CAICAD Research Memo(7):「ITサービス事業」に集中し、Web3ビジネスの拡大にも取り組む(1)
[24/01/26]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*13:07JST CAICAD Research Memo(7):「ITサービス事業」に集中し、Web3ビジネスの拡大にも取り組む(1)
■新中期経営計画の方向性
1. 今後の方向性
CAICA DIGITAL<2315>は、「Zaif」を含む連結子会社3社の譲渡による「金融サービス事業」の抜本的な再編に伴い、新たに3ヶ年の中期経営計画を公表した。ただし、「デジタル金融の世界を切り拓く」※というスローガンは引き続き掲げ、方向性に大きな変更はない。すなわち、安定したキャッシュ・フローを生み出すシステム開発の「ITサービス事業」に集中するとともに、資本業務提携を締結したクシムなどとの協業により、ブロックチェーン技術を活用したWeb3ビジネスの拡大を図る方針である。
※「デジタル金融の世界を切り拓く」をスローガンとして、「あらゆる事がデジタル化される未来。中央集権型から分散型(DeFi)へ、業界構造そのものが大きく変革していく金融。CAICAはその変革者になります。」を目指す姿に掲げている。
2. 環境認識
同社の主力である「ITサービス事業」においては、金融及び非金融分野ともにDX投資が企業の重要な成長戦略の柱となっており、今後も好調な受注環境が継続する見方が大勢である。もっとも、同社ならではの成長性(市場を上回るアウトパフォームの可能性)を判断するには、中長期的な成長ドライバーとして期待されるWeb3ビジネスの展望が重要なポイントと言える。
(1) Web3の特長と同社の強み
Web3のプラットフォームやサービスは、従来のような中央集権型ではなく、分散型で構成される。これによりサービスやビジネスにおける主導権は、これまでのようにサービス提供事業者に集中するのではなく、サービスの向上と拡大に貢献したコミュニティなど多くの参加者に分散されるようになる。また、サービス利用者のデータは利用者自身が管理できるようになる。このような特長を持つWeb3への流れは、大量の利用者データを収集することで成長してきたテック系企業のビジネスモデルにも大きな影響を及ぼすと言われる一方、新しいサービスや事業を創出するスタートアップ企業の台頭も目立つようになってきた。特に、インターネット上に新しい世界観や経済圏を創り出すことで、ビジネス環境を一変させるポテンシャルを秘めていると見られている。
一方、同社の強みは、FinTech事業に注力し、ブロックチェーンに関する様々な実績を有していることである。Web3の基盤技術であるブロックチェーンには2016年から集中的に取り組み、様々なプロジェクトを推進し、多くの知見とノウハウを蓄積してきた。また、Web3の重要な決済技術である暗号資産についても、今回、暗号資産交換所「Zaif」を譲渡する結果となったものの、カイカコインの運用実績(約7年間)などを含めて知見やノウハウは獲得できており、この2つの重要な技術(ブロックチェーン及び暗号資産)を有する同社にはアドバンテージがあると言える。
(2) 市場規模(見通し)
Web3と定義される国内市場規模は、2027年までに2021年の20倍の約2.4兆円、グローバル市場でも約13倍の66.9兆円に拡大することが想定されている※1。また、外部の意識調査においても、多くの事業会社がWeb3に高い関心を寄せており、1年以内にWeb3を活用した事業開発を行いたいとの回答を示すデータもある※2。特にゲームや金融、セキュリティ、組織運営、アプリ開発、アート、決済、資金調達など幅広い分野で事業開発が期待される一方、知識不足や予算、人材面などが大きなハードルとなっている実態も窺える。同社では、「Zaif」の運用やNFTローンチパッド「Zaif INO」の運用経験を生かし、Web3コンサルティングサービスを展開して市場の拡大をリードしていく方針である。
※1 同社成長戦略資料よりフィスコ抜粋(出典:A.T.カーニー論考「Web3が与えるインパクト」)
※2 同社成長戦略資料よりフィスコ抜粋(出典:クラウドエース(株)による「Web3.0に関する意識調査」)
3. 数値目標とその前提
最終年度の2026年10月期の売上高7,813百万円(3年間の平均成長率は年率13.0%)、営業利益467百万円(営業利益率6.0%)を目指す。これまで業績面で大幅なマイナス要因となっていた「金融サービス事業」の再編効果と、安定したキャッシュ・フローを生み出す「ITサービス事業」への集中により、初年度(2024年10月期)に黒字転換を実現するとともに、好調な受注環境が継続している「ITサービス事業」の伸びが成長をけん引する想定である。特に、DXコンサルティングやWeb3コンサル事業から上流工程の高単価SI案件を獲得することで利益率の向上を図る考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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■新中期経営計画の方向性
