ビューティ花壇<3041> M&Aを軸とした周辺事業への水平展開による規模拡大
[14/05/19]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
ラジオNIKKEI マーケットプレスの『フィスコ presents 注目企業分析』5月15日放送において、ビューティ花壇<3041>を取り上げている。主な内容は以下の通り。
■会社概要
葬儀の際に利用される生花祭壇等の企画・制作・設営が主力事業。また、生花卸売やブライダル用のブーケの制作販売なども手掛けるとともに、M&Aを軸とした規模拡大と事業の多角化を図っている。
■事業概要
同社の事業は、葬儀関連会社に対して、生花祭壇や供花等を提供する生花祭壇事業、生花祭壇部門の仕入れ及び葬儀関連会社や小売店へ生花を販売する生花卸売事業を中心として、子会社で展開するブライダル装花事業、土木・建設事業、システム開発事業、人材派遣事業などで構成されている。
■生花祭壇事業
主力である生花祭壇事業は、売上高の約61.4%、営業利益(調整前)の約69.4%を占める(2013年6月期)。同事業は葬儀関連会社に対して、生花祭壇や供花等の制作から、その設営までを含めたサービス提供を行っている。営業拠点は、熊本、福岡、沖縄、東京、埼玉、神奈川、宮城、大阪の国内7ヶ所で展開している。生花祭壇の受注件数は19,333件。地域別では、首都圏が40.9%と大きく、九州29.4%、関西15.2%、東北14.5%となっている(2013年6月期連結ベース)。
■その他の事業
ブライダル装花事業は、主に結婚式場に対し、卓上花やブーケ等の婚礼における生花商品を制作し、その設営までを含めたサービスの提供を行っており、子会社のOne Flowerで展開している。
土木・建設事業は、熊本市内及びその近郊にて、土木・河川工事などの公共事業を中心に手掛けている。2012年2月に子会社化した昇建設(本社:熊本)が展開している。
■同社の特徴
同社の特徴は、技術難易度の高いデザイン性による差別化と、独自の調達ルートを活かした価格競争力にある。特に、後者については、低価格による市場シェアの拡大を狙う同社にとって重要な戦略を支える要因となっている。同社は、従来の流通ルートである中間業者や卸売市場、仲卸・小売業者などを複数の段階を経ずに、直接国内外の生産者からの調達ルートを確立することで安価でスピーディな仕入れを可能としている。仕入原価の削減のために海外調達にも意欲的に取り組んでおり、2013年6月期の海外調達比率は38.8%(前期は30.7%)となっている。また、同じ規格の生花であっても、それぞれの地域の需給バランスによって価格が異なるが、同社は全国の相場動向を把握することにより、その時々の最適な仕入れを通じて価格メリットを享受できる体制も構築している。
■M&Aの展開
同社は、M&Aを軸とした周辺事業への水平展開により規模拡大を図っているが、同時に主力事業とのシナジー創出にも注力している。まだ、十分な成果を発揮できているとは言えないが、逆に今後の伸びしろとして、その進捗状況に注目すべきである。
2007年5月に参入したブライダル装花事業は、生花祭壇事業と繁忙期が重ならないため、スタッフや車両、設備などの経営資源をうまく融通しあうことで営業経費の削減を図ることができる。2012年9月から、熊本支店の生花祭壇事業を会社分割し、子会社のOne Flowerへ承継させ、葬儀とブライダルの統合によるシナジー創出に取り組み始めた。今後は、東京支店など各支店でも順次、同様の体制へと移行する計画である。
■市場環境
同社の主力である生花祭壇事業の業績は、全国の葬儀件数や1件当たりの葬儀業売上高との相関性が高い。過去5年間の年間死亡者数、葬儀件数、葬儀業売上高の推移を見ると、年間死亡者数は年平均2.4%と年々緩やかに増加している中で、それに連動して葬儀件数は同6.5%増、葬儀業売上高は同4.8%増と市場が拡大している。年間死亡者数が増加傾向にあるのは、高齢者人口が増加していることが背景であるが、人口構成から判断すると今後も1ケタ台前半の伸びが続くものと考えられる。
一方で1件当たりの葬儀業売上高は、2009年の1,501千円から2013年の1,405千円へ、年平均1.6%のペースで下落している。これは、消費者の意識の変化による葬儀の小型化に加え、比較的参入障壁が低い業界であるがゆえに異業種からの参入や、低価格パッケージを売りとしたフランチャイズ・チェーンの出現など、市場競争が激化していることが要因である。従って、今後、企業体力や経営効率に勝る大手を中心として再編が進展することが予想される。
■2014年6月期業績見通し
同社では2月7日に業績予想を修正している。2014年6月期の会社業績見通しは、売上高が前年比26.4%増の6,500百万円(期初予想比8.3%増)、営業利益が同50.9%減の85百万円(期初予想比71.7%減)、経常利益が同14.3%減の150百万円(期初予想比50.0%減)、当期純利益が同5.9%増の90百万円と大幅な増収を見込んでいる。業績予想を修正した理由としては、売上高は10月に子会社化したマイ・サクセスが寄与する見通し。一方、利益面では原価低減に向けた組織再編をおこなっているものの、生花祭壇事業における売上高が低調に推移していることを踏まえ、下方修正を行っている。
