ボーっと住んでるんじゃねえよ!チコちゃんに叱られちゃうよ【Book】
[19/01/31]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
実日ブックレビュー
自分が住んでいる駅の前には大きな屋内スケートリンクがある。ふだんは「ここは本当に東京なのだろうか?」というほど、のどかすぎるくらいのどかでローカル感満載の、ある意味ほっこりする駅だ。でもそんな駅が年に何回かだけ、人であふれかえる日がある。
それはそのスケートリンクでフィギュアスケートのアイスショーが催され「キャーッ真央ちゃんが来る!」とか、そんな日だ。リンクの前には屋台まで出て大賑わい。ふだんとのあまりものギャップに、しばし馴染めなかったりした。
でもそんな日でもない限り、ここに引っ越してきてからずっと気にもとめていなかったこのスケートリンク。でもある暑い夏の夕方、ずっと続いている地元民御用達の寿司屋で飲んでいたら、大将がこんなことを。
「知ってるかい? 駅前には大きなプールがあったんだよ」「えっ?」「いまのスケートリンク、あそこだよ」その衝撃はいまでも覚えている。しかも飛び込み台まである立派なプールだったらしい。スケートリンクとプールってまさに季節が正反対!なんというギャップ。あぁいまもプールだったらよかったのに.....(と思ってしまったのは内緒だ)。
「東急沿線の不思議と謎 」はまさにそういう話で構成された本だ。
といっても内容は多岐に渡っている。見出しからいくつか例を挙げてみる。
「慶應大学日吉キャンパスの地下に眠っている巨大なものとは!?」
「渋谷の空には○○○○が走っていた!?」
「目黒駅は、なぜ目黒区ではなく品川区にあるのか?」
「九品仏駅にある、謎の小さなホームはいったい何?」
......などなど。
いつも見ている風景には実はこんなものが隠れているというもの、駅名や地名の「言われてみればどうして?」という素朴なトリビア、駅や鉄道そのものについての不思議.......など、どれもふだんは気にもとめていない、でも言われてみればなぜだろう? というものを取り上げて解説している。
これはまさに大人気のTV番組『チコちゃんに叱られる!』のコンセプト。そしてあなたもきっと叱られる。そこに追い打ちをかけるあのNHKの大御所・森田美由紀アナの冷たいナレーション
「住んでいるのに、毎日目にしているのに、そんなことも知らずにのんきに暮らしている沿線住民のなんと多いことか」
タイトルに鉄道路線名がついているので、一見コアな鉄道マニアをターゲットにした本と思いがちだが、決してそうではない。むしろ家や職場がその路線にあって、日々をその沿線で暮らしている人に向けて作られた本だ(だから逆に鉄道マニアの方にとって本書は、物足りない部分が多いのではないかと思われる)。
また見出しはどれも軽妙でとっつきやすい表現になっているが、かといってよくある「トリビア本」のような軽い内容ではなく、しっかりと歴史や地理について資料を参照しながらまじめに掘り下げた内容になっている。ジャンルとしては似たような内容の本が他にもあるが、本書は、鉄道マニア向けでも、地理や歴史の学術書のような堅苦しすぎるものでもなく、かといってネタだけ集めた安易なトリビア集でもなく、「入りやすく、でも読み応えのある内容」になっているところが特徴だと思う。
自分の住んでいる鉄道路線の沿線に、毎日使っている駅や列車の車窓からの風景に、実はあっと驚く意外な事実があったということの驚き。そんな日常の見る目を変えてくれて、そして歴史や地理を知ることができる。
しかもこのシリーズは本書の東急線だけでなく、関東、名古屋、関西、九州まで主要路線がラインナップされている数十冊に及ぶシリーズである。まずは自分の住んでいる路線を読んでみるのがおすすめだ。なにより見慣れた風景が違って見えてくる。そんな変化をもらえるかもしれない。いつもの退屈で苦痛な(!) 通勤が少しだけ楽しくなるかもしれない、そんな本だ。
