ソフト99 Research Memo(2):ファインケミカル事業が収益柱、他の事業も安定した収益を上げる
[15/08/04]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業概要
(1)事業内容
ソフト99コーポレーション<4464>は1954年(昭和29年)創業の自動車用、家庭用ケミカル用品の製造販売会社である。事業セグメントとしてはファインケミカル事業、ポーラスマテリアル事業、サービス事業、不動産関連事業の4つのセグメントで区分しており、各セグメントの事業内容と関連子会社は以下のとおりとなっている。2015年1月にTPMSの企画・開発・販売会社である(株)オレンジ・ジャパンの全株式を取得し、子会社化したほか、2014年7月に温浴施設(兵庫県尼崎市)敷地内にて介護予防支援を行う子会社、アライズ(株)を設立し、同年11月よりサービスを開始している。
直近5期間の事業別構成比を見ると売上高、セグメント利益ともにファインケミカル事業が同社の収益柱となっており、その他の事業に関しても期によって多少の変動はあるものの、総じて安定した収益を上げており、バランスのとれた事業ポートフォリオになっている。各事業の内容については、以下のとおり。
○ファインケミカル事業
ファインケミカル事業は大きく分けて、コンシューマ向けに販売されるカー用品(ボディケア、ガラスケア、リペアグッズ)、業務用カー用品(自動車美装業者向けコーティング剤など)、家庭用品(メガネケア製品、クリーナーなど)、海外事業(主にカー用品)、そして2016年3月期から業績に反映されるTPMS事業の5つに区分される。2015年3月期の売上構成比を見ると、コンシューマ向けカー用品が全体の71%を占め、次いで業務用カー用品が12%、海外事業が10%、家庭用品等が5%となっている。
コンシューマ向けカー用品の市場シェアを見ると、カーワックスを中心としたボディケア分野では約4割とトップで、参入企業は多いが、大手としてはウィルソンやシュアラスターなど同社を含めて4〜5社の争いとなっている。また、ガラスケア分野では6〜7割のシェアを握っている。雨天でも視界を確保するガラスコーティング剤「ガラコ」シリーズが高い支持を集めている。競合は綿之堂やシーシーアイなどがある。また、リペアグッズ(補修材)では約6割のシェアで、市場は同社と武蔵ホルトの2社の寡占市場となっている。
業務用に関しては自動車美装業者向けを中心にコーティング剤などを販売しているほか、自動車メーカーやディーラー向けのOEM製品も製造している。また、ここ数年では飲料用自動販売機や船舶、鉄道車両など、自動車業界以外の市場開拓も進めている。
海外事業では中国、東南アジア、ロシア向けが売上の中心で、現地代理店経由で販売を展開している。また、近年では東アジアを中心に業務用製品の販売を通じた自動車美装サービスの展開を現地パートナー企業と協業で進めている。
営業利益率は直近では8〜11%の間で安定して推移している。コンシューマ分野で高いシェアを獲得できていることと、利益率の高い業務用製品の販売が安定していることが要因とみられる。海外事業の収益性に関してはまだ低水準にあるが、これは粗利益率の低いコンシューマ向け製品が中心であることに加え、ロシア向けに関しては一部、他社製品の仕入れ販売を行っていることなども要因となっている。
○ポーラスマテリアル事業
同事業を手掛けるアイオン(株)は、ポリビニルアルコール(PVA)素材をベースとしたスポンジ(機能性多孔質吸収体)のパイオニア企業として知られており、高い吸水性能を生かした産業資材や生活資材の開発製造を行っている。1999年にカネボウ(株)の化成品事業を譲り受けた事業である。主な用途としては、産業資材で半導体、液晶、HDDの製造ライン用(洗浄・吸水工程)が、コンシューマ向け生活資材で洗車用タオルやスポーツ用タオルなどがある。2015年3月期の売上構成比で見ると、産業資材が73%、生活資材が27%の比率となっている。また、海外売上比率が53%と高くなっているのも特長で、特に半導体分野では世界大手の半導体メーカーを顧客に持つなど、その性能は業界でも高く評価されている。一方で、ハイテク業界の需要に左右されない事業体を構築すべく、近年では新用途への展開に取り組み、医療用途などの販路開拓をすすめている。
営業利益率は10%前後の水準で安定して推移している。コンシューマ向け生活資材の利益水準は比較的安定していることと、産業資材では、半導体業界・ハードディスク業界向けとも競合が少なく、ほぼ寡占的な業界環境にあるためだ。ただ、2008年3月期には16%台であったことからすると、最近はやや物足りない水準であるとも言える。これは前期はもち直したものの、収益性の高かった国内半導体業界向けがここ数年で縮小してきたことが大きく影響している。なお、海外向けに関しては円建て取引のため、為替変動の直接的な影響は受けない格好となっている。
