ステップ Research Memo(4):2018年9月期も生徒数増加により、増収増益基調が続く見通し
[18/06/08]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■今後の見通し
1. 2018年9月期の業績見通し
ステップ<9795>の2018年9月期の業績は売上高が前期比4.7%増の11,056百万円、営業利益が同4.5%増の2,702百万円、経常利益が同4.5%増の2,752百万円、当期純利益が同3.6%増の1,899百万円と期初計画を据え置いた。2018年春の高校、大学受験で引き続き高い合格実績を残すなど、神奈川県内における進学学習塾としてのブランド力は揺るぎなく、口コミ等による新規入会生徒数が例年とほぼ同様のペースで増加していることが要因だ。
生徒数については期中平均で前期比4〜5%増を前提としており、2018年3月末時点もほぼ同様の水準で推移している。2018年9月期業績も会社計画を達成できるものと弊社では見ている。
人気の高い「はば広教養」授業を中学1年生の全教室に導入
2. 新たな取り組みと学童保育事業について
(1) 新たな取り組み
2017年春から小学生(5〜6年生)と中学1年生の一部教室を対象に導入した「はば広教養」が好評で、新規生徒数増加の一因となっている。国語の授業に社会や理科、雑学的な要素も交えながら、「楽しんで学ぶ」ことができるカリキュラムとなっていることが支持を集めている理由となっているようだ。こうした状況から、同社では一部の教室にとどまっていた中学1年生でも2018年春より全教室で導入を開始した。
また、英語の授業についても2020年度に実施される教育改革でリスニング、スピーキング能力が重要視されることを受け、2017年より世界的に評価の高いピアソン社(英国)のオンライン英語能力テスト「Progress」を導入している。受験者一人ひとりのレベルに合わせた問題がコンピュータで選ばれ出題される形式で、スピーキングについては地域ごとで生じる「訛り」の差を排除した評価が可能となっているのが特徴だ。英語力の基礎能力チェックと能力向上に現状では最適と判断した。
(2) 学童保育事業
2016年4月より開始した学童保育事業「STEPキッズ」(小学1〜4年生)については順調に生徒数が拡大しており、2018年3月末時点で生徒数は120名強まで増加している。また、2018年3月より小学4年生を対象に「HOPクラス」も開設した。同クラスはSTEPキッズに在籍しないものの同キッズプログラムやエンジョイプログラムへの参加を希望するニーズに応えて新設することになったクラスで、内容的にはステップキッズ生と変わりない。
2018年4月末時点の生徒数はHOPクラス生も含めると140名となっており、教室スペースも手狭となってきたことから、2019年9月期に現在の湘南教室(藤沢市)の近隣に移設する計画となっている。既に土地は購入済みで、校舎建設を進めている。設備投資額は7〜8億円程度で、スペース的にも内容的にも拡充を図る。一方で、2校舎目の展開については2020年以降となりそうだ。プログラムの中身や日々の業務フローなど運営ノウハウの蓄積がなお必要と考えているためだ。現状、学童保育事業は赤字であり、収益化モデルを構築した後に校舎展開を進めていくことになりそうだ。
将来的には、「STEPキッズ」あるいは「HOPクラス」から「STEP」に入会する流れが出来上がることになり、生徒1人当たり収益の最大化により、同社業績への貢献が期待される。
年4〜5校ペースで新規開校し、安定成長を継続していく方針
3. 中長期的な成長戦略
2016年度における神奈川県内の学年別生徒数を見ると、年次によって多少のばらつきは見られるが、7.5〜7.8万人の間で安定した構成となっている。全国では少子化の影響が出ているものの、首都圏エリアにおいては人口流入が続いており、神奈川県内に特化した校舎展開を行っている同社にとっても、当面は少子化の影響はないものと考えられる。
こうしたなかで、同社は既存校舎での生徒数については維持向上を図りつつ、今後は県内でも学齢人口が多い横浜市北東部エリアや川崎市などを中心に校舎数並びに生徒数を増やし、シェアを拡大していく戦略となっている。開校ペースは小中学部で年間3〜4スクール、高校部では3〜4年に1校ペースという従来の方針は変わらない。このため、業績も中期的に4〜5%の安定した成長と営業利益率で20%台の高い収益性が継続していくものと弊社では予想している。
