ビーロット Research Memo(1):中期経営計画では安定的な利益成長を目指す。初年度はKPI達成など順調な進捗
[22/03/24]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
ビーロット<3452>は、代表取締役の宮内誠(みやうちまこと)氏をはじめ不動産業界に長く従事してきたプロ集団が2008年に設立した「不動産投資開発事業」「不動産コンサルティング事業」「不動産マネジメント事業」を中心とする不動産金融コンサルティング会社である。設立当初は不動産仲介及び賃貸管理が主であったが、不動産再生の分野で取引実績を着実に重ね、資金調達力が強化されるにつれて不動産投資・開発の割合を増やしてきた。創業6年2ヶ月となる2014年12月には早くも上場(東京証券取引所(以下、東証)マザーズ)を果たし、2015年にアセットマネジメント会社とシンガポール現地法人を設立、2016年に関西の不動産会社を連結子会社化して関西圏に本格進出した。2017年には東京のホテル事業会社を連結子会社化、2018年にはM&A事業関連及び人材関連の会社を設立、ゴルフ場受託運営会社を連結子会社化した。さらに2019年には納骨堂及び葬儀場運営会社の株式50%を取得し、成長を加速している。設立10年にして2018年2月に東証1部への市場変更を果たし、その信用力と知名度の向上により情報量や顧客数、金融機関との良好な取引関係が拡充している。2020年にはM&Aを活用し、同社がスポンサーとなるビーロットリート投資法人の運用を開始した。
1. 2021年12月期の業績概要
2021年12月期の連結業績は、売上高で前期比44.3%減の14,751百万円、営業利益で同18.0%増の2,030百万円、経常利益で同45.3%増の1,501百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同176.6%増の953百万円となった。不動産投資開発事業及び不動産コンサルティング事業で増益となり、親会社株主に帰属する当期純利益は中期経営計画初年度の計画値を確保できたことから、保有する販売用不動産の販売予定時期を2022年12月期以降に見直すなどした。主力の不動産投資開発事業は、前期の大型案件売却の反動で減収となったものの、潤沢な投資マネーを背景に、堅調な不動産市況を取り込み、需要旺盛な住居系不動産を中心に売却を進めた結果、増益となった。売却件数は堅調に推移し、物件種類別では住居系不動産へのシフトが窺える。一方、不動産コンサルティング事業は成約件数及び不動産仲介取引が増加したほか、2021年4月に吸収合併した(株)ライフステージとのグループシナジーの効果もあり、新築マンションの販売受託が好調に推移した。
2. 今後の見通し
2022年12月期の連結業績予想については、営業利益で前期比51.7%増の3,080百万円、経常利益で同49.2%増の2,240百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同56.3%増の1,490百万円を見込んでいる。中期経営計画の2年目となる2022年12月期も利益の安定成長を図る計画で、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)が尾を引く可能性も想定し、売上高を追求するのではなく、踊り場を創りながら3事業のバランスを変革する。そのために、安定した利益を生む不動産コンサルティング事業及び不動産マネジメント事業により力を入れ、両事業で毎期年率20%の利益成長を目指す。需要旺盛な住居系不動産については再生案件在庫が多数あるほか、開発案件ではオフィスニーズの高い福岡の新築オフィスビス2棟が注目される。弊社では、同社にはビジネスモデルやポートフォリオの多様性があり、変化への対応力が強みであると考えている。不動産業界をとりまく経済動向の不透明感が続くなかで、よりニーズが高く安定収益が見込める事業にシフトすることで、利益計画を達成する可能性は高いと見ている。
3. 成長戦略・トピック
同社は、2020年11月に2023年12月期を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画を発表し、2023年12月期に売上高で29,700百万円、経常利益で3,640百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で2,440百万円を計画していた。しかしながら、2022年12月期より売上高の予想は非開示とすることに伴い、中期経営計画の売上高計画値も取り下げた。初年度である2021年12月期の業績としては、KPIとする親会社株主に帰属する当期純利益が目標値を達成したほか、経常利益も計画値を達成するなど、順調な滑り出しとなった。また進捗状況としては、長期安定成長に向けた取り組みとして推進している不動産コンサルティング事業の粗利構成比が計画値を上回った。6つのアクションプランに関しては、「次世代リーダー育成」で若手社員の台頭が各部門であり、戦力が充実してきている。また、「既存ビジネスの深耕」においては、旧 ライフステージの販売代理事業を吸収合併したことによる相乗効果が事業規模拡大に寄与してきた。「自己資本比率25%超」に関しては、公募増資の効果もあり改善傾向にある。
4. 株主還元策
同社は、株主還元策として配当を実施している。配当の基本方針としては、業績に応じた利益還元を基本とし「将来の事業展開」と「財務体質の強化」を勘案して総合的に決定する。2021年12月期の1株当たり配当金は15.00円(前期と同額)、配当性向28.0%(前期は69.4%)となった。2022年12月期の配当予想は未定としているが、親会社株主に帰属する当期純利益で前期比56.3%増を見込んでいることから、順調に推移すれば前期以上の配当が期待できると弊社では見ている。なお、2022年4月に予定されている東証の市場区分見直しについては、「プライム市場」を選択申請している。
■Key Points
・主力の不動産投資開発事業は柔軟な対応力が強み
・不動産市場は物件タイプにより明暗が分かれるものの、住居系不動産は堅調。不動産投資家の積極的な投資姿勢に大きな変化はなし
・2021年12月期業績は、KPIである親会社株主に帰属する当期純利益が大幅に伸長
・2022年12月期業績は、安定収益の拡充等を図ることで各利益2ケタ増益の予想。需要旺盛な住居系不動産などの在庫が充実
・中期経営計画の初年度は順調な進捗
