ガイアックス Research Memo(3):ソーシャルメディアとシェアリングエコノミー両輪で成長を希求
[17/05/09]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■ガイアックス<3775>の事業概要
1. セグメント別の事業内容
(1) ソーシャルサービス事業
ソーシャルサービス事業では、SNS・ブログ・ソーシャルメディア、Webマーケティング、デジタルコンテンツサービスなどの企画・開発・運営を主に法人クライアントに提供している。主な業務は、投稿モニタリング及びカスタマーサポート業務。また、シェアリングエコノミーにおいてユーザーサポートを提供する「フロントサポート」、ブロックチェーン技術を用いて個人認証等のシステムを提供する「TRUST DOCK」も取り組んでいる。領域別の主な業務は次のとおり。
a) ソーシャルメディア領域
1) コミュニティパッケージ、企業向けブログ、活性化サービス:Facebook、 Twitter、 LINE@、 Instagram, ブログなどソーシャルメディア活用の企画提案やシステム構築・運営、多店舗向けのブログシステムの提供。
2) 投稿モニタリング、ソーシャルリスニング:ソーシャルメディア上の声の収集、調査分析をおこなうソーシャルリスニングや、安心安全なサイト運営のための投稿モニタリングを提供。
3) 学校向けネットいじめ対策:教育委員会や私立学校など学校向けに、ネットいじめ・インターネット上の個人情報流出など、学校生活上の課題への対策として学校裏サイトのパトロールやソーシャルメディアリテラシー講座を提供。
b) ソーシャルアプリ領域
1) カスタマーサポート:ソーシャルゲームなどのソーシャルアプリに対するカスタマーサポート代行を24時間・多言語体制で、独自開発のエスカレーションツールを利用し提供。
c) 企業内SNS領域
1) 社内SNS、グループウェア:企業の社内コミュニケーションをサポートするクラウド型社内SNS、内定者SNS、育児休業者SNSやクラウド型グループウェアを提供。
d) マーケティング支援領域
1) ソーシャルメディアマーケティング、Webマーケティング:ソーシャルメディアやブログなどを活用したマーケティングのコンサル業務、Webサイトの構築・運営。
2) デジタルコンテンツサービス:スマートフォン、PC、モバイル端末向けに、ゲーム・占い・レシピ・スタンプなど様々なデジタルコンテンツを制作・提供。
(2) 受託開発事業
受託開発事業では、Webシステムに関するコンサルティングやパッケージソリューション、システムインテグレーション、保守・運用をワンストップで提供、顧客向けコミュニティサイトの開発業務の受託も取り扱う。連結子会社の電縁、アイ・オーシステムインテグレーションが主におこなっている。
(3) インキュベーション事業
インキュベーション事業は、グループ外における投資・育成支援(グループ外インキュベーション)とグループ内で創設される新規事業(グループ内インキュベーション)から構成される。グループ外では、同社事業との親和性の高い企業やシェアリングエコノミー関連企業などに対し投資・育成支援をおこなうのに対し、グループ内では新規事業開発も取り扱う。グループ外インキュベーションには同社を卒業した社員が創業した企業への投資も含まれる。
2. グループ内インキュベーション事業の提供サービス
(1) notteco:日本最大級の相乗りマッチング型ライドシェアサービス
ドライバーが、ドライブ情報と車の空き座席数を事前に掲載することで、同じ空間を移動したい希望者がドライブに相乗りできるサービスで、(株)nottecoが運営している。ガソリン代・高速代等の実費を全員で割勘にするため、格安で移動が可能となる。本人確認書類の提出、携帯認証やレビュー機能など安全面にも配慮している。2016年7月には相乗り代上限金額制限機能を追加、同年8月には会員登録数が25,000人を突破した。
海外最大手のBlaBlaCarは、世界約20ヶ国で2,000万人以上のユーザーに利用され、企業評価額も12億ドル(日本円で1,200億円相当)とも言われており、将来性が非常に期待されるサービスとして大きな注目を集めている。
(2) TABICA:地元の人と交流ができる地域体験予約サイト
その地域の暮らし、食、芸術、技術を地元の人から学ぶことができる体験予約サイト「TABICA」を運営。2015年1月にサービス提供を開始。「その地域ならではの暮らし」を見える化し、誰もが体験できる、地方活性化につながるサービスを目指す。2016年11月には、シェアリングシティ宣言自治体との提携を実施。各自治体に対し、集客や体験主催のノウハウを提供し、公助から共助への動きに貢献した。また、関東圏のみであったプランを全国規模へ拡大、インバウンド観光客へと更なる参加者増を目指す。
