東京オフィス賃料、9四半期連続で上昇 空室率、3四半期連続3%台で推移
[14/08/13]
提供元:PRTIMES
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ジャパン プロパティ ダイジェスト 2014年第2四半期(4‐6月)
総合不動産サービス大手のJLL(本社: 東京都千代田区、代表取締役社長 河西利信)は、日本のオフィス、リテール、ロジスティクス、ホテル市場における市況、需給や空室状況、賃料・価格動向及び12ヵ月予測をまとめた調査レポート「ジャパン プロパティ ダイジェスト(JPPD)2014年第2四半期」を発表しました。セクター別の概要は、以下の通りです。
東京のAグレードオフィス市場
賃料
9四半期連続の上昇
月額坪当たり32,779円(共益費込)となり、前期比1.6%上昇、前年比4.1%上昇。新宿・渋谷と赤坂・六本木に牽引された。堅調な経済と低い空室率を背景に市場が貸主優位に傾く中、賃料は引き続き上昇し、上昇率は2四半期連続で加速した。
空室率
3四半期連続3%台で推移
空室率は、前期と変わらず3.7%(前年比0.9ポイント低下)。3四半期連続で4%を下回る低い水準で推移し、特に大型移転を検討するテナントは移転先が限られる状況となっている。
ネット・アブゾープション※1
第2四半期は214千m2 。新規供給が高い成約率で竣工したことによる空室消化がみられ、四半期としては大規模となった。活発な設備投資とタイトな労働市場を背景に、第2四半期の需要は引き続き強いものとなり、国内情報通信業、製造業、金融業等の企業が集約や立地改善による、業務効率の向上や事業拡大に対応するための移転がみられた。
供給
新規供給、成約率90%超で竣工
新規供給は4棟で合計222千m2 (貸床面積)となり、ストックは前期比3.4%増加した。新規供給は「日本生命大手町ビル」(貸床面積 31千m2 )、「西新橋スクエア」(貸床面積 30千m2 )、「飯田橋グランブルーム」(貸床面積 62千m2 )、「虎ノ門ヒルズ 森タワー」(貸床面積 99千m2 )。四半期としては大量供給であったものの竣工時の成約率は全体で90%超となった。
12ヵ月見通し
空室率は一層低下、賃料は引き続き緩やかに上昇
賃貸市場では、堅調な需要が見込まれる一方で、上半期で完了した2014年の新規供給の契約率はすでに90%を超過し、市場の空室もすでに限定的。したがって、空室率は一層低下し、賃料は引き続き緩やかに上昇する見通し。
投資市場では、国内外の投資家からの高い関心に加えて、上述の賃料上昇期待から、価格は引き続き上昇する見通し。ただし、投資利回りは概ね横ばいで推移するとみられるため、上昇率は減速する可能性がある。
※1当期中に新たに賃貸された床面積から当期中に退去した床面積を控除したネットの床面積の増減
大阪のAグレードオフィス市場
賃料
12四半期連続の下落、ただし下落基調は緩やか
月額坪当たり15,492円(共益費込)。前期比0.4%、前年比0.9%とともに下落。梅田サブマーケット等一部で賃料の反転がみられているものの、総じてみれば緩やかな下落基調が継続した。
空室率
二次空室が発生、空室率は概ね横ばい
空室率は10.4%。前期比0.1ポイント上昇、前年比2.0ポイント低下。「グランフロント大阪」の成約率が順調に向上する一方で、既存のAグレードオフィスビルにて二次空室が発生し、概ね横ばいで推移。
ネット・アブゾープション
企業の設備投資は増加傾向、失業率は低下傾向で推移しているものの、二次空室や集約需要等による空室発生が情報通信業等の増床需要による吸収を相殺し、3四半期ぶりにネガティブとなった。
供給
第2四半期に新規供給はなかった。
12ヵ月見通し
賃料は上昇基調へ、価格も引き続き穏やかに上昇
