今後も学会発表や各種イベントに参加することで、研究領域においても社会貢献性の高い取り組みを推進してまいります。
当社は、文脈的行動科学(Contextual Behavior Science、以下、CBS)における実践的アプローチを学ぶための研究会を開催しています。従来の応用行動分析的アプローチに基本的なスタンスを持ちながらも、それに留まらず、CBS的なアプローチについての知識と具体的な実践方法について学ぶことを目的としています。研究会に興味関心のある方は以下よりお問い合わせください。
https://info1.start-line.jp/l/120382/2019-12-16/8qs7r8
■ACT Japanとは:https://www.act-japan-acbs.jp/
ACT Japan(The Japanese Association for Contextual Behavioral Science)は、ACBS(Association for Contextual Behavioral Science)公認の正式な日本支部として2010年にスタートしました。当団体は、文脈主義的な行動科学とその実践を促進するとともに、人間が抱える苦悩を軽減し、生活の質を向上することを目的としています。
■スタートラインとは:https://start-line.jp/
ABA(応用行動分析)と第三世代の認知行動療法に基づいた効果的で専門的な支援で、障害者雇用の新しい「場」づくりから定着支援までワンストップで実現する日本で唯一の会社です。
「自分をおもいやり、人をおもいやり、その先をおもいやる。」の企業理念のもと、2009年創業以来、障害者雇用支援の領域において障害者の「採用」と「定着」に重きを置き、サテライトオフィスサービスを運営。障害者雇用に関する総合コンサルティングを軸に、屋内農園型障害者雇用支援サービス「IBUKI」、ロースタリー型障害者雇用支援サービス 「BYSN」、企業/障害当事者向けカスタマイズ研修、在宅雇用支援、障害者採用支援などサービスメニューを拡充しています。一つでも多くの選択肢をつくり、多様な人々の可能性を拡張することで、誰もが自分らしく生きる社会を目指しています。
シンポジウム登壇とポスター発表の概要
当社は、企業の障害者雇用支援を通じて障害者への職業生活におけるサポート、そして当社の運営する就労移行支援 るりはりでは一般就労を目指す障害者への職業訓練を提供しています。うつ病や双極性障害、パニック障害、強迫性障害などが起因して、対人関係や職業生活に支障をきたしている方をサポートするにあたり、第三世代の認知行動療法と呼ばれるACT(Acceptance and Commitment Therapy、以下、ACT)や応用行動分析学などの科学的根拠に基づいた理論を取り入れています。この度、ACT Japanにてその理論に基づいた障害者への支援事例を発表しました。
ACT Japanとは、文脈主義的な行動科学とその実践を促進するとともに、人間が抱える苦悩を軽減し、生活の質を向上することを目的とした団体です。ACBS(Association for Contextual Behavioral Science、以下ACBS)の日本支部として2010年に設置され、ACTに関する研究と実践に関わる情報と教育を提供しています。ACBSは2005年に設立され、毎年ワールドカンファレンスを開催し、多くのワークショップ、シンポジウムを通して人材の教育に貢献している学会です。ACTは医師が行う専門的療法としてだけではなく、一般的なストレス対処の技法として活用できるため、世界的に広がりをみせています。
当社は2015年からACT Japanの学会発表を行っており、今回初めて大会企画シンポジウムへの話題提供者の一人として登壇しました。シンポジウムでは、障害者支援の現場で、どのようにACTや応用行動分析学を取り入れた支援を行っているのか、具体的な支援事例を用いてご紹介しました。
また、ポスター発表では、Steven C. Hayes(アメリカの臨床心理学者) や Stefan G. Hofmann(ドイツの臨床心理士)らによって提唱されたPBT(Process-Based Therapy、以下、PBT)という、エビデンスに基づいた心理療法の新しいモデルを用いた、支援事例を発表しました。PBTは、星の数ほどある心理療法を整理し、目の前の個人にとって有効な心理療法を組み立てるための枠組みとして注目を集めています。現在、英語での解説書や学術論文が次々と発表されていますが、日本では解説論文が発表されているのみで、PBTの全容を知ることは容易ではありません。当社は、社内にCBSヒューマンサポート研究所という障害者支援に関する支援技術を研究・開発する専門機関を有しており、日本でもいち早く障害者支援の現場でPBTを用いた支援を実践し、その支援事例をポスター発表しました。
ACTJapan概要
【テーマ】
論より証拠!データと語ろうACTの実践と研究
【日程】
2023年3月18日(土)、3月19日(日)
【場所】
ハイブリット(対面/オンライン)
【当社社員によるシンポジウム登壇とポスター発表内容】
■大会企画シンポジウムへの登壇
テーマ :データと語ろうCBSの実践と研究:現場での実践研究の最前線
話題提供:酒井美枝(名古屋市立大学 大学院医学研究科 麻酔科学・集中治療医学分野 特任助教)、刎田文記(株式会社スタートライン)、大月 友(早稲田大学 人間科学学術院 人間科学部 准教授)
指定討論:三田村仰(立命館大学 総合心理学部 准教授)
■ポスター発表
1.職リハにおけるPBTをベースとした支援事例
『EEMMグリッドを活用したこころの整理』
