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OKウェイヴ Research Memo(3):技術力、知識情報の蓄積、導入実績の3点が強み

注目トピックス 日本株
■事業概要

オウケイウェイヴ<3808>の事業セグメントはコンシューマー・サービス事業、エンタープライズ・ソリューション事業、インバウンド・ソリューション事業、フィンテック事業の4つからなっている。2019年6月期の売上構成を見ると、コンシューマー・サービス事業が14.7%、エンタープライズ・ソリューション事業が37.7%、インバウンド・ソリューション事業が17.3%、フィンテック事業が30.3%となっている。

1. コンシューマー・サービス事業
コンシューマー・サービス事業では、日本初、最大級のQ&A サイト「OKWAVE」の運営や3,000 名以上の専門家が質問者に回答する「OKWAVE PROFESSIONAL.」などの個人向けサービスを運営している。また、感謝されている人を可視化し、賛同企業などからの優待が受けられる新たな経済圏「感謝経済」プラットフォームとして「OKWAVE GRATICA」の導入を行っている。さらに、海外子会社OKfinc LTD. がブロックチェーン導入・運用コンサルテーションを提供する際に、ブロックチェーン運用のためのマーケティングサポートサービスを提供している。

2. エンタープライズ・ソリューション事業
企業への問い合わせの中で、よくある質問を管理・編集し、回答をインターネット上に公開することで、問い合わせを減少させる企業向けソリューション「OKBIZ.」を提供している。特許技術を有する「OKBIZ.」を、国内5大銀行を始め、600サイト以上に提供している。「OKBIZ.」はサブスクリプションモデルで提供されており、同社にとっての安定的収益基盤となっている。

3. インバウンド・ソリューション事業
連結子会社のブリックスにて運営している13言語(日本語、英語、中国語 繁体/ 簡体、韓国語、スペイン語、ポルトガル語)24時間365日体制の多言語コンタクトセンターである。民間企業、医療機関、官公庁からの受託による電話通訳をはじめとする多言語対応と、バイリンガルスタッフによる様々な請負業務を行っている。

4. フィンテック事業
マレーシアの同社グループ会社OKfinc LTD.とOBCにて、ブロックチェーン技術を用いた受託開発を請け負う。企業や団体のブロックチェーン導入に関する経営戦略立案から設計、システム構築までをワンストップで実施する。

なお、2019年7月より事業区分の変更を図っている。コンシューマー・サービスのQ&Aを中心としたサービスと、エンタープライズ・ソリューションの2事業をソリューション事業(仮称)に集約した。これにより、同社の事業はソリューション事業(仮称)、フィンテック事業、インバウンド・ソリューション事業の3つとなっている。

5. 強み
同社の基本方針を元に、技術力、知識情報の蓄積、導入実績の3点に着目して説明する。

(1) 技術力
同社では、注力する3つのコアテクノロジーの頭文字をとってABCテクノロジーと呼んでいる。これらの技術やQ&Aを組み合わせる世界特許(2010年取得)を活用し、知識流通を行う同社ならではのサービス提供を目指している。

a) AI Technology:人口知能技術
AI Technology とは、コンピュータを使って、学習、推論、判断など、人間の知能のはたらきを人工的に実現する技術である。同社は2014年より、自社開発した人口知能「KONAN」の研究開発に注力している。2017年6月期以降「KONAN」を土台にした対話型AI エージェント「あい」や企業向けの「OKBIZ. AI Knowledge」などのAIサービスの提供を開始している。引き続き、コアとなる「KONAN」の強化とAI関連サービスの開発・提供を進める。

b) Blockchain:ブロックチェーン技術
ブロックチェーンとは、従来の中央集権型のデータ管理とは違い、複数の箇所にデータを置く分散型のネットワークで、安価で保守性の高いネットワークを実現した技術である。代表取締役会長の兼元氏は一般社団法人ブロックチェーン推進協会の理事を務めるなど、会社としてもこの技術の研究・開発に努めている。

同社では人気ウォレットアプリ「BRD」提供の海外企業Breadwinnerなどに出資している。ブロックチェーン技術を活用し、サイト内で安全かつ確実に、仮想通貨のやり取りが行える場を創出する。また、2019年6月期より、認証(マイニング)にかかる時間とコストの問題を解決するオリジナルブロックチェーン技術プラットフォーム『Thor’s Hammer(トゥールハンマー)』の開発を行っている。

c) Cyber Security:サイバー・セキュリティ技術
同社は情報セキュリティに関する国際規格ISO27001を早期から取得・維持し、運営サービスや提供システムのセキュリティ対策や有事に対応を行う社内組織CSIRTの設立などを行ってきた。
同社は、米国のパランティアと2018年11月に業務提携契約を締結した。パランティアの製品を通じて高度な情報セキュリティ技術を取得し、自社製品サービスのセキュリティをさらに高める。また、パランティアと共同で日本及びアジア圏の仮想通貨取引所を始めとする仮想通貨関連市場への同社製品の販売も手掛ける。

(2) 知識情報の蓄積
同社がQ&Aサービスを開始したのは1999年であり、日本国内では初めてのサービスである。サービス開始以来蓄積されたデータが、1,100カテゴリー、3,600万件に上っている。この大量に蓄積されたデータを活用し、「OKWAVE」で蓄積したデータを「OKBIZ.」で活用するなど、同社ならではの情報提供を行うことが可能である。

(3) 導入実績
エンタープライズ向けサービスの「OKBIZ.」は数多くの会社が活用しており、FAQ/問い合わせ管理システムでは国内売上シェアNo.1である。また、国内トップ5の銀行((株)三菱UFJ銀行(三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>)、(株)三井住友銀行(三井住友フィナンシャルグループ<8316>)、(株)みずほ銀行(みずほフィナンシャルグループ<8411>)、(株)りそな銀行(りそなホールディングス<8308>)、ゆうちょ銀行<7182>)に使用されるなど、高い信頼性も評価されている。これら数多くの企業とのサブスクリプションモデルの契約が安定収益確保につながっている。加えて、これらの顧客に対して機能拡充や新サービスの提案などアップセルにつなげやすい。今後、感謝経済プラットフォームの提案に際して優位に進めて行けることも大きな強みである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 内山 崇行)




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