■中長期戦略
中期経営計画として、経常利益500百万円を目指すとともに、東証1部への市場変更も視野に入れている。同社が、規模拡大や東証1部上場にこだわるのは、スケールメリットの追求はもちろん、資金調達力や社会からの信用、優秀な人材等を得ることで、中小・零細事業者がひしめきあう業界を束ねる企業体力や管理体制を強化し、主導的な立場で業界再編を手掛ける構想を描いているからである。具体的には、生花事業のFC展開を目指しているが、葬儀関連ビジネスや生花小売店への参入など、垂直展開も検討している。
■財務状況
資本効率性を示す自己資本利益率(ROE)は14.2%(2013年6月期)。2013年6月期は、利益率に連動して低下したものの、依然として高い水準を維持できているのは、有利子負債を活用した財務レバレッジによるところが大きい。なお、デットエクイティレシオ(有利子負債残高/純資産)は約1.9倍であり、年々上昇している。
逆に、財務基盤の安定性を示す自己資本比率は23.9%(2013年6月期)。有利子負債残高の増加とともに低下している。インタレスト・カバレッジ・レシオ(キャッシュフロー/利払い)は25.7倍であり、金利の支払い能力に懸念はないものの、同社が今後の成長戦略を実践していくためには、収益力の強化とともに、財務基盤の増強も課題としてあげられる。
■株主還元策について
同社は、利益配分について「安定した配当の継続的な実行による株主に対する利益還元と内部留保の確保による将来の事業展開や経営環境の急激な変化への対応ができる経営基盤の強化」を基本方針としており、具体的な数値基準として配当性向30%を目安としている。
同社は、上場以来配当を継続しており、2009年6月期には赤字を計上したものの、無配とはしなかった。配当性向も30%前後を維持している。2013年6月期は分割調整後で年6円配(配当性向29.6%)を実施。また、2014年6月期は年11円配(配当性向30%)を計画している。
また、自社株買いにも積極的に取り組んでおり、2013年6月〜9月にかけて85,700株の自己株式を取得した。2013年6月末現在の自己株式の保有状況は、発行済株式総数(自己株式を除く)4, 2 2 0 , 3 0 0株に対して、自己株式総数855,700株となっている。今後、資本提携や買収などの際の株式交換に活用していく方針である。
ラジオNIKKEI マーケットプレス
『フィスコ presents 注目企業分析』毎週月・木曜14:30〜14:45放送
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■会社概要
葬儀の際に利用される生花祭壇等の企画・制作・設営が主力事業。また、生花卸売やブライダル用のブーケの制作販売なども手掛けるとともに、M&Aを軸とした規模拡大と事業の多角化を図っている。
■事業概要
同社の事業は、葬儀関連会社に対して、生花祭壇や供花等を提供する生花祭壇事業、生花祭壇部門の仕入れ及び葬儀関連会社や小売店へ生花を販売する生花卸売事業を中心として、子会社で展開するブライダル装花事業、土木・建設事業、システム開発事業、人材派遣事業などで構成されている。
■生花祭壇事業
主力である生花祭壇事業は、売上高の約61.4%、営業利益(調整前)の約69.4%を占める(2013年6月期)。同事業は葬儀関連会社に対して、生花祭壇や供花等の制作から、その設営までを含めたサービス提供を行っている。営業拠点は、熊本、福岡、沖縄、東京、埼玉、神奈川、宮城、大阪の国内7ヶ所で展開している。生花祭壇の受注件数は19,333件。地域別では、首都圏が40.9%と大きく、九州29.4%、関西15.2%、東北14.5%となっている(2013年6月期連結ベース)。
■その他の事業
ブライダル装花事業は、主に結婚式場に対し、卓上花やブーケ等の婚礼における生花商品を制作し、その設営までを含めたサービスの提供を行っており、子会社のOne Flowerで展開している。
土木・建設事業は、熊本市内及びその近郊にて、土木・河川工事などの公共事業を中心に手掛けている。2012年2月に子会社化した昇建設(本社:熊本)が展開している。
■同社の特徴
同社の特徴は、技術難易度の高いデザイン性による差別化と、独自の調達ルートを活かした価格競争力にある。特に、後者については、低価格による市場シェアの拡大を狙う同社にとって重要な戦略を支える要因となっている。同社は、従来の流通ルートである中間業者や卸売市場、仲卸・小売業者などを複数の段階を経ずに、直接国内外の生産者からの調達ルートを確立することで安価でスピーディな仕入れを可能としている。仕入原価の削減のために海外調達にも意欲的に取り組んでおり、2013年6月期の海外調達比率は38.8%(前期は30.7%)となっている。また、同じ規格の生花であっても、それぞれの地域の需給バランスによって価格が異なるが、同社は全国の相場動向を把握することにより、その時々の最適な仕入れを通じて価格メリットを享受できる体制も構築している。
