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自動運転が地方を再びつなぐ

地方の移動手段の不足を解決する自動運転

2018年3月、ミュンヘン・東京-
欧州系コンサルティング会社であるローランド・ベルガーは、地方での自動運転普及に関する最新スタディ「地方を再びつなぐ ― 地方の移動手段の不足を解決する自動運転」を発表いたしました。
本スタディでは、地方で自動運転車を普及させるための考えを提示いたしました。


・高齢化社会では、自動運転車の普及、特に地方での普及に、新たな勢いをもたらすだろう。
 地方における人口をみると、ドイツでは65歳以上の住民が22%を超えており、日本では30%を上回る。多くの 
 高齢者は、通院、公共施設の利用、買い物などの足として公共交通機関に頼っている。ところが、そうした高齢
 者の居住地域では、公共輸送サービスの供給が手薄だったり、まったくなかったりしている。

・決まったルートを走る無人自動運転バスと、融通の利く「ラストマイル(目的地までに残された距離)」サービ
 スを提供する他の自動運転車とを組み合わせたシステムが実現すれば、住民、特に高齢者が地域社会の活動的な
 一員であり続けるのに役立つことになる。

・自動運転をめぐって現在行われている議論はおおむね高速道路や都市部への影響に焦点が当てられている。しか
 し、道路が空いていて、交通環境が複雑でない地方の方が、自動運転による移動サービスの実験場にはるかに適
 する。地方で公共輸送機関に対する需要が増している状況にも合致する。車を運転できない、あるいは運転した
 くないが、それでも移動の足は必要だという人たちが、地方では増加している。


地方の輸送事業者が利益を見込めるビジネスモデル

自動運転車による移動サービスの確立は、地方自治体に大きなメリットをもたらすだろう。地方の公共交通が恒常的な赤字となっている現状とは逆に、自動運転による輸送サービスは黒字経営も可能である。

「小規模の市町村で移動サービスが不足している一因は、公共輸送が非常にコストのかかる事業であり、運賃だけでは経費を賄えないことにある。そのため、公共輸送システムが補助金頼みになっているケースが非常に多い。たとえば、ドイツでは運営費のおよそ50%を補助してもらっているが、地方自治体は、補助の削減を常に求めている」、と当社パートナーのウルフギャング・ベルンハルトは指摘する。

コスト負担の最大の要因は運転手の人件費である。ということは、自動運転車を導入すれば、地方の輸送サービスの運営費は大幅に安上がりになるということだ。


ラストマイル ― 利益の出る新サービス

地方での自動運転による公共輸送は、事業者が既存路線の自動運転化に加えて、利用者にラストマイル自動運転移動サービスも提供する。利用者自身が無人の自動運転車を予約して、好きな時間と場所に送迎してもらうことができる。たとえば、買い物帰りなどに路線バスの停留所まで来てもらい、自宅までの足にすることもできる。「利便性が増すのだから、利用者は料金が高くてもこのサービスを喜んで利用するだろう。これにより、輸送事業者は純利益を16%増やし、収益性の高いビジネスモデルを構築することが可能になる」、と当社パートナーの貝瀬斉は指摘する。

さらに、地方は自動運転車を公共輸送に利用するための路上走行試験に適した場所である。「これにより、OEM(自動車メーカー)、公共輸送事業者、自治体にとって、大きな将来性が期待できる交通モデルの実証試験を行う絶好の機会だと私たちは捉えている。地方で得る貴重な経験は、後々、都市環境に合わせて応用することができるだろう」と貝瀬は述べている。


株式会社ローランド・ベルガー
ローランド・ベルガーは、1967年にドイツ・ミュンヘンで創設された欧州系最大の経営コンサルティング会社。
現在世界で34カ国50オフィスに約 2,400名のプロフェッショナルスタッフを擁する。
日本では1991年に設立。近年では、日本型イノベーションである「和ノベーション」を提唱し、日本企業の革新を進める。 AI、デジタルの力を武器に人を進化させ、あらゆる現場での新たな付加価値の創出を目指す。
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