ソフト99 Research Memo(3):国内新車販売の落ち込みや消費増税の影響で減収減益
[15/08/04]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■決算動向
(1) 2015年3月期の連結業績概要
ソフト99コーポレーション<4464>の2015年3月期の連結業績は売上高が前期比1.2%減の21,343百万円、営業利益が同6.0%減の1,750百万円、経常利益が同7.1%減の1,943百万円、当期純利益が同15.2%減の943百万円となり、期初会社計画に対しても売上高、利益ともに若干下回る格好となった。国内新車販売の落ち込みや、消費増税の影響が長引いたことなどにより、主力のファインケミカル事業の収益が低迷したのが主因だ。また、2015年1月に子会社化した(株)オレンジ・ジャパンについて、当初想定していたよりも投資額の回収に時間を要すると判断したことにより、のれん全額を減損損失(174百万円)として特別損失に計上している。
セグメント別の動向は以下のとおり。
○ファインケミカル事業
ファインケミカル事業の業績は、売上高が前期比2.8%減の10,346百万円、営業利益が同22.5%減の931百万円となった。売上高では5期ぶりの減収、営業利益では6期ぶりの減益となった。国内新車販売の減少に加えて、消費増税の影響による小売店への来客数減少が売上高の低迷要因となった。また、営業利益率は前期の11.3%から9.0%へ低下したが、これは収益性の高いボディケア製品や業務用製品の落ち込みに加えて、新製品投入に伴う広告宣伝費など一過性の費用増が要因となっている。
カテゴリー別の売上動向を見ると、コンシューマ向けボディケア製品は前期比6.5%減収となった。タイヤホイールお手入れ用の新製品「ホイールダストブロッカー」は好調に推移したものの、大型商品として販促強化を集中的に行った「スムースエッグマイクロホイップ」の販売が当初想定を下回ったほか、丸缶ワックスなどその他製品も全体的に低迷した。また、リペア製品も補修ペイントの販売減少により、同1.5%減収となった。一方、ガラスケア製品は、商品力が高い「ガラコシリーズ」を中心にラインアップの拡充を進めたことで、前期比1.8%増収と堅調に推移した。
業務用製品は、自社ブランドのコーティング剤「G’ZOX」が堅調に推移したものの、自動車メーカー向けOEMコーティング剤の低迷により、前期比8.5%減収となった。自動車業界以外の市場開拓については、鉄道車両向けにコーティング剤の採用が着実に進んでいる。鉄道車両は一般的に2年に1度、再塗装を実施しているが、同社のコーティング剤を使用することで塗装時期が延長できるほか、洗浄効果も優れるといったメリットが評価されている。鉄道車両向けには「ガラコシリーズ」の技術を活用したガラス撥水剤も採用されている。売上高はまだ小さいものの、今後の成長が期待される。
家庭用品等の売上高は前期比6.3%減収となった。DIY製品やOEM製品は堅調に推移したものの、主力のメガネケア3製品において上期に「メガネのシャンプー」の新パッケージ入替えに伴う返品が発生したことが響いた。ただ、下期以降はマスク需要の高まりによる、新製品のくもり止めジェルの企画採用が増加したことで、回復傾向となっている。
海外事業は前期比4.1%増収となった。主要仕向地先であるロシアやアジア地域において現地語に対応したパッケージ製品の投入を進めたことが販売増につながったほか、ロシアではモスクワ地域で新規顧客を獲得したことも増収要因となった。
○ポーラスマテリアル事業
ポーラスマテリアル事業の業績は、売上高が前期比0.6%減の4,640百万円、営業利益が同4.8%増の509百万円となった。営業利益率は前期の10.4%から11.0%に上昇したが、これは利益率の高い国内向け産業資材、生活資材の売上が増加したことによる。
カテゴリー別売上高を見ると、産業用資材のうち国内向けは半導体メーカー向けの回復に伴い前期比6.9%増収となった。海外向けはハードディスクメーカー向けが好調に推移したものの、大手半導体メーカーの受注減が響いて同5.2%減収となった。