○サービス事業
サービス事業は、子会社で展開しているオートサービス、自動車教習所、生活用品企画販売が含まれている。2015年3月期の売上構成比で見ると、オートサービスが48%、教習所が17%、生活用品企画販売が35%となっている。
オートサービス事業は主に、鈑金塗装や各種コーティング施工サービスを行っており、損保会社やカーディーラー経由で入庫される事故車両などの修理や車検整備を行っている。また、メイクアップ用のカーラッピングサービスなどにも注力している。サービス拠点は関西5ヶ所、首都圏で1ヶ所の体制となっており、主に関西が売上の中心となっているが、2013年9月に東京・江東区に新工場を稼働させており、首都圏の営業強化を進めている。
生活用品企画販売では、生活協同組合向けを中心に家庭用品・雑貨の企画販売を手掛けているが、幅広い調達先を活かしたインターネット販売も拡大してきており、今後はグループのネット販売のノウハウを集約し、この分野での事業拡大を目指していく方針となっている。
○不動産関連事業
不動産関連事業は不動産賃貸事業と温浴事業、介護予防支援事業が含まれる。2015年3月期の売上構成比で見ると、「極楽湯」(3店舗)を運営する温浴事業が77%、不動産賃貸事業が23%、介護予防支援事業が1%弱となっている。不動産賃貸事業に関しては本社ビルと東京・秋葉原にある自社ビルの賃貸を行っている。介護予防支援事業については、「極楽湯」(尼崎店)の同社敷地内の有効活用と温浴事業の付加サービスを目的として、2014年11月よりサービスを開始している。
(2)経営理念・ビジョン
同社の経営理念は「生活文化創造企業」、また、経営ビジョンとしては、「未来の『あたりまえ』を発見する」ことを目指していくことを掲げている。『あたりまえ』とは一過性のブームに終わらない、お客様に長く愛される製品・サービスを意味している。顧客目線を常に意識し、創意工夫を持って、『あたりまえ』となるような製品・サービスを創出し続けることで、成長を目指している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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(1)事業内容
ソフト99コーポレーション<4464>は1954年(昭和29年)創業の自動車用、家庭用ケミカル用品の製造販売会社である。事業セグメントとしてはファインケミカル事業、ポーラスマテリアル事業、サービス事業、不動産関連事業の4つのセグメントで区分しており、各セグメントの事業内容と関連子会社は以下のとおりとなっている。2015年1月にTPMSの企画・開発・販売会社である(株)オレンジ・ジャパンの全株式を取得し、子会社化したほか、2014年7月に温浴施設(兵庫県尼崎市)敷地内にて介護予防支援を行う子会社、アライズ(株)を設立し、同年11月よりサービスを開始している。
直近5期間の事業別構成比を見ると売上高、セグメント利益ともにファインケミカル事業が同社の収益柱となっており、その他の事業に関しても期によって多少の変動はあるものの、総じて安定した収益を上げており、バランスのとれた事業ポートフォリオになっている。各事業の内容については、以下のとおり。
○ファインケミカル事業
ファインケミカル事業は大きく分けて、コンシューマ向けに販売されるカー用品(ボディケア、ガラスケア、リペアグッズ)、業務用カー用品(自動車美装業者向けコーティング剤など)、家庭用品(メガネケア製品、クリーナーなど)、海外事業(主にカー用品)、そして2016年3月期から業績に反映されるTPMS事業の5つに区分される。2015年3月期の売上構成比を見ると、コンシューマ向けカー用品が全体の71%を占め、次いで業務用カー用品が12%、海外事業が10%、家庭用品等が5%となっている。
コンシューマ向けカー用品の市場シェアを見ると、カーワックスを中心としたボディケア分野では約4割とトップで、参入企業は多いが、大手としてはウィルソンやシュアラスターなど同社を含めて4〜5社の争いとなっている。また、ガラスケア分野では6〜7割のシェアを握っている。雨天でも視界を確保するガラスコーティング剤「ガラコ」シリーズが高い支持を集めている。競合は綿之堂やシーシーアイなどがある。また、リペアグッズ(補修材)では約6割のシェアで、市場は同社と武蔵ホルトの2社の寡占市場となっている。
