ダイコク電 Research Memo(1):足元業績は低調に推移。中長期的には事業拡大の好機となる可能性が高い
[18/01/19]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
ダイコク電機<6430>は、パチンコホール向けコンピュータシステムの開発・製造・販売のほか、パチンコ遊技機の表示・制御ユニット及びパチスロ遊技機の開発・製造・販売等を2本柱としている。主力のホールコンピュータ分野では、デファクトスタンダードとなっている管理手法の提供等により、業界No.1の市場シェア約35%を握る。また、パチンコホールの経営を支援する業界随一の会員制情報提供サービス「DK-SIS」では、会員ホール数約3,700店とのネットワークを形成し、同社の事業基盤を支えている。自社開発によるパチスロ遊技機の開発・製造・販売にも本格参入した。
同社は、年々縮小傾向にあるパチンコ市場等を踏まえ、次世代ホールコンピュータの開発、ストック型収益モデルへの転換、自社開発パチスロ遊技機の拡大など、中長期を見据えた事業改革を推進してきた。特に、積極的に取り組んできた次世代ホールコンピュータ(周辺機器を含む)については、クラウドサーバーを駆使したビッグデータ対応による高度な分析機能を備えており、他社の追随を許さない圧倒的な優位性を確立することで市場シェアの拡大を目指す方針である。ただ、一連の規則改正等(出玉制限や依存症対策など)を通じて、パチンコ業界が大きな転換点を迎えるなかで、先行き不透明感の影響から足元業績は厳しい状況が続いている。
2018年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比10.9%減の17,996百万円、営業利益が同38.1%減の375百万円と減収減益となった。ただ、期初予想に対しては、売上高が下回ったものの、利益面では大きく上回る進捗となっている。厳しい市場環境が続くなかで、売上高は、情報システム事業及び制御システム事業がともに縮小した。情報システム事業は、パチンコホール新規出店数の減少や投資意欲の冷え込み等により計画を大きく下回った。制御システム事業も、表示ユニットで1機種が販売延期となったことにより販売台数が減少した。利益面でも、減収による利益の押し下げや原価率の上昇により減益となったが、研究開発費の減少を始め、販売手数料や広告宣伝費、貸倒引当金繰入額の減少(戻し入れ)などにより、計画に対しては上振れる進捗となっている。
2018年3月期の業績予想について同社は、期初予想を据え置き、売上高を前期比4.2%減の39,000百万円、営業利益を同24.0%増の1,300百万円と減収ながら営業増益を見込んでいる。売上高は、情報システム事業が新製品の販売開始等により伸長するものの、制御システム事業の大幅な減少が減収要因となっている。ただ、利益面では、研究開発費の減少や制御システム事業の損益改善などにより営業増益を確保する見通しである。弊社では、今回の「規則改正」※の影響等を含めて、パチンコ業界には依然として先行き不透明感が強いことから、売上高予想の達成には慎重な見方が必要であるとみている。一方、利益予想については、上期の進捗に加えて、同社の前提条件から判断して達成可能と評価している。ただ、下期偏重の予想となっていることから、下期売上高が下振れた場合の影響にも注意が必要だろう。
※2017年9月4日に公布された「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則及び遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則の一部を改正する規則」(施行期日2018年2月1日)。
同社は2020 年3 月期を最終年度とする中期経営計画「Next50 第一章」を推進している。中期経営計画2年目となる2018年3月期は、激変する環境変化へ対応するため、社長交代を含む新体制へ移行するとともに、収益構造の強化に向けた組織変更を行った。ただ、大きな方向性に変更はない。次世代製品群によるシェア拡大のほか、データ分析力や企画開発力を生かした新たな価値の創出により、成長力及び収益力の向上を実現する方針である。弊社でも、次世代ホールコンピュータについては、新たな業界の課題となった「依存症対策」への対応や市場環境の動向を見極めながら市場投入のタイミングを探る展開となりそうであるが、それに先立って順次リリース予定の周辺機器が、市場変化に柔軟に対応しながら、既存店向け入替需要を取り込むことにより業績貢献するものとみている。また、安定収益の柱となってきた経営支援サービス(MG サービス)の拡大を含め、市場環境に影響を受けない収益構造への転換を図ってきたところは評価すべきポイントと言える。業界が大きな転換期にあることは、同社にとって事業拡大の機会となる可能性が高い。当面については、市場環境に不透明感が残るものの、中長期的な視点から圧倒的なポジショニングを生かした同社自身の成長に加えて、業界全体の活性化に向けた取り組みにも期待したい。
■Key Points
・2018年3月期上期は外部環境の影響等により減収減益
・パチンコ業界が大きな転換期を迎えるなかで、先行き不透明感から足元業績は厳しい状況が続く
・ただ、業界が大きな転換期にあることは、同社にとって事業拡大の機会となる可能性が高い
・「次世代製品群」によるシェア拡大のほか、データ分析力を生かした経営支援及び価値創出に注目