生活資材向けに関しては、国内向けは前期比10.1%増収と好調に推移した。家庭用新製品「汚れ落としシリーズ」の取扱店舗が拡大したほか、スポーツ用タオルが好調に推移した。特に、今期はソフト99コーポレーションの営業ネットワーク網を活用し、協働して販路拡大を進めたことが寄与した。一方、海外向けは前期比10.9%減収と低迷した。プエルトリコやナイジェリアなど新市場の開拓が進んだものの、米国市場での在庫調整やロシア向けの低迷が響いた。
○サービス事業
サービス事業の業績は、売上高が前期比0.2%増の4,896百万円、営業利益は同76百万円(前期は9百万円)となった。前期に発生した自動車整備・鈑金事業の東京工場移転に伴う一過性費用がなくなったことや自動車教習所の稼働率向上で増益となったものの、2年前の水準と比較するとまだ低水準にとどまっている。
オートサービス事業は、損害保険の料率改定の影響で輸入車ディーラーや損害保険会社からの紹介入庫の減少が続いているものの、東京新工場稼働による新規顧客開拓が進んだことやフィルム施工サービスの伸長により、売上高は前期比1.0%増とわずかながら増収に転じた。
また、自動車教習所事業も消費増税前の駆け込み需要や職業免許教習の取り組みを強化したことにより、入所者数で兵庫県内の教習所でトップとなるなど好調に推移し、前期比2.3%増収となった。
一方、生活用品企画販売事業では、自社サイト「ココ笑店」を通じたインターネット販売が伸長したものの、主要顧客である生協向けは消費増税の影響で上期に落ち込んだことで前期比2.0%減収となった。
○不動産関連事業
不動産関連事業の業績は、売上高が前期比4.8%増の1,460百万円、営業利益が同43.3%増の221百万円となった。賃貸テナント収益の増加に加えて、温浴事業も堅調に推移したことが増収増益要因となった。
不動産賃貸事業の売上高は、旧東京支店ビルのテナント入居数が増加したことで前期比20.8%増収となった。また、温浴事業では季節に合わせたイベントの開催などにより来場者数が増加したことに加え、独自考案した飲食メニューの提供による客単価の上昇もあって、前期比0.1%増収と堅調に推移した。なお、2014年11月より介護予防支援事業を「極楽湯」尼崎店の敷地内で開始しており、売上高としては3百万円を計上している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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(1) 2015年3月期の連結業績概要
ソフト99コーポレーション<4464>の2015年3月期の連結業績は売上高が前期比1.2%減の21,343百万円、営業利益が同6.0%減の1,750百万円、経常利益が同7.1%減の1,943百万円、当期純利益が同15.2%減の943百万円となり、期初会社計画に対しても売上高、利益ともに若干下回る格好となった。国内新車販売の落ち込みや、消費増税の影響が長引いたことなどにより、主力のファインケミカル事業の収益が低迷したのが主因だ。また、2015年1月に子会社化した(株)オレンジ・ジャパンについて、当初想定していたよりも投資額の回収に時間を要すると判断したことにより、のれん全額を減損損失(174百万円)として特別損失に計上している。
セグメント別の動向は以下のとおり。
○ファインケミカル事業
ファインケミカル事業の業績は、売上高が前期比2.8%減の10,346百万円、営業利益が同22.5%減の931百万円となった。売上高では5期ぶりの減収、営業利益では6期ぶりの減益となった。国内新車販売の減少に加えて、消費増税の影響による小売店への来客数減少が売上高の低迷要因となった。また、営業利益率は前期の11.3%から9.0%へ低下したが、これは収益性の高いボディケア製品や業務用製品の落ち込みに加えて、新製品投入に伴う広告宣伝費など一過性の費用増が要因となっている。
カテゴリー別の売上動向を見ると、コンシューマ向けボディケア製品は前期比6.5%減収となった。タイヤホイールお手入れ用の新製品「ホイールダストブロッカー」は好調に推移したものの、大型商品として販促強化を集中的に行った「スムースエッグマイクロホイップ」の販売が当初想定を下回ったほか、丸缶ワックスなどその他製品も全体的に低迷した。また、リペア製品も補修ペイントの販売減少により、同1.5%減収となった。一方、ガラスケア製品は、商品力が高い「ガラコシリーズ」を中心にラインアップの拡充を進めたことで、前期比1.8%増収と堅調に推移した。
