国内初!現場製造式爆薬によるトンネル全断面発破を実現
[24/04/26]
提供元:PRTIMES
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将来の装薬自動化につながるバルクエマルション爆薬を採用
鹿島(社長:天野裕正)は、次世代の山岳トンネル自動化施工システム「A?CSEL for Tunnel」(クワッドアクセル・フォー・トンネル)の開発を進めています。このたび、施工ステップの一つである「装薬」の自動化に向けた一歩として、岩盤面の孔内に装填するまで火薬化しない「バルクエマルション爆薬」を採用した全断面発破を、国内の山岳トンネル工事で初めて実現しました。当社は2023年12月に切羽での高所装填作業のための設備を含む製造許可を取得、その後、2024年2月12日に神岡試験坑道(岐阜県飛騨市)で同爆薬による初発破を行い、4月末までに計14回の発破を実施しています。また、4月初旬から4回にわたって許認可関係省庁らを対象に同坑道での発破を公開し、延べ約50名が山岳トンネル工事での同爆薬による発破を視察しました。
当社は今後も、高い安全性を確保できる同爆薬を用いた技術開発を進めることで、装薬・発破作業の自動化および効率化を目指していきます。
[画像1: https://prtimes.jp/i/116603/79/resize/d116603-79-01b887286243a63c18c9-0.png ]
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「A?CSEL for Tunnel」のコンセプトと「バルクエマルション爆薬」導入の背景
[画像3: https://prtimes.jp/i/116603/79/resize/d116603-79-ccd3ee86894000ddc7eb-2.jpg ]
建設業界では、「熟練技能者不足」、「高い労働災害の発生率」、「低い生産性」が喫緊の課題であり、山岳トンネル工事も例外ではありません。
そこで当社は、これらの課題解決に向けて「A?CSEL for Tunnel」の開発を進めています。これは、山岳トンネル工事の掘削作業を、6つの施工ステップ1.穿孔 2.装薬 3.ずり出し 4.アタリ取り 5.吹付け 6.ロックボルト打設 に分け、各ステップで使用する重機を自動化し、それらを一元管理する次世代の建設生産システムです。
当社はこれまで、各ステップにおける自動化を進めてきましたが、2.装薬は爆薬を扱う危険作業であるため自動化への障壁が高く、進捗が遅れていました。一方、装薬は山岳トンネル工事の中でも特に危険な切羽近傍に、技能者が長時間滞在する施工ステップとなります。そのため、同工事の更なる安全性向上に資する装薬の早期自動化が求められています。
バルクエマルション爆薬の特長と効果
装薬の自動化には、安全性の観点から、装填機内では非火薬、孔内で原料を混ぜ合わせることで初めて火薬化する現場製造式の爆薬が適しています。「バルクエマルション爆薬」は、工事現場内で非火薬の原料を混合して火薬化することが認められた爆薬です。海外では数多くの導入実績がありますが、日本国内では法的な制約や取扱いの難しさから、山岳トンネル工事での導入実績はありませんでした。そこで当社は、火薬製造に関する法的制約をクリアすることで、神岡試験坑道において移動式製造設備(専用装填機)による「バルクエマルション爆薬」の現地製造を可能にしました。これを受け、山岳トンネル工事全体の省人化および安全性の向上に大きく寄与する現場製造式の同爆薬を、国内の山岳トンネル工事に採用することとしました。
[画像4: https://prtimes.jp/i/116603/79/resize/d116603-79-a36297426636a17e6e45-10.jpg ]
※ 発破において雷管を取り付けた起爆用の薬包
今回採用した「バルクエマルション爆薬」の特長は、以下のとおりです。
1.高い安全性を担保
原料は、装填機先端で初めて混合され、一定時間経過後に火薬化します。そのため、高い安全性が担保されており、従来の爆薬のように火薬・火工品としての厳しい管理体制は不要となります。装填機内も安全であり、機械による自動装填に適しています。
2.装填データを基にしたフィードバックが可能
専用装填機を用いることで、孔ごとの装薬量・配合データを自動で記録・管理できるため、次の発破へのフィードバックが可能です。
[画像5: https://prtimes.jp/i/116603/79/resize/d116603-79-2a7b1f8d32b8dbe91781-4.jpg ]
