DDHD Research Memo(4):21年2月期はコロナ禍の影響により大きく後退
[21/06/11]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■決算動向
1. 過去の業績推移
過去の業績を振り返ると、店舗数の拡大がDDホールディングス<3073>の成長をけん引してきた。特にM&Aによる規模拡大が出店ペースに拍車をかけてきたと言える。2015年2月期から高収益ブランドを軸とした出店拡大を本格化すると、2018年2月期には大型M&A(ゼットン及び商業藝術の連結化)を実現し、スケールメリットの追求や業態の多様化等に取り組んだ。また、2020年2月期には、エスエルディー及び湘南レーベルを連結化し、さらなる事業拡大と事業領域の拡充を図った。ただ、2021年2月期はコロナ禍の影響を受けてこれまでの拡大路線から一転し、大きく後退する状況となっている。
利益面では、高収益ブランドの出店拡大等により2017年2月期の営業利益率は5.4%に改善。その後はウェディング事業への参入などに伴う先行費用の増加により4%〜5%で推移したものの、2020年2月期は売上高の拡大とグループ商流集約による原価率低減等が奏功し、過去最高益を更新。2021年2月期はコロナ禍の影響により営業損失を計上した。
財務面では、財務基盤の安定性を示す自己資本比率はおおむね20%台で推移してきた。ただ、2021年2月期はコロナ禍の影響を受けて大幅な損失を計上したことから、債務超過に陥る結果となった。同社では、収益構造の強化(黒字転換)及び資本政策の実施(新株予約権の行使進行)を通じて、2022年2月期末までの債務超過解消を目指している。
2. 2021年2月期決算の概要
2021年2月期の連結業績は、売上高が前期比59.1%減の23,483百万円、営業損失が9,703百万円、経常損失が9,034百万円、親会社株主に帰属する当期純損失が8,507百万円とコロナ禍の影響により大幅な減収減益となり、各段階損益で損失を計上した。
売上高は、コロナ禍の長期化に伴う影響を受け、主力の「飲食事業」及び「アミューズメント事業」がともに大幅な減収となった。特に、1回目の緊急事態宣言(2020年4月)に伴う休業及び時短営業より第1四半期に大きく落ち込んだ。第2四半期以降は、徐々に回復に向かったものの、コロナ禍第3波の影響や、それに伴う2回目の緊急事態宣言(2021年1月)により、第4四半期で再び失速する結果となった。また、第3四半期からゼットンが連結除外されたことも減収要因となっている。
四半期ごとの前年同期比での既存店売上高の推移を見ると、1回目の緊急事態宣言により多くの店舗が休業となった第1四半期が前年比26.3%と極端に落ち込んだ後、緊急事態宣言が解除された第2四半期は徐々に回復に向かったものの、7月下旬からのコロナ第2波に伴う時短営業により前年比43.1%と伸び悩んだ。第3四半期は、通常営業を再開したことや「GoToキャンペーン」の効果等により前年比65.1%にまで回復。しかしながら、第4四半期はコロナ第3波に伴う2回目の緊急事態宣言及び期間延長により前年比38.9%と再び落ち込んだ。
新規出店については、すでに契約済であった9店舗(全て飲食事業)※1及び不動産サービス事業のホテル2棟を出店した一方、不採算店舗54店舗※2を整理し、今後の損益改善(黒字化)に向けて収益構造の強化を行った。
損益面では、2020年7月15日に公表した経営合理化策に基づき、徹底した固定費圧縮に努めたものの、売上高の急激な落ち込みにより大幅な営業損失を計上した。四半期ごとの損益の状況(関連グラフの参照)を見ると、売上高が一旦回復に向かった第3四半期には損益分岐点に近づいたものの、上期の損失幅が大きかったことに加え、第4四半期に再び落ち込んだことが響いた。なお、政府からの助成金収入(時短要請協力金等)(885百万円)については営業外収益に計上されている。また、新たに参入した「不動産サービス事業」については、ホテル事業などがコロナ禍の影響を受けたものの、安定した貸コンテナ事業が底支えとなり、唯一セグメント黒字を確保した。
