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医薬品による副作用情報を電子カルテから自動抽出する技術を東大病院と共同開発

2011年7月12日

富士ゼロックス株式会社


医薬品による副作用情報を電子カルテから自動抽出する技術を東大病院と共同開発
-自然言語処理技術を医療で活用
-近く実証実験を開始

富士フイルムグループの富士ゼロックス株式会社(東京都港区、代表取締役社長:山本 忠人)は、東京大学医学部附属病院(研究代表者:医学系研究科大江和彦教授)および東京大学 知の構造化センター(研究代表者:荒牧英治特任講師)との共同研究の成果として、自然言語処理技術注1を用いて、入院から退院までの経過や治療の内容を要約し電子カルテに記録されている「退院時サマリー注2」から、医薬品投与とそれによって引き起こされる症状、すなわち副作用関係情報を抽出できる技術を開発し、他病院の協力なども得てこのシステムの有効性を確認するための実証実験を開始します。

この成果は、7月13日〜15日に東京ビッグサイトで開催される「国際モダンホスピタルショウ2011」で参考出展予定です。

■医療現場の課題
電子カルテの普及などで診療記録の電子化が進み、蓄積したデータを臨床研究や診療支援に有効活用したいとのニーズが高まっています。しかし、記録がデジタル化されているとはいえ、患者の症状や検査結果、医師の所見は文章で自由に記載されることが多く、診断支援や統計処理に必要な情報を抽出することが困難であるため、目的に応じて必要な情報を効率的に抽出することが望まれています。特に医薬品投与による副作用の可能性のある記載は重要な情報であり自動抽出が強く望まれています。

■今回の研究の成果
当社は、従来からビジネスにおけるドキュメント活用による知識共有を促進するため、大量のテキストデータから有用な情報を抽出し、効率的に集約分析する自然言語処理の研究開発に取り組んできました。これまで培った技術を医療現場に適用できるとして、東京大学医学部附属病院との共同研究に2007年から取り組み、現在は「退院時サマリー」から医薬品投与とそれに関連する副作用症状を抽出する技術を開発し、その結果に基づいて医薬品別、副作用症状別の集計表を自動作成するシステムの研究開発を進めています。

この技術を開発すると必要な情報を抽出・整理・集計する作業を自動化できるため、副作用の可能性のある症状の発生状況をリアルタイムに把握することが可能になります。また、医師や薬剤師などの病院関係者や医薬品の調査に携わる製薬関係者は整理されたデータを用いて、得られた副作用情報をそれぞれの目的に応じて活用することが容易になります。さらに、医師の処方の安全性の向上支援や効率的な医薬品の市販後の調査への貢献も期待できます。

今回開発した技術を導入したシステムを多くの病院において実証実験することで、より価値の高い利用ケースの検討や多様な実施形態への適応などの実地検証を行い、当社が病院向けに提供している「診療記録統合管理ソリューション」の付加価値機能としての提供を目指します。当社のドキュメントの技術で臨床の現場や研究での記録活用を促進し、医療の質向上に貢献してまいります。

[図:医薬品別、副作用症状別の集計表を自動作成するイメージ]





注1 自然言語処理とは人間の言語(自然言語)をコンピューターに理解させて処理するための技術、システムを指します。
注2 プライバシー保護のため病院側ですべて匿名化したデータを使用しました。
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