賃貸市場では、2014年の新規供給は過去10年平均比20%程度の規模となっている一方で、需要は徐々に回復の様相を呈する見通し。今後12ヵ月にかけて、空室率は緩やかに低下、賃料は底打ちし、緩やかな上昇に転じる見通し。
投資市場は引き続き活況となり、価格は緩やかに上昇し、投資利回りには低下圧力が加えられる見通し。
JLLリサーチ事業部長の赤城威志は、次のように述べています。「東京Aグレードオフィスの賃料はここにきて上昇の勢いが増してきていると感じています。賃貸市場以上に活発な投資市場もセクター、エリアとも更なる広がりを見せてきています。特に大阪市場においては、オフィスセクターを中心として、国内のみならず海外投資家からの注目も日々高まっていることから、東京市場に続き、大阪市場の更なる活発化が期待されます」
東京のリテール(商業施設)市場
賃料
7四半期連続上昇
月額坪当たり68,336円(共益費込)。前期比2.4%、前年比3.7%とともに上昇。旺盛な需要を反映して、7四半期連続の上昇。
価格
3四半期連続で上昇
前期比5.3%、前年比9.1%上昇し、3四半期連続で上昇。賃料上昇や投資利回りの低下等を反映して上昇率が加速した。
12ヵ月見通し
賃料は緩やかに上昇、価格は投資利回りの低下により引き続き上昇
消費税増税の影響が軽減するにしたがい、タイトな労働市場と賃金の上昇等に支えられて、個人消費は堅調に推移。また、訪日外客数は、ビザ緩和や円安等を背景に引き続き堅調に増加する見通し。堅調なファンダメンタルズを背景に出店需要は引き続き旺盛となり、賃料の緩やかな上昇を下支えする見通し。投資市場では、賃料上昇と投資利回りの低下から、価格は引き続き上昇する見通し。
東京のロジスティクス(物流)市場
賃料
12四半期連続上昇
月額坪当たり5,963円(共益費込)。前期比0.7%、前年比1.8%上昇し、12四半期連続の上昇となり、上昇率は緩やかに加速。
需要
需要は第2四半期に引き続き旺盛となり、3PLを含む運輸業、郵便業、製造業等のテナントによる空室消化がみられた。2014年に入り市場に供された大量の新規供給は需要を喚起し、大規模な空室消化がみられている。さらに、今後の新規供給は3PL等による予約契約も順調に進んでいる模様。
供給
東京ベイエリアの第2四半期の新規供給は「Dプロジェクト 東京城南島」(延床面積50千m2 )となった。東京圏全体の新規供給は潤沢であり、内陸部で竣工した物件には「プロロジスパーク北本」(同74千m2 )、「相模原ロジスティクスセンター」(同44千m2 )、「Dプロジェクト北八王子 C棟」(同29千m2 )が挙げられる。
12ヵ月見通し
引き続き堅調な需要、賃料も緩やかな上昇基調を維持
賃貸市場では、3PL等運輸業の旺盛な需要が継続する見通しである一方、プライムエリアの新規供給は引き続き逼迫することから、賃料の緩やかな上昇基調が持続する見通し。需要は、東京圏全体では大規模開発計画の発表が続いているが、現時点で予約契約は比較的順調であり、ベイエリアの賃料に与える影響はあったとしても限定的なものにとどまる見通し。
東京のホテル市場
需要
景況回復に伴い堅調な伸び
訪日外客数は2014年初来5月までの累計で前年同月比28.4%増の5.2百万人となった。これは中国と台湾からの訪日客が前年比でそれぞれ90.8%と41.6%の大幅な増加となったことに起因する。タイとマレーシアからの訪日客もまた、2013年7月以降の観光ビザの規制緩和により、前年比でそれぞれ62.3%と60.7%の大幅な増加となった。
日本人の宿泊需要は、2011年3月の震災以来のビジネス客及びレジャー客において引き続き順調な回復を見せている。円安と格安航空会社の躍進も国内需要を後押ししている。
供給
アンダーズ東京が開業
