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EMシステムズ< Research Memo(7):業績好調により自己資本比率が上昇、財務の健全化が進む

注目トピックス 日本株

■決算動向

(3)財務状態、キャッシュ・フローの状況及び経営指標

EMシステムズ<4820>の2016年9月末における総資産は20,330百万円となり前期末に比べ20百万円増加した。内訳を見ると、流動資産が、主に現金及び預金の増加147百万円により171百万円増の9,929百万円となった。一方、固定資産は同150百万円減の10,399百万円となった。これは、無形固定資産の減少35百万円と投資不動産の減少による投資その他の資産の減少126百万円があったことによる。

負債合計は7,384百万円と前期末に比べ753百万円減少した。流動負債が同490百万円減の4,119百万円となった。これは、支払手形及び買掛金の減少197百万円、未払法人税等の減少228百万円が主要因。加えて、固定負債も主に長期借入金の減少259百万円により、3,265百万円と前期末に比べ262百万円減少した。なお、長期借入金の返済により、有利子負債は前期末に比べ324百万円減少し2,544百万円となった。一方、純資産は、主に利益剰余金の増加686百万円などにより前期末に比べ774百万円増加し12,946百万円となった。

キャッシュ・フローの状況について見ると、2016年9月末における現金及び現金同等物は前期末比148百万円増加し、6,502百万円となった。営業キャッシュ・フローは488百万円の収入となった。内訳を見ると、不動産賃貸収入482百万円、その他流動資産の増加368百万円、仕入債務の減少197百万円などのマイナス要因があったものの、税金等調整前四半期純利益1,431百万円、減価償却費314百万円、売上債権の減少332百万円などがプラス要因として働いた。また、投資キャッシュ・フローも、無形固定資産の取得による支出122百万円、投資不動産の賃貸による支出83百万円などを投資不動産の賃貸による収入482百万円でカバーし、225百万円の収入となった。対照的に、財務キャッシュ・フローは長期借入金の返済による支出323百万円や配当金の支払額270百万円などにより535百万円の支出となった。

経営指標について見ると、業績拡大に伴う利益の蓄積が進んだことにより健全性を表す自己資本比率は63.3%へ上昇(前期末は59.6%)したほか、流動比率も241.1%へ上昇した。また、長期借入金の返済により有利子負債比率は前期末の23.7%から19.8%へ低下した。財務の健全化が着実に進む内容となった。一方、収益性を表す営業利益率は、4月に実施した組織改革の効果の顕在化などにより17.6%へ上昇(前年同期は11.0%)し、収益性の改善が一段と進む格好となった。

(4) 2017年3月期会社計画と下期の施策

2017年3月期業績については、第2四半期業績の進捗率(売上高46.9%、営業利益56.0%、親会社株主に帰属する四半期純利益57.0%)が売上高を除いて前年同期実績(売上高47.3%、営業利益36.8%、親会社株主に帰属する四半期純利益49.7%)を上回るペースで進捗しているにもかかわらず、主力ユーザーである調剤薬局の第3四半期(10月−12月)以降の投資動向が不透明※であることを手掛かりに、期初計画(売上高13,900百万円、営業利益2,050百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,680百万円)を据え置いた。

※同社によると、調剤システム事業は4月から8月までは順調に推移したものの、9月は予算未達となったとしている。実際、大手調剤チェーン薬局の決算動向を見ると、4月の調剤報酬及び薬価改定によるマイナス影響により減益決算となる企業が数多くみられる。このため、下期にはIT投資予算の凍結・先送りが発生する可能性があると見ている。

事業部別に見た下期の施策は以下のとおり。まず、主力の調剤システム事業部に関しては、2017年1月に月額基本料金の値下げ※を行う予定になっており、同社からのユーザーの離反防止(長期利用)、他社からの乗り換えを促進させる。加えて、OEMビジネスの活性化や、製品の品質・開発生産性の向上を図ることなどを施策として挙げている。

※値下げは、調剤薬局向けレセプトコンピュータシステム「ReceptyNEXT」、「ぶんぎょうめいとNEXT」、「ApobahnNEXT」の3製品。2017年1月から月額基本料金を10%値下げするほか、月額利用料金支払い回数60回(5年分に相当)経過後、5%割引とし、以降12回(1年相当)経過ごとに1%ずつ割引率を上げる(上限は10%)というもの。

医科システム事業部では、新規代理店の開拓を進めるほか、ソフトウェア単体販売となる電子カルテ新商品「オルテア」の代理店販売拡大を図り、またOEM供給ビジネスの開拓を進める計画となっている。一方、医療介護連携事業部では、10月に介護サービス事業者支援システム「つながるケアNEXT」をリリースしたのに続き、2017年1月に情報共有機能「医療介護連携ソリューション」のリリースを予定しており、ユーザー経由の紹介獲得と介護事業チェーン店への訪問営業を推進する※。また、営業・サービス事業部では調剤と医科の営業活動のコラボレーションを進め、チェーン薬局向け及び他社リプレースビジネス推進のための体制強化と、電子カルテビジネス推進のための新規販売代理店の増強と販売支援活動を行うことになっている。

※同社が独自に関東圏で実施した調査によると、関東圏で新設される介護施設の80%程度がチェーン店となっている。訪問販売を行うのは、同業他社が訪問販売を行っていないことに加えて、調剤の営業ノウハウを活用できると判断したことによる。

弊社では、調剤システムの販売動向については不確定要素が大きいものの、1)調剤システム及び医科システム事業ともにストック型の課金売上高は順調に積み上がっている、2)医科システム事業は7月に投入した「オルテア」の効果も手伝って順調に推移する、3)原価及び経費の継続的コストダウンと事業部制導入のプラス効果は下期も継続する、??と予想されることと、第2四半期の進捗率を併せて考慮すると、会社計画は保守的であると考える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正 )



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