業務用に関しては自動車美装業者向けを中心にコーティング剤などを販売しているほか、自動車メーカーやディーラー向けのOEM製品も製造している。また、ここ数年では飲料用自動販売機や船舶、鉄道車両など、自動車業界以外の市場開拓も進めている。
海外事業では中国、東南アジア、ロシア向けが売上の中心で、現地代理店経由で販売を展開している。また、近年では東アジアを中心に業務用製品の販売を通じた自動車美装サービスの展開を現地パートナー企業と協業で進めている。
営業利益率は直近では8〜11%の間で安定して推移している。コンシューマ分野で高いシェアを獲得できていることと、利益率の高い業務用製品の販売が安定していることが要因とみられる。海外事業の収益性に関してはまだ低水準にあるが、これは粗利益率の低いコンシューマ向け製品が中心であることに加え、ロシア向けに関しては一部、他社製品の仕入れ販売を行っていることなども要因となっている。
○ポーラスマテリアル事業
同事業を手掛けるアイオン(株)は、ポリビニルアルコール(PVA)素材をベースとしたスポンジ(機能性多孔質吸収体)のパイオニア企業として知られており、高い吸水性能を生かした産業資材や生活資材の開発製造を行っている。1999年にカネボウ(株)の化成品事業を譲り受けた事業である。主な用途としては、産業資材で半導体、液晶、HDDの製造ライン用(洗浄・吸水工程)が、コンシューマ向け生活資材で洗車用タオルやスポーツ用タオルなどがある。2015年3月期の売上構成比で見ると、産業資材が73%、生活資材が27%の比率となっている。また、海外売上比率が53%と高くなっているのも特長で、特に半導体分野では世界大手の半導体メーカーを顧客に持つなど、その性能は業界でも高く評価されている。一方で、ハイテク業界の需要に左右されない事業体を構築すべく、近年では新用途への展開に取り組み、医療用途などの販路開拓をすすめている。
営業利益率は10%前後の水準で安定して推移している。コンシューマ向け生活資材の利益水準は比較的安定していることと、産業資材では、半導体業界・ハードディスク業界向けとも競合が少なく、ほぼ寡占的な業界環境にあるためだ。ただ、2008年3月期には16%台であったことからすると、最近はやや物足りない水準であるとも言える。これは前期はもち直したものの、収益性の高かった国内半導体業界向けがここ数年で縮小してきたことが大きく影響している。なお、海外向けに関しては円建て取引のため、為替変動の直接的な影響は受けない格好となっている。
○サービス事業
サービス事業は、子会社で展開しているオートサービス、自動車教習所、生活用品企画販売が含まれている。2015年3月期の売上構成比で見ると、オートサービスが48%、教習所が17%、生活用品企画販売が35%となっている。
オートサービス事業は主に、鈑金塗装や各種コーティング施工サービスを行っており、損保会社やカーディーラー経由で入庫される事故車両などの修理や車検整備を行っている。また、メイクアップ用のカーラッピングサービスなどにも注力している。サービス拠点は関西5ヶ所、首都圏で1ヶ所の体制となっており、主に関西が売上の中心となっているが、2013年9月に東京・江東区に新工場を稼働させており、首都圏の営業強化を進めている。
生活用品企画販売では、生活協同組合向けを中心に家庭用品・雑貨の企画販売を手掛けているが、幅広い調達先を活かしたインターネット販売も拡大してきており、今後はグループのネット販売のノウハウを集約し、この分野での事業拡大を目指していく方針となっている。
○不動産関連事業
不動産関連事業は不動産賃貸事業と温浴事業、介護予防支援事業が含まれる。2015年3月期の売上構成比で見ると、「極楽湯」(3店舗)を運営する温浴事業が77%、不動産賃貸事業が23%、介護予防支援事業が1%弱となっている。不動産賃貸事業に関しては本社ビルと東京・秋葉原にある自社ビルの賃貸を行っている。介護予防支援事業については、「極楽湯」(尼崎店)の同社敷地内の有効活用と温浴事業の付加サービスを目的として、2014年11月よりサービスを開始している。
(2)経営理念・ビジョン
同社の経営理念は「生活文化創造企業」、また、経営ビジョンとしては、「未来の『あたりまえ』を発見する」ことを目指していくことを掲げている。『あたりまえ』とは一過性のブームに終わらない、お客様に長く愛される製品・サービスを意味している。顧客目線を常に意識し、創意工夫を持って、『あたりまえ』となるような製品・サービスを創出し続けることで、成長を目指している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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