バイオ医薬品の製造技術・ビジネス展望について調査結果発表
[15/05/14]
提供元:DreamNews
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メディカル・ライフサイエンス分野のリサーチ・コンサルティングを専門に行う株式会社BBブリッジ(東京都港区、代表取締役 番場聖)では、抗体医薬品を中心としたバイオ医薬品(※1)の伸長によって注目されているバイオ医薬品製造技術について、現状や技術開発動向、製造関連製品の動向や市場展望について調査・分析を行い、その結果を発表しました。調査結果のポイントは以下の通りです。
1.培養・精製の各工程においてシングルユース製品の普及が進む
バイオ医薬品の製造現場ではシングルユース製品(※2)が急速に普及しています。シングルユース製品は洗浄・滅菌工程が不要であるため、製造期間の短縮が可能できるなど多くのメリットがあります。製造現場におけるシングルユース製品の普及は一部の工程に留まらず、培養から精製まで様々な工程で利用されています。今後も各工程でシングルユース製品の利用増加が見込まれるため、バイオ医薬品製造関連ビジネスは従来のような製造プラント建設・メンテナンスをベースとしたビジネスから製造関連製品の販売ビジネスへ転換していくことが予想されます。
2.2014年のバイオ医薬品製造関連製品世界市場は2,460億円と推計
バイオ医薬品の製造関連市場(※3)について、2014年の世界市場が2,460億円と推計しました。市場の内訳としては培地やシングルユースリアクターなどの「培養関連製品」が53%を占め、精製担体・樹脂やフィルターなどの「精製関連製品」が43%を占めます。コネクターやミキサーなど「その他の製品」は4%を占めます。
日本市場については156億円と推計され、世界市場のわずか6%を占めるに留まります。一方、近年では日本の大手製薬企業もバイオ医薬品の開発・製造に積極的に取り組んでおり、今後の日本市場の伸長が期待されます。
3.日本が取り組むべきはウイルス安全性試験施設の確保・運営
バイオ医薬品の開発において出遅れた日本が国を挙げて取り組むべき課題の1つにウイルス安全性試験(否定試験・クリアランス試験)の受託施設の設立・運営があります。ウイルス安全性試験はバイオ医薬品の製造の際の品質管理において最も重要な項目の1つです。特にウイルスクリアランス試験は製造者が必ず行わなければならない試験ですが、日本国内に実施できる施設はなく、現在では海外企業に外注するしかない状況です。ウイルスクリアランス試験を海外企業へ外注すると、コストも非常に高く、期間も長くかかり、さらに製薬企業の製造担当者が模擬製造設備の組み立てのために現地に長期間滞在する必要があるなど非常に大きな労力を要します。
ウイルスクリアランス試験の実施には高度なノウハウと高額な設備投資が必要です。さらに国内でバイオ医薬品の製造を行っている企業は現状では少ないため、専用の施設や人員も用意しても当面の利用は少なく、民間企業が参入してもビジネスとしては赤字になる可能性が高いと思われます。実際に2007年に当該領域に参入した(株)エスアールエル(みらかホールディングスグループ)も既にウイルスクリアランス試験の受託業務を停止しています。
このように重要性・必要性が高いがビジネスとしては成り立ち難いウイルス関連の試験施設について、国の介入による運営が望まれます。ウイルス安全性試験はバイオ医薬品の承認審査とも直結するため、国が運営に関わることで、ユーザー側も安心して利用できます。
バイオ医薬品の製造は日本のみならず中国や韓国、インドなどアジア諸国で盛んになっていますが、バイオ医薬品の製造ためのウイルス安全性試験を受託できる企業は欧米企業が主体でアジアにはほとんどありません。このような施設を日本が主導して設置することで、日本のみならずアジアの顧客も得ることが可能であると思われます。
製造工程のシングルユース化の進展によりバイオ医薬品の製造に対するハードルは下がりつつあります。日本国内においてバイオ医薬品の製造を活発化させるために国を挙げた取り組みが望まれます。
なお、本調査は(株)BBブリッジが作成した技術・市場調査レポート「バイオ医薬品製造技術の最新動向とビジネス展望(2015年4月30日発刊)」において実施されたものです。詳細についてお知りになりたい方は以下のURLをご参照ください。
http://www.bb-bridge.co.jp/reports/465/
用語説明
※1 バイオ医薬品
遺伝子組み換え技術等を用いて製造される医薬品。具体的には抗体医薬品・タンパク医薬品・遺伝子医薬品・細胞医薬品を対象としています。
※2 シングルユース製品
使い捨てされる製品、本リリース内におけるシングルユースの定義は「洗浄・滅菌して再利用しない製品」としています。シングルユース製品は洗浄・滅菌工程が不要であるため、製造期間の短縮が可能であり、外来微生物の混入などのリスクを低減できるなど多くのメリットがあります。
※3 バイオ医薬品の市場
バイオ医薬品の製造過程(培養・精製)で利用される製品を対象としています。具体的には培地、シングルユース製品、精製担体・樹脂、フィルターなどです。なお、ステンレスタンクなど設備の一部と考えられるものは市場の対象外としています。
