システムインテ Research Memo(3):販管費の減少などが増益に寄与
[16/05/16]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■決算動向
(1) 2016年2月期業績について
4月8日付で発表されたシステムインテグレータ<3826>の2016年2月期の業績は、売上高が前期比14.1%増の3,539百万円、営業利益が444百万円(前期は733百万円の損失)、経常利益が447百万円(同731百万円の損失)、当期純利益が364百万円(同906百万円の損失)となり、2期ぶりに過去最高業績を更新した。
2015年2月期は不採算プロジェクト発生に伴う受注損失引当金1,067百万円を計上したことで赤字となったが、当期はその影響が一巡したこと、また収益回復を図るためプロジェクト管理強化に取り組みプロジェクト利益率が大幅に改善したこと、人件費や研究開発費、経費の抑制に努め販管費が減少したことも増益要因となった。なお、2016年1月に業績修正した会社計画値に対して見ると、売上高が39百万円の増額となる一方で、営業利益は55百万円の未達となった。これはEC・オムニチャネル事業において販売計画の見直しからソフトウェア資産の追加償却122百万円を実施したことが要因となっている。この償却がなければ営業利益も計画を上回ったことになる。なお、不採算プロジェクトに関しては既にプロジェクトは中止されており、新たな損失が発生する可能性はほとんどないものと思われる。事業セグメント別の動向は以下のとおり。
○Object Browser事業
Object Browser事業の売上高は580百万円、営業利益は392百万円となった。同事業の売上高は、前期までの「SI Object Browser」関連、「OBPM」関連の売上高を合計した金額となり、これとの比較では3.5%増と増収基調を継続した。
「SI Object Browser」シリーズについては、業界デファクトスタンダードとして累計約1.6万社に導入されており、売上高としては前期比横ばい水準となった。一方、「OBPM」については発売後8年がたち、認知度向上とともに導入社数も前期末の約90社から120社超へ拡大し、2ケタ増収となった。また、2015年5月に中国のウィナーソフト社と業務提携を結び、中国版「OBPM」の開発及び販売に関する業務提携を締結した。具体的な提携内容は、中国向けにローカライズした「OBPM」の開発委託、中国国内における総販売代理店及び販売先ユーザーに対する製品サポート活動となる。ウィナーソフト社は中国で中堅規模のソフトウェア開発会社となり、2016年に中国市場でのIPOを予定している。ソフトウェアのPMツールやコンサルティング領域で中国No.1カンパニーを目指しており、「OBPM」の第1号ユーザーでもあり、今後中国版「OBPM」を戦略商品として中国で販売していく予定だ。
「OBDZ」はソフトウェア分野における設計の自動化ツールとなる。IT業界の人手不足が慢性化するなかで、生産性を高めるツールとして徐々に注目され始めており、売上規模はまだ小さいものの導入社数は10社超となっている。適時、ユーザーの要望を反映させながら製品改良を行っており、競合製品が無いなかで新たな収益源に成長するものとして期待される。
○ERP事業
ERP事業の売上高は2,286百万円、営業利益は401百万円となった。同事業の売上高は、前期までの「GRANDIT」関連に相当するもので、これとの比較では41.5%増と大幅増収となった。前期はその他事業において発生した不採算プロジェクトの収束を優先するため、営業・開発リソースを同プロジェクトに振り向けたため売上高が伸び悩んだが、当期は通常の業務体制に戻ったことや、企業のIT投資の活発化を背景に大幅増収となった。
特に、同社独自開発の「個別生産管理アドオンモジュール」「繰返生産管理アドオンモジュール」が製造業向けに、また。「OBPM」との組み合わせによる「プロジェクト管理テンプレート(ITテンプレート)」がIT関連業界向けにそれぞれ好調に推移した。「GRANDIT」コンソーシアム14社のなかで、エンジニアの数で約60名と最大人数を抱えており、また、様々な顧客ニーズに対応できるだけの高いスキルを兼ね備えていることも売上好調の要因となっている。
○EC・オムニチャネル事業
EC・オムニチャネル事業の売上高は672百万円、営業利益はソフトウェア資産の償却122百万円を計上したこともあり、30百万円の損失となった。同事業の売上高は、前期までの「SI Web Shopping」関連に相当するもので、これとの比較では26.2%減と2期連続の減収となった。
EC市場は拡大が続いているものの、ECサイト構築パッケージの競争激化が続いていることが売上低迷の主因となっている。「SOCS」については2015年1月のリリース以降、機能拡充に注力しており、導入が進むのは2017年2月期以降となる見通しだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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(1) 2016年2月期業績について