2014年6月、客室数164室を有するアンダーズ東京が高級ブティックホテルとして虎ノ門ヒルズの高層階に開業した。また、アマン東京は客室数80室を備える都内最高級ホテルとして2014年中に開業予定である。これ以外には4ツ星または5ツ星の主要なホテルの開業は本年中には予定されていない。
運営パフォーマンス
RevPAR※2、ADR※3ともに前年同期比で二桁の上昇
東京における5ツ星ホテルの運営パフォーマンスを見てみると、1日当り販売可能客室数当り宿泊売上(RevPAR)は、年初来5月までの累計で前年同期比19.3%の増加となり、客室稼働率と平均客室単価(ADR)がそれぞれ4.7%と12.4%伸びたことによる。年移動平均では、RevPARは2012年第2四半期から当期にかけて成長軌道を描いている。
東京において、4ツ星または5ツ星ホテルの売買取引は見られなかったものの、2軒の宿泊特化型ホテルの売却が第2四半期にみられた。売却されたのは、スーパーホテル新橋烏森口(客室数74室)と、ザ・ビー六本木(客室数76室)で、このうちザ・ビー六本木は35億円(1室当り4,600万円)で取引された。
※2 1日当たり販売可能客室数当り宿泊売上
※3 平均客室単価
12ヵ月見通し
短期的にはADRの上昇がRevPARの成長を牽引
2011年以降の訪日外客数の堅調な伸びにも支えられ、国内外の需要は引き続き増加が見込まれる。客室稼働率は既に過去7年で最高水準まで回復していることから、短期的にはADR上昇がRevPARの伸びを牽引する形となっている。2020年東京オリンピック開催が決定したことで、今後数年に亘って東京における客室需要と供給の伸びが見込まれる。新たなホテル開発が計画され、既存のホテルはADRの上昇により恩恵を受けるだろう。
JLLホテルズ&ホスピタリティ事業部 マネージングディレクターの沢柳知彦は、次のように述べています。「年初来の円安傾向が持続しており、日本人レジャー需要の海外旅行から国内旅行へのシフトおよびインバウンド需要拡大が継続中です。また、ホテル投資マーケットも、運営パフォーマンス改善期待と金融緩和によるより良いローン条件を背景に活況を呈しています」
【補足】
本レポートの日本での調査対象地区は次の通りです。
東京CBD(中心業務地区):千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区
大阪CBD(中心業務地区):中央区、北区
東京リテール:銀座と表参道のプライムリテールマーケット
東京ロジスティクス:主に東京都のベイエリア(品川区、大田区、江東区)
東京ホテル:特段の説明がない限り東京所在の5ツ星ホテルマーケット
「ジャパン プロパティ ダイジェスト(JPPD) 2014年第2四半期」の詳細はwww.joneslanglasalle.co.jpをご覧ください。
JLLグループについて
JLLグループ(ニューヨーク証券取引所上場:JLL)は、不動産オーナー、テナント、投資家に対し、包括的な不動産サービスをグローバルに提供する総合不動産サービス会社です。世界75ヵ国、従業員約53,000名、200超拠点で展開し、年間の手数料収入は約40億米ドル、総売上高は45億米ドルに上ります。2013年度は、プロパティ・マネジメント及び企業向けファシリティ・マネジメントにおいて、約2億8,000万m2 (約8,470万坪)の不動産ポートフォリオを管理し、990億米ドルの取引を完了しました。JLLグループで不動産投資・運用を担当するラサール インベスト マネジメントは、総額500億米ドルの資産を運用しています。JLLは、ジョーンズ ラング ラサール インクの企業呼称及び登録商標です。
JLLのアジア太平洋地域での活動は50年以上にわたり、現在16ヵ国、80事業所で28,000名超のスタッフを擁しています。2014年インターナショナル・プロパティ・アワード・アジア・パシフィックでは7ヵ国・地域で「最優秀不動産コンサルタント賞」を受賞、 また2013年ユーロマネー・リアルエステート・アワードにおいては9つの賞を受賞しました。詳細な情報はホームページをご覧下さい。www.joneslanglasalle.co.jp
