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武田科学振興財団、2021年度「武田医学賞」受賞者を決定 〜2021年11月12日(金) オークラ東京にて贈呈式を開催〜

公益財団法人 武田科学振興財団(理事長:飯澤 祐史、所在地:大阪市中央区)は、2021年度「武田医学賞」を下記の2氏に贈呈することを決定しました。
贈呈式を2021年11月12日(金)午後6時よりオークラ東京 プレステージタワーにおいて開催し、受賞者には賞状、賞牌、楯ならびに1件につき副賞2,000万円を贈呈します。
「武田医学賞」は、医学界で顕著な業績を挙げ、医学ならびに医療に優れた貢献を果たされた研究者に贈呈されるものです。1954年に武田薬品工業株式会社の創業170周年記念事業の一つとして設けられ、1963年の当財団設立とともに財団事業として継承し、本年度で65回目を迎えます。「武田医学賞」の受賞者数は、本年度を含めて134名となります。


藤木 幸夫 博士(ふじき ゆきお)
九州大学 名誉教授(73歳)
受賞テーマ:ペルオキシソームの形成と欠損症研究によるオルガネラ病概念の確立

松島 綱治 博士(まつしま こうじ)
東京理科大学 教授(69歳)
受賞テーマ:ケモカインの発見による白血球浸潤機序の解明と創薬への貢献

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/275087/LL_img_275087_1.jpg
藤木 幸夫 博士

画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/275087/LL_img_275087_2.jpg
松島 綱治 博士

■藤木 幸夫 博士
<学歴・職歴>
1971年 3月 九州大学農学部 卒業
1971年 4月 九州大学大学院農学研究科修士課程 入学
1976年 3月 九州大学大学院農学研究科博士課程修了、農学博士取得(7月)
1976年 7月 コーネル大学博士研究員
1979年 7月 ロックフェラー大学上級研究員、助教授
1985年 7月 明治乳業株式会社 ヘルスサイエンス研究所主任研究員、研究室長
1994年 4月 九州大学理学部生物学教室 教授
1999年 4月 九州大学大学院理学研究院生物科学部門 教授
2009年 5月 九州大学 主幹教授
2010年 10月 九州大学 理事・副学長(担当:研究、国際)、
稲盛フロンティア研究センター長
2014年 10月 九州大学 カーボンニュートラル・エネルギー研究所(WPIプログラム)
支援部門長、特任教授
九州大学 名誉教授
2015年 4月 九州大学 生体防御医学研究所 特任教授
2019年 4月 九州大学 -レオロジ-機能食品研究所 共同研究プロジェクト 研究代表
2021年 9月 兵庫県立大学 特任教授

<受賞歴>
2015年 12月 日本生化学会 第10回柿内三郎記念賞
2019年 11月 西日本文化賞 学術文化部門

<研究業績>
受賞テーマ:ペルオキシソームの形成と欠損症研究によるオルガネラ病概念の確立
研究業績 :
ペルオキシソームは脂質代謝や過酸化水素の生成・消去系など様々な生物学的に必須な代謝機能を担う細胞小器官(オルガネラ)である。藤木博士は、ペルオキシソーム形成が異常な10数種の細胞株を樹立し、それらを用いて、ペルオキシソームの形成に必須な数多くの因子(ペルオキシン)を発見、ついで重篤かつ原因不明であったペルオキシソーム欠損症の病因遺伝子を網羅的に解明することに成功した。さらには、モデルマウスを用いてペルオキシソーム欠損症の病態発症機構も解明した。
最近では、ペルオキシソーム酵素である過酸化水素分解酵素、カタラーゼが酸化ストレス下には細胞質へ集積して細胞死を抑制する機構、すなわちカタラーゼのオルガネラとサイトゾルの両局在を基軸とした極めて重要な生理作用調節の存在を発見した。これら一連の研究成果はペルオキシソーム欠損症を遺伝子、分子および個体レベルで解明するとともに、ペルオキシソームに新しい視点を与える独創性が非常に高く、オルガネラ恒常性(オルガネラスタシス)とその破綻によるオルガネラ病という新しい概念を創生し、大きな波及効果を生み出した。このように、藤木博士の業績は世界に誇るオンリーワン研究であり、この分野の開拓者として国際的な評価は極めて高い。