―本件の問い合わせ先―
株式会社BBブリッジ
〒105-0001 東京都港区虎ノ門5丁目11-15
TEL:03-6721-5529
担当:番場(ばんば)
info@bb-bridge.co.jp
1.培養・精製の各工程においてシングルユース製品の普及が進む
バイオ医薬品の製造現場ではシングルユース製品(※2)が急速に普及しています。シングルユース製品は洗浄・滅菌工程が不要であるため、製造期間の短縮が可能できるなど多くのメリットがあります。製造現場におけるシングルユース製品の普及は一部の工程に留まらず、培養から精製まで様々な工程で利用されています。今後も各工程でシングルユース製品の利用増加が見込まれるため、バイオ医薬品製造関連ビジネスは従来のような製造プラント建設・メンテナンスをベースとしたビジネスから製造関連製品の販売ビジネスへ転換していくことが予想されます。
2.2014年のバイオ医薬品製造関連製品世界市場は2,460億円と推計
バイオ医薬品の製造関連市場(※3)について、2014年の世界市場が2,460億円と推計しました。市場の内訳としては培地やシングルユースリアクターなどの「培養関連製品」が53%を占め、精製担体・樹脂やフィルターなどの「精製関連製品」が43%を占めます。コネクターやミキサーなど「その他の製品」は4%を占めます。
日本市場については156億円と推計され、世界市場のわずか6%を占めるに留まります。一方、近年では日本の大手製薬企業もバイオ医薬品の開発・製造に積極的に取り組んでおり、今後の日本市場の伸長が期待されます。
3.日本が取り組むべきはウイルス安全性試験施設の確保・運営
バイオ医薬品の開発において出遅れた日本が国を挙げて取り組むべき課題の1つにウイルス安全性試験(否定試験・クリアランス試験)の受託施設の設立・運営があります。ウイルス安全性試験はバイオ医薬品の製造の際の品質管理において最も重要な項目の1つです。特にウイルスクリアランス試験は製造者が必ず行わなければならない試験ですが、日本国内に実施できる施設はなく、現在では海外企業に外注するしかない状況です。ウイルスクリアランス試験を海外企業へ外注すると、コストも非常に高く、期間も長くかかり、さらに製薬企業の製造担当者が模擬製造設備の組み立てのために現地に長期間滞在する必要があるなど非常に大きな労力を要します。
ウイルスクリアランス試験の実施には高度なノウハウと高額な設備投資が必要です。さらに国内でバイオ医薬品の製造を行っている企業は現状では少ないため、専用の施設や人員も用意しても当面の利用は少なく、民間企業が参入してもビジネスとしては赤字になる可能性が高いと思われます。実際に2007年に当該領域に参入した(株)エスアールエル(みらかホールディングスグループ)も既にウイルスクリアランス試験の受託業務を停止しています。
このように重要性・必要性が高いがビジネスとしては成り立ち難いウイルス関連の試験施設について、国の介入による運営が望まれます。ウイルス安全性試験はバイオ医薬品の承認審査とも直結するため、国が運営に関わることで、ユーザー側も安心して利用できます。
バイオ医薬品の製造は日本のみならず中国や韓国、インドなどアジア諸国で盛んになっていますが、バイオ医薬品の製造ためのウイルス安全性試験を受託できる企業は欧米企業が主体でアジアにはほとんどありません。このような施設を日本が主導して設置することで、日本のみならずアジアの顧客も得ることが可能であると思われます。
製造工程のシングルユース化の進展によりバイオ医薬品の製造に対するハードルは下がりつつあります。日本国内においてバイオ医薬品の製造を活発化させるために国を挙げた取り組みが望まれます。
なお、本調査は(株)BBブリッジが作成した技術・市場調査レポート「バイオ医薬品製造技術の最新動向とビジネス展望(2015年4月30日発刊)」において実施されたものです。詳細についてお知りになりたい方は以下のURLをご参照ください。
http://www.bb-bridge.co.jp/reports/465/
用語説明
※1 バイオ医薬品
遺伝子組み換え技術等を用いて製造される医薬品。具体的には抗体医薬品・タンパク医薬品・遺伝子医薬品・細胞医薬品を対象としています。
※2 シングルユース製品
使い捨てされる製品、本リリース内におけるシングルユースの定義は「洗浄・滅菌して再利用しない製品」としています。シングルユース製品は洗浄・滅菌工程が不要であるため、製造期間の短縮が可能であり、外来微生物の混入などのリスクを低減できるなど多くのメリットがあります。
※3 バイオ医薬品の市場
バイオ医薬品の製造過程(培養・精製)で利用される製品を対象としています。具体的には培地、シングルユース製品、精製担体・樹脂、フィルターなどです。なお、ステンレスタンクなど設備の一部と考えられるものは市場の対象外としています。
―本件の問い合わせ先―
株式会社BBブリッジ
〒105-0001 東京都港区虎ノ門5丁目11-15
TEL:03-6721-5529
担当:番場(ばんば)
info@bb-bridge.co.jp