(実業之日本社 編集本部 岡田大和)
東急沿線の不思議と謎(じっぴコンパクト新書) 浜田弘明/監修 850円+税 実業之日本社
<HH>
それはそのスケートリンクでフィギュアスケートのアイスショーが催され「キャーッ真央ちゃんが来る!」とか、そんな日だ。リンクの前には屋台まで出て大賑わい。ふだんとのあまりものギャップに、しばし馴染めなかったりした。
でもそんな日でもない限り、ここに引っ越してきてからずっと気にもとめていなかったこのスケートリンク。でもある暑い夏の夕方、ずっと続いている地元民御用達の寿司屋で飲んでいたら、大将がこんなことを。
「知ってるかい? 駅前には大きなプールがあったんだよ」「えっ?」「いまのスケートリンク、あそこだよ」その衝撃はいまでも覚えている。しかも飛び込み台まである立派なプールだったらしい。スケートリンクとプールってまさに季節が正反対!なんというギャップ。あぁいまもプールだったらよかったのに.....(と思ってしまったのは内緒だ)。
「東急沿線の不思議と謎 」はまさにそういう話で構成された本だ。
といっても内容は多岐に渡っている。見出しからいくつか例を挙げてみる。
「慶應大学日吉キャンパスの地下に眠っている巨大なものとは!?」
「渋谷の空には○○○○が走っていた!?」
「目黒駅は、なぜ目黒区ではなく品川区にあるのか?」
「九品仏駅にある、謎の小さなホームはいったい何?」
......などなど。
いつも見ている風景には実はこんなものが隠れているというもの、駅名や地名の「言われてみればどうして?」という素朴なトリビア、駅や鉄道そのものについての不思議.......など、どれもふだんは気にもとめていない、でも言われてみればなぜだろう? というものを取り上げて解説している。
これはまさに大人気のTV番組『チコちゃんに叱られる!』のコンセプト。そしてあなたもきっと叱られる。そこに追い打ちをかけるあのNHKの大御所・森田美由紀アナの冷たいナレーション
「住んでいるのに、毎日目にしているのに、そんなことも知らずにのんきに暮らしている沿線住民のなんと多いことか」
タイトルに鉄道路線名がついているので、一見コアな鉄道マニアをターゲットにした本と思いがちだが、決してそうではない。むしろ家や職場がその路線にあって、日々をその沿線で暮らしている人に向けて作られた本だ(だから逆に鉄道マニアの方にとって本書は、物足りない部分が多いのではないかと思われる)。
また見出しはどれも軽妙でとっつきやすい表現になっているが、かといってよくある「トリビア本」のような軽い内容ではなく、しっかりと歴史や地理について資料を参照しながらまじめに掘り下げた内容になっている。ジャンルとしては似たような内容の本が他にもあるが、本書は、鉄道マニア向けでも、地理や歴史の学術書のような堅苦しすぎるものでもなく、かといってネタだけ集めた安易なトリビア集でもなく、「入りやすく、でも読み応えのある内容」になっているところが特徴だと思う。
自分の住んでいる鉄道路線の沿線に、毎日使っている駅や列車の車窓からの風景に、実はあっと驚く意外な事実があったということの驚き。そんな日常の見る目を変えてくれて、そして歴史や地理を知ることができる。
しかもこのシリーズは本書の東急線だけでなく、関東、名古屋、関西、九州まで主要路線がラインナップされている数十冊に及ぶシリーズである。まずは自分の住んでいる路線を読んでみるのがおすすめだ。なにより見慣れた風景が違って見えてくる。そんな変化をもらえるかもしれない。いつもの退屈で苦痛な(!) 通勤が少しだけ楽しくなるかもしれない、そんな本だ。
(実業之日本社 編集本部 岡田大和)
東急沿線の不思議と謎(じっぴコンパクト新書) 浜田弘明/監修 850円+税 実業之日本社
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