■松島 綱治 博士
<学歴・職歴>
1978年 3月 金沢大学医学部卒業
1978年 5月 医籍登録(第239651号)
1982年 3月 金沢大学大学院医学研究科修了(分子免疫学)医学博士
1982年-1983年 Visiting Fellow, National Institute of Dental Research,
National Institutes of Health, USA
1983年-1985年 Visiting Fellow, National Cancer Institute, USA
1985年-1987年 Visiting Associate, National Cancer Institute, USA
1987年-1990年 Visiting Scientist, National Cancer Institute(1989年 Tenure), USA
1990年-1997年 金沢大学 がん研究所 薬理部 教授
1996年-2018年 東京大学 大学院医学系研究科 分子予防医学 教授
2018年-現在 東京理科大学 生命医科学研究所 炎症・免疫難病制御部門 教授
東京大学 名誉教授

<受賞歴>
1991年 Public Health Special Recognition Award from DHHS, USA.
1998年 高岡市民文化賞
2012年 日本がん学会JCA-CHAAO賞
2015年 日本薬学会創薬科学賞
2016年 文部科学大臣表彰 科学技術賞 開発部門
2016年 日本免疫学会ヒト免疫研究賞
2019年 International Cytokine and Interferon Society The Lifetime Honorary Membership Award
2020年 東レ科学技術賞

<研究業績>
受賞テーマ:ケモカインの発見による白血球浸潤機序の解明と創薬への貢献
研究業績 :
生体侵襲に対する防御反応としての炎症において特異的白血球サブセットの組織浸潤が起こるが、長くその分子機序は不明であり炎症・免疫学における大きな謎であった。松島 綱治 博士は、1980年代の後半に急性炎症の主役である好中球並びに慢性炎症の主役である単球・マクロファージの遊走因子として、活性化白血球・組織細胞が産生するIL-8/CXCL8とMCAF/CCL2を精製・遺伝子クローニングを通して発見した。その後、様々な急性炎症モデルにおいてCXCL8が炎症組織への好中球浸潤に、慢性炎症モデルにおいてCCL2が単球浸潤に関わり、これらの阻害により臓器障害を防止できることを明らかにした。
炎症・免疫反応時の最も基本的現象である特異的白血球の組織浸潤機序が、博士のケモカインプロトタイプ、CXCL8とCCL2の発見とその後の動物での炎症モデルでの薬理学的実証研究により解明された。博士は、さらにケモカイン受容体CCR4に対する抗体を作製し、CCR4が成人T細胞白血病(ATL)細胞に選択的に発現することを見出し、2012年には抗CCR4抗体がATLの治療薬として承認された。このように、松島博士は炎症に伴う白血球浸潤機序を解明し、それを基盤とした創薬開発研究と生命科学研究、医学研究に大きく貢献した。


■FAQ
Q. 武田医学賞は国際賞ですか
A. 国際賞ではありません。

Q. 対象者の範囲はありますか
A. 日本国内で主な業績を有する研究者を対象とし、国籍は問いません。

Q. 武田医学賞の選考方法について
A. 財団の理事・評議員等の推薦をもとに、選考委員会で審議・決定します。
選考委員長は永井 良三 先生(自治医科大学 学長)にお願いしています。
その他の選考委員については公表しておりません。

Q. 武田科学振興財団について
A. 当財団は、科学技術の研究を助成振興し、我が国の科学技術および文化の向上発展に寄与することを目的とし、武田薬品工業株式会社からの寄附を基金として1963年に設立されました。武田医学賞(褒賞事業)のほか、研究助成、奨学助成(外国人留学助成、医学部博士課程奨学助成、海外研究留学助成)、国際シンポジウム開催、杏雨書屋(きょうう しょおく、本草医書等の所蔵・管理等)、出版物の刊行を行っています。
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