生活保護世帯で育つ子どもへ十分な支援を。「生活保護基準の検証にあたっての要望書(案)」に団体賛同を提出。
[16/10/21]
提供元:PRTIMES
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認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい( http://www.npomoyai.or.jp/ 以下〈もやい〉)は、生活保護問題対策会議(代表幹事 尾藤廣喜弁護士)がとりまとめる「生活保護基準部会基準の検証にあたっての要望書(案)」に団体賛同いたしました。
これは法律家や当事者・支援者などで構成されている同会議が中心となり、現在進められている生活保護基準部会(厚生労働省主催)での議論の内容を踏まえた上で、政府に対し要望をおこなったものです。
■賛同の内容
同要望書で求めている内容は,大きくわけて下記となります。
2013年8月以降、削減されている生活扶助基準についての影響の検証をおこなうこと
生活保護基準のあり方に関して、低所得者との生活水準の比較によって基準を算出する方法ではなく、新たな手法を検討すること
有子世帯への扶助・加算について安易に基準の削減をしないこと
■要望がおこなわれた背景
2013年8月から段階的におこなわれた生活保護費のうち、生活扶助基準(生活費の基準)の引き下げ、2015年7月からの住宅扶助基準(家賃上限額)の引き下げ、および同年10月からの冬季加算(暖房費等)の引き下げについて、それが生活保護利用者にどのような影響があったのか、ということが未だ明らかになっていません。
本来、生活保護基準部会は、生活保護が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」の基準を議論する場のはずですが、実際には削減後の検証や削減された基準の算出方法等の検証が全くおこなわれていません。
削減したあと実際どうなったか確認しないまま次の基準額を決めていくというのは、本来ならばありえないことです。
[画像1: http://prtimes.jp/i/18247/11/resize/d18247-11-207274-0.jpg ]
生活保護の生活保護基準(生活費分)に関しては、「第1十分位」と呼ばれる最も低所得である10%の人たちの消費実態と比較をする方法で基準を検討しています。しかし当然ながらこの方法では、社会全体の所得水準の低下が起これば、単純に連動して生活扶助基準も引き下がることになります。
「相対的貧困率」が16.1パーセント(2012年厚労省国民生活基礎調査)で年々右肩上がりに上昇している現状を鑑みると、そういった低所得者との比較が生活保護基準の低下を招くことは明らかです。
私達は、物価の上昇や消費税の増税等の社会環境の変化も踏まえ、低所得者との比較のみではなく最低限度の生活基準の定義づけと基準の算出をおこなうべきだと考えます。
また有子世帯への加算についても、一般低所得者世帯との比較により基準を見直すことには、大きな疑問があります。
2013年に成立した子どもの貧困対策の推進等に関する法律を踏まえ、子どもの貧困対策の観点からも、生活保護世帯で育つ子どもの支援の在り方については、単純な削減ありきの議論になることは避けるべきであると考えます。
■貧困に対して丁寧な議論を
生活保護基準部会での資料によれば、今後の生活保護基準に関しては平成30年度より見直しを反映した新たな基準の実施が、また、改正生活保護法および生活困窮者自立支援法についても見直しをおこない改正案を平成29年度に国会へ上程する予定である、と記されています。(5月27日の基準部会の資料より)
それらを踏まえると、現在おこなわれている生活保護基準の議論は、今後の生活保護制度・生活困窮者自立支援制度のあり方のベースをなす、とても重要なものだと考えられます。
にも関わらず、残念ながらこれら施策群の見直しに関して、当事者や支援者等が意見を述べることが出来たり提言を出来るような場の設定は、大変限られている状況ですし、メディアの報道等も少ないのが実情です。
生活保護基準であれば約216万人の生活が、生活困窮者自立支援制度に関しては約900の自治体の実施施策が、その影響を被るわけですから、丁寧な議論が必要なのはいうまでもありません。
わたしたちは当事者を置き去りにした、拙速な議論による生活保護基準の見直しについて、大きな危惧と懸念を表明します。
[画像2: http://prtimes.jp/i/18247/11/resize/d18247-11-697402-1.jpg ]
認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやいについて
認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやいは、2001年の設立以来、生活困窮者に対する相談支援や政策提言をおこなってきました。住まいを失った方を支援する「入居支援事業」、生活に困窮された方に対する支援として年間のべ3000件を受けている「生活相談・支援事業」、アパート入居後の孤立化を防ぐための居場所作り「交流事業」、地方自治体などの公的機関に対して社会的弱者である当事者の立場から提言を行う「広報・啓発事業」の主に四事業を行っています。
http://www.npomoyai.or.jp/