業務用製品は、自社ブランドのコーティング剤「G’ZOX」が堅調に推移したものの、自動車メーカー向けOEMコーティング剤の低迷により、前期比8.5%減収となった。自動車業界以外の市場開拓については、鉄道車両向けにコーティング剤の採用が着実に進んでいる。鉄道車両は一般的に2年に1度、再塗装を実施しているが、同社のコーティング剤を使用することで塗装時期が延長できるほか、洗浄効果も優れるといったメリットが評価されている。鉄道車両向けには「ガラコシリーズ」の技術を活用したガラス撥水剤も採用されている。売上高はまだ小さいものの、今後の成長が期待される。
家庭用品等の売上高は前期比6.3%減収となった。DIY製品やOEM製品は堅調に推移したものの、主力のメガネケア3製品において上期に「メガネのシャンプー」の新パッケージ入替えに伴う返品が発生したことが響いた。ただ、下期以降はマスク需要の高まりによる、新製品のくもり止めジェルの企画採用が増加したことで、回復傾向となっている。
海外事業は前期比4.1%増収となった。主要仕向地先であるロシアやアジア地域において現地語に対応したパッケージ製品の投入を進めたことが販売増につながったほか、ロシアではモスクワ地域で新規顧客を獲得したことも増収要因となった。
○ポーラスマテリアル事業
ポーラスマテリアル事業の業績は、売上高が前期比0.6%減の4,640百万円、営業利益が同4.8%増の509百万円となった。営業利益率は前期の10.4%から11.0%に上昇したが、これは利益率の高い国内向け産業資材、生活資材の売上が増加したことによる。
カテゴリー別売上高を見ると、産業用資材のうち国内向けは半導体メーカー向けの回復に伴い前期比6.9%増収となった。海外向けはハードディスクメーカー向けが好調に推移したものの、大手半導体メーカーの受注減が響いて同5.2%減収となった。
生活資材向けに関しては、国内向けは前期比10.1%増収と好調に推移した。家庭用新製品「汚れ落としシリーズ」の取扱店舗が拡大したほか、スポーツ用タオルが好調に推移した。特に、今期はソフト99コーポレーションの営業ネットワーク網を活用し、協働して販路拡大を進めたことが寄与した。一方、海外向けは前期比10.9%減収と低迷した。プエルトリコやナイジェリアなど新市場の開拓が進んだものの、米国市場での在庫調整やロシア向けの低迷が響いた。
○サービス事業
サービス事業の業績は、売上高が前期比0.2%増の4,896百万円、営業利益は同76百万円(前期は9百万円)となった。前期に発生した自動車整備・鈑金事業の東京工場移転に伴う一過性費用がなくなったことや自動車教習所の稼働率向上で増益となったものの、2年前の水準と比較するとまだ低水準にとどまっている。
オートサービス事業は、損害保険の料率改定の影響で輸入車ディーラーや損害保険会社からの紹介入庫の減少が続いているものの、東京新工場稼働による新規顧客開拓が進んだことやフィルム施工サービスの伸長により、売上高は前期比1.0%増とわずかながら増収に転じた。
また、自動車教習所事業も消費増税前の駆け込み需要や職業免許教習の取り組みを強化したことにより、入所者数で兵庫県内の教習所でトップとなるなど好調に推移し、前期比2.3%増収となった。
一方、生活用品企画販売事業では、自社サイト「ココ笑店」を通じたインターネット販売が伸長したものの、主要顧客である生協向けは消費増税の影響で上期に落ち込んだことで前期比2.0%減収となった。
○不動産関連事業
不動産関連事業の業績は、売上高が前期比4.8%増の1,460百万円、営業利益が同43.3%増の221百万円となった。賃貸テナント収益の増加に加えて、温浴事業も堅調に推移したことが増収増益要因となった。
不動産賃貸事業の売上高は、旧東京支店ビルのテナント入居数が増加したことで前期比20.8%増収となった。また、温浴事業では季節に合わせたイベントの開催などにより来場者数が増加したことに加え、独自考案した飲食メニューの提供による客単価の上昇もあって、前期比0.1%増収と堅調に推移した。なお、2014年11月より介護予防支援事業を「極楽湯」尼崎店の敷地内で開始しており、売上高としては3百万円を計上している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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