※1 2021年2月期第3四半期より持分法適用関連会社となった(株)ゼットンによる出店数2店舗を含む。
※2 2021年2月期第3四半期より持分法適用関連会社となった(株)ゼットンによる退店数1店舗を含む。
財務面では、大幅な最終損失の計上により、純資産は301百万円のマイナス(債務超過)に陥った。手元流動性(現金及び預金)は4,259百万円を確保しており、当面の支払能力に懸念はないものの、事業基盤の安定化や成長軌道への回帰に向けた財務基盤の安定化は喫緊の課題と言える。同社は2020年10月26日付けで第三者割当による新株予約権の発行を決議(詳細は後述)。発行時点での資金調達予定額は合計約28.4億円にのぼり、権利行使の順次進行に伴って2022年2月期末までに債務超過の解消を目指している。
3. 2021年2月期の総括
以上から、2021年2月期を総括すると、コロナ禍による想定を超える影響を受け、これまで順調に拡大してきた業績が大きく後退し、債務超過に陥ったことを勘案すれば、極めて厳しい結果と言わざるを得ない。特に、山手線沿線にドミナント展開する同社の強みが、コロナ禍に伴う人の移動や活動が制限された状況下においては、逆に業績の足を引っ張る要因となったとの見方ができる。もっとも、通常営業を一旦再開した第3四半期には一定の回復を見せていることから、同社の強みが失われたわけでなく、あくまでもコロナ禍収束までの一過性の要因によるところが大きいと判断しても良いだろう。また、経営合理化策の推進や新株予約権の発行等を通じて、今後の損益改善や財務基盤の安定化に向けて一定の道筋をつけたことや、厳しい業界環境を逆手にとり、リスクを抑えながらスケールメリットが期待できるプラットフォームビジネス(詳細は後述)を開始したところは、今後に向けてプラスの材料と言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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1. 過去の業績推移
過去の業績を振り返ると、店舗数の拡大がDDホールディングス<3073>の成長をけん引してきた。特にM&Aによる規模拡大が出店ペースに拍車をかけてきたと言える。2015年2月期から高収益ブランドを軸とした出店拡大を本格化すると、2018年2月期には大型M&A(ゼットン及び商業藝術の連結化)を実現し、スケールメリットの追求や業態の多様化等に取り組んだ。また、2020年2月期には、エスエルディー及び湘南レーベルを連結化し、さらなる事業拡大と事業領域の拡充を図った。ただ、2021年2月期はコロナ禍の影響を受けてこれまでの拡大路線から一転し、大きく後退する状況となっている。
利益面では、高収益ブランドの出店拡大等により2017年2月期の営業利益率は5.4%に改善。その後はウェディング事業への参入などに伴う先行費用の増加により4%〜5%で推移したものの、2020年2月期は売上高の拡大とグループ商流集約による原価率低減等が奏功し、過去最高益を更新。2021年2月期はコロナ禍の影響により営業損失を計上した。
財務面では、財務基盤の安定性を示す自己資本比率はおおむね20%台で推移してきた。ただ、2021年2月期はコロナ禍の影響を受けて大幅な損失を計上したことから、債務超過に陥る結果となった。同社では、収益構造の強化(黒字転換)及び資本政策の実施(新株予約権の行使進行)を通じて、2022年2月期末までの債務超過解消を目指している。
2. 2021年2月期決算の概要
2021年2月期の連結業績は、売上高が前期比59.1%減の23,483百万円、営業損失が9,703百万円、経常損失が9,034百万円、親会社株主に帰属する当期純損失が8,507百万円とコロナ禍の影響により大幅な減収減益となり、各段階損益で損失を計上した。
