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ベーリンガーインゲルハイム、COPD(慢性閉塞性肺疾患)患者を対象に、チオトロピウムとオロダテロール1日1回投与の新規配合剤を用いた第3相臨床試験を開始

この資料は、ドイツのベーリンガーインゲルハイム(Boehringer Ingelheim GmbH)が9月21日に発表したプレスリリースを日本語に翻訳したものです。尚、日本の法規制などの観点から一部、削除、改変または追記している部分があります。この資料の内容および解釈についてはオリジナルが優先することをご了承ください。

2011年9月21日 ドイツ/インゲルハイム

ベーリンガーインゲルハイムは、TOviTO第3相臨床試験プログラムを開始した旨、発表しました。本プログラムは、COPD(慢性閉塞性肺疾患)患者を対象に、チオトロピウムとオロダテロール1日1回投与の新規配合剤による治療の有用性を検討するものです。
COPDは、息切れ等から患者の日常生活を制限する肺疾患で,進行性ではありますが,治療可能な疾患です。WHOの統計では、世界中で2億1,000万人以上がCOPDに罹患していると推定されており、COPDによる死亡者数は、乳がんと糖尿病を合わせた死亡者数よりも多い年間300万人と報告されています1,2。

チオトロピウムは、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)で、M3受容体を遮断することで、24時間にわたる気管支拡張作用を示します3。チオトロピウムは、COPD治療薬として世界でもっとも多く処方されている薬剤で、その処方患者数は、1年間で3,400万人を超えると推計されます。オロダテロールは、1日1回投与が可能な新規の長時間作用性β2刺激薬(LABA)で、ベーリンガーインゲルハイムがCOPD治療のためのチオトロピウムの最適なパートナーとして開発を進めてきました。

ベーリンガーインゲルハイムは、オロダテロールの第3相臨床試験から有望な結果を得たことから、1日1回投与のチオトロピウムとオロダテロール配合剤を第3相臨床試験段階(第3相臨床試験プログラム:TOviTO)に進めることを決定しました。このTOviTO臨床試験プログラムには、オロダテロールが最適な気管支拡張作用をもたらすだけでなく、COPD患者さんの生活を改善する可能性を確認するための複数の試験が組み込まれています。包括的なTOviTO臨床試験プログラムの出発となる最初の2つの臨床試験は,TOnado1試験とTOnado2試験(試験内容は同様の試験)です。TOnado1/ TOnado2試験は、COPDの治療に対する配合剤の有効性ならびに安全性を評価する2つの重要な試験となります。これらの試験は,約40カ国500以上の医療機関で、患者数5,000人(各試験2,500人)を対象に実施予定です。

TOnado1/ TOnado2試験は、チオトロピウムとオロダテロールの配合剤の有効性および安全性を、チオトロピウムもしくはオロダテロールの単剤投与と比較検討する国際多施設共同、ランダム化、二重盲検,並行群間試験で、日本も参加しています。薬剤は、ベーリンガーインゲルハイムが独自開発したレスピマット(R)ソフトミスト吸入器を使用し,1日1回、52週間吸入投与されます。このレスピマット(R)ソフトミスト吸入器は、薬剤を含んだやわらかく細かい霧をゆっくり生成し噴霧させる新世代のソフトミスト吸入器4,5で、薬剤の吸入を容易にし6、肺への移行率を向上します7,8。レスピマット(R)は、現在市販されている他の吸入器に比べ、多くの患者さんに好まれています9,10,11。

両試験の治験調整医師である、マインツ大学(ドイツ)呼吸器部門長Prof. ローラント・ブールは次のように述べています。「私たちは、チオトロピウムとオロダテロールの配合剤が、各単剤投与に対して優越性を示すという仮説を立てています。長時間作用性β2刺激薬(LABA)を、COPDの標準治療薬であるチオトロピウムに付加することにより、COPD治療に大きな進歩がもたらされる可能性があります。COPD患者さんは、チオトロピウムをそのパートナーとして選ばれたLABAを同時に、利便性の高い吸入器で,1日1回吸入することが初めて可能になるのです」。

両試験の主要評価項目は、気管支拡張効果および健康関連QOLです。気管支拡張効果は24週目のFEV1aAUC0-3hbおよびトラフFEV1で評価され、健康関連QOLは、SGRQ(St. George’s Respiratory Questionnaire)で評価されます。

a: 1秒量(最初の1秒間の努力呼気肺活量)
b: 0~3時間の曲線下面積

ベーリンガーインゲルハイム 医薬開発担当上級副社長のProf. クラウス・デュギは次のように述べています。「ベーリンガーインゲルハイムは、呼吸器疾患の研究促進ならびに治療に力を注いでいます。我々は,チオトロピウムの最適なパートナーとして、1日1回投与の長時間作用性β2刺激薬(LABA)を開発することで、COPD患者さんの治療ニーズに応え、また予後の改善に一層貢献できるよう努めてまいります。我々の目標は、LABA/LAMA配合剤を、患者さんのベネフィットと利便性を考え開発した画期的な吸入器で、COPD患者さんに提供することです」。

肺の生活習慣病COPD(慢性閉塞性肺疾患:慢性気管支炎・肺気腫)

COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease)は、喫煙習慣が主な原因となる肺の生活習慣病で、以前は肺気腫や慢性気管支炎と呼ばれていたものを包括したものです。この疾患は,進行性で、息切れ等から日常生活に支障を来し、更には酸素吸入が必要になったり,死亡原因ともなります12。WHOの統計から、2005年現在で世界では2億1,000万人がCOPDに罹患しています。また、COPDによる死亡者数は、乳がんと糖尿病を合わせた死者数よりも多い年間300万人と報告されています。日本では疫学調査から、500万人以上がCOPDに罹患していると推計されていますが(NICEスタディ2001年)、実際に治療を受けているのはわずか約22万人に過ぎません(厚生労働省統計2005年)。また、COPDの増悪は、呼吸機能の低下を加速させるといわれています。早期診断と適切な治療の継続が、患者さんの予後や生活の質を大きく好転させます。
肺の病気COPD(慢性閉塞性肺疾患)に関する詳細は、総合情報サイト「COPD-jp.com」をご覧ください。

http://www.copd-jp.com/

オロダテロールについて

オロダテロールは、ベーリンガーインゲルハイムが開発中の長時間作用性?2作動薬(LABA)です。チオトロピウムの最適な配合パートナーとして、開発が進められています。第3相臨床試験では、オロダテロールが1日1回の投与で 24時間にわたる効果持続時間を持ち,COPD患者さんで気管支拡張作用を有することが検証されました。オロダテロールの第3相臨床試験では,期待通りの結果を得ました。近日中に試験結果が発表される予定です。

ベーリンガーインゲルハイム:呼吸器疾患治療を前進させるために

ベーリンガーインゲルハイムは、COPD治療にフォーカスし、数10年にわたり研究開発に取り組んでまいりました。近年、呼吸器の研究対象疾患を拡大し、喘息、肺がん、特発性肺線維症等の研究を推進しています。

ベーリンガーインゲルハイムについて

ベーリンガーインゲルハイムグループは、世界でトップ20の製薬企業のひとつです。ドイツのインゲルハイムを本拠とし、世界で145の関連会社と42,200人以上の社員が、事業を展開しています。1885年の設立以来、株式公開をしない企業形態の特色を生かしながら、臨床的価値の高いヒト用医薬品および動物薬の研究開発、製造、販売に注力してきました。

2010年度は126億ユーロ(約1兆4,658億円)の売上を示しました。革新的な医薬品を世に送り出すべく、医療用医薬品事業の売上の約24%相当額を研究開発に投資しました。

日本ではベーリンガーインゲルハイム ジャパン株式会社が持ち株会社として、その傘下にある完全子会社の日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(医療用医薬品)、エスエス製薬株式会社(一般用医薬品)、ベーリンガーインゲルハイム ベトメディカ ジャパン株式会社(動物用医薬品)、ベーリンガーインゲルハイム製薬株式会社(医薬品製造)の4つの事業会社を統括しています。日本のグループ全体で約3,000人の社員が、革新的な医薬品の研究、開発、製造、販売に従事しています。

日本ベーリンガーインゲルハイムは、呼吸器、循環器、中枢神経などの疾患領域で革新的な医療用医薬品を提供しています。また、グローバルな研究・開発の一翼を担う医薬研究所を神戸に擁しています。

詳細は下記をご参照ください。
www.boehringer-ingelheim.co.jp

References
1 World Health Organisation. Global Alliance Against Chronic Respiratory Diseases. http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs315/en/index.html (accessed August 18, 2011)
2 World Health Organisation. World Health Report 2004. Statistical Annex. Annex table 2 and 3: 120-131
3 Gross N. Tiotropium bromide. Chest 2004; 126. 1946-1953.
4 Dhand R. Aerosol Plumes: Slow and Steady Wins The Race. J Aerosol Med 2005; 18(3): 261-63
5 Hochrainer D, et al. Comparison of Aerosol Velocity and Spray Duration of Respimat(R) Soft Mist(TM) Inhaler and Pressurized Metered Dose Inhalers. J Aerosol Med 2005;18(3). 273-282
6 Freytag F, Golisch W, Wolf K. New soft mist inhaler is effective and easy to use in patients with asthma and COPD. Eur Respir J 2005; 26(Suppl 49). 338s
7 Brand P et al. Higher Lung Deposition with Respimat(R) Soft Mist(TM) Inhaler than HFA-MDI in COPD Patients with Poor Technique. Int J Chronic Obstruct Pulm Dis 2008; 3(4): 763-770
8 Brand P et al. Respimat(R) Soft Mist(TM) inhaler preferred to Diskus(R) by Patients with COPD and /or Asthma. J Aerosol Med 2007; 20(2). 165
9 Hodder R, Price D. Patient Preference for Inhaler Devices in Chronic Obstructive Pulmonary Disease: Experience with Respimat(R) Soft Mist Inhaler. Int J Chronic Obstruct Pulm Dis 2009; 4. 381-390
10 Hodder R et al. Asthma Patients Prefer Respimat(R) Soft Mist Inhaler to Turbohaler. Int J Chronic Obstruct Pulm Dis 2009; 4. 225-232
11Schuermann W. Schmidtmann S., Moroni P, Massey D, Qidan M. Respimat(R) Soft Mist(TM) Inhaler versus hydrofluroalkane medered dose inhaler: patient preference and satisfaction. Treatm Respir Med 2005; 4: 53-61
12 Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease. Global strategy for the diagnosis, management and prevention of chronic obstructive pulmonary disease. Updated 2010. http://www.goldcopd.org/uploads/users/files/GOLDReport_April112011.pdf (accessed August 18, 2011)
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