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アンジェス Research Memo(1):今年半ばに2つのパイプラインの臨床試験結果が発表される見通し

注目トピックス 日本株
アンジェス MG<4563>は、1999年に設立された大阪大学発の創薬ベンチャー。遺伝子医薬に特化した開発を進めている。新薬候補品を開発し、販売パートナーとの販売権許諾契約によって得られる契約一時金や、開発の進捗状況等によって得られるマイルストーン収益、上市後の製品売上高にかかるロイヤリティ収入を獲得するビジネスモデルとなる。現在治験を進めているHGF遺伝子治療薬(重症虚血肢)、NF-κBデコイオリゴ(アトピー性皮膚炎)については自社で先行的に開発投資を進めている分、ロイヤリティの料率が一般的な水準よりも高く設定されている。

当第1四半期の開発パイプラインの進捗状況は、NF-κB(エヌ・エフ・カッパ・ビー)デコイオリゴ(アトピー性皮膚炎治療薬)の第3相臨床試験が2月に終了し、また、3月には国内のHGF遺伝子治療薬(重症虚血肢向け)の医師主導型臨床研究において2症例目の投与が開始された。第2四半期には、NF-κBデコイオリゴを薬剤とする2つのパイプライン(アトピー性皮膚炎治療薬、薬剤塗布型バルーンカテーテル)の臨床試験結果が発表される見通しで、結果が良ければ年内にも製造販売承認申請を行う予定だ。また、国内のHGF遺伝子治療薬(重症虚血肢向け)についても残り4症例の投与を早期に開始し、早ければ年内に条件及び期限付き承認制度を活用した承認申請を目指している。なお、2016年4月にDNAワクチン技術を用いたエボラ出血熱抗血清剤開発でカナダのサスカチュワン大学と提携し、共同で開発を進めていくと発表している。

2016年12月期の業績は、グローバル臨床試験費用を中心に研究開発費が前期比約2,000百万円増の5,500百万円規模とピークを迎えることから、営業損失は前期の4,171百万円から6,400百万円とさらに拡大する見込みとなっている。2017年以降は研究開発費用が減少に転じるため営業損失も縮小するが、黒字化の時期はHGF遺伝子治療薬のグローバル治験が順調に進み、米国で承認申請する2019年頃となる見通しだ。このため、当面は開発資金の調達が経営課題となる。2016年4月に第三者割当による新株予約権を発行し、約30億円の調達に成功したが、3月末の現預金が約8億円であることからすると、今期中に再度何らかの資金調達が必要となり、株式価値の希薄化が生じるリスクがあることには留意する必要がある。

重症虚血肢治療薬が開発されれば、米国ではその市場規模は約50億ドルになると予想されている。同社は米国及び国内市場で田辺三菱製薬<4508>と独占的販売権許諾契約を締結しており、既に受領した契約一時金とマイルストーン収益を合わせて100億円程度の収益を得られる見通しとなっている。

注記:2015年12月期決算短信[日本基準](連結)における継続企業の前提に関する事項について、2016年3月30日時点で、注記を追加することを決議しています。

■Check Point
・アトピー性皮膚炎治療薬および薬剤塗布型バルーンカテーテルの臨床試験結果は今年半ばに判明予定
・様々な資金調達方法の中から慎重に検討を進めながら調達していく方針
・2025年ビジョンを策定、主な目標は売上高500億円以上を達成

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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