売上高は、コロナ禍の長期化に伴う影響を受け、主力の「飲食事業」及び「アミューズメント事業」がともに大幅な減収となった。特に、1回目の緊急事態宣言(2020年4月)に伴う休業及び時短営業より第1四半期に大きく落ち込んだ。第2四半期以降は、徐々に回復に向かったものの、コロナ禍第3波の影響や、それに伴う2回目の緊急事態宣言(2021年1月)により、第4四半期で再び失速する結果となった。また、第3四半期からゼットンが連結除外されたことも減収要因となっている。
四半期ごとの前年同期比での既存店売上高の推移を見ると、1回目の緊急事態宣言により多くの店舗が休業となった第1四半期が前年比26.3%と極端に落ち込んだ後、緊急事態宣言が解除された第2四半期は徐々に回復に向かったものの、7月下旬からのコロナ第2波に伴う時短営業により前年比43.1%と伸び悩んだ。第3四半期は、通常営業を再開したことや「GoToキャンペーン」の効果等により前年比65.1%にまで回復。しかしながら、第4四半期はコロナ第3波に伴う2回目の緊急事態宣言及び期間延長により前年比38.9%と再び落ち込んだ。
新規出店については、すでに契約済であった9店舗(全て飲食事業)※1及び不動産サービス事業のホテル2棟を出店した一方、不採算店舗54店舗※2を整理し、今後の損益改善(黒字化)に向けて収益構造の強化を行った。
損益面では、2020年7月15日に公表した経営合理化策に基づき、徹底した固定費圧縮に努めたものの、売上高の急激な落ち込みにより大幅な営業損失を計上した。四半期ごとの損益の状況(関連グラフの参照)を見ると、売上高が一旦回復に向かった第3四半期には損益分岐点に近づいたものの、上期の損失幅が大きかったことに加え、第4四半期に再び落ち込んだことが響いた。なお、政府からの助成金収入(時短要請協力金等)(885百万円)については営業外収益に計上されている。また、新たに参入した「不動産サービス事業」については、ホテル事業などがコロナ禍の影響を受けたものの、安定した貸コンテナ事業が底支えとなり、唯一セグメント黒字を確保した。
※1 2021年2月期第3四半期より持分法適用関連会社となった(株)ゼットンによる出店数2店舗を含む。
※2 2021年2月期第3四半期より持分法適用関連会社となった(株)ゼットンによる退店数1店舗を含む。
財務面では、大幅な最終損失の計上により、純資産は301百万円のマイナス(債務超過)に陥った。手元流動性(現金及び預金)は4,259百万円を確保しており、当面の支払能力に懸念はないものの、事業基盤の安定化や成長軌道への回帰に向けた財務基盤の安定化は喫緊の課題と言える。同社は2020年10月26日付けで第三者割当による新株予約権の発行を決議(詳細は後述)。発行時点での資金調達予定額は合計約28.4億円にのぼり、権利行使の順次進行に伴って2022年2月期末までに債務超過の解消を目指している。
3. 2021年2月期の総括
以上から、2021年2月期を総括すると、コロナ禍による想定を超える影響を受け、これまで順調に拡大してきた業績が大きく後退し、債務超過に陥ったことを勘案すれば、極めて厳しい結果と言わざるを得ない。特に、山手線沿線にドミナント展開する同社の強みが、コロナ禍に伴う人の移動や活動が制限された状況下においては、逆に業績の足を引っ張る要因となったとの見方ができる。もっとも、通常営業を一旦再開した第3四半期には一定の回復を見せていることから、同社の強みが失われたわけでなく、あくまでもコロナ禍収束までの一過性の要因によるところが大きいと判断しても良いだろう。また、経営合理化策の推進や新株予約権の発行等を通じて、今後の損益改善や財務基盤の安定化に向けて一定の道筋をつけたことや、厳しい業界環境を逆手にとり、リスクを抑えながらスケールメリットが期待できるプラットフォームビジネス(詳細は後述)を開始したところは、今後に向けてプラスの材料と言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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