4月8日付で発表されたシステムインテグレータ<3826>の2016年2月期の業績は、売上高が前期比14.1%増の3,539百万円、営業利益が444百万円(前期は733百万円の損失)、経常利益が447百万円(同731百万円の損失)、当期純利益が364百万円(同906百万円の損失)となり、2期ぶりに過去最高業績を更新した。
2015年2月期は不採算プロジェクト発生に伴う受注損失引当金1,067百万円を計上したことで赤字となったが、当期はその影響が一巡したこと、また収益回復を図るためプロジェクト管理強化に取り組みプロジェクト利益率が大幅に改善したこと、人件費や研究開発費、経費の抑制に努め販管費が減少したことも増益要因となった。なお、2016年1月に業績修正した会社計画値に対して見ると、売上高が39百万円の増額となる一方で、営業利益は55百万円の未達となった。これはEC・オムニチャネル事業において販売計画の見直しからソフトウェア資産の追加償却122百万円を実施したことが要因となっている。この償却がなければ営業利益も計画を上回ったことになる。なお、不採算プロジェクトに関しては既にプロジェクトは中止されており、新たな損失が発生する可能性はほとんどないものと思われる。事業セグメント別の動向は以下のとおり。
○Object Browser事業
Object Browser事業の売上高は580百万円、営業利益は392百万円となった。同事業の売上高は、前期までの「SI Object Browser」関連、「OBPM」関連の売上高を合計した金額となり、これとの比較では3.5%増と増収基調を継続した。
「SI Object Browser」シリーズについては、業界デファクトスタンダードとして累計約1.6万社に導入されており、売上高としては前期比横ばい水準となった。一方、「OBPM」については発売後8年がたち、認知度向上とともに導入社数も前期末の約90社から120社超へ拡大し、2ケタ増収となった。また、2015年5月に中国のウィナーソフト社と業務提携を結び、中国版「OBPM」の開発及び販売に関する業務提携を締結した。具体的な提携内容は、中国向けにローカライズした「OBPM」の開発委託、中国国内における総販売代理店及び販売先ユーザーに対する製品サポート活動となる。ウィナーソフト社は中国で中堅規模のソフトウェア開発会社となり、2016年に中国市場でのIPOを予定している。ソフトウェアのPMツールやコンサルティング領域で中国No.1カンパニーを目指しており、「OBPM」の第1号ユーザーでもあり、今後中国版「OBPM」を戦略商品として中国で販売していく予定だ。
「OBDZ」はソフトウェア分野における設計の自動化ツールとなる。IT業界の人手不足が慢性化するなかで、生産性を高めるツールとして徐々に注目され始めており、売上規模はまだ小さいものの導入社数は10社超となっている。適時、ユーザーの要望を反映させながら製品改良を行っており、競合製品が無いなかで新たな収益源に成長するものとして期待される。
○ERP事業
ERP事業の売上高は2,286百万円、営業利益は401百万円となった。同事業の売上高は、前期までの「GRANDIT」関連に相当するもので、これとの比較では41.5%増と大幅増収となった。前期はその他事業において発生した不採算プロジェクトの収束を優先するため、営業・開発リソースを同プロジェクトに振り向けたため売上高が伸び悩んだが、当期は通常の業務体制に戻ったことや、企業のIT投資の活発化を背景に大幅増収となった。
特に、同社独自開発の「個別生産管理アドオンモジュール」「繰返生産管理アドオンモジュール」が製造業向けに、また。「OBPM」との組み合わせによる「プロジェクト管理テンプレート(ITテンプレート)」がIT関連業界向けにそれぞれ好調に推移した。「GRANDIT」コンソーシアム14社のなかで、エンジニアの数で約60名と最大人数を抱えており、また、様々な顧客ニーズに対応できるだけの高いスキルを兼ね備えていることも売上好調の要因となっている。
○EC・オムニチャネル事業
EC・オムニチャネル事業の売上高は672百万円、営業利益はソフトウェア資産の償却122百万円を計上したこともあり、30百万円の損失となった。同事業の売上高は、前期までの「SI Web Shopping」関連に相当するもので、これとの比較では26.2%減と2期連続の減収となった。
EC市場は拡大が続いているものの、ECサイト構築パッケージの競争激化が続いていることが売上低迷の主因となっている。「SOCS」については2015年1月のリリース以降、機能拡充に注力しており、導入が進むのは2017年2月期以降となる見通しだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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