1. 今後の方向性
CAICA DIGITAL<2315>は、「Zaif」を含む連結子会社3社の譲渡による「金融サービス事業」の抜本的な再編に伴い、新たに3ヶ年の中期経営計画を公表した。ただし、「デジタル金融の世界を切り拓く」※というスローガンは引き続き掲げ、方向性に大きな変更はない。すなわち、安定したキャッシュ・フローを生み出すシステム開発の「ITサービス事業」に集中するとともに、資本業務提携を締結したクシムなどとの協業により、ブロックチェーン技術を活用したWeb3ビジネスの拡大を図る方針である。
※「デジタル金融の世界を切り拓く」をスローガンとして、「あらゆる事がデジタル化される未来。中央集権型から分散型(DeFi)へ、業界構造そのものが大きく変革していく金融。CAICAはその変革者になります。」を目指す姿に掲げている。
2. 環境認識
同社の主力である「ITサービス事業」においては、金融及び非金融分野ともにDX投資が企業の重要な成長戦略の柱となっており、今後も好調な受注環境が継続する見方が大勢である。もっとも、同社ならではの成長性(市場を上回るアウトパフォームの可能性)を判断するには、中長期的な成長ドライバーとして期待されるWeb3ビジネスの展望が重要なポイントと言える。
(1) Web3の特長と同社の強み
Web3のプラットフォームやサービスは、従来のような中央集権型ではなく、分散型で構成される。これによりサービスやビジネスにおける主導権は、これまでのようにサービス提供事業者に集中するのではなく、サービスの向上と拡大に貢献したコミュニティなど多くの参加者に分散されるようになる。また、サービス利用者のデータは利用者自身が管理できるようになる。このような特長を持つWeb3への流れは、大量の利用者データを収集することで成長してきたテック系企業のビジネスモデルにも大きな影響を及ぼすと言われる一方、新しいサービスや事業を創出するスタートアップ企業の台頭も目立つようになってきた。特に、インターネット上に新しい世界観や経済圏を創り出すことで、ビジネス環境を一変させるポテンシャルを秘めていると見られている。
一方、同社の強みは、FinTech事業に注力し、ブロックチェーンに関する様々な実績を有していることである。Web3の基盤技術であるブロックチェーンには2016年から集中的に取り組み、様々なプロジェクトを推進し、多くの知見とノウハウを蓄積してきた。また、Web3の重要な決済技術である暗号資産についても、今回、暗号資産交換所「Zaif」を譲渡する結果となったものの、カイカコインの運用実績(約7年間)などを含めて知見やノウハウは獲得できており、この2つの重要な技術(ブロックチェーン及び暗号資産)を有する同社にはアドバンテージがあると言える。
(2) 市場規模(見通し)
Web3と定義される国内市場規模は、2027年までに2021年の20倍の約2.4兆円、グローバル市場でも約13倍の66.9兆円に拡大することが想定されている※1。また、外部の意識調査においても、多くの事業会社がWeb3に高い関心を寄せており、1年以内にWeb3を活用した事業開発を行いたいとの回答を示すデータもある※2。特にゲームや金融、セキュリティ、組織運営、アプリ開発、アート、決済、資金調達など幅広い分野で事業開発が期待される一方、知識不足や予算、人材面などが大きなハードルとなっている実態も窺える。同社では、「Zaif」の運用やNFTローンチパッド「Zaif INO」の運用経験を生かし、Web3コンサルティングサービスを展開して市場の拡大をリードしていく方針である。
※1 同社成長戦略資料よりフィスコ抜粋(出典:A.T.カーニー論考「Web3が与えるインパクト」)
※2 同社成長戦略資料よりフィスコ抜粋(出典:クラウドエース(株)による「Web3.0に関する意識調査」)
3. 数値目標とその前提
最終年度の2026年10月期の売上高7,813百万円(3年間の平均成長率は年率13.0%)、営業利益467百万円(営業利益率6.0%)を目指す。これまで業績面で大幅なマイナス要因となっていた「金融サービス事業」の再編効果と、安定したキャッシュ・フローを生み出す「ITサービス事業」への集中により、初年度(2024年10月期)に黒字転換を実現するとともに、好調な受注環境が継続している「ITサービス事業」の伸びが成長をけん引する想定である。特に、DXコンサルティングやWeb3コンサル事業から上流工程の高単価SI案件を獲得することで利益率の向上を図る考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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