メディシス Research Memo(4):医薬品等ネットワーク事業は高利益率の受発注手数料収入で増益
[15/06/19]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
(2)事業セグメント別の動向
○医薬品等ネットワーク事業
医薬品等ネットワーク事業の売上高は前期比1.0%減の2,814百万円、営業利益は同5.1%増の1,549百万円となった。システム販売が減少したものの、利益率の高い受発注手数料収入の増収により増益となった。
2015年3月末の加盟店舗数は前期末比37店舗増の1,200店舗と増加ペースが鈍化した格好となっているが、これは2014年8月に大口先1社(230店舗)が脱退した影響が大きく、これを除けば267店舗増と過去最高の増加数となっている。また、医薬品発注取扱高は大口先脱退の影響で、前期比13.1%減の97,719百万円と減少した。にもかかわらず、受発注手数料収入が同7.4%増の1,601百万円と増収となったのは、同顧客の手数料率が他の中小・中堅規模の加盟店と比較し低水準であったためだ。
加盟件数が増加している要因としては、中小・中堅規模の調剤薬局の経営環境が年々厳しくなってきており、メディカルシステムネットワーク<4350>のネットワークサービスに加盟するメリットが強くなってきていることに加え、2015年1月に芙蓉総合リースと業務提携し、新たに医薬品仕入代金立替払サービスを開始した効果が大きい(詳細は後述)。
○調剤薬局事業
調剤薬局事業の売上高は前期比13.9%増の71,743百万円、営業利益は同29.2%増の2,377百万円となった。当期の出店状況は調剤薬局が前期末比24店舗増の345店舗(新規出店10店舗、M&A27店舗、退店13店舗)、ドラッグストアが同3店舗減の9店舗(出店3店舗、退店6店舗)となっている。
売上高の増収要因としては、M&Aを中心とした店舗数の拡大に加えて、既存店舗においても前期比1.7%増と堅調に推移したことが挙げられる。既存店ベースの処方箋枚数はインフルエンザの流行などにより前期比0.7%増となり、また、処方箋単価は後発医薬品の利用推進による加算点数の増加や処方日数の長期化などの影響で同1.0%増となった。後発医薬品取扱による加算点取得店比率は、期初段階の50.2%から期末には77.1%に上昇している。
営業利益の増益要因は、M&A効果に加えて既存店舗の収益改善が進んだことが大きい。既存店の営業利益は前期比493百万円の増益となったが、このうちの約半分は後発医薬品の取扱いや在宅業務の推進による加算点数の取得増効果、及び店舗ごとの人員配置の適正化を進めたことによる生産性向上などによるものとなっている。また、2014年3月期第4四半期において、医薬品卸売会社との仕入価格に関する調整差額分(2012年4月分からの2年分で588百万円)を費用計上しており、これが正常化したことで200〜300百万円程度の増益要因になったとみられる。
○賃貸・設備関連事業
賃貸・設備関連事業の売上高は前期比15.2%増の1,517百万円、営業利益25百万円(前期は39百万円の損失)となった。2013年5月に開業したサービス付き高齢者向け住宅「ウィステリア清田」(札幌市清田区)の入居契約数が、3月末時点で全75戸中60戸と前期末の47戸から順調に増加したことが収益改善要因となった。
○給食事業、その他事業
2013年11月に子会社化したTMSの事業となる給食事業は、売上高が前期比218.3%増の1,932百万円、営業損失が13百万円(前期は12百万円の損失)となった。2014年3月期が4ヶ月の連結対象であったため大幅増収となっているが、損益面では食材仕入れ価格の上昇などが影響して、若干の損失となった。
また、その他事業(治験施設支援業務)は、新規案件の組入れが遅延した影響で、売上高が前期比55.2%減の182百万円、営業損失が76百万円(前期は10百万円の利益)となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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