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BEENOS Research Memo(4):クロスボーダー部門、バリューサイクル部門が収益をけん引

注目トピックス 日本株
■BEENOS<3328>の業績動向

2. 事業セグメント別の動向
(1) クロスボーダー部門
クロスボーダー部門の第2四半期累計流通総額は前年同期比8.0%減の10,637百万円、売上高は同7.7%増の2,063百万円、営業利益は同199.0%増の314百万円となった。流通総額が減少したにも関わらず増収増益となったのは、手数料の改定や付帯サービスの開始などで流通総額に対する売上高の比率(Take Rate)が上昇したことや、海外転送・代理購入事業では多通貨決済導入に伴う為替スプレッド益の増加、倉庫拠点を関西に増設したことで1着荷当たり物流コストを削減したこと、グローバルショッピング事業では米国での倉庫内製化等による生産性向上等が寄与したことによる。

同部門は越境EC事業となるため、為替変動の影響を受けやすい。四半期ベースの流通総額を見ると、2016年9月期第2四半期以降、円高が進んだことで海外転送・代理購入事業の流通総額が減少、逆にグローバルショッピング事業は回復トレンドとなっていたが、2016年9月期第4四半期を底に為替が再び円安トレンドになったことで、海外転送・代理購入事業の流通総額も前四半期比で増加に転じている。

a) 海外転送・代理購入事業
第2四半期累計の海外・転送代理購入事業の流通総額は前年同期比11.4%減の8,415百万円、売上高は同3.8%増の1,465百万円となった。流通総額は円高の影響で高単価商品の取扱件数が減ったことで減少したものの、2016年9月期第4四半期から配送オプションサービス(配送保障・検品サービス等)を開始したことや、高単価商品の比率が低下したこともあり、Take Rate(売上高÷流通総額)が前年同期の15%前後から17%台に上昇したことが増収要因となった。利益面では増収効果に加えて、多通貨決済の導入により為替スプレッド益が増加したこと、カスタマーサポートセンターの海外移転によるコスト削減に加えて、第2四半期には倉庫拠点を関西に新設し、1着荷当たりのコストを前年同期比で13.7%削減したことが増益要因となった。

四半期ベースで見ると、第2四半期の流通総額は前四半期比で12.7%増と2四半期連続で増加し、売上高では5四半期ぶりに過去最高を更新した。円安トレンドになっていることに加えて、送料割引キャンペーンなどのプロモーション施策を積極的に実施したこと、国内での提携パートナーの拡充を進めてきたことが増加要因となっている。また、同社ではBuyee(代理購入サービス)の利便性向上施策として、提携ECサイト上で簡単に商品の注文、決済処理をBuyeeカート内で行えるブラウジングツール「Add to Buyee」の提供を開始しており、対応ECサイト数が2016年12月末の35サイトから2017年3月末で60サイトに拡大した。

なお、2017年3月末時点の海外転送・代理購入事業における提携サイト数は1,550サイト以上、海外ユーザー会員数は116万人以上といずれも拡大基調が続いている。仕向地別では中国向けが最も多いが、その比率は徐々に低下傾向にあり、台湾、香港、米国、オーストラリア等その他の国向けの流通額が増加傾向となっている。

b) グローバルショッピング事業
第2四半期累計のグローバルショッピング事業の流通総額は前年同期比7.2%増の2,222百万円、売上高は同18.7%増の597百万円となった。前年同期よりも円高で推移したことや、プロモーション施策の強化、販売チャネルの拡大等に取り組んだことにより流通総額が増加した。また、売上高は2016年2月に最低手数料単価を改定した効果等によるTake Rateの上昇(前年同期の24%台から27%前後に上昇)も加わって2桁増収となった。

利益面では、増収効果に加えて米国での倉庫内製化やカスタマーセンターの内製化、及びフォワーダー(国際輸送業者)の変更を実施するなどのコスト削減を進めたことで、2016年9月期第3四半期から黒字転換しており、2017年9月期第2四半期累計においても黒字基調が続いた。倉庫を内製化したことで、油の洗浄処理が必要となる商品(バイクパーツ商品等)の取扱いが可能となったことも流通額の増加に寄与したと見られる。

