転換期にある学校現場の変化をとらえる 「第6回学習指導基本調査」(小・中・高校教員対象)グループ学習を意識する教員が10年比で増加。高校にも変化の兆し。
[17/03/22]
提供元:PRTIMES
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〜小・中・高校とも新たな教育課題への対応が迫られる中で、多忙化はさらに進行。〜
株式会社ベネッセホールディングス(本社:岡山市)の社内シンクタンクであるベネッセ教育総合研究所では、2016年8月から9月にかけて、全国の公立の小・中学校、公立・私立の高等学校の校長および教員を対象に「第6回学習指導基本調査」を実施しました。本調査は、小学校は1998年、中学校は1997年、高校は2010年から調査を実施しており、経年比較と学校段階間の比較が可能なことが大きな特徴です。小・中学校は約20年間、高校は6年間の教育現場の変化をとらえることができます。今回の主な調査結果は、以下の通りです。
[表1: https://prtimes.jp/data/corp/120/table/565_1.jpg ]
1. 授業方法について、小・中・高校とも「グループ活動」を特に心がけている教員が増加。
なかでも高校の増加幅が大きい。
・ 小・中学校教員が、今もっとも意識している授業方法は「児童・生徒どうしの話し合い」や「グループ活動」といった協働的な学習方法である(「多くするように特に心がけている」の%について、以下同)。
・ 「グループ活動を取り入れた授業」は小・中・高校とも意識している教員の割合が10年比で増えており、特に高校(公立)で変化が大きく、「多くするように特に心がけている」と「まあ心がけている」の合計値では31.3pt増加している。
・ 一方、意識が減少しているのは、小・中学校では「計算や漢字などの反復的な練習」、高校では「教師主導の講義形式の授業」。また、「グループ活動」以外の能動的な学習(「体験学習」や「調べ学習」など)にはあまり変化はみられていない。
・ 授業の中の時間の使い方についても、「対話的で深い学び」につながるような「質疑応答の時間」や「児童・生徒が学習を振り返る時間」を特に心がけている割合は1割台と相対的に低い。
2. 小学校教員の8割は教科としての英語の指導に「自信がない」と回答。
・ 必修化の高学年に加え、低・中学年でも約7割が何らかの英語に関する活動を実施している。
・ 現在の英語の授業や活動に「自信がない」教員は75.6%(「あまり+まったく自信がない」の%、以下同)。今後の教科としての英語の指導に対して「自信がない」教員が81.0%にのぼる。
3. 四年制大学進学率の高い高校の半数で、
すでに「思考力・判断力・表現力を測るテスト問題の研究」に取り組み始めている。
・ 四年制大学進学率「81%以上」の高校(公立普通科)の46.6%が、「思考力・判断力・表現力を測るテスト問題の研究」に、56.6%が「大学入試の英語の4技能測定に対応した指導やテスト問題の研究」にすでに取り組んでいる。
[表2: https://prtimes.jp/data/corp/120/table/565_2.jpg ]
4. 小・中・高校教員とも学校にいる時間がさらに長時間化。
・ 新たな教育方法や教育内容への対応が求められる中、教員の退勤時刻は小・中・高校とも遅くなっており、学校にいる時間はさらに長時間化している(学校にいる時間(10年比):小学校25分増、中学校27分増、高校17分増)。
5. 外部人材を「増員したい」と考えているのは小学校で94.2%、中学校で86.6%。
ニーズが高いのは「特別支援教育に関する補助・専門スタッフ」
・ 小・中学校では何らかの外部人材を活用している学校がほとんどであるが、さらに「増員したい」との回答が小学校94.2%、中学校86.6%。最もニーズが高いのは小・中学校とも「特別支援教育に関する補助・専門スタッフ」であった。インクルーシブ教育への対応のため、支援を必要としている学校は少なくない。
■調査結果からみえてきたこと
この調査を前回実施した2010年以降、現行指導要領が全面実施され、高大接続改革・大学入試改革の議論がスタート、さらに次期学習指導要領の審議の中で育成すべき資質能力の明確化と授業方法の転換の必要性が示されました。矢継ぎ早に新たな教育施策が打ち出されてきた中で、本調査の結果からは、そうした動きに呼応した教員の指導観や授業方法に対する意識の変化がみえてきています。しかしながら、授業方法に対する意識の変化はグループ学習が増加しているものの、他の能動的な学習方法にはさほど変化がみられず、生徒どうしの学び合いだけに意識が高まっている傾向がみられます。次期学習指導要領にいう「主体的・対話的で深い学び」に資する授業方法とはどうあるべきか、2020年からの実施に向けて更なる検討と具体的な内容が示されていく必要があるでしょう。 また、小学校での英語教育の拡充や大学入試改革といった大きな変化への対応の必要性に加え、小・中学校では特別支援教育に関する外部支援のニーズも高くなっています。学校現場が新たな教育課題への対応に迫られる中、学校の不安を解消するような手立てや方向性の提示は十分とはいえない状況にあります。加えて、止まることのない多忙化が、変化への対応の足枷になっていると言えるでしょう。子どもたちが安心して学べる環境を確保するためにも、こうした学校現場の現実をとらえた具体的な対策や支援が急務であると考えます。
[画像1: https://prtimes.jp/i/120/565/resize/d120-565-782014-0.jpg ]
本リリース内容の詳細につきましては、ベネッセ教育総合研究所のWEBサイトから「第6回学習指導基本調査データブック」をダウンロードできます。こちらもあわせてご覧ください。http://berd.benesse.jp/shotouchutou/
「第6回学習指導基本調査」 詳細データ
以下に示す集計結果については、高校は、経年比較が可能な公立高校のみを対象としています。