発表者:株式会社スタートライン 豊崎 美樹、刎田 文記
2.PBTをベースとした支援事例
『EEMMグリットを活用した多面的なこころの整理』
発表者:株式会社スタートライン 高津 弘明、刎田 文記
上記2件はPBTにおけるEEMMグリッドという分析手法を用いた支援事例です。
EEMMグリッドとは、診断名では言い表せない、個人の問題の複雑な連鎖を捉えることができるというPBTの分析手法です。EEMMグリッドを活用することで障害者の思考の整理と、思考に関連付けられた身体症状を可視化することができ、支援者と障害者の間の情報共有をスムーズに行うことが可能となりました。ポスター発表した支援事例の結果から、EEMMグリッドを活用することで以下のような成果が得られました。
▼支援者にとって
・初期アセスメント時に表出しなかった障害者の過去の体験や、想いを新たに知れた
・行動の傾向を知ることで優先するアプローチとその介入のタイミングのイメージが持てた
・心身の状態が一覧化され、障害者を支援するソーシャルワーカー・企業担当者など各方面との共通認識が持ちやすくなった
▼障害者にとって
・自身の思考の癖を知り心身の状態が視覚化されることで、自己理解が進みやすい
・過去のネガティブな体験が現在にも影響を及ぼしていることを認識し、その対応策が打てた
・就労する上でご自身が目指す姿を再設定できた
EEMMグリッドを活用した支援を行ったことで、障害者が自身の問題行動に気付き、適切な行動を取るという行動変容が見られました。EEMMグリッドを用いた支援を行うことは、支援者のオリエンテーションに関わらず障害者の問題について同じようなネットワーク(図参照)が導き出されるとされており、支援の質にバラつきが生じづらく、効果的なアプローチの実現性が高まると考えられます。
[画像: https://prtimes.jp/i/31296/76/resize/d31296-76-25dc7de8af39955f9be7-0.jpg ]
3.知的・発達障害児における認知能力と適応行動の変化
-関係フレーム理論に基づいたPC訓練による介入-
発表者:CBSヒューマンサポート研究所 岩村 賢、香川 紘子、下山 佳奈、刎田 文記
刺激等価性理論及び関係フレーム理論に基づく訓練は、障害児・者が言語・認知機能を獲得、形成する際に有効な手段として利用され始めています。当社は、職業リハビリテーション分野における業務習得や職業準備性の獲得において、これらの理論に基づく訓練が重要であると考えていますが、その訓練の実施には道具の準備など支援者に相当な負担がかかります。本研究では、PC上で実施できる訓練を試行し、その実施前後での能力変化について検討しました。
▼考察
・試行した訓練が参加者らの言語・認知能力や適応行動に影響した可能性がある
・参加者の知的能力(FSIQ)は訓練前後で向上
しかし、いくつかの先行研究で示されているようなFSIQの非常に大きな変化は確認できなかった
今後は、参加者人数やより幅広い層の方に訓練を実施し、訓練の有効性を検証するとともに、PC上で行う訓練方法を追加開発するなど、より発展的な訓練が実施できる体制を整えてまいります。
まとめ
事業を通じて得られた障害者支援に関する知見を、ACT Japanの年次ミーティングにて発表いたしました。これらの成果は、当社が提供する障害者雇用支援サービスや独自のシステム開発、社員研修などに反映させ、発展させていきます。今後も学会発表や各種イベントに参加することで、研究領域においても社会貢献性の高い取り組みを推進してまいります。
当社は、文脈的行動科学(Contextual Behavior Science、以下、CBS)における実践的アプローチを学ぶための研究会を開催しています。従来の応用行動分析的アプローチに基本的なスタンスを持ちながらも、それに留まらず、CBS的なアプローチについての知識と具体的な実践方法について学ぶことを目的としています。研究会に興味関心のある方は以下よりお問い合わせください。
https://info1.start-line.jp/l/120382/2019-12-16/8qs7r8
■ACT Japanとは:https://www.act-japan-acbs.jp/
ACT Japan(The Japanese Association for Contextual Behavioral Science)は、ACBS(Association for Contextual Behavioral Science)公認の正式な日本支部として2010年にスタートしました。当団体は、文脈主義的な行動科学とその実践を促進するとともに、人間が抱える苦悩を軽減し、生活の質を向上することを目的としています。
■スタートラインとは:https://start-line.jp/
ABA(応用行動分析)と第三世代の認知行動療法に基づいた効果的で専門的な支援で、障害者雇用の新しい「場」づくりから定着支援までワンストップで実現する日本で唯一の会社です。
「自分をおもいやり、人をおもいやり、その先をおもいやる。」の企業理念のもと、2009年創業以来、障害者雇用支援の領域において障害者の「採用」と「定着」に重きを置き、サテライトオフィスサービスを運営。障害者雇用に関する総合コンサルティングを軸に、屋内農園型障害者雇用支援サービス「IBUKI」、ロースタリー型障害者雇用支援サービス 「BYSN」、企業/障害当事者向けカスタマイズ研修、在宅雇用支援、障害者採用支援などサービスメニューを拡充しています。一つでも多くの選択肢をつくり、多様な人々の可能性を拡張することで、誰もが自分らしく生きる社会を目指しています。