小中学部においては現状128スクール体制となっているが、神奈川県全域をカバーするには160スクール程度が必要と見ており、今後10年程度をかけて全域をカバーしていくことになる。特に、横浜市や川崎市は競合する湘南ゼミナールや臨海セミナーと比較すると校舎数も少なく拡大余地は大きい。学習塾激戦区であるだけに生徒獲得競争も激しいが、ここ数年でこれらエリアにも校舎を展開してきたことで、着実にその成果(合格者数の増加)も見え始めている。
横浜市、川崎市内の公立トップ高である横浜翠嵐、多摩高の合格者数で見ると、横浜翠嵐については2018年の合格者数で77名(前年比24名増)となっている。1位の湘南ゼミナールは132名の合格者数を出しており、差はまだあるものの年々縮小傾向にある。また、多摩高については24名(同4名増)と少ないが、これは同市内における校舎数が2スクール(宮崎台、Hi-STEP宮前平)にとどまっていたためで、2018年春に新たに鷺沼、新百合ヶ丘と主要2拠点でスクールを開設したことから、今後の増加が期待できる状況となっている。多摩高の合格者数トップは92名の臨海セミナーである。
また、競合となる湘南ゼミナールや臨海セミナーについてはここ数年、神奈川県以外のエリア拡大に成長の活路を見出そうとしていることも、同社にとっては横浜市、川崎市でシェアを拡大していく好機になると弊社では見ている。当面の目標としては、公立トップ19校のうち横浜市内にある高校の合格実績数で、現在トップの湘南ゼミナールを追い抜くことを掲げている。今のペースでいけば、遠くない将来、湘南ゼミナールを追い抜くことも可能と見られる。横浜市内にある上位トップ校への合格実績を高めていけば、生徒募集活動もさらにスムーズに進んでいくものと予想される。
一方、高校部では現在の14校体制を将来的には20校まで拡大する予定となっている。少子化による影響を受けるものの、既存校においてはシェア拡大によって生徒数を維持し、進出エリアを拡大することによって生徒数の伸長を図っていく戦略だ。次の新規開校は2019年春を予定している。
同社の経営課題としては、人材の採用・育成にある。現在の労働需給はタイトで売り手市場となっており、新卒採用が厳しくなっている。同社は例年約50名の人員採用を行っており、新卒35名、中途採用15名程度で推移してきたが、2018年春は新卒が30名ほど、残り20名が中途採用となった。講師の採用・育成が進まなければ、校舎数の増加ペースが計画どおり進まない可能性もあり、今後も採用力の強化に注力していく方針である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2018年9月期の業績見通し
ステップ<9795>の2018年9月期の業績は売上高が前期比4.7%増の11,056百万円、営業利益が同4.5%増の2,702百万円、経常利益が同4.5%増の2,752百万円、当期純利益が同3.6%増の1,899百万円と期初計画を据え置いた。2018年春の高校、大学受験で引き続き高い合格実績を残すなど、神奈川県内における進学学習塾としてのブランド力は揺るぎなく、口コミ等による新規入会生徒数が例年とほぼ同様のペースで増加していることが要因だ。
生徒数については期中平均で前期比4〜5%増を前提としており、2018年3月末時点もほぼ同様の水準で推移している。2018年9月期業績も会社計画を達成できるものと弊社では見ている。
人気の高い「はば広教養」授業を中学1年生の全教室に導入
2. 新たな取り組みと学童保育事業について
(1) 新たな取り組み
2017年春から小学生(5〜6年生)と中学1年生の一部教室を対象に導入した「はば広教養」が好評で、新規生徒数増加の一因となっている。国語の授業に社会や理科、雑学的な要素も交えながら、「楽しんで学ぶ」ことができるカリキュラムとなっていることが支持を集めている理由となっているようだ。こうした状況から、同社では一部の教室にとどまっていた中学1年生でも2018年春より全教室で導入を開始した。
また、英語の授業についても2020年度に実施される教育改革でリスニング、スピーキング能力が重要視されることを受け、2017年より世界的に評価の高いピアソン社(英国)のオンライン英語能力テスト「Progress」を導入している。受験者一人ひとりのレベルに合わせた問題がコンピュータで選ばれ出題される形式で、スピーキングについては地域ごとで生じる「訛り」の差を排除した評価が可能となっているのが特徴だ。英語力の基礎能力チェックと能力向上に現状では最適と判断した。
(2) 学童保育事業
2016年4月より開始した学童保育事業「STEPキッズ」(小学1〜4年生)については順調に生徒数が拡大しており、2018年3月末時点で生徒数は120名強まで増加している。また、2018年3月より小学4年生を対象に「HOPクラス」も開設した。同クラスはSTEPキッズに在籍しないものの同キッズプログラムやエンジョイプログラムへの参加を希望するニーズに応えて新設することになったクラスで、内容的にはステップキッズ生と変わりない。