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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ビーロット<3452>は、代表取締役の宮内誠(みやうちまこと)氏をはじめ不動産業界に長く従事してきたプロ集団が2008年に設立した「不動産投資開発事業」「不動産コンサルティング事業」「不動産マネジメント事業」を中心とする不動産金融コンサルティング会社である。設立当初は不動産仲介及び賃貸管理が主であったが、不動産再生の分野で取引実績を着実に重ね、資金調達力が強化されるにつれて不動産投資・開発の割合を増やしてきた。創業6年2ヶ月となる2014年12月には早くも上場(東京証券取引所(以下、東証)マザーズ)を果たし、2015年にアセットマネジメント会社とシンガポール現地法人を設立、2016年に関西の不動産会社を連結子会社化して関西圏に本格進出した。2017年には東京のホテル事業会社を連結子会社化、2018年にはM&A事業関連及び人材関連の会社を設立、ゴルフ場受託運営会社を連結子会社化した。さらに2019年には納骨堂及び葬儀場運営会社の株式50%を取得し、成長を加速している。設立10年にして2018年2月に東証1部への市場変更を果たし、その信用力と知名度の向上により情報量や顧客数、金融機関との良好な取引関係が拡充している。2020年にはM&Aを活用し、同社がスポンサーとなるビーロットリート投資法人の運用を開始した。
1. 2021年12月期の業績概要
2021年12月期の連結業績は、売上高で前期比44.3%減の14,751百万円、営業利益で同18.0%増の2,030百万円、経常利益で同45.3%増の1,501百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同176.6%増の953百万円となった。不動産投資開発事業及び不動産コンサルティング事業で増益となり、親会社株主に帰属する当期純利益は中期経営計画初年度の計画値を確保できたことから、保有する販売用不動産の販売予定時期を2022年12月期以降に見直すなどした。主力の不動産投資開発事業は、前期の大型案件売却の反動で減収となったものの、潤沢な投資マネーを背景に、堅調な不動産市況を取り込み、需要旺盛な住居系不動産を中心に売却を進めた結果、増益となった。売却件数は堅調に推移し、物件種類別では住居系不動産へのシフトが窺える。一方、不動産コンサルティング事業は成約件数及び不動産仲介取引が増加したほか、2021年4月に吸収合併した(株)ライフステージとのグループシナジーの効果もあり、新築マンションの販売受託が好調に推移した。
2. 今後の見通し
2022年12月期の連結業績予想については、営業利益で前期比51.7%増の3,080百万円、経常利益で同49.2%増の2,240百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同56.3%増の1,490百万円を見込んでいる。中期経営計画の2年目となる2022年12月期も利益の安定成長を図る計画で、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)が尾を引く可能性も想定し、売上高を追求するのではなく、踊り場を創りながら3事業のバランスを変革する。そのために、安定した利益を生む不動産コンサルティング事業及び不動産マネジメント事業により力を入れ、両事業で毎期年率20%の利益成長を目指す。需要旺盛な住居系不動産については再生案件在庫が多数あるほか、開発案件ではオフィスニーズの高い福岡の新築オフィスビス2棟が注目される。弊社では、同社にはビジネスモデルやポートフォリオの多様性があり、変化への対応力が強みであると考えている。不動産業界をとりまく経済動向の不透明感が続くなかで、よりニーズが高く安定収益が見込める事業にシフトすることで、利益計画を達成する可能性は高いと見ている。
3. 成長戦略・トピック
同社は、2020年11月に2023年12月期を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画を発表し、2023年12月期に売上高で29,700百万円、経常利益で3,640百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で2,440百万円を計画していた。しかしながら、2022年12月期より売上高の予想は非開示とすることに伴い、中期経営計画の売上高計画値も取り下げた。初年度である2021年12月期の業績としては、KPIとする親会社株主に帰属する当期純利益が目標値を達成したほか、経常利益も計画値を達成するなど、順調な滑り出しとなった。また進捗状況としては、長期安定成長に向けた取り組みとして推進している不動産コンサルティング事業の粗利構成比が計画値を上回った。6つのアクションプランに関しては、「次世代リーダー育成」で若手社員の台頭が各部門であり、戦力が充実してきている。また、「既存ビジネスの深耕」においては、旧 ライフステージの販売代理事業を吸収合併したことによる相乗効果が事業規模拡大に寄与してきた。「自己資本比率25%超」に関しては、公募増資の効果もあり改善傾向にある。
4. 株主還元策
同社は、株主還元策として配当を実施している。配当の基本方針としては、業績に応じた利益還元を基本とし「将来の事業展開」と「財務体質の強化」を勘案して総合的に決定する。2021年12月期の1株当たり配当金は15.00円(前期と同額)、配当性向28.0%(前期は69.4%)となった。2022年12月期の配当予想は未定としているが、親会社株主に帰属する当期純利益で前期比56.3%増を見込んでいることから、順調に推移すれば前期以上の配当が期待できると弊社では見ている。なお、2022年4月に予定されている東証の市場区分見直しについては、「プライム市場」を選択申請している。
■Key Points
・主力の不動産投資開発事業は柔軟な対応力が強み
・不動産市場は物件タイプにより明暗が分かれるものの、住居系不動産は堅調。不動産投資家の積極的な投資姿勢に大きな変化はなし
・2021年12月期業績は、KPIである親会社株主に帰属する当期純利益が大幅に伸長
・2022年12月期業績は、安定収益の拡充等を図ることで各利益2ケタ増益の予想。需要旺盛な住居系不動産などの在庫が充実
・中期経営計画の初年度は順調な進捗
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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