ロレアル R&I ジャパン 「ロレアル フォトプロテクション シンポジウム 2024」を開催
[24/04/24]
提供元:PRTIMES
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「紫外線による肌の老化予防」に関する最新技術等を紹介
世界最大の化粧品会社ロレアルグループの日本における研究開発部門である日本ロレアル(株)リサーチ&イノベーションセンター(研究所:神奈川県川崎市、所長:アミット・ジャヤズワル、以下R&Iジャパン)は、2024年4月17日(水)、東京青山のAOYAMA GRAND HALLにて、「紫外線による肌の老化予防」に関する独自の最新技術等を紹介する「ロレアル フォトプロテクション シンポジウム」をロレアル・アカデミー*第2弾として開催しました。
[画像: https://prtimes.jp/i/4813/195/resize/d4813-195-a081e67be4277119cf0a-0.jpg ]
肌の光?化は、加齢による自然?化とは異なり、太陽光中の紫外線に当たることによって生じる肌の変化で、慢性の紫外線障害ともいわれ、肌は厚くなり、深いシワや?が濃く大きなシミ、目の下やアゴの周りのタルミなどが現れてくる原因になっています。ロレアルの研究では、肌に現れる加齢徴候のうちの約80%が光?化によるものであると計算されています(1)。従って紫外線から肌を守る「フォトプロテクション(光防御)」は肌の健康と美しさを守るための重要な要素となっています。
シンポジウムでの発表は以下の通り。
アミット・ジャヤズワル(R&Iジャパン所長)
R&Iジャパンの紹介 ー 2023年に設立40周年を迎えたR&I ジャパンはロレアルにとって戦略的なリサーチ拠点であり、イノベーションの源泉である。R&I ジャパン発のイノベーションは国外で発売される製品にも応用され、世界中で愛用されている。
森田明理 教授(名古屋市立大学大学院環境・加齢皮膚科)
紫外線と光老化 ー 肌の老化には年齢による自然老化と紫外線による光老化がある。紫外線Bはエネルギーが高いが雲やガラスに遮られる。浸透度は低く、到達は表皮までに限られる。紫外線Aはエネルギーが低いが雲やガラスに遮られず、浸透度が高く真皮まで到達する。紫外線を浴びることによって、肌には日焼けから皮膚がんまで様々な結果がもたらされる。紫外線を浴びることを気にしない人は紫外線を浴びることを避ける人に比べて肌の加齢徴候が進行している。「光老化啓発プロジェクト」(2) での調査によれば、「光老化」及び日焼け止めの性能を示す「SPF」「PA」という言葉について「聞いたことはあるが詳しく知らない」を含めても、それぞれ19.6%、51.3%、39.1%、であり、認知度はまだ高くない。更に、日焼け止めを日常的に使用している人は、女性で24.4%、男性で3.2%であった。皮膚の光老化を防ぐためには日焼け止めを日常的に使用することが有効で、日焼け止めはなるべくUVA / UVBを広くカバーする製品を選び、こまめに塗りなおす必要がある。
フランソワーズ・ベルネール (R&Iフランス アドバンスドリサーチ フォトプロテクション グローバルリーダー)
ロレアルの光防御研究 ー ロレアルの光防御研究は85年以上にわたる歴史があり、特にUVAに関しての知見を蓄積してきた。UVBは日焼けを起こすことからその影響を感じることができるが、UVAは影響を感じることなく変化が進行する。それらの変化から肌を守るためのロレアルが生み出した方策として、1980年代にUVAに特異的な紫外線フィルターMexoryl SX、1990年代にUVBとUVAに有効なMexoryl XLを開発した。新たに2023年、長波長UVAに有効な Mexoryl 400の開発に成功した。Mexoryl 400を搭載した製品はまだ日本では販売されていないが、遠からず日本のみなさまに使用されることを期待している。近年、可視光が色素沈着を起こすことが報告されているが、ロレアルはアルシェ2病院(ニース)のティエリー・パスロン博士のチームとの共同研究でオプシン3というたんぱく質が可視光、特に青色光、によって活性化され、メラニン合成を引き起こすことを発見した(3)。アジア人は欧米人に比べて可視光に対する感受性が高い。色材を含む日焼け止めが色素沈着の予防に有効であるが、ロレアルでは現在、着色の無い日焼け止めを開発中である。UVBだけでなく、UVA、可視光に対する日常的な防御が必要である。
