国内株式市場見通し:決算などイベント盛り沢山、GW空白リスクに警戒、5月は経済指標相次ぐ
[21/04/24]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 市況・概況
■短期筋の売買に左右される
今週の日経平均は波乱含みの展開となった。週初こそ落ち着いた動きだったものの、その後は決算前の様子見ムードが強いなか、世界的な新型コロナウイルス変異種の拡大や、国内での3度目の緊急事態宣言の発令を警戒した動きから次第に売り優勢に。今後本格化する決算において保守的な会社計画が出されるのではないかというガイダンスリスクへの警戒感も高まった。現物市場での積極的な売買が手控えられるなか、商品投資顧問(CTA)など短期筋による先物主導での仕掛け的な売りが嵩み、20日と21日の2日間だけで日経平均は1200円近く下落した。ただ、その後の米国株高や突っ込み警戒感からの自律反発に加え、本決算シーズンの皮切りとなる日本電産<6594>の決算を前に売り方の買い戻しも入り、22日は679円高と急反発。ただ、週末は米バイデン政権が富裕層の株式譲渡益課税を従来の約2倍に引き上げる考えと報じられたことを背景に、米国株が下落した流れを嫌気し、後半下げ渋ったものの反落となった。
■決算本格化、5月は米雇用統計などに注目
来週以降(5月7日まで)の日経平均は一進一退か。いよいよ本格化する本決算シーズンを背景に、決算を受けた個別株物色が主体となり、指数は方向感に欠ける動きとなりそうだ。今週は3月期本決算シーズンの皮切りとなる日本電産やディスコ<6146>などの注目決算があった。日本電産は、前期実績こそ会社計画を上振れる着地となったものの、今期ガイダンスが市場予想値に届かなったこともあり週末に大きく売り込まれた。信用買い残が高水準に積み上がっていたことからも決算ハードルが相当に上がっていたことが窺え、少しでも物足りない点があれば、売られてしまいやすい条件が揃っていたようだ。ディスコも前期は上振れたものの、今期第1四半期(4-6月)の見通しが市場予想を下回ったことが嫌気され、売り優勢となった。ただ、1-3月期の受注高が726億円と過去最高の490億円を大きく上回る想定以上の水準であったことを考慮すると、これが素直に好感されなかった点はやや気掛かり。「受注高の伸びが強すぎるが故にピークアウトが意識された」との指摘もあったが、好材料を素直に捉えられないあたりが今の市場のムードを表しているといえよう。来週は算のほかイベントが盛り沢山だ。まず、週初から半ばにかけて日銀の金融政策決定会合や米連邦公開市場委員会(FOMC)がある。前回の金融政策会合では上場投資信託(ETF)の買い入れ方針に変更があり市場に影響を及ぼした。前週20日には、前場の東証株価指数(TOPIX)の下落率が1.25%だったにもかかわらず、ETF買いが実施されなかったことで政策不透明感が高まった経緯もある。今回の会合で何らかの追加発言があるか注目だ。FOMCではこれまで同様に緩和政策持続の従来方針が繰り返されそうだ。市場ではテーパリング(量的緩和縮小)議論が6月頃から始まるとの声も聞かれているが、さすがに今回の会合ではないだろう。大勢は決算発表が本格化するなか、日米ともに金融政策イベントは大きな影響力を持ちにくいと思われる。一方、28日のバイデン米大統領の議会演説については、富裕層の株式譲渡益課税を従来の約2倍に引き上げる考えについての具体的な発言が注目される。成立するには民主党のほか共和党内の一部からの賛同も必要で可能性は低いが、相場が軟調になってきている時期であるため神経質に反応しやすい。最近は月末に相場が崩れやすい傾向もあり、買い手はこうした地合いも考慮した方がよいだろう。そのほか、東京市場はゴールデンウイーク(GW)で翌水曜日(5月5日)までが休場となる。連休中の海外市場の動向など空白リスクを警戒して積極的な売買は手控えられるほか、信用買いを手仕舞う動きにも注意したい。連休明けの5月6、7日は休みの間の海外市場の動向を吸収する動きとなることが予想され、米国でのISM製造業・非製造業景況指数や中国製造業PMIなどの結果が注目材料だ。また、今後のテーパリング議論の試金石となる週末の米雇用統計を意識した動きも出てくる可能性があろう。
■決算発表済み銘柄の見直しタイミング
4月に入ってから物色の方向性が定まらない難しい相場になっている。3月まで力強く上昇してきた景気敏感株は上昇一服感と共に高い決算ハードルなどが控えており上値が重い。復調の兆しが見えていたグロース(成長)株もその後対照的に大きく買われているからといえばそうでもない。強かった半導体についても今や決算を確認するまでは動けない。一方、旅行や鉄道、百貨店などのアフターコロナ関連も新型コロナ変異種の拡大で不透明感強く積極的には買えない。完全に買い手控えムードだが、こうした時期にこそ、既に決算発表済みの銘柄のなかで、内容が良好にもかかわらず足元の地合いで売りに押されていた銘柄を宝探し感覚で掘り当てたい時期といえよう。
■日米金融政策決定会合、バイデン米大統領の議会演説
来週は26日に日銀金融政策決定会合、米3月耐久財受注、27日に黒田日銀総裁会見、米FOMC、米4月消費者信頼感指数、28日パウエルFRB議長会見、バイデン米大統領の議会演説、29日に米1-3月期GDP速報値、30日に3月失業率、3月鉱工業生産、中国4月製造業PMI、5月3日に米ISM製造業景況指数、4日に中国財新製造業PMI、米耐久財受注、5日に米ISM非製造業景況指数、米ADP雇用リポート、7日に米雇用統計などが予定されている。