総合不動産サービス大手のJLL(本社: 東京都千代田区、代表取締役社長 河西利信)は、日本のオフィス、リテール、ロジスティクス、ホテル市場における市況、需給や空室状況、賃料・価格動向及び12ヵ月予測をまとめた調査レポート「ジャパン プロパティ ダイジェスト(JPPD)2014年第2四半期」を発表しました。セクター別の概要は、以下の通りです。
東京のAグレードオフィス市場
賃料
9四半期連続の上昇
月額坪当たり32,779円(共益費込)となり、前期比1.6%上昇、前年比4.1%上昇。新宿・渋谷と赤坂・六本木に牽引された。堅調な経済と低い空室率を背景に市場が貸主優位に傾く中、賃料は引き続き上昇し、上昇率は2四半期連続で加速した。
空室率
3四半期連続3%台で推移
空室率は、前期と変わらず3.7%(前年比0.9ポイント低下)。3四半期連続で4%を下回る低い水準で推移し、特に大型移転を検討するテナントは移転先が限られる状況となっている。
ネット・アブゾープション※1
第2四半期は214千m2 。新規供給が高い成約率で竣工したことによる空室消化がみられ、四半期としては大規模となった。活発な設備投資とタイトな労働市場を背景に、第2四半期の需要は引き続き強いものとなり、国内情報通信業、製造業、金融業等の企業が集約や立地改善による、業務効率の向上や事業拡大に対応するための移転がみられた。
供給
新規供給、成約率90%超で竣工
新規供給は4棟で合計222千m2 (貸床面積)となり、ストックは前期比3.4%増加した。新規供給は「日本生命大手町ビル」(貸床面積 31千m2 )、「西新橋スクエア」(貸床面積 30千m2 )、「飯田橋グランブルーム」(貸床面積 62千m2 )、「虎ノ門ヒルズ 森タワー」(貸床面積 99千m2 )。四半期としては大量供給であったものの竣工時の成約率は全体で90%超となった。
12ヵ月見通し
空室率は一層低下、賃料は引き続き緩やかに上昇
賃貸市場では、堅調な需要が見込まれる一方で、上半期で完了した2014年の新規供給の契約率はすでに90%を超過し、市場の空室もすでに限定的。したがって、空室率は一層低下し、賃料は引き続き緩やかに上昇する見通し。
投資市場では、国内外の投資家からの高い関心に加えて、上述の賃料上昇期待から、価格は引き続き上昇する見通し。ただし、投資利回りは概ね横ばいで推移するとみられるため、上昇率は減速する可能性がある。
※1当期中に新たに賃貸された床面積から当期中に退去した床面積を控除したネットの床面積の増減
大阪のAグレードオフィス市場
賃料
12四半期連続の下落、ただし下落基調は緩やか
月額坪当たり15,492円(共益費込)。前期比0.4%、前年比0.9%とともに下落。梅田サブマーケット等一部で賃料の反転がみられているものの、総じてみれば緩やかな下落基調が継続した。
空室率
二次空室が発生、空室率は概ね横ばい
空室率は10.4%。前期比0.1ポイント上昇、前年比2.0ポイント低下。「グランフロント大阪」の成約率が順調に向上する一方で、既存のAグレードオフィスビルにて二次空室が発生し、概ね横ばいで推移。
ネット・アブゾープション
企業の設備投資は増加傾向、失業率は低下傾向で推移しているものの、二次空室や集約需要等による空室発生が情報通信業等の増床需要による吸収を相殺し、3四半期ぶりにネガティブとなった。
供給
第2四半期に新規供給はなかった。
12ヵ月見通し
賃料は上昇基調へ、価格も引き続き穏やかに上昇
賃貸市場では、2014年の新規供給は過去10年平均比20%程度の規模となっている一方で、需要は徐々に回復の様相を呈する見通し。今後12ヵ月にかけて、空室率は緩やかに低下、賃料は底打ちし、緩やかな上昇に転じる見通し。