小池徹(R&Iジャパン スキンケア処方開発マネージャー兼フォトプロテクショングローバルエキスパート)
消費者のニーズをかなえる日焼け止めのフォーミュレーション ー 日焼け止めに対する消費者のニーズは高い防御効果に加えて、効果の持続、軽いつけ心地、肌をきれいに見せる、などがある。防御効果だけであれば、紫外線防御剤を増加すればよいが、感触面や白浮きなどの課題が生ずる。高い防御効果を持たせつつニーズに対応するフォーミュレーションの例を紹介。日焼け止めの塗膜が均一でないと十分な紫外線防御効果が得られない。特別な乳化剤と水溶性高分子の使用により均一な塗膜を作成することで防御性能が十分発揮できる日焼け止めを開発。更に水溶性高分子によって脂溶性の紫外線吸収剤を含む油滴を包み込み、さっぱりした使用感、軽いつけ心地を実現。べたつき、テカリも抑えた。一方、効果の持続に関しては傷ついても自己修復する塗膜を開発。この技術は2021年の国際化粧品技術者会で最優秀ポスター賞を獲得。この技術が応用された新製品が2024年に発売予定。肌を明るく見せるためには球状と板状、形状の異なる無色の原料を使用。それぞれの原料が反射する光の作用によって肌を明るく見せることに成功。実際の使用試験で84%の人が直後に肌が明るくなったと感じていた。
アレキサンドロ・二コラ(R&I ジャパン エバリュエーション・インテリジェンス)
光防御に関する評価技術 ー 製品の評価をする際には、肌の特性を深く理解する必要がある。ロレアルは2万人のボランティアの協力を得て、肌老化の進行度を評価するためのスキンエイジングアトラス**を作成した。アトラスには加齢徴候の詳細な記述と評価方法とそれぞれの加齢徴候の進行度を写真によって示したスケールが掲載されている。このアトラスを用いてライフスタイルの影響を日本人女性1,011名において調査した。日光を浴びることを避けるグループではすべての年齢において日光を浴びることを気にしないグループよりも加齢徴候の進行が遅いことがわかった。これらのデータを基に、両グループの加齢徴候が年齢とともにどのように変化していくかを示すモーフィングビデオを作成。また、有効な紫外線防御剤には日焼け止めの均一な塗布が重要であることを、紫外線カメラで撮影した結果を示しつつ解説。更に理研との協力で開発したハイパースペクトルイメージャーを紹介。宇宙ステーションの望遠鏡にも応用されたこの技術は、ヒトの顔の可視光データをフルスペクトルで取得でき、大量のデータを短時間で処理できるアルゴリズムを搭載している。
[注]
*ロレアル・アカデミー:ロレアル リサーチ&イノベーションの最新技術を日本のみなさまに紹介する場として立ち上げたセミナー形式の会。2019年12月に第1回を開催。コロナ禍のため中断。今回第2回として「フォトプロテクション シンポジウム」を開催。
**スキン エイジング アトラス:ロレアルの編集による遺伝的背景の異なる人々の肌老化の進行度を評価するためのアトラス。欧米人編、アジア人編、アフリカン・アメリカン編、インド人編、南アフリカ人編、欧米人女性の光老化 顔と体編、が出版されている。2019年に発行された「日本人におけるフォトエイジングの特徴 顔および手」は、日本ロレアル(株)のウエブサイトからe-バージョンをダウンロード可能。
https://www.loreal.com/ja-jp/japan/articles/science-and-technology/ebook/
[出典]
1. Flament, F., et al., “Effect of the sun on visible clinical signs of aging in Caucasian skin” Clinical, Cosmetic and Investigational Dermatology 2013. 6, 221-232
2. https://www.hikari-rouka.org/
