Jトラスト Research Memo(4):収益拡大に向けて順調にスタート
[17/12/07]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
1. 2018年3月期上期の業績概要
Jトラスト<8508>では2018年3月期第1四半期からはIFRSを任意適用することとし、この結果、グループ内の会計処理の統一による経営の迅速化や財務情報の国際的な比較可能性の向上などにより経営の透明性が高まることになった。2018年3月期上期の営業利益は4,187百万円、前年同期比15.7倍で、通期予想10,058百万円の41.6%を達成した。貸出残高の増加に伴い、下期にかけて利益も増大する傾向を考えると、予想利益の達成に向けてまずまずのスタートであった。国内金融事業、韓国金融事業、東南アジア金融事業の主力事業が順調に成長したことが、業績をけん引した。
2. セグメント別の動向
セグメント別では、2018年3月期上期の営業収益は国内金融事業、韓国金融事業、東南アジア金融事業は増収であったが、投資事業と非金融事業は減収に終わった。営業利益では、韓国金融事業、投資事業で大幅な増益を記録したが、国内金融事業はほぼ横ばい、東南アジア金融事業、非金融事業は損失を計上した。ただ、東南アジア金融事業は大幅に損失を縮小している。
国内金融事業では、子会社の日本保証が不動産関連の保証事業に注力した結果、債務保証残高の合計は112,191百万円、前年同期比72.5%増となった。また、日本保証、パルティール債権回収による債権回収業務でも、不良債権の買い取りが順調に進み、買取債権残高は12,564百万円、同27.3%増となった。以上から、国内金融事業の営業収益は4,982百万円(同5.7%増)に拡大した。一方、セグメント利益は前年度に計上した一過性の不動産売却益がなくなり2,488百万円(同7.0%減)となったが、通期計画の53.5%を達成している。
韓国金融事業では、JT親愛貯蓄銀行及びJT貯蓄銀行の貸出金残高は247,134百万円(前年同期比36.6%増)と順調に拡大した。また、貸出金残高の増加に加えて、前期からの貸倒引当金の戻入もあって、営業利益は大幅に増加した。以上から、韓国金融事業の営業収益は17,439百万円(同29.1%増)であった。また、セグメント利益は2,449百万円(同93.8%増)で、早くも通期計画の75.1%を達成した。
東南アジア金融事業では、銀行業のJトラスト銀行インドネシアにおける貸出金は増加し、残高は92,558百万円(前年同期比14.8%増)となった。一方、債権回収業のJトラストインベストメンツインドネシアでは回収が遅延しており計画未達となった。以上の結果、東南アジア金融事業の営業収益は7,290百万円(同5.7%増)となった。またポートフォリオ入替による収益増に加えて、貸倒引当金繰入額が大幅に減少したことなどから、セグメント損失は256百万円(前年同期は2,815百万円の損失)と大幅に縮小した。
投資事業は、前年同期の株式売却益がなくなったことから、営業収益は1,309百万円(前年同期比40.6%減)であったが、セグメント利益は前年同期のGL転換社債の評価損がなくなり1,073百万円(同75.6%増)に拡大した。
総合エンターテインメント事業、不動産事業の非金融事業では営業収益は9,545百万円であるが、セグメント損失201百万円にとどまり、同社グループ全体の利益に与える影響は軽微であった。
3. 財政状況と経営指標
2018年3月期上期末の総資産は、前期末比23,772百万円増の643,648百万円になった。これは主に、銀行業における貸出金、営業債権及びその他の債権が増加したこと等による。一方、負債合計は、前期末比20,342百万円増の484,294百万円になった。これは主に銀行業における預金、社債及び借入金が増加したこと等による。また、2014年3月期に1千億円のライツ・オファリングにより増強された資本合計については、前期末比3,430百万円増の159,343百万円となった。これは主に、剰余金の配当を実施した一方で、親会社の所有者に帰属する四半期利益の計上したこと等により利益剰余金が増加したことによるものである。
以上の結果、2018年3月期上期の親会社所有者帰属持分比率は23.9%であった。同社グループでは総資産が急拡大したこともあり、2016年3月期末の自己資本比率32.1%から低下している。ただ、今後は利益の積み上げにより、親会社所有者帰属持分比率は改善に向かうと予想される。
2018年3月期上期のキャッシュ・フローの状況では、現金及び現金同等物は前期末比2,023百万円減の78,642百万円になった。営業活動によるキャッシュ・フローの減少7,677百万円は、主に銀行業における貸出金の増加、営業債権及びその他の債権の増加により資金が減少したためである。一方、投資活動によるキャッシュ・フローの増加2,696百万円は、銀行業における有価証券の売却による収入が主因である。また、財務活動によるキャッシュ・フローの増加3,315百万円は、社債の発行、短期社債の純増等による。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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1. 2018年3月期上期の業績概要