投資市場は引き続き活況となり、価格は緩やかに上昇し、投資利回りには低下圧力が加えられる見通し。
JLLリサーチ事業部長の赤城威志は、次のように述べています。「東京Aグレードオフィスの賃料はここにきて上昇の勢いが増してきていると感じています。賃貸市場以上に活発な投資市場もセクター、エリアとも更なる広がりを見せてきています。特に大阪市場においては、オフィスセクターを中心として、国内のみならず海外投資家からの注目も日々高まっていることから、東京市場に続き、大阪市場の更なる活発化が期待されます」
東京のリテール(商業施設)市場
賃料
7四半期連続上昇
月額坪当たり68,336円(共益費込)。前期比2.4%、前年比3.7%とともに上昇。旺盛な需要を反映して、7四半期連続の上昇。
価格
3四半期連続で上昇
前期比5.3%、前年比9.1%上昇し、3四半期連続で上昇。賃料上昇や投資利回りの低下等を反映して上昇率が加速した。
12ヵ月見通し
賃料は緩やかに上昇、価格は投資利回りの低下により引き続き上昇
消費税増税の影響が軽減するにしたがい、タイトな労働市場と賃金の上昇等に支えられて、個人消費は堅調に推移。また、訪日外客数は、ビザ緩和や円安等を背景に引き続き堅調に増加する見通し。堅調なファンダメンタルズを背景に出店需要は引き続き旺盛となり、賃料の緩やかな上昇を下支えする見通し。投資市場では、賃料上昇と投資利回りの低下から、価格は引き続き上昇する見通し。
東京のロジスティクス(物流)市場
賃料
12四半期連続上昇
月額坪当たり5,963円(共益費込)。前期比0.7%、前年比1.8%上昇し、12四半期連続の上昇となり、上昇率は緩やかに加速。
需要
需要は第2四半期に引き続き旺盛となり、3PLを含む運輸業、郵便業、製造業等のテナントによる空室消化がみられた。2014年に入り市場に供された大量の新規供給は需要を喚起し、大規模な空室消化がみられている。さらに、今後の新規供給は3PL等による予約契約も順調に進んでいる模様。
供給
東京ベイエリアの第2四半期の新規供給は「Dプロジェクト 東京城南島」(延床面積50千m2 )となった。東京圏全体の新規供給は潤沢であり、内陸部で竣工した物件には「プロロジスパーク北本」(同74千m2 )、「相模原ロジスティクスセンター」(同44千m2 )、「Dプロジェクト北八王子 C棟」(同29千m2 )が挙げられる。
12ヵ月見通し
引き続き堅調な需要、賃料も緩やかな上昇基調を維持
賃貸市場では、3PL等運輸業の旺盛な需要が継続する見通しである一方、プライムエリアの新規供給は引き続き逼迫することから、賃料の緩やかな上昇基調が持続する見通し。需要は、東京圏全体では大規模開発計画の発表が続いているが、現時点で予約契約は比較的順調であり、ベイエリアの賃料に与える影響はあったとしても限定的なものにとどまる見通し。
東京のホテル市場
需要
景況回復に伴い堅調な伸び
訪日外客数は2014年初来5月までの累計で前年同月比28.4%増の5.2百万人となった。これは中国と台湾からの訪日客が前年比でそれぞれ90.8%と41.6%の大幅な増加となったことに起因する。タイとマレーシアからの訪日客もまた、2013年7月以降の観光ビザの規制緩和により、前年比でそれぞれ62.3%と60.7%の大幅な増加となった。
日本人の宿泊需要は、2011年3月の震災以来のビジネス客及びレジャー客において引き続き順調な回復を見せている。円安と格安航空会社の躍進も国内需要を後押ししている。
供給
アンダーズ東京が開業
2014年6月、客室数164室を有するアンダーズ東京が高級ブティックホテルとして虎ノ門ヒルズの高層階に開業した。また、アマン東京は客室数80室を備える都内最高級ホテルとして2014年中に開業予定である。これ以外には4ツ星または5ツ星の主要なホテルの開業は本年中には予定されていない。
