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ケネディクス Research Memo(1):AUMの拡大とともにアセットマネジメントフィーは順調に伸長

注目トピックス 日本株
■要約

ケネディクス<4321>は、国内最大の独立系不動産アセットマネジメント会社である。1995年の設立以降、日本の不動産証券化ビジネスの勃興期から活躍するとともに、不動産アセットマネジメント会社の草分けとして業容を拡大してきた。メインスポンサーJ-REITの3銘柄や私募REITのほか、多数の私募ファンドを運用しており、受託資産残高(以下、AUM)は約2.5兆円に上る。国内外の機関投資家や年金基金など幅広い投資家層を顧客基盤に持つ。堅調な不動産市況に加えて、同社が目指してきた「ケネディクスモデル」※が本格稼働フェーズに入ってきたことから、ここ数年の業績は順調に拡大基調にある。足元業績は、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)による一過性の影響を受けているものの、アセットマネジメントフィーを中心とした安定収益は順調に伸びているほか、ブロックチェーンを活用した「不動産セキュリティ・トークン」など、将来を見据えた新規分野にも積極的に取り組んでいる。新たな不動産投資の仕組みである不動産クラウドファンディング事業についても着実に立ち上がってきた。

※不動産を自ら保有せず、グループで組成・運用するファンドが保有することにより、安定的な収益力を追求する収益モデル。


1. 中期経営計画
同社は、2015年に定めた長期ビジョン「Kenedix Vision 2025」のもと、2018年12月期から3ヶ年の中期経営計画「Partners in Growth, Next 2020」をスタートし、「ケネディクスモデル」の更なる発展を推進している。長期ビジョン策定時には想定していなかったコロナ禍の影響を一部受けているものの、あくまでも一過性及び限定的なものと認識しており、今後の方向性に見直しはない。同社の強みである投資案件の組成力と運用力を高め、顧客投資家層を拡大し、「ケネディクスモデル」を多方面に発展・深化させることで、同社の収益基盤を一層強化していく。また、機動的な投資と健全な財務体質を維持しながら、資本の有効活用と株主還元の充実を図り、不動産アセットマネジメントのリーディングカンパニーとして企業価値の一層の向上を目指す方針である。定量計画として、ROE(3年平均)10%以上、総還元性向(3年平均)50%以上を掲げている。

2. 2020年12月期上期の業績
2020年12月期上期の業績は、営業収益が前年同期比55.0%減の15,407百万円、営業利益が同22.7%減の5,355百万円、経常利益が同17.2%減の5,993百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同15.8%減の4,177百万円と低調に推移した。コロナ禍に伴う活動制限が不動産取引の一時的な停滞を招き、不動産売却益の獲得が大きく出遅れた。一方、AUMの拡大とともにアセットマネジメントフィーを中心とした安定収益は順調に伸びている。また、不動産売却益獲得の遅れについても、単にタイミングの問題であり、保有物件の価格的な下げ圧力は受けていないことから、挽回可能な状況であるとの見方ができる。

3. 2020年12月期の業績予想
2020年12月期の業績予想について同社は、期初予想を据え置き、営業総利益を前期比1.8%増の23,800百万円、営業利益を同0.4%増の16,000百万円、経常利益を同3.5%増の16,400百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を同7.7%増の11,500百万円とすべての段階利益で増益を見込んでいる。上期までの業績に進捗の遅れがあったものの、「アセットマネジメント事業」が安定推移していることに加え、「不動産投資事業」についても、不動産取引の活動再開に伴う物件売却やファンド組成により、上期の出遅れ分をカバーする想定となっている。

4. 今後の成長戦略
同社の中長期的な成長戦略は、これまでの「メインスポンサーREIT」と「私募ファンド」に加えて、新たな成長軸である「不動産セキュリティ・トークン」を3本目の柱に育てることにより、投資対象及び投資家層の拡大を図りながらAUMの成長を目指すものである。弊社でも、「ケネディクスモデル」を確立してきた同社にとって、外部環境(世界的な低金利を背景とした不動産投資ニーズの継続等)を追い風としながら、持続的な成長を実現することは可能であると評価しており、コロナ禍に伴う環境変化(ニューノーマル)についても、大きなリスク要因としては捉えていない。最大の課題は、2025年末のAUM4兆円達成に向けていかに拡大ペースの維持・加速を図っていくのかにあるだろう。「不動産セキュリティ・トークン」や「アウトバウンドファンド」(海外展開)などの新たな成長軸が、今後どのように業績に寄与してくるのかについても注目したい。

■Key Points
・2020年12月期上期はコロナ禍に伴う一過性要因により、不動産売却益の獲得に大幅な遅れ
・一方、AUMの拡大とともにアセットマネジメントフィーを中心とした安定収益は順調に伸長
・2020年12月期の通期予想を据え置き、下期での巻き返しにより高い業績水準を確保する見通し
・今後は、「メインスポンサーREIT」と「私募ファンド」に加えて、「不動産セキュリティ・トークン」を3本目の柱に育成し、AUMの成長と投資家層の拡大を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)




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