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この件に関するお問い合わせ
認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい
広報 佐々木大志郎
TEL: 03-3266-5744, e-mail: info@npomoyai.or.jp
これは法律家や当事者・支援者などで構成されている同会議が中心となり、現在進められている生活保護基準部会(厚生労働省主催)での議論の内容を踏まえた上で、政府に対し要望をおこなったものです。
■賛同の内容
同要望書で求めている内容は,大きくわけて下記となります。
2013年8月以降、削減されている生活扶助基準についての影響の検証をおこなうこと
生活保護基準のあり方に関して、低所得者との生活水準の比較によって基準を算出する方法ではなく、新たな手法を検討すること
有子世帯への扶助・加算について安易に基準の削減をしないこと
■要望がおこなわれた背景
2013年8月から段階的におこなわれた生活保護費のうち、生活扶助基準(生活費の基準)の引き下げ、2015年7月からの住宅扶助基準(家賃上限額)の引き下げ、および同年10月からの冬季加算(暖房費等)の引き下げについて、それが生活保護利用者にどのような影響があったのか、ということが未だ明らかになっていません。
本来、生活保護基準部会は、生活保護が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」の基準を議論する場のはずですが、実際には削減後の検証や削減された基準の算出方法等の検証が全くおこなわれていません。
削減したあと実際どうなったか確認しないまま次の基準額を決めていくというのは、本来ならばありえないことです。
[画像1: http://prtimes.jp/i/18247/11/resize/d18247-11-207274-0.jpg ]
生活保護の生活保護基準(生活費分)に関しては、「第1十分位」と呼ばれる最も低所得である10%の人たちの消費実態と比較をする方法で基準を検討しています。しかし当然ながらこの方法では、社会全体の所得水準の低下が起これば、単純に連動して生活扶助基準も引き下がることになります。
「相対的貧困率」が16.1パーセント(2012年厚労省国民生活基礎調査)で年々右肩上がりに上昇している現状を鑑みると、そういった低所得者との比較が生活保護基準の低下を招くことは明らかです。
私達は、物価の上昇や消費税の増税等の社会環境の変化も踏まえ、低所得者との比較のみではなく最低限度の生活基準の定義づけと基準の算出をおこなうべきだと考えます。
また有子世帯への加算についても、一般低所得者世帯との比較により基準を見直すことには、大きな疑問があります。
2013年に成立した子どもの貧困対策の推進等に関する法律を踏まえ、子どもの貧困対策の観点からも、生活保護世帯で育つ子どもの支援の在り方については、単純な削減ありきの議論になることは避けるべきであると考えます。
■貧困に対して丁寧な議論を
生活保護基準部会での資料によれば、今後の生活保護基準に関しては平成30年度より見直しを反映した新たな基準の実施が、また、改正生活保護法および生活困窮者自立支援法についても見直しをおこない改正案を平成29年度に国会へ上程する予定である、と記されています。(5月27日の基準部会の資料より)
それらを踏まえると、現在おこなわれている生活保護基準の議論は、今後の生活保護制度・生活困窮者自立支援制度のあり方のベースをなす、とても重要なものだと考えられます。
にも関わらず、残念ながらこれら施策群の見直しに関して、当事者や支援者等が意見を述べることが出来たり提言を出来るような場の設定は、大変限られている状況ですし、メディアの報道等も少ないのが実情です。
生活保護基準であれば約216万人の生活が、生活困窮者自立支援制度に関しては約900の自治体の実施施策が、その影響を被るわけですから、丁寧な議論が必要なのはいうまでもありません。
わたしたちは当事者を置き去りにした、拙速な議論による生活保護基準の見直しについて、大きな危惧と懸念を表明します。
[画像2: http://prtimes.jp/i/18247/11/resize/d18247-11-697402-1.jpg ]
認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやいについて
認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやいは、2001年の設立以来、生活困窮者に対する相談支援や政策提言をおこなってきました。住まいを失った方を支援する「入居支援事業」、生活に困窮された方に対する支援として年間のべ3000件を受けている「生活相談・支援事業」、アパート入居後の孤立化を防ぐための居場所作り「交流事業」、地方自治体などの公的機関に対して社会的弱者である当事者の立場から提言を行う「広報・啓発事業」の主に四事業を行っています。
http://www.npomoyai.or.jp/
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広報 佐々木大志郎
TEL: 03-3266-5744, e-mail: info@npomoyai.or.jp