運営パフォーマンス
RevPAR※2、ADR※3ともに前年同期比で二桁の上昇
東京における5ツ星ホテルの運営パフォーマンスを見てみると、1日当り販売可能客室数当り宿泊売上(RevPAR)は、年初来5月までの累計で前年同期比19.3%の増加となり、客室稼働率と平均客室単価(ADR)がそれぞれ4.7%と12.4%伸びたことによる。年移動平均では、RevPARは2012年第2四半期から当期にかけて成長軌道を描いている。
東京において、4ツ星または5ツ星ホテルの売買取引は見られなかったものの、2軒の宿泊特化型ホテルの売却が第2四半期にみられた。売却されたのは、スーパーホテル新橋烏森口(客室数74室)と、ザ・ビー六本木(客室数76室)で、このうちザ・ビー六本木は35億円(1室当り4,600万円)で取引された。
※2 1日当たり販売可能客室数当り宿泊売上
※3 平均客室単価
12ヵ月見通し
短期的にはADRの上昇がRevPARの成長を牽引
2011年以降の訪日外客数の堅調な伸びにも支えられ、国内外の需要は引き続き増加が見込まれる。客室稼働率は既に過去7年で最高水準まで回復していることから、短期的にはADR上昇がRevPARの伸びを牽引する形となっている。2020年東京オリンピック開催が決定したことで、今後数年に亘って東京における客室需要と供給の伸びが見込まれる。新たなホテル開発が計画され、既存のホテルはADRの上昇により恩恵を受けるだろう。
JLLホテルズ&ホスピタリティ事業部 マネージングディレクターの沢柳知彦は、次のように述べています。「年初来の円安傾向が持続しており、日本人レジャー需要の海外旅行から国内旅行へのシフトおよびインバウンド需要拡大が継続中です。また、ホテル投資マーケットも、運営パフォーマンス改善期待と金融緩和によるより良いローン条件を背景に活況を呈しています」
【補足】
本レポートの日本での調査対象地区は次の通りです。
東京CBD(中心業務地区):千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区
大阪CBD(中心業務地区):中央区、北区
東京リテール:銀座と表参道のプライムリテールマーケット
東京ロジスティクス:主に東京都のベイエリア(品川区、大田区、江東区)
東京ホテル:特段の説明がない限り東京所在の5ツ星ホテルマーケット
「ジャパン プロパティ ダイジェスト(JPPD) 2014年第2四半期」の詳細はwww.joneslanglasalle.co.jpをご覧ください。
JLLグループについて
JLLグループ(ニューヨーク証券取引所上場:JLL)は、不動産オーナー、テナント、投資家に対し、包括的な不動産サービスをグローバルに提供する総合不動産サービス会社です。世界75ヵ国、従業員約53,000名、200超拠点で展開し、年間の手数料収入は約40億米ドル、総売上高は45億米ドルに上ります。2013年度は、プロパティ・マネジメント及び企業向けファシリティ・マネジメントにおいて、約2億8,000万m2 (約8,470万坪)の不動産ポートフォリオを管理し、990億米ドルの取引を完了しました。JLLグループで不動産投資・運用を担当するラサール インベスト マネジメントは、総額500億米ドルの資産を運用しています。JLLは、ジョーンズ ラング ラサール インクの企業呼称及び登録商標です。
JLLのアジア太平洋地域での活動は50年以上にわたり、現在16ヵ国、80事業所で28,000名超のスタッフを擁しています。2014年インターナショナル・プロパティ・アワード・アジア・パシフィックでは7ヵ国・地域で「最優秀不動産コンサルタント賞」を受賞、 また2013年ユーロマネー・リアルエステート・アワードにおいては9つの賞を受賞しました。詳細な情報はホームページをご覧下さい。www.joneslanglasalle.co.jp