ヘルステック研究所、京都大学・京都市・アストラゼネカとの共同研究の結果を発表-肺がんの早期発見、初期治療と生存率の実態が明らかに-
[22/07/28]
提供元:PRTIMES
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自治体の統合データベースを用いて肺がん検診の実態と効果を検証
株式会社ヘルステック研究所(本社:京都市左京区 代表取締役:阿部達也)と国立大学法人京都大学(所在地:京都市左京区 学長:湊 長博)、京都市(所在地:京都市、市長:門川 大作)、アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区 代表取締役社長:堀井 貴史)は、京都市の統合データを活用した新規発症の原発性肺がん患者における患者の背景、初回治療内容、生存期間等の解析・調査を共同研究として実施し、その研究成果が、2022年6月28日付「Value in Health Regional Issues」(電子版)に掲載されました。
■研究の目的
肺がんは死因の多くを占める疾患の一つであり、治療に伴う医療費負担も大きな課題です。また、近年では薬物療法を中心にその治療方法が変化しており、治療内容、治療効果、及び医療費の詳細な検討が必要になっています。本研究では、肺がんの好発年齢である高齢者の多くをカバーした統合データを用いて、肺がんの治療内容及び医療費の経年的な変化を記述することにより、日本の肺がん治療の内容と転帰、および経済的負担の変遷を明らかにすることを目的として実施されました。
■研究概要と成果
本研究は、京都市が保有する統合データ(国民健康保険及び後期高齢者医療制度加入者の医療レセプト、健診結果、介護認定情報等を統合したデータベース)を用いて行われたもので、2013年から2018年度に肺がんと診断され、治療を受けた4,845名を選定し、解析を行いました。なお、対象者の年齢の平均値は73歳でした。
解析の結果、初回治療として手術を受けた患者の割合は、35.2%から39.6%まで経年的に増加し、2年以内に死亡する患者の割合は2013年の42.7%から2016年の36.8%まで改善している傾向が認められました。
2014年度から2018年度の肺がん患者における総医療費(全患者の治療にかかった費用)は全て経年的に増加傾向でした。治療内容ごとの総医療費は手術:249,893千円から314,883千円、薬物療法:386,113千円から606,397千円、放射線療法:127,930千円-142,486千円と、薬物療法における医療費の増加が著しい結果となりました。更に、2015年以降は免疫チェックポイント阻害薬の使用者数及び費用が増大しており、2018年には薬物療法費用全体の約60%を占めている結果が示されました。
本研究において、2010年代における肺がん治療の変化と生存割合の経年的な改善経過が記述され、一つのベンチマークとして重要なデータが示されました。一方で、経年的な医療費の増大も明確となり予防施策等によって医療費を抑制することの重要性も改めて浮き彫りとなりました。
■今後の予定
本研究は自治体が管理しているデータベースの解析研究であり、同様の解析はあらゆる自治体において可能であると考えます。自治体が専門家と協力して施策の評価を行うモデルケースでとして同様の取り組みが広がることで、今後様々な自治体における施策の客観的評価及び改善につながる可能性があります。
また、本研究は肺がんをテーマにした統合データベースの解析研究の第1弾であり、今後は肺がんの治療内容ごとの予後を直接比較する研究や、肺がん検診の実態や効果を検討する研究を実施、発表していく予定です。
■研究プロジェクトについて
(1)研究主体(共同研究)
京都市 庁内で保有するビックデータを収集し,分析用のデータを作成
京都大学 京都市が用意したデータを基に分析・研究を実施
(2)研究協力
アストラゼネカ株式会社 分析に必要な費用を負担(https://www.astrazeneca.co.jp/)
株式会社ヘルステック研究所 産学官の協力体制をコーディネート(https://www.htech-lab.co.jp/)
■論文タイトルと著者
タイトル:Temporal Trend in an Initial Treatment, Survival, and Medical Costs Among Patients With Lung Cancer Between 2013 and 2018 in Kyoto City, Japan
著 者:TomonariShimamoto, YukikoTateyama, Daisuke Kobayashi, Keiichi Yamamoto,
Yoshimitsu Takahash, Hiroaki Ueshima, Kosuke Sasaki, Takeo Nakayama, Taku Iwami