3. Regazzetti, C., et al., “Melanocytes Sense Blue Light and Regulate Pigmentation through Opsin-3”, J. Invest. Dermatol. 2018, 138, 171-178
世界最大の化粧品会社ロレアルグループの日本における研究開発部門である日本ロレアル(株)リサーチ&イノベーションセンター(研究所:神奈川県川崎市、所長:アミット・ジャヤズワル、以下R&Iジャパン)は、2024年4月17日(水)、東京青山のAOYAMA GRAND HALLにて、「紫外線による肌の老化予防」に関する独自の最新技術等を紹介する「ロレアル フォトプロテクション シンポジウム」をロレアル・アカデミー*第2弾として開催しました。
[画像: https://prtimes.jp/i/4813/195/resize/d4813-195-a081e67be4277119cf0a-0.jpg ]
肌の光?化は、加齢による自然?化とは異なり、太陽光中の紫外線に当たることによって生じる肌の変化で、慢性の紫外線障害ともいわれ、肌は厚くなり、深いシワや?が濃く大きなシミ、目の下やアゴの周りのタルミなどが現れてくる原因になっています。ロレアルの研究では、肌に現れる加齢徴候のうちの約80%が光?化によるものであると計算されています(1)。従って紫外線から肌を守る「フォトプロテクション(光防御)」は肌の健康と美しさを守るための重要な要素となっています。
シンポジウムでの発表は以下の通り。
アミット・ジャヤズワル(R&Iジャパン所長)
R&Iジャパンの紹介 ー 2023年に設立40周年を迎えたR&I ジャパンはロレアルにとって戦略的なリサーチ拠点であり、イノベーションの源泉である。R&I ジャパン発のイノベーションは国外で発売される製品にも応用され、世界中で愛用されている。
森田明理 教授(名古屋市立大学大学院環境・加齢皮膚科)
紫外線と光老化 ー 肌の老化には年齢による自然老化と紫外線による光老化がある。紫外線Bはエネルギーが高いが雲やガラスに遮られる。浸透度は低く、到達は表皮までに限られる。紫外線Aはエネルギーが低いが雲やガラスに遮られず、浸透度が高く真皮まで到達する。紫外線を浴びることによって、肌には日焼けから皮膚がんまで様々な結果がもたらされる。紫外線を浴びることを気にしない人は紫外線を浴びることを避ける人に比べて肌の加齢徴候が進行している。「光老化啓発プロジェクト」(2) での調査によれば、「光老化」及び日焼け止めの性能を示す「SPF」「PA」という言葉について「聞いたことはあるが詳しく知らない」を含めても、それぞれ19.6%、51.3%、39.1%、であり、認知度はまだ高くない。更に、日焼け止めを日常的に使用している人は、女性で24.4%、男性で3.2%であった。皮膚の光老化を防ぐためには日焼け止めを日常的に使用することが有効で、日焼け止めはなるべくUVA / UVBを広くカバーする製品を選び、こまめに塗りなおす必要がある。
フランソワーズ・ベルネール (R&Iフランス アドバンスドリサーチ フォトプロテクション グローバルリーダー)
ロレアルの光防御研究 ー ロレアルの光防御研究は85年以上にわたる歴史があり、特にUVAに関しての知見を蓄積してきた。UVBは日焼けを起こすことからその影響を感じることができるが、UVAは影響を感じることなく変化が進行する。それらの変化から肌を守るためのロレアルが生み出した方策として、1980年代にUVAに特異的な紫外線フィルターMexoryl SX、1990年代にUVBとUVAに有効なMexoryl XLを開発した。新たに2023年、長波長UVAに有効な Mexoryl 400の開発に成功した。Mexoryl 400を搭載した製品はまだ日本では販売されていないが、遠からず日本のみなさまに使用されることを期待している。近年、可視光が色素沈着を起こすことが報告されているが、ロレアルはアルシェ2病院(ニース)のティエリー・パスロン博士のチームとの共同研究でオプシン3というたんぱく質が可視光、特に青色光、によって活性化され、メラニン合成を引き起こすことを発見した(3)。アジア人は欧米人に比べて可視光に対する感受性が高い。色材を含む日焼け止めが色素沈着の予防に有効であるが、ロレアルでは現在、着色の無い日焼け止めを開発中である。UVBだけでなく、UVA、可視光に対する日常的な防御が必要である。