<FA>
今週の日経平均は波乱含みの展開となった。週初こそ落ち着いた動きだったものの、その後は決算前の様子見ムードが強いなか、世界的な新型コロナウイルス変異種の拡大や、国内での3度目の緊急事態宣言の発令を警戒した動きから次第に売り優勢に。今後本格化する決算において保守的な会社計画が出されるのではないかというガイダンスリスクへの警戒感も高まった。現物市場での積極的な売買が手控えられるなか、商品投資顧問(CTA)など短期筋による先物主導での仕掛け的な売りが嵩み、20日と21日の2日間だけで日経平均は1200円近く下落した。ただ、その後の米国株高や突っ込み警戒感からの自律反発に加え、本決算シーズンの皮切りとなる日本電産<6594>の決算を前に売り方の買い戻しも入り、22日は679円高と急反発。ただ、週末は米バイデン政権が富裕層の株式譲渡益課税を従来の約2倍に引き上げる考えと報じられたことを背景に、米国株が下落した流れを嫌気し、後半下げ渋ったものの反落となった。
■決算本格化、5月は米雇用統計などに注目
来週以降(5月7日まで)の日経平均は一進一退か。いよいよ本格化する本決算シーズンを背景に、決算を受けた個別株物色が主体となり、指数は方向感に欠ける動きとなりそうだ。今週は3月期本決算シーズンの皮切りとなる日本電産やディスコ<6146>などの注目決算があった。日本電産は、前期実績こそ会社計画を上振れる着地となったものの、今期ガイダンスが市場予想値に届かなったこともあり週末に大きく売り込まれた。信用買い残が高水準に積み上がっていたことからも決算ハードルが相当に上がっていたことが窺え、少しでも物足りない点があれば、売られてしまいやすい条件が揃っていたようだ。ディスコも前期は上振れたものの、今期第1四半期(4-6月)の見通しが市場予想を下回ったことが嫌気され、売り優勢となった。ただ、1-3月期の受注高が726億円と過去最高の490億円を大きく上回る想定以上の水準であったことを考慮すると、これが素直に好感されなかった点はやや気掛かり。「受注高の伸びが強すぎるが故にピークアウトが意識された」との指摘もあったが、好材料を素直に捉えられないあたりが今の市場のムードを表しているといえよう。来週は算のほかイベントが盛り沢山だ。まず、週初から半ばにかけて日銀の金融政策決定会合や米連邦公開市場委員会(FOMC)がある。前回の金融政策会合では上場投資信託(ETF)の買い入れ方針に変更があり市場に影響を及ぼした。前週20日には、前場の東証株価指数(TOPIX)の下落率が1.25%だったにもかかわらず、ETF買いが実施されなかったことで政策不透明感が高まった経緯もある。今回の会合で何らかの追加発言があるか注目だ。FOMCではこれまで同様に緩和政策持続の従来方針が繰り返されそうだ。市場ではテーパリング(量的緩和縮小)議論が6月頃から始まるとの声も聞かれているが、さすがに今回の会合ではないだろう。大勢は決算発表が本格化するなか、日米ともに金融政策イベントは大きな影響力を持ちにくいと思われる。一方、28日のバイデン米大統領の議会演説については、富裕層の株式譲渡益課税を従来の約2倍に引き上げる考えについての具体的な発言が注目される。成立するには民主党のほか共和党内の一部からの賛同も必要で可能性は低いが、相場が軟調になってきている時期であるため神経質に反応しやすい。最近は月末に相場が崩れやすい傾向もあり、買い手はこうした地合いも考慮した方がよいだろう。そのほか、東京市場はゴールデンウイーク(GW)で翌水曜日(5月5日)までが休場となる。連休中の海外市場の動向など空白リスクを警戒して積極的な売買は手控えられるほか、信用買いを手仕舞う動きにも注意したい。連休明けの5月6、7日は休みの間の海外市場の動向を吸収する動きとなることが予想され、米国でのISM製造業・非製造業景況指数や中国製造業PMIなどの結果が注目材料だ。また、今後のテーパリング議論の試金石となる週末の米雇用統計を意識した動きも出てくる可能性があろう。
■決算発表済み銘柄の見直しタイミング
4月に入ってから物色の方向性が定まらない難しい相場になっている。3月まで力強く上昇してきた景気敏感株は上昇一服感と共に高い決算ハードルなどが控えており上値が重い。復調の兆しが見えていたグロース(成長)株もその後対照的に大きく買われているからといえばそうでもない。強かった半導体についても今や決算を確認するまでは動けない。一方、旅行や鉄道、百貨店などのアフターコロナ関連も新型コロナ変異種の拡大で不透明感強く積極的には買えない。完全に買い手控えムードだが、こうした時期にこそ、既に決算発表済みの銘柄のなかで、内容が良好にもかかわらず足元の地合いで売りに押されていた銘柄を宝探し感覚で掘り当てたい時期といえよう。
■日米金融政策決定会合、バイデン米大統領の議会演説
来週は26日に日銀金融政策決定会合、米3月耐久財受注、27日に黒田日銀総裁会見、米FOMC、米4月消費者信頼感指数、28日パウエルFRB議長会見、バイデン米大統領の議会演説、29日に米1-3月期GDP速報値、30日に3月失業率、3月鉱工業生産、中国4月製造業PMI、5月3日に米ISM製造業景況指数、4日に中国財新製造業PMI、米耐久財受注、5日に米ISM非製造業景況指数、米ADP雇用リポート、7日に米雇用統計などが予定されている。
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