2018年4月末時点の生徒数はHOPクラス生も含めると140名となっており、教室スペースも手狭となってきたことから、2019年9月期に現在の湘南教室(藤沢市)の近隣に移設する計画となっている。既に土地は購入済みで、校舎建設を進めている。設備投資額は7〜8億円程度で、スペース的にも内容的にも拡充を図る。一方で、2校舎目の展開については2020年以降となりそうだ。プログラムの中身や日々の業務フローなど運営ノウハウの蓄積がなお必要と考えているためだ。現状、学童保育事業は赤字であり、収益化モデルを構築した後に校舎展開を進めていくことになりそうだ。
将来的には、「STEPキッズ」あるいは「HOPクラス」から「STEP」に入会する流れが出来上がることになり、生徒1人当たり収益の最大化により、同社業績への貢献が期待される。
年4〜5校ペースで新規開校し、安定成長を継続していく方針
3. 中長期的な成長戦略
2016年度における神奈川県内の学年別生徒数を見ると、年次によって多少のばらつきは見られるが、7.5〜7.8万人の間で安定した構成となっている。全国では少子化の影響が出ているものの、首都圏エリアにおいては人口流入が続いており、神奈川県内に特化した校舎展開を行っている同社にとっても、当面は少子化の影響はないものと考えられる。
こうしたなかで、同社は既存校舎での生徒数については維持向上を図りつつ、今後は県内でも学齢人口が多い横浜市北東部エリアや川崎市などを中心に校舎数並びに生徒数を増やし、シェアを拡大していく戦略となっている。開校ペースは小中学部で年間3〜4スクール、高校部では3〜4年に1校ペースという従来の方針は変わらない。このため、業績も中期的に4〜5%の安定した成長と営業利益率で20%台の高い収益性が継続していくものと弊社では予想している。
小中学部においては現状128スクール体制となっているが、神奈川県全域をカバーするには160スクール程度が必要と見ており、今後10年程度をかけて全域をカバーしていくことになる。特に、横浜市や川崎市は競合する湘南ゼミナールや臨海セミナーと比較すると校舎数も少なく拡大余地は大きい。学習塾激戦区であるだけに生徒獲得競争も激しいが、ここ数年でこれらエリアにも校舎を展開してきたことで、着実にその成果(合格者数の増加)も見え始めている。
横浜市、川崎市内の公立トップ高である横浜翠嵐、多摩高の合格者数で見ると、横浜翠嵐については2018年の合格者数で77名(前年比24名増)となっている。1位の湘南ゼミナールは132名の合格者数を出しており、差はまだあるものの年々縮小傾向にある。また、多摩高については24名(同4名増)と少ないが、これは同市内における校舎数が2スクール(宮崎台、Hi-STEP宮前平)にとどまっていたためで、2018年春に新たに鷺沼、新百合ヶ丘と主要2拠点でスクールを開設したことから、今後の増加が期待できる状況となっている。多摩高の合格者数トップは92名の臨海セミナーである。
また、競合となる湘南ゼミナールや臨海セミナーについてはここ数年、神奈川県以外のエリア拡大に成長の活路を見出そうとしていることも、同社にとっては横浜市、川崎市でシェアを拡大していく好機になると弊社では見ている。当面の目標としては、公立トップ19校のうち横浜市内にある高校の合格実績数で、現在トップの湘南ゼミナールを追い抜くことを掲げている。今のペースでいけば、遠くない将来、湘南ゼミナールを追い抜くことも可能と見られる。横浜市内にある上位トップ校への合格実績を高めていけば、生徒募集活動もさらにスムーズに進んでいくものと予想される。
一方、高校部では現在の14校体制を将来的には20校まで拡大する予定となっている。少子化による影響を受けるものの、既存校においてはシェア拡大によって生徒数を維持し、進出エリアを拡大することによって生徒数の伸長を図っていく戦略だ。次の新規開校は2019年春を予定している。
同社の経営課題としては、人材の採用・育成にある。現在の労働需給はタイトで売り手市場となっており、新卒採用が厳しくなっている。同社は例年約50名の人員採用を行っており、新卒35名、中途採用15名程度で推移してきたが、2018年春は新卒が30名ほど、残り20名が中途採用となった。講師の採用・育成が進まなければ、校舎数の増加ペースが計画どおり進まない可能性もあり、今後も採用力の強化に注力していく方針である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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