[画像2: https://prtimes.jp/i/120/565/resize/d120-565-442430-1.jpg ]
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株式会社ベネッセホールディングス(本社:岡山市)の社内シンクタンクであるベネッセ教育総合研究所では、2016年8月から9月にかけて、全国の公立の小・中学校、公立・私立の高等学校の校長および教員を対象に「第6回学習指導基本調査」を実施しました。本調査は、小学校は1998年、中学校は1997年、高校は2010年から調査を実施しており、経年比較と学校段階間の比較が可能なことが大きな特徴です。小・中学校は約20年間、高校は6年間の教育現場の変化をとらえることができます。今回の主な調査結果は、以下の通りです。
[表1: https://prtimes.jp/data/corp/120/table/565_1.jpg ]
1. 授業方法について、小・中・高校とも「グループ活動」を特に心がけている教員が増加。
なかでも高校の増加幅が大きい。
・ 小・中学校教員が、今もっとも意識している授業方法は「児童・生徒どうしの話し合い」や「グループ活動」といった協働的な学習方法である(「多くするように特に心がけている」の%について、以下同)。
・ 「グループ活動を取り入れた授業」は小・中・高校とも意識している教員の割合が10年比で増えており、特に高校(公立)で変化が大きく、「多くするように特に心がけている」と「まあ心がけている」の合計値では31.3pt増加している。
・ 一方、意識が減少しているのは、小・中学校では「計算や漢字などの反復的な練習」、高校では「教師主導の講義形式の授業」。また、「グループ活動」以外の能動的な学習(「体験学習」や「調べ学習」など)にはあまり変化はみられていない。
・ 授業の中の時間の使い方についても、「対話的で深い学び」につながるような「質疑応答の時間」や「児童・生徒が学習を振り返る時間」を特に心がけている割合は1割台と相対的に低い。
2. 小学校教員の8割は教科としての英語の指導に「自信がない」と回答。
・ 必修化の高学年に加え、低・中学年でも約7割が何らかの英語に関する活動を実施している。
・ 現在の英語の授業や活動に「自信がない」教員は75.6%(「あまり+まったく自信がない」の%、以下同)。今後の教科としての英語の指導に対して「自信がない」教員が81.0%にのぼる。
3. 四年制大学進学率の高い高校の半数で、
すでに「思考力・判断力・表現力を測るテスト問題の研究」に取り組み始めている。
・ 四年制大学進学率「81%以上」の高校(公立普通科)の46.6%が、「思考力・判断力・表現力を測るテスト問題の研究」に、56.6%が「大学入試の英語の4技能測定に対応した指導やテスト問題の研究」にすでに取り組んでいる。
[表2: https://prtimes.jp/data/corp/120/table/565_2.jpg ]
4. 小・中・高校教員とも学校にいる時間がさらに長時間化。
・ 新たな教育方法や教育内容への対応が求められる中、教員の退勤時刻は小・中・高校とも遅くなっており、学校にいる時間はさらに長時間化している(学校にいる時間(10年比):小学校25分増、中学校27分増、高校17分増)。
5. 外部人材を「増員したい」と考えているのは小学校で94.2%、中学校で86.6%。
ニーズが高いのは「特別支援教育に関する補助・専門スタッフ」
・ 小・中学校では何らかの外部人材を活用している学校がほとんどであるが、さらに「増員したい」との回答が小学校94.2%、中学校86.6%。最もニーズが高いのは小・中学校とも「特別支援教育に関する補助・専門スタッフ」であった。インクルーシブ教育への対応のため、支援を必要としている学校は少なくない。
■調査結果からみえてきたこと
この調査を前回実施した2010年以降、現行指導要領が全面実施され、高大接続改革・大学入試改革の議論がスタート、さらに次期学習指導要領の審議の中で育成すべき資質能力の明確化と授業方法の転換の必要性が示されました。矢継ぎ早に新たな教育施策が打ち出されてきた中で、本調査の結果からは、そうした動きに呼応した教員の指導観や授業方法に対する意識の変化がみえてきています。しかしながら、授業方法に対する意識の変化はグループ学習が増加しているものの、他の能動的な学習方法にはさほど変化がみられず、生徒どうしの学び合いだけに意識が高まっている傾向がみられます。次期学習指導要領にいう「主体的・対話的で深い学び」に資する授業方法とはどうあるべきか、2020年からの実施に向けて更なる検討と具体的な内容が示されていく必要があるでしょう。 また、小学校での英語教育の拡充や大学入試改革といった大きな変化への対応の必要性に加え、小・中学校では特別支援教育に関する外部支援のニーズも高くなっています。学校現場が新たな教育課題への対応に迫られる中、学校の不安を解消するような手立てや方向性の提示は十分とはいえない状況にあります。加えて、止まることのない多忙化が、変化への対応の足枷になっていると言えるでしょう。子どもたちが安心して学べる環境を確保するためにも、こうした学校現場の現実をとらえた具体的な対策や支援が急務であると考えます。
[画像1: https://prtimes.jp/i/120/565/resize/d120-565-782014-0.jpg ]
本リリース内容の詳細につきましては、ベネッセ教育総合研究所のWEBサイトから「第6回学習指導基本調査データブック」をダウンロードできます。こちらもあわせてご覧ください。http://berd.benesse.jp/shotouchutou/
「第6回学習指導基本調査」 詳細データ
以下に示す集計結果については、高校は、経年比較が可能な公立高校のみを対象としています。
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