ただ、四半期ベースで見ると為替が円安トレンドに転換したことにより、2016年9月期第4四半期をピークに、売上高は前四半期比で減少に転じており、女性会員の獲得も含めた流通額の拡大が今後の課題となっている。

(2) バリューサイクル部門
第2四半期累計のバリューサイクル部門の売上高は前年同期比10.9%増の5,407百万円(流通総額も売上高と同じ)、営業利益は同7.9%増の301百万円と半期ベースで過去最高を更新した。テレビCMの継続投下やシステム開発強化に伴う人件費増によって、利益率は若干低下したものの、ネットを介した中古ブランド品の買い需要は旺盛で、ファッションECサイトとの提携による買取サービスを開始するなど、セカンドブランドを中心に買取りを積極的に進めたことで、買取件数は前年同期比31.8%増と大幅に増加した。また、販路に関しても2017年3月にKDDIコマースフォワード(株)が運営する「Wowma!(ワウマ)」に新たに出店を開始した。

(3) リテール・ライセンス部門
第2四半期累計のリテール・ライセンス部門の流通総額は前年同期比2.2%増の4,529百万円、売上高は同14.5%増の2,546百万円、営業利益は同40.9%減の65百万円となった。子会社のモノセンスが展開する商品プロデュース・ライセンス事業は、人気アイドルグループのECサイトを介したグッズ販売が取扱商材の拡充に伴い堅調に推移したほか、マスターライセンスを保有する人気ブランド「ECONECO(エコネコ)」に関して、台湾の日系百貨店でトライアル販売を開始するなど好調に推移し、増収増益となった。また、2016年12月末に(株)SWATi(スワティ)の株式を100%取得し、子会社化している。SWATiは20〜30代の女性を顧客ターゲットとしたオリジナルグッズの企画・販売会社で、商品企画力に強みを持つ。現状の売上規模は小さく業績に与えるインパクトは軽微だが、モノセンスの販売ノウハウを掛け合わせることで今後は、「おしゃれなギフト商材ブランド」としてのポジションを確立し、事業を拡大していく方針となっている。

一方、ネットショッピング事業については、ファッション・美容関連のオリジナル商品の開発や販売強化に注力しているものの流通額は前年同期比で減少し、利益面でも在庫処分に伴う粗利益率の低下等の要因により営業損失を計上し、同部門の減益要因となった。

(4) インキュベーション事業
第2四半期累計のインキュベーション事業の売上高は、営業投資有価証券の売却がなかったことで前年同期比98.2%減の3百万円、営業損失は79百万円(前年同期は141百万円の利益)となった。

2017年9月期第2四半期累計期間における主な出資先としては、国内で民泊ホスト向け一括管理ツール等を展開するメトロエンジン(株)(2016年10月設立)が挙げられる。今後の国内での民泊市場拡大を見越した投資となっており、2016年12月に10%超の出資を行い、創業者に次ぐ第2位株主となっている。

現在の主な出資先企業は、インターネット市場が急拡大しているインドや東南アジアなどのネットベンチャー企業、日米のスタートアップ企業などが中心となっている。出資先企業の中ではインドネシアのTokopediaが時価総額で1,000億円規模と言われ、インドで「Shop Clues」を運営するClues Networkも1,000億円を超える時価総額に成長している。同様に、インドでオンライン自動車販売を展開しているDroomも急成長中で、現在は数百億円規模の価値になっていると見られる。また、米国で食料品の買い物支援サービスを展開するInstacartについては出資比率が1%未満と少額なものの、現在は34億ドルの企業価値になっており、2017年中のIPOが予想されている。今後は、これら投資先企業の株式を売却し、新たな投資先への出資資金あるいは社内の新規事業創出のための投資資金に活用していく戦略となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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