3.様々な装薬条件に対応可
同爆薬は耐水性に優れ、適度の粘性を保持しているため、装填率を調整できます。そのため、発破する岩盤条件に即した最適な装薬が可能となります。
実際の装薬・発破作業では、当社が開発した「最適自動発破設計システム」に基づいて作成された発破計画に従い、安全に各孔に所定量の爆薬を装填し、最適な全断面発破が実施できることを確認しました。
[画像6: https://prtimes.jp/i/116603/79/resize/d116603-79-9be52e9ea33d49367a0c-5.jpg ]
[画像7: https://prtimes.jp/i/116603/79/resize/d116603-79-41ee311fb7ade9399acd-6.png ]
[画像8: https://prtimes.jp/i/116603/79/resize/d116603-79-7d2a540dcc6c64c8c86d-7.jpg ]
今後の展開
鹿島は今後、安全性を確保したうえで、装薬作業の効率化を目指した改善を図ることで、「バルクエマルション爆薬」の普及と装薬自動化につなげていきます。併せて、山岳トンネル工事の掘削作業における安全性および生産性のさらなる向上を目指し、6つの施工ステップの自動化に向けた技術開発を引き続き進めてまいります。
神岡試験坑道 工事概要
場所: 岐阜県飛騨市神岡町
諸元: トンネル掘削延長:321.3m 掘削断面積:アプローチ部43.9m2、自動化施工試験部73.5m2
(参考)
山岳トンネル工事を対象とした自動化施工システム「A?CSEL for Tunnel」の開発
(2021年6月30日プレスリリース)
https://www.kajima.co.jp/news/press/202106/30c1-j.htm
「A?CSEL for Tunnel」実坑道での実規模施工試験、いよいよスタート
(2021年10月7日プレスリリース)
https://www.kajima.co.jp/news/press/202110/7c1-j.htm
最適自動発破設計システムで余掘量60% 発破サイクルタイム20%低減
(2023年7月25日プレスリリース)
https://www.kajima.co.jp/news/press/202307/25c1-j.htm
鹿島(社長:天野裕正)は、次世代の山岳トンネル自動化施工システム「A?CSEL for Tunnel」(クワッドアクセル・フォー・トンネル)の開発を進めています。このたび、施工ステップの一つである「装薬」の自動化に向けた一歩として、岩盤面の孔内に装填するまで火薬化しない「バルクエマルション爆薬」を採用した全断面発破を、国内の山岳トンネル工事で初めて実現しました。当社は2023年12月に切羽での高所装填作業のための設備を含む製造許可を取得、その後、2024年2月12日に神岡試験坑道(岐阜県飛騨市)で同爆薬による初発破を行い、4月末までに計14回の発破を実施しています。また、4月初旬から4回にわたって許認可関係省庁らを対象に同坑道での発破を公開し、延べ約50名が山岳トンネル工事での同爆薬による発破を視察しました。
当社は今後も、高い安全性を確保できる同爆薬を用いた技術開発を進めることで、装薬・発破作業の自動化および効率化を目指していきます。
[画像1: https://prtimes.jp/i/116603/79/resize/d116603-79-01b887286243a63c18c9-0.png ]
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「A?CSEL for Tunnel」のコンセプトと「バルクエマルション爆薬」導入の背景
[画像3: https://prtimes.jp/i/116603/79/resize/d116603-79-ccd3ee86894000ddc7eb-2.jpg ]
建設業界では、「熟練技能者不足」、「高い労働災害の発生率」、「低い生産性」が喫緊の課題であり、山岳トンネル工事も例外ではありません。
そこで当社は、これらの課題解決に向けて「A?CSEL for Tunnel」の開発を進めています。これは、山岳トンネル工事の掘削作業を、6つの施工ステップ1.穿孔 2.装薬 3.ずり出し 4.アタリ取り 5.吹付け 6.ロックボルト打設 に分け、各ステップで使用する重機を自動化し、それらを一元管理する次世代の建設生産システムです。