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
<MH>
ダイコク電機<6430>は、パチンコホール向けコンピュータシステムの開発・製造・販売のほか、パチンコ遊技機の表示・制御ユニット及びパチスロ遊技機の開発・製造・販売等を2本柱としている。主力のホールコンピュータ分野では、デファクトスタンダードとなっている管理手法の提供等により、業界No.1の市場シェア約35%を握る。また、パチンコホールの経営を支援する業界随一の会員制情報提供サービス「DK-SIS」では、会員ホール数約3,700店とのネットワークを形成し、同社の事業基盤を支えている。自社開発によるパチスロ遊技機の開発・製造・販売にも本格参入した。
同社は、年々縮小傾向にあるパチンコ市場等を踏まえ、次世代ホールコンピュータの開発、ストック型収益モデルへの転換、自社開発パチスロ遊技機の拡大など、中長期を見据えた事業改革を推進してきた。特に、積極的に取り組んできた次世代ホールコンピュータ(周辺機器を含む)については、クラウドサーバーを駆使したビッグデータ対応による高度な分析機能を備えており、他社の追随を許さない圧倒的な優位性を確立することで市場シェアの拡大を目指す方針である。ただ、一連の規則改正等(出玉制限や依存症対策など)を通じて、パチンコ業界が大きな転換点を迎えるなかで、先行き不透明感の影響から足元業績は厳しい状況が続いている。
2018年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比10.9%減の17,996百万円、営業利益が同38.1%減の375百万円と減収減益となった。ただ、期初予想に対しては、売上高が下回ったものの、利益面では大きく上回る進捗となっている。厳しい市場環境が続くなかで、売上高は、情報システム事業及び制御システム事業がともに縮小した。情報システム事業は、パチンコホール新規出店数の減少や投資意欲の冷え込み等により計画を大きく下回った。制御システム事業も、表示ユニットで1機種が販売延期となったことにより販売台数が減少した。利益面でも、減収による利益の押し下げや原価率の上昇により減益となったが、研究開発費の減少を始め、販売手数料や広告宣伝費、貸倒引当金繰入額の減少(戻し入れ)などにより、計画に対しては上振れる進捗となっている。
2018年3月期の業績予想について同社は、期初予想を据え置き、売上高を前期比4.2%減の39,000百万円、営業利益を同24.0%増の1,300百万円と減収ながら営業増益を見込んでいる。売上高は、情報システム事業が新製品の販売開始等により伸長するものの、制御システム事業の大幅な減少が減収要因となっている。ただ、利益面では、研究開発費の減少や制御システム事業の損益改善などにより営業増益を確保する見通しである。弊社では、今回の「規則改正」※の影響等を含めて、パチンコ業界には依然として先行き不透明感が強いことから、売上高予想の達成には慎重な見方が必要であるとみている。一方、利益予想については、上期の進捗に加えて、同社の前提条件から判断して達成可能と評価している。ただ、下期偏重の予想となっていることから、下期売上高が下振れた場合の影響にも注意が必要だろう。
※2017年9月4日に公布された「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則及び遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則の一部を改正する規則」(施行期日2018年2月1日)。
同社は2020 年3 月期を最終年度とする中期経営計画「Next50 第一章」を推進している。中期経営計画2年目となる2018年3月期は、激変する環境変化へ対応するため、社長交代を含む新体制へ移行するとともに、収益構造の強化に向けた組織変更を行った。ただ、大きな方向性に変更はない。次世代製品群によるシェア拡大のほか、データ分析力や企画開発力を生かした新たな価値の創出により、成長力及び収益力の向上を実現する方針である。弊社でも、次世代ホールコンピュータについては、新たな業界の課題となった「依存症対策」への対応や市場環境の動向を見極めながら市場投入のタイミングを探る展開となりそうであるが、それに先立って順次リリース予定の周辺機器が、市場変化に柔軟に対応しながら、既存店向け入替需要を取り込むことにより業績貢献するものとみている。また、安定収益の柱となってきた経営支援サービス(MG サービス)の拡大を含め、市場環境に影響を受けない収益構造への転換を図ってきたところは評価すべきポイントと言える。業界が大きな転換期にあることは、同社にとって事業拡大の機会となる可能性が高い。当面については、市場環境に不透明感が残るものの、中長期的な視点から圧倒的なポジショニングを生かした同社自身の成長に加えて、業界全体の活性化に向けた取り組みにも期待したい。
■Key Points
・2018年3月期上期は外部環境の影響等により減収減益
・パチンコ業界が大きな転換期を迎えるなかで、先行き不透明感から足元業績は厳しい状況が続く
・ただ、業界が大きな転換期にあることは、同社にとって事業拡大の機会となる可能性が高い
・「次世代製品群」によるシェア拡大のほか、データ分析力を生かした経営支援及び価値創出に注目
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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