直近では2016年9月に、非公開の国宝円覚寺舎利殿ツアーを開催したのを皮切りに、「オフィスおかん」とサービス連携開始、農水省農業女子プロジェクトと農業女子応援企画を実施、埼玉県秩父郡横瀬町「よこらぼ」のお披露目イベントに「TABICA」が登壇するなど活動の範囲を広げている。同年11月に埼玉県秩父郡横瀬町の官民連携プラットフォーム「よこらぼ」のプロジェクトにも採択され、千葉県千葉市、静岡県浜松市、佐賀県多久市、長崎県島原市とも連携した。
(3) Tadaku:外国人先生による家庭料理教室
日本に住む外国人が彼らの自宅で自国の家庭料理を教える、料理教室のマッチングプラットフォームのサービス。世界中の人々が持っている「料理をする」「食べる」という文化を通して、国際交流をおこなう。海外旅行・ホームステイに代わる手軽な国際交流・異文化体験の「半日ホームステイ」という新たな経験の提供となっている。(株)Tadakuが運営する。
2016年10月末時点でホスト数は半年で約400%伸び、12月末にはホストは70ヶ国、300名以上にまで成長した。また、同年12月に東京メトロの経営資源活用コンテストにて「東京メトロアクセラレーター賞」を受賞した。
3. インキュベーション投資先:グループ外シェアリングエコノミー関連
グループ外インキュベーション投資先が提供するサービスには、外国人との体験シェアのHuber.、ファッションのシェアmaipple、ペット版の民泊のDogHuggy、シェアサイクルCOGICOGI、会議室シェアSpacee、スペースシェア軒先、ルートのシェアRuntrip、寺社のシェアOTERA STAY、美容のシェアcareL、縫製のシェア nutte、海外旅行のシェアTRAVEL PLANETなどがある。同社卒業生が創業・経営企業への投資には、デジタル素材のオンラインマーケットプレイス「PIXTA」の運営をおこなっているピクスタ、iPhoneアプリレビューサイト「AppBank.net」の運営等をおこなうAppBank、海外向けECを展開、クールジャパン機構も出資しているTokyo Otaku Mode(Tokyo Otaku Mode Inc.)、スマートロックを提供しジャフコ<8595>及びYJキャピタル(株)も出資しているPhotosynth((株)フォトシンス)、国内最大級の人間ドックサイトの運営をしているMRSO(マーソ(株))、民泊の(株)百戦錬磨などがある。ピクスタは、2015年9月に東証マザーズに上場、AppBankは、同年10月に同市場に上場を果たした。
4. セグメント別の収益モデル
ソーシャルサービス事業は、Facebook、 Twitter、 LINE@、 Instagram, ブログなどソーシャルメディア活用の企画提案、投稿モニタリングやシェアリングエコノミー企業からのサービス利用収入によって構成されており、積上げ型で比較的安定的と言える。また、市場拡大につれ収益は自然増となるため、リスクは低いと言える。収益貢献までの期間は、短期〜中期(1〜5年)。受託開発事業もソーシャルサービス事業と同様に安定的な推移が見込める。一方で、インキュベーション事業はマーケット環境や市況動向などに左右されやすい。グループ内は、サービス利用者からの手数料収入が収益源で、事業会社型となっている。リスクは低いものから中程度まで幅広く同社がコントロール、収益貢献までは中長期(3年〜)を想定している。一方、グループ外の収益はキャピタルゲインで、株式売却時のスポット型となっており、外部からこの業績予測は難しい。リスクは中程度の位置付けだが、ベンチャーキャピタルとの比較ではリスクは低いようだ。収益貢献までの期間は長期(5年〜)を想定している。
5. 売上高・営業利益構成
2016年12月期のセグメント別連結売上高は、ソーシャルサービス事業が2,738百万円(連結売上高に占める割合は46.9%)、受託開発事業が2,545百万円(同43.7%)、インキュベーション事業が545百万円(同9.4%)だった。連結営業利益の内訳は、ソーシャルサービス事業が129百万円、受託開発事業が95百万円、インキュベーション事業が524百万円の営業損失、調整額がマイナス284百万円となっている。インキュベーション事業は、2016年12月期において先行費用や株式の評価損が売上原価に計上されたため、損失計上となっている。