■M&Aの展開
同社は、M&Aを軸とした周辺事業への水平展開により規模拡大を図っているが、同時に主力事業とのシナジー創出にも注力している。まだ、十分な成果を発揮できているとは言えないが、逆に今後の伸びしろとして、その進捗状況に注目すべきである。
2007年5月に参入したブライダル装花事業は、生花祭壇事業と繁忙期が重ならないため、スタッフや車両、設備などの経営資源をうまく融通しあうことで営業経費の削減を図ることができる。2012年9月から、熊本支店の生花祭壇事業を会社分割し、子会社のOne Flowerへ承継させ、葬儀とブライダルの統合によるシナジー創出に取り組み始めた。今後は、東京支店など各支店でも順次、同様の体制へと移行する計画である。
■市場環境
同社の主力である生花祭壇事業の業績は、全国の葬儀件数や1件当たりの葬儀業売上高との相関性が高い。過去5年間の年間死亡者数、葬儀件数、葬儀業売上高の推移を見ると、年間死亡者数は年平均2.4%と年々緩やかに増加している中で、それに連動して葬儀件数は同6.5%増、葬儀業売上高は同4.8%増と市場が拡大している。年間死亡者数が増加傾向にあるのは、高齢者人口が増加していることが背景であるが、人口構成から判断すると今後も1ケタ台前半の伸びが続くものと考えられる。
一方で1件当たりの葬儀業売上高は、2009年の1,501千円から2013年の1,405千円へ、年平均1.6%のペースで下落している。これは、消費者の意識の変化による葬儀の小型化に加え、比較的参入障壁が低い業界であるがゆえに異業種からの参入や、低価格パッケージを売りとしたフランチャイズ・チェーンの出現など、市場競争が激化していることが要因である。従って、今後、企業体力や経営効率に勝る大手を中心として再編が進展することが予想される。
■2014年6月期業績見通し
同社では2月7日に業績予想を修正している。2014年6月期の会社業績見通しは、売上高が前年比26.4%増の6,500百万円(期初予想比8.3%増)、営業利益が同50.9%減の85百万円(期初予想比71.7%減)、経常利益が同14.3%減の150百万円(期初予想比50.0%減)、当期純利益が同5.9%増の90百万円と大幅な増収を見込んでいる。業績予想を修正した理由としては、売上高は10月に子会社化したマイ・サクセスが寄与する見通し。一方、利益面では原価低減に向けた組織再編をおこなっているものの、生花祭壇事業における売上高が低調に推移していることを踏まえ、下方修正を行っている。
■中長期戦略
中期経営計画として、経常利益500百万円を目指すとともに、東証1部への市場変更も視野に入れている。同社が、規模拡大や東証1部上場にこだわるのは、スケールメリットの追求はもちろん、資金調達力や社会からの信用、優秀な人材等を得ることで、中小・零細事業者がひしめきあう業界を束ねる企業体力や管理体制を強化し、主導的な立場で業界再編を手掛ける構想を描いているからである。具体的には、生花事業のFC展開を目指しているが、葬儀関連ビジネスや生花小売店への参入など、垂直展開も検討している。
■財務状況
資本効率性を示す自己資本利益率(ROE)は14.2%(2013年6月期)。2013年6月期は、利益率に連動して低下したものの、依然として高い水準を維持できているのは、有利子負債を活用した財務レバレッジによるところが大きい。なお、デットエクイティレシオ(有利子負債残高/純資産)は約1.9倍であり、年々上昇している。
逆に、財務基盤の安定性を示す自己資本比率は23.9%(2013年6月期)。有利子負債残高の増加とともに低下している。インタレスト・カバレッジ・レシオ(キャッシュフロー/利払い)は25.7倍であり、金利の支払い能力に懸念はないものの、同社が今後の成長戦略を実践していくためには、収益力の強化とともに、財務基盤の増強も課題としてあげられる。
■株主還元策について
同社は、利益配分について「安定した配当の継続的な実行による株主に対する利益還元と内部留保の確保による将来の事業展開や経営環境の急激な変化への対応ができる経営基盤の強化」を基本方針としており、具体的な数値基準として配当性向30%を目安としている。
同社は、上場以来配当を継続しており、2009年6月期には赤字を計上したものの、無配とはしなかった。配当性向も30%前後を維持している。2013年6月期は分割調整後で年6円配(配当性向29.6%)を実施。また、2014年6月期は年11円配(配当性向30%)を計画している。
また、自社株買いにも積極的に取り組んでおり、2013年6月〜9月にかけて85,700株の自己株式を取得した。2013年6月末現在の自己株式の保有状況は、発行済株式総数(自己株式を除く)4, 2 2 0 , 3 0 0株に対して、自己株式総数855,700株となっている。今後、資本提携や買収などの際の株式交換に活用していく方針である。
ラジオNIKKEI マーケットプレス
『フィスコ presents 注目企業分析』毎週月・木曜14:30〜14:45放送
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