Jトラスト<8508>では2018年3月期第1四半期からはIFRSを任意適用することとし、この結果、グループ内の会計処理の統一による経営の迅速化や財務情報の国際的な比較可能性の向上などにより経営の透明性が高まることになった。2018年3月期上期の営業利益は4,187百万円、前年同期比15.7倍で、通期予想10,058百万円の41.6%を達成した。貸出残高の増加に伴い、下期にかけて利益も増大する傾向を考えると、予想利益の達成に向けてまずまずのスタートであった。国内金融事業、韓国金融事業、東南アジア金融事業の主力事業が順調に成長したことが、業績をけん引した。
2. セグメント別の動向
セグメント別では、2018年3月期上期の営業収益は国内金融事業、韓国金融事業、東南アジア金融事業は増収であったが、投資事業と非金融事業は減収に終わった。営業利益では、韓国金融事業、投資事業で大幅な増益を記録したが、国内金融事業はほぼ横ばい、東南アジア金融事業、非金融事業は損失を計上した。ただ、東南アジア金融事業は大幅に損失を縮小している。
国内金融事業では、子会社の日本保証が不動産関連の保証事業に注力した結果、債務保証残高の合計は112,191百万円、前年同期比72.5%増となった。また、日本保証、パルティール債権回収による債権回収業務でも、不良債権の買い取りが順調に進み、買取債権残高は12,564百万円、同27.3%増となった。以上から、国内金融事業の営業収益は4,982百万円(同5.7%増)に拡大した。一方、セグメント利益は前年度に計上した一過性の不動産売却益がなくなり2,488百万円(同7.0%減)となったが、通期計画の53.5%を達成している。
韓国金融事業では、JT親愛貯蓄銀行及びJT貯蓄銀行の貸出金残高は247,134百万円(前年同期比36.6%増)と順調に拡大した。また、貸出金残高の増加に加えて、前期からの貸倒引当金の戻入もあって、営業利益は大幅に増加した。以上から、韓国金融事業の営業収益は17,439百万円(同29.1%増)であった。また、セグメント利益は2,449百万円(同93.8%増)で、早くも通期計画の75.1%を達成した。
東南アジア金融事業では、銀行業のJトラスト銀行インドネシアにおける貸出金は増加し、残高は92,558百万円(前年同期比14.8%増)となった。一方、債権回収業のJトラストインベストメンツインドネシアでは回収が遅延しており計画未達となった。以上の結果、東南アジア金融事業の営業収益は7,290百万円(同5.7%増)となった。またポートフォリオ入替による収益増に加えて、貸倒引当金繰入額が大幅に減少したことなどから、セグメント損失は256百万円(前年同期は2,815百万円の損失)と大幅に縮小した。
投資事業は、前年同期の株式売却益がなくなったことから、営業収益は1,309百万円(前年同期比40.6%減)であったが、セグメント利益は前年同期のGL転換社債の評価損がなくなり1,073百万円(同75.6%増)に拡大した。
総合エンターテインメント事業、不動産事業の非金融事業では営業収益は9,545百万円であるが、セグメント損失201百万円にとどまり、同社グループ全体の利益に与える影響は軽微であった。
3. 財政状況と経営指標
2018年3月期上期末の総資産は、前期末比23,772百万円増の643,648百万円になった。これは主に、銀行業における貸出金、営業債権及びその他の債権が増加したこと等による。一方、負債合計は、前期末比20,342百万円増の484,294百万円になった。これは主に銀行業における預金、社債及び借入金が増加したこと等による。また、2014年3月期に1千億円のライツ・オファリングにより増強された資本合計については、前期末比3,430百万円増の159,343百万円となった。これは主に、剰余金の配当を実施した一方で、親会社の所有者に帰属する四半期利益の計上したこと等により利益剰余金が増加したことによるものである。
以上の結果、2018年3月期上期の親会社所有者帰属持分比率は23.9%であった。同社グループでは総資産が急拡大したこともあり、2016年3月期末の自己資本比率32.1%から低下している。ただ、今後は利益の積み上げにより、親会社所有者帰属持分比率は改善に向かうと予想される。
2018年3月期上期のキャッシュ・フローの状況では、現金及び現金同等物は前期末比2,023百万円減の78,642百万円になった。営業活動によるキャッシュ・フローの減少7,677百万円は、主に銀行業における貸出金の増加、営業債権及びその他の債権の増加により資金が減少したためである。一方、投資活動によるキャッシュ・フローの増加2,696百万円は、銀行業における有価証券の売却による収入が主因である。また、財務活動によるキャッシュ・フローの増加3,315百万円は、社債の発行、短期社債の純増等による。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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