(執筆:フィスコアナリスト 清水 さくら)
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1. セグメント別の事業内容
(1) ソーシャルサービス事業
ソーシャルサービス事業では、SNS・ブログ・ソーシャルメディア、Webマーケティング、デジタルコンテンツサービスなどの企画・開発・運営を主に法人クライアントに提供している。主な業務は、投稿モニタリング及びカスタマーサポート業務。また、シェアリングエコノミーにおいてユーザーサポートを提供する「フロントサポート」、ブロックチェーン技術を用いて個人認証等のシステムを提供する「TRUST DOCK」も取り組んでいる。領域別の主な業務は次のとおり。
a) ソーシャルメディア領域
1) コミュニティパッケージ、企業向けブログ、活性化サービス:Facebook、 Twitter、 LINE@、 Instagram, ブログなどソーシャルメディア活用の企画提案やシステム構築・運営、多店舗向けのブログシステムの提供。
2) 投稿モニタリング、ソーシャルリスニング:ソーシャルメディア上の声の収集、調査分析をおこなうソーシャルリスニングや、安心安全なサイト運営のための投稿モニタリングを提供。
3) 学校向けネットいじめ対策:教育委員会や私立学校など学校向けに、ネットいじめ・インターネット上の個人情報流出など、学校生活上の課題への対策として学校裏サイトのパトロールやソーシャルメディアリテラシー講座を提供。
b) ソーシャルアプリ領域
1) カスタマーサポート:ソーシャルゲームなどのソーシャルアプリに対するカスタマーサポート代行を24時間・多言語体制で、独自開発のエスカレーションツールを利用し提供。
c) 企業内SNS領域
1) 社内SNS、グループウェア:企業の社内コミュニケーションをサポートするクラウド型社内SNS、内定者SNS、育児休業者SNSやクラウド型グループウェアを提供。
d) マーケティング支援領域
1) ソーシャルメディアマーケティング、Webマーケティング:ソーシャルメディアやブログなどを活用したマーケティングのコンサル業務、Webサイトの構築・運営。
2) デジタルコンテンツサービス:スマートフォン、PC、モバイル端末向けに、ゲーム・占い・レシピ・スタンプなど様々なデジタルコンテンツを制作・提供。
(2) 受託開発事業
受託開発事業では、Webシステムに関するコンサルティングやパッケージソリューション、システムインテグレーション、保守・運用をワンストップで提供、顧客向けコミュニティサイトの開発業務の受託も取り扱う。連結子会社の電縁、アイ・オーシステムインテグレーションが主におこなっている。
(3) インキュベーション事業
インキュベーション事業は、グループ外における投資・育成支援(グループ外インキュベーション)とグループ内で創設される新規事業(グループ内インキュベーション)から構成される。グループ外では、同社事業との親和性の高い企業やシェアリングエコノミー関連企業などに対し投資・育成支援をおこなうのに対し、グループ内では新規事業開発も取り扱う。グループ外インキュベーションには同社を卒業した社員が創業した企業への投資も含まれる。
2. グループ内インキュベーション事業の提供サービス
(1) notteco:日本最大級の相乗りマッチング型ライドシェアサービス
ドライバーが、ドライブ情報と車の空き座席数を事前に掲載することで、同じ空間を移動したい希望者がドライブに相乗りできるサービスで、(株)nottecoが運営している。ガソリン代・高速代等の実費を全員で割勘にするため、格安で移動が可能となる。本人確認書類の提出、携帯認証やレビュー機能など安全面にも配慮している。2016年7月には相乗り代上限金額制限機能を追加、同年8月には会員登録数が25,000人を突破した。
海外最大手のBlaBlaCarは、世界約20ヶ国で2,000万人以上のユーザーに利用され、企業評価額も12億ドル(日本円で1,200億円相当)とも言われており、将来性が非常に期待されるサービスとして大きな注目を集めている。
(2) TABICA:地元の人と交流ができる地域体験予約サイト
その地域の暮らし、食、芸術、技術を地元の人から学ぶことができる体験予約サイト「TABICA」を運営。2015年1月にサービス提供を開始。「その地域ならではの暮らし」を見える化し、誰もが体験できる、地方活性化につながるサービスを目指す。2016年11月には、シェアリングシティ宣言自治体との提携を実施。各自治体に対し、集客や体験主催のノウハウを提供し、公助から共助への動きに貢献した。また、関東圏のみであったプランを全国規模へ拡大、インバウンド観光客へと更なる参加者増を目指す。