当社はこれまで、各ステップにおける自動化を進めてきましたが、2.装薬は爆薬を扱う危険作業であるため自動化への障壁が高く、進捗が遅れていました。一方、装薬は山岳トンネル工事の中でも特に危険な切羽近傍に、技能者が長時間滞在する施工ステップとなります。そのため、同工事の更なる安全性向上に資する装薬の早期自動化が求められています。
バルクエマルション爆薬の特長と効果
装薬の自動化には、安全性の観点から、装填機内では非火薬、孔内で原料を混ぜ合わせることで初めて火薬化する現場製造式の爆薬が適しています。「バルクエマルション爆薬」は、工事現場内で非火薬の原料を混合して火薬化することが認められた爆薬です。海外では数多くの導入実績がありますが、日本国内では法的な制約や取扱いの難しさから、山岳トンネル工事での導入実績はありませんでした。そこで当社は、火薬製造に関する法的制約をクリアすることで、神岡試験坑道において移動式製造設備(専用装填機)による「バルクエマルション爆薬」の現地製造を可能にしました。これを受け、山岳トンネル工事全体の省人化および安全性の向上に大きく寄与する現場製造式の同爆薬を、国内の山岳トンネル工事に採用することとしました。
[画像4: https://prtimes.jp/i/116603/79/resize/d116603-79-a36297426636a17e6e45-10.jpg ]
※ 発破において雷管を取り付けた起爆用の薬包
今回採用した「バルクエマルション爆薬」の特長は、以下のとおりです。
1.高い安全性を担保
原料は、装填機先端で初めて混合され、一定時間経過後に火薬化します。そのため、高い安全性が担保されており、従来の爆薬のように火薬・火工品としての厳しい管理体制は不要となります。装填機内も安全であり、機械による自動装填に適しています。
2.装填データを基にしたフィードバックが可能
専用装填機を用いることで、孔ごとの装薬量・配合データを自動で記録・管理できるため、次の発破へのフィードバックが可能です。
[画像5: https://prtimes.jp/i/116603/79/resize/d116603-79-2a7b1f8d32b8dbe91781-4.jpg ]
3.様々な装薬条件に対応可
同爆薬は耐水性に優れ、適度の粘性を保持しているため、装填率を調整できます。そのため、発破する岩盤条件に即した最適な装薬が可能となります。
実際の装薬・発破作業では、当社が開発した「最適自動発破設計システム」に基づいて作成された発破計画に従い、安全に各孔に所定量の爆薬を装填し、最適な全断面発破が実施できることを確認しました。
[画像6: https://prtimes.jp/i/116603/79/resize/d116603-79-9be52e9ea33d49367a0c-5.jpg ]
[画像7: https://prtimes.jp/i/116603/79/resize/d116603-79-41ee311fb7ade9399acd-6.png ]
[画像8: https://prtimes.jp/i/116603/79/resize/d116603-79-7d2a540dcc6c64c8c86d-7.jpg ]
今後の展開
鹿島は今後、安全性を確保したうえで、装薬作業の効率化を目指した改善を図ることで、「バルクエマルション爆薬」の普及と装薬自動化につなげていきます。併せて、山岳トンネル工事の掘削作業における安全性および生産性のさらなる向上を目指し、6つの施工ステップの自動化に向けた技術開発を引き続き進めてまいります。
神岡試験坑道 工事概要
場所: 岐阜県飛騨市神岡町
諸元: トンネル掘削延長:321.3m 掘削断面積:アプローチ部43.9m2、自動化施工試験部73.5m2
(参考)
山岳トンネル工事を対象とした自動化施工システム「A?CSEL for Tunnel」の開発
(2021年6月30日プレスリリース)
https://www.kajima.co.jp/news/press/202106/30c1-j.htm
「A?CSEL for Tunnel」実坑道での実規模施工試験、いよいよスタート
(2021年10月7日プレスリリース)
https://www.kajima.co.jp/news/press/202110/7c1-j.htm
最適自動発破設計システムで余掘量60% 発破サイクルタイム20%低減
(2023年7月25日プレスリリース)
https://www.kajima.co.jp/news/press/202307/25c1-j.htm