小池徹(R&Iジャパン スキンケア処方開発マネージャー兼フォトプロテクショングローバルエキスパート)
消費者のニーズをかなえる日焼け止めのフォーミュレーション ー 日焼け止めに対する消費者のニーズは高い防御効果に加えて、効果の持続、軽いつけ心地、肌をきれいに見せる、などがある。防御効果だけであれば、紫外線防御剤を増加すればよいが、感触面や白浮きなどの課題が生ずる。高い防御効果を持たせつつニーズに対応するフォーミュレーションの例を紹介。日焼け止めの塗膜が均一でないと十分な紫外線防御効果が得られない。特別な乳化剤と水溶性高分子の使用により均一な塗膜を作成することで防御性能が十分発揮できる日焼け止めを開発。更に水溶性高分子によって脂溶性の紫外線吸収剤を含む油滴を包み込み、さっぱりした使用感、軽いつけ心地を実現。べたつき、テカリも抑えた。一方、効果の持続に関しては傷ついても自己修復する塗膜を開発。この技術は2021年の国際化粧品技術者会で最優秀ポスター賞を獲得。この技術が応用された新製品が2024年に発売予定。肌を明るく見せるためには球状と板状、形状の異なる無色の原料を使用。それぞれの原料が反射する光の作用によって肌を明るく見せることに成功。実際の使用試験で84%の人が直後に肌が明るくなったと感じていた。
アレキサンドロ・二コラ(R&I ジャパン エバリュエーション・インテリジェンス)
光防御に関する評価技術 ー 製品の評価をする際には、肌の特性を深く理解する必要がある。ロレアルは2万人のボランティアの協力を得て、肌老化の進行度を評価するためのスキンエイジングアトラス**を作成した。アトラスには加齢徴候の詳細な記述と評価方法とそれぞれの加齢徴候の進行度を写真によって示したスケールが掲載されている。このアトラスを用いてライフスタイルの影響を日本人女性1,011名において調査した。日光を浴びることを避けるグループではすべての年齢において日光を浴びることを気にしないグループよりも加齢徴候の進行が遅いことがわかった。これらのデータを基に、両グループの加齢徴候が年齢とともにどのように変化していくかを示すモーフィングビデオを作成。また、有効な紫外線防御剤には日焼け止めの均一な塗布が重要であることを、紫外線カメラで撮影した結果を示しつつ解説。更に理研との協力で開発したハイパースペクトルイメージャーを紹介。宇宙ステーションの望遠鏡にも応用されたこの技術は、ヒトの顔の可視光データをフルスペクトルで取得でき、大量のデータを短時間で処理できるアルゴリズムを搭載している。
[注]
*ロレアル・アカデミー:ロレアル リサーチ&イノベーションの最新技術を日本のみなさまに紹介する場として立ち上げたセミナー形式の会。2019年12月に第1回を開催。コロナ禍のため中断。今回第2回として「フォトプロテクション シンポジウム」を開催。
**スキン エイジング アトラス:ロレアルの編集による遺伝的背景の異なる人々の肌老化の進行度を評価するためのアトラス。欧米人編、アジア人編、アフリカン・アメリカン編、インド人編、南アフリカ人編、欧米人女性の光老化 顔と体編、が出版されている。2019年に発行された「日本人におけるフォトエイジングの特徴 顔および手」は、日本ロレアル(株)のウエブサイトからe-バージョンをダウンロード可能。
https://www.loreal.com/ja-jp/japan/articles/science-and-technology/ebook/
[出典]
1. Flament, F., et al., “Effect of the sun on visible clinical signs of aging in Caucasian skin” Clinical, Cosmetic and Investigational Dermatology 2013. 6, 221-232
2. https://www.hikari-rouka.org/
3. Regazzetti, C., et al., “Melanocytes Sense Blue Light and Regulate Pigmentation through Opsin-3”, J. Invest. Dermatol. 2018, 138, 171-178