直近では2016年9月に、非公開の国宝円覚寺舎利殿ツアーを開催したのを皮切りに、「オフィスおかん」とサービス連携開始、農水省農業女子プロジェクトと農業女子応援企画を実施、埼玉県秩父郡横瀬町「よこらぼ」のお披露目イベントに「TABICA」が登壇するなど活動の範囲を広げている。同年11月に埼玉県秩父郡横瀬町の官民連携プラットフォーム「よこらぼ」のプロジェクトにも採択され、千葉県千葉市、静岡県浜松市、佐賀県多久市、長崎県島原市とも連携した。
(3) Tadaku:外国人先生による家庭料理教室
日本に住む外国人が彼らの自宅で自国の家庭料理を教える、料理教室のマッチングプラットフォームのサービス。世界中の人々が持っている「料理をする」「食べる」という文化を通して、国際交流をおこなう。海外旅行・ホームステイに代わる手軽な国際交流・異文化体験の「半日ホームステイ」という新たな経験の提供となっている。(株)Tadakuが運営する。
2016年10月末時点でホスト数は半年で約400%伸び、12月末にはホストは70ヶ国、300名以上にまで成長した。また、同年12月に東京メトロの経営資源活用コンテストにて「東京メトロアクセラレーター賞」を受賞した。
3. インキュベーション投資先:グループ外シェアリングエコノミー関連
グループ外インキュベーション投資先が提供するサービスには、外国人との体験シェアのHuber.、ファッションのシェアmaipple、ペット版の民泊のDogHuggy、シェアサイクルCOGICOGI、会議室シェアSpacee、スペースシェア軒先、ルートのシェアRuntrip、寺社のシェアOTERA STAY、美容のシェアcareL、縫製のシェア nutte、海外旅行のシェアTRAVEL PLANETなどがある。同社卒業生が創業・経営企業への投資には、デジタル素材のオンラインマーケットプレイス「PIXTA」の運営をおこなっているピクスタ、iPhoneアプリレビューサイト「AppBank.net」の運営等をおこなうAppBank、海外向けECを展開、クールジャパン機構も出資しているTokyo Otaku Mode(Tokyo Otaku Mode Inc.)、スマートロックを提供しジャフコ<8595>及びYJキャピタル(株)も出資しているPhotosynth((株)フォトシンス)、国内最大級の人間ドックサイトの運営をしているMRSO(マーソ(株))、民泊の(株)百戦錬磨などがある。ピクスタは、2015年9月に東証マザーズに上場、AppBankは、同年10月に同市場に上場を果たした。
4. セグメント別の収益モデル
ソーシャルサービス事業は、Facebook、 Twitter、 LINE@、 Instagram, ブログなどソーシャルメディア活用の企画提案、投稿モニタリングやシェアリングエコノミー企業からのサービス利用収入によって構成されており、積上げ型で比較的安定的と言える。また、市場拡大につれ収益は自然増となるため、リスクは低いと言える。収益貢献までの期間は、短期〜中期(1〜5年)。受託開発事業もソーシャルサービス事業と同様に安定的な推移が見込める。一方で、インキュベーション事業はマーケット環境や市況動向などに左右されやすい。グループ内は、サービス利用者からの手数料収入が収益源で、事業会社型となっている。リスクは低いものから中程度まで幅広く同社がコントロール、収益貢献までは中長期(3年〜)を想定している。一方、グループ外の収益はキャピタルゲインで、株式売却時のスポット型となっており、外部からこの業績予測は難しい。リスクは中程度の位置付けだが、ベンチャーキャピタルとの比較ではリスクは低いようだ。収益貢献までの期間は長期(5年〜)を想定している。
5. 売上高・営業利益構成
2016年12月期のセグメント別連結売上高は、ソーシャルサービス事業が2,738百万円(連結売上高に占める割合は46.9%)、受託開発事業が2,545百万円(同43.7%)、インキュベーション事業が545百万円(同9.4%)だった。連結営業利益の内訳は、ソーシャルサービス事業が129百万円、受託開発事業が95百万円、インキュベーション事業が524百万円の営業損失、調整額がマイナス284百万円となっている。インキュベーション事業は、2016年12月期において先行費用や株式の評価損が売上原価に計上されたため、損失計上となっている。
(執筆:フィスコアナリスト 清水 さくら)
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