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セラミドのヒト脳内アミロイドβ蓄積抑制効果のメカニズムを解析 こんにゃく由来セラミドに特長的な構造がエクソソーム放出の鍵に

〜International Journal of Molecular Sciences誌で発表〜

株式会社ダイセル(本社:大阪市北区)は、国立大学法人北海道大学(北海道札幌市)との共同研究において、ヒト脳内のアミロイドβ蓄積抑制効果に関係する神経由来エクソソームの放出誘導効果が植物由来セラミドの構造によって異なることを明らかにいたしました。本研究結果は、2022年9月15日に、スイスの分子科学誌であるInternational Journal of Molecular Sciences誌のオンライン版で公開されました。




[画像1: https://prtimes.jp/i/35577/107/resize/d35577-107-05faad0bd3148d449ffa-0.png ]


■研究の背景・目的・研究成果
認知症患者数は2012年に462万人、2025年には700万人に達すると推計され、その約6割がアルツハイマー病といわれています*1。これまでの研究で、こんにゃく由来グルコシルセラミドをアルツハイマー病モデルマウスに経口投与することでアミロイドβクリアランス効果を保持する神経由来エクソソームが増加し、脳内アミロイドβの蓄積が抑制されること、さらにはヒトでこんにゃく由来グルコシルセラミドを摂取した場合でも血中アミロイドβバイオマーカーが低下することを実証してきました。
今回は、この神経由来エクソソーム放出のメカニズムを明らかにすることを目的とし、セラミドを構成するスフィンゴイド塩基の種類や脂肪酸の長さによるエクソソーム放出効果の違いを評価しました。研究の結果、動物型セラミドよりも植物型セラミドの方がより多くエクソソームを放出すること、またその中で最も高い放出効果を示した構造はこんにゃく由来セラミドに多く含まれることがわかりました。

*1 内閣府 平成29年版高齢社会白書


■今後の研究について
当社の研究素材であるこんにゃく由来グルコシルセラミドは、健康食品用素材として販売中で、多くのサプリメントや飲料に採用されています。今後も、皆様の美と健康に貢献する機能性素材の開発に努めてまいります。


【参考資料】
2022年9月15日に「International Journal of Molecular Sciences」誌にて公開された研究内容は次の通りです。

■発表概要
タイトル:Evaluation of Plant Ceramide Species-Induced Exosome Release from Neuronal Cells and Exosome Loading Using Deuterium Chemistry
発表者:
村井 勇太1,2,* ,本田拓巳1 , 湯山 耕平2,* ,三上 大輔2 ,江口 晃一3 ,卯川 裕一4, 臼杵 靖剛2 , 五十嵐 靖之2, 門出 健次1,2
1:北海道大学 大学院生命科学院
2:北海道大学 大学院先端生命科学研究院
3:株式会社ダイセル 事業創出本部
4:株式会社ダイセル ヘルスケアSBU 事業推進室 事業戦略グループ
https://www.mdpi.com/1422-0067/23/18/10751

■研究の背景・目的
アルツハイマー病などの認知機能の低下を引き起こす進行性の疾患は、アミロイドβと呼ばれるタンパク質が脳細胞外に蓄積することが原因と言われており、これまでの研究ではアルツハイマー病モデルマウスを用いた研究およびヒト試験において、こんにゃく由来グルコシルセラミドが血中のアミロイドβ蓄積抑制に寄与することを実証してきた。今回、セラミドのエクソソーム放出効果について、セラミド分子骨格を構成するスフィンゴイド塩基の種類や脂肪酸の長さによって違いがあるかを評価するため、動物型セラミド、複数の植物型セラミドを使用し、ヒト神経細胞を用いた試験を行った。

■研究内容と成果
ヒト神経細胞に各セラミドを添加して24時間後に培養液上清を回収、培養液上清に含まれるエクソソーム量を測定したところ、動物型セラミドよりも植物型セラミドほうがエクソソームを多く放出し、その中でもスフィンゴイド塩基4E,8Z d18:2および4E,8E d18:2と脂肪酸の長さが炭素数18で構成された植物型セラミド(4E,8Z d18:2/18h:0と4E,8E d18:2/18h:0)が最も高いエクソソーム放出能をもつことがわかった(図1)。

また、添加した植物型セラミドが神経細胞内に取り込まれた後、細胞内または放出エクソソームのどちらに含まれるのかを調べるため、重水素ラベルした植物型セラミド(4E,8Z d18:2-d5/18h:0)を合成し、細胞へ添加した時の局在性を調べた。重水素ラベルした植物型セラミドを神経細胞に添加し、24時間後に細胞とエクソソームを分けて回収、各々のサンプルからスフィンゴ脂質を抽出し、重水素ラベルした植物型セラミド量を測定したところ、エクソソームには細胞の約3倍量の植物型セラミドを含んでいることがわかった(図2)。
この成果から、比較的長い脂肪酸をもつ植物型セラミドがより多くエクソソームを放出し、アミロイドβを蓄積抑制できることが示唆された。またこれまでの報告から、今回エクソソームを多く放出することがわかった炭素数18の脂肪酸は、米や小麦など他の植物と比較すると、こんにゃく由来セラミドにより多く含まれていることが報告されており*2、こんにゃく由来セラミドの摂取がアルツハイマー病予防に特長的に効果があることが示唆された。

*2 食品化学新聞社『ここまできたセラミド研究最前線 セラミド -基礎と応用-』
[画像2: https://prtimes.jp/i/35577/107/resize/d35577-107-5dab7b7515ccbabbaa2d-1.png ]

[画像3: https://prtimes.jp/i/35577/107/resize/d35577-107-c4d5d057c6f62375a115-2.png ]
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