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SI Research Memo(3):「時間を奪うのではなく、時間を与えるソフトウェアを創り続ける」(2)

注目トピックス 日本株
■事業概要

3. ERP・AI事業
ERP・AI事業では完全Web型ERPパッケージ「GRANDIT」の開発、導入販売を行っている。「GRANDIT」は13社のIT企業が参画したコンソーシアム方式で運営されているERPパッケージのことで、システムインテグレータ<3826>は2004年のコンソーシアム結成時より「GRANDIT」の企画・開発に携わり、普及拡大に貢献してきた。「GRANDIT」の顧客ターゲットは年商数百億円規模の中堅企業から最近は大企業向けの実績も増え始めており、導入社数はコンソーシアム全体で1,150社超まで拡大している。「GRANDIT」の特徴は、完全WebベースのERPであり、バージョンアップ時におけるクライアント側でのメンテナンスが不要なこと、また、スマートデバイスにも対応可能なことが挙げられる。ハードウェアに依存しないため、Webが動作する環境であればどこでもシステムの利用が可能となる。また、13社それぞれの技術ノウハウが「GRANDIT」の製品開発に生かされるため、機能面での競争力も高い。2018年にリリースした最新版の「GRANDIT3.0」では、新たにRPAもラインナップに追加するなど日々進化を続けている。

同社の導入実績は百数十社と、コンソーシアムの中でトップの実績を誇っており、販売実績No.1の企業に与えられる「GRANDIT AWARD Prime Partner of the Year」についてもAwardが開催された2008年から2018年までの11年間のうち5回受賞している。同社の強みは、「GRANDIT」の基本機能を補完するアドオンモジュールとして製造業向けの「生産管理アドオンモジュール」や「継続取引管理アドオンモジュール」のほか、ソフトウェア業界向けには「OBPM」と連携させた「プロジェクト管理テンプレート(ITテンプレート)」などを自社開発するなど、幅広いソリューションに対応できる開発力を持つことに加えて、RPA、AIと組み合わせた業務自動化提案力を持つこと、AWSやMicrosoft Azure等のパブリッククラウドベースでのインテグレーションサービスに対応可能なことなどが挙げられる。

ERPの国内市場規模は2019年度で1,100億円超となり、前年度比で10%台の成長になったもようだ。デジタルトランスフォーメーションの取り組みの一環として、基幹システムを再構築する動きが続いているほか、オンプレミスからクラウドへ移行する動きも活発化していることが背景にある。今後についても、ERPの最大手であるSAPが既存システムの保守サポートを2027年度で終了することを発表しており、大手企業を中心に既存システムを次世代ERPに移行する、または他のERPに切り替える必要が出てくるため、年率10%近い成長が続くものと予想されている。

ERPベンダーは顧客規模別に棲み分けが進んでおり、大企業向けではSAPやOracleが強い。同社の顧客対象は従来、中堅企業が中心で競合品は富士通<6702>の「GLOVIA」やオービック<4684>の「OBIC7」などとなる。また、ここ最近では顧客ニーズの多様化に伴い受注案件も1件当たり3〜5億円程度と大型化する傾向にある。売上総利益率は製品構成や仕様などによって変わるため一概には言えないが、平均すると20%台後半の水準となり、営業利益率は7%前後で推移している。また、ストック売上比率は20%前後の水準となっている。

また、AI事業としては米Work FusionのRPAツール「Intelligent Automation Cloud Express(旧:RPA Express)」の代理店となり、ERPビジネスの補完ツールとして販売しているほか、自社開発したディープラーニング異常検知システム「AISI∀-AD(Anomaly Detection)」を2018年10月にリリースしている。「AISI∀-AD」は従来、人が目視検査していた工程をディープラーニング技術で自動化するシステムである。ディープラーニングは学習に最適な環境が整備されているMicrosoftのAzureクラウドを利用し、異常検知処理は高速リアルタイムに判定できるエッジコンピュータを用いるシステム構成となっている。検査対象物や要求精度が顧客によって異なるため、個々の案件ごとに仕様を固めていく必要があり、現在は見込み客と個別に実証実験を行い、効果測定を進めている段階にある。システム導入にあたって、カメラやコンピュータ等のハードウェアはパートナー企業が販売し、同社は「AISI∀-AD」の実証試験にかかる費用のほか、導入・運用サポート料を売上計上していくことになる。導入料金は1ライン当たり500万円程度を目安としている。

4. その他
その他の事業には、新規事業が含まれる。既に売上げに貢献しているサービスとしては、2018年1月にリリースしたプログラミングスキル判定サービス「TOPSIC」がある。プログラミング言語に依存しない共通スキルであるアルゴリズム力を問う問題を難易度別(6段階)に組み合わせてオンラインで出題・採点し、受験者のスキルレベルをチェックするサービスである。企業における技術者採用時のスクリーニングや社員向け教育研修ツールとして、また、外注先企業を選定する際のスキルチェック用としての利用を見込んでいる。多言語に対応しているため、外国人エンジニアの採用やオフショア企業選定の際にも活用できるメリットもある。2020年2月時点の導入社数は約70社(学校含む)と順調に拡大している。

料金プランは、従量制と年間契約の定額制に分かれている。定額制で一般企業の場合(スタンダードプラン)、年間基本料30万円と利用人数に応じて年間利用料が付加される(学校向けはスタンダードプランの1割で提供)。プログラミングスキル判定サービスの競合としては、(株)ギブリーの「track(トラック)」がある。同社サービスとの違いは、カバーする範囲が上流の設計分野からプログラミング分野まで広範囲にわたり、サービス料金も基本料金で月額5万円+利用IDによる従量課金とやや高めの設定となっている点が挙げられる。手軽にエンジニアのプログラミングに関するスキルチェックを行いたい場合は、同社サービスの方が使い勝手が良いと思われる。

なお、同社は「TOPSIC」の認知度向上も兼ねて、2018年から「TOPSIC」を用いた企業・学校対抗プログラミングバトル「PG BATTLE」を開催している。1チーム3人制で、出題された問題を解くプログラムを90分間に4つ書いて、オンライン提出するというもので、3人の合計点数と所要時間を競う。第1回大会は企業・学校合わせて260チーム、780名が参加したが、第2回大会では444チーム、1,332名まで拡大し、企業スポンサーも20社集まるなど大会の規模も一段と拡大した。2020年以降も規模を大きくしながら大会を継続し、「TOPSIC」の認知度をさらに広めていく考えだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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