掲 載 誌:Value in Health Regional Issues
DOI:10.1016/j.vhri.2022.05.004
株式会社ヘルステック研究所(本社:京都市左京区 代表取締役:阿部達也)と国立大学法人京都大学(所在地:京都市左京区 学長:湊 長博)、京都市(所在地:京都市、市長:門川 大作)、アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区 代表取締役社長:堀井 貴史)は、京都市の統合データを活用した新規発症の原発性肺がん患者における患者の背景、初回治療内容、生存期間等の解析・調査を共同研究として実施し、その研究成果が、2022年6月28日付「Value in Health Regional Issues」(電子版)に掲載されました。
■研究の目的
肺がんは死因の多くを占める疾患の一つであり、治療に伴う医療費負担も大きな課題です。また、近年では薬物療法を中心にその治療方法が変化しており、治療内容、治療効果、及び医療費の詳細な検討が必要になっています。本研究では、肺がんの好発年齢である高齢者の多くをカバーした統合データを用いて、肺がんの治療内容及び医療費の経年的な変化を記述することにより、日本の肺がん治療の内容と転帰、および経済的負担の変遷を明らかにすることを目的として実施されました。
■研究概要と成果
本研究は、京都市が保有する統合データ(国民健康保険及び後期高齢者医療制度加入者の医療レセプト、健診結果、介護認定情報等を統合したデータベース)を用いて行われたもので、2013年から2018年度に肺がんと診断され、治療を受けた4,845名を選定し、解析を行いました。なお、対象者の年齢の平均値は73歳でした。
解析の結果、初回治療として手術を受けた患者の割合は、35.2%から39.6%まで経年的に増加し、2年以内に死亡する患者の割合は2013年の42.7%から2016年の36.8%まで改善している傾向が認められました。
2014年度から2018年度の肺がん患者における総医療費(全患者の治療にかかった費用)は全て経年的に増加傾向でした。治療内容ごとの総医療費は手術:249,893千円から314,883千円、薬物療法:386,113千円から606,397千円、放射線療法:127,930千円-142,486千円と、薬物療法における医療費の増加が著しい結果となりました。更に、2015年以降は免疫チェックポイント阻害薬の使用者数及び費用が増大しており、2018年には薬物療法費用全体の約60%を占めている結果が示されました。
本研究において、2010年代における肺がん治療の変化と生存割合の経年的な改善経過が記述され、一つのベンチマークとして重要なデータが示されました。一方で、経年的な医療費の増大も明確となり予防施策等によって医療費を抑制することの重要性も改めて浮き彫りとなりました。
■今後の予定
本研究は自治体が管理しているデータベースの解析研究であり、同様の解析はあらゆる自治体において可能であると考えます。自治体が専門家と協力して施策の評価を行うモデルケースでとして同様の取り組みが広がることで、今後様々な自治体における施策の客観的評価及び改善につながる可能性があります。
また、本研究は肺がんをテーマにした統合データベースの解析研究の第1弾であり、今後は肺がんの治療内容ごとの予後を直接比較する研究や、肺がん検診の実態や効果を検討する研究を実施、発表していく予定です。
■研究プロジェクトについて
(1)研究主体(共同研究)
京都市 庁内で保有するビックデータを収集し,分析用のデータを作成
京都大学 京都市が用意したデータを基に分析・研究を実施
(2)研究協力
アストラゼネカ株式会社 分析に必要な費用を負担(https://www.astrazeneca.co.jp/)
株式会社ヘルステック研究所 産学官の協力体制をコーディネート(https://www.htech-lab.co.jp/)
■論文タイトルと著者
タイトル:Temporal Trend in an Initial Treatment, Survival, and Medical Costs Among Patients With Lung Cancer Between 2013 and 2018 in Kyoto City, Japan
著 者:TomonariShimamoto, YukikoTateyama, Daisuke Kobayashi, Keiichi Yamamoto,
Yoshimitsu Takahash, Hiroaki Ueshima, Kosuke Sasaki, Takeo Nakayama, Taku Iwami
掲 載 誌:Value in Health Regional Issues
DOI:10.1016/j.vhri.2022.05.004