来週の相場で注目すべき3つのポイント:EU離脱ドミノ、コメダ上場、日銀短観
[16/06/25]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 市況・概況
■株式相場見通し
予想レンジ:上限15500-下限14800円
来週は、まずは市場の落ち着きを見極めることになろう。EU離脱の可能性、離脱した場合の金融市場の混乱はある程度予想されていた。しかし、市場のコンセンサスが僅差で残留となるなか、投票締め切り直後の出口調査で残留優勢であったこと、ブックメーカーの残留確率が90%を超えていただけに、ハシゴを外される格好となっている。24日の欧州市場は軒並み急落となり、ユーロストックが8%超、独DAXが6%超、英FTSEが3%超の下落となっている。米国市場ではNYダウが600ドルを超す下落となっている。シカゴ日経225先物清算値は大阪比170円高の15120円と、一先ず15000円はキープしている。
その他、予想はされてはいたが、今回の英国の問題が火種となり、他国へのEU離脱を窺わせる「EU離脱ドミノ」の動きが警戒されてくる可能性がある。既にスコットランド首相は独立の動きを示唆したほか、オランダ極右政党党首はEU離脱の是非を問う国民投票実施を呼び掛けており、スペイン北東部カタルーニャ自治州首相はスペインからの独立を求める根拠が強まったとの認識を示すなど、EU諸国の政治不安定化に対する懸念から、不透明感の強い相場展開は続きそうである。
週末には先進七カ国(G7)財務相・中央銀行総裁による電話会議が開かれ、「国民投票の結果を受けた市場動向を注視する」との共同声明を発表。また、日銀が7月の定例会合を待たずに臨時会合を開き、追加緩和に踏み切る可能性があるとの思惑もある。各国の協調政策への思惑も高まりそうであり、一気に混乱解消は期待しづらいだろうが、キャッシュポジションを高め、押し目拾いのタイミングを見極める展開になりそうだ。
英国には自動車や金融を中心に多くの日本企業が進出しているが、英国とEU諸国との間で関税などの見直しも予想されるほか、法律や規制内容が大きく変わるため業績への懸念が高まりやすいだろう。日立<6501>、トヨタ<7203>、日産自<7201>、ホンダ<7267>などは手掛けづらい。そのため、リスク回避の流れからも内需系にシフトしやすい需給状況になりそうである。また、日経平均は15000円での底固めが意識されそうだが、価格帯別出来高の積み上がりからは、支持線として意識される14000-14500円辺りまでは警戒しておく必要がある。
その他、経済指標では28、29日にEU首脳会議が開催されるほか、29日に米FRBがストレステストの結果を公表する。30日に5月の鉱工業生産指数、7月1日に5月の全国消費者物価指数のほか、日銀短観が発表される。大企業製造業DIは前回3月調査でプラス6に悪化し、異次元緩和直後の13年6月以来の低水準となった。予想はプラス4と小幅に悪化する見込み。先行きについては前回同様プラス3と見込まれている。予想以上に悪化した場合、7月追加金融緩和への期待感につながる可能性がありそうだ。
また、週初にはLINE<3938>の仮条件が決定する。外部環境が不透明なだけに、LINE関連などの中小型株等での短期的な値幅取り狙いの商いに向かわせる可能性もあるだろう。なお、米国は翌週4日が独立記念日の祝日で休場となるため、週半ば以降は商いが細る可能性があり、先物主導で振らされやすい相場環境にもなりやすい。
■為替市場見通し
来週のドル・円はもみあいか。23日に行われた英国の国民投票では、欧州連合(EU)からの離脱支持が残留支持を上回る結果となった。リスク回避に絡んだ取引はしばらく続く可能性があるが、主要7カ国(G7)は「市場の動向や安定度を綿密に監視していく」との声明を発表した。G7声明に対する世界の金融市場の反応が注目される。欧米諸国の株安が一服すれば、リスク回避の円買いは縮小するとの見方が多い。
ただし、ドル・円の取引では米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペースと日本銀行の追加金融緩和の可能性がより重要なテーマとなりそうだ。引き締めに前向きとみられていたイエレン米FRB議長は21-22日の議会証言で慎重なスタンスが目立った。英国のEU離脱を受けて年内利上げ休止の観測が浮上している。このため、29日に開催されるパネル討論会でのイエレン氏の発言に対する市場の関心は高まりそうだ。引き締め観測の大幅な後退は、米国株を押し上げる要因となるが、ドル買い・円売りにつながる要因ではないとみられる。
日本銀行は4月27-28日に開催した金融政策決定会合で、現行の金融政策維持を決めたが、実際には追加緩和が議論されていたことが6月21日に公表された議事要旨で明らかになった。英国民投票で欧州連合(EU)からの離脱が支持されたことから、7月28-29日に開かれる決定会合で追加緩和が実施されるとの期待が高まっている。24日公表された今月15-16日の決定会合における「主な意見」でも、2%の物価目標の達成に否定的な意見が散見された。このため、7月1日発表の日銀短観が前回を下回った場合、7月追加緩和観測を後押しすることになりそうだ。
■来週の注目スケジュール
6月27日(月):LINE仮条件決定、キャリア上場、中工業利益など
6月28日(火):ベガコーポレーション上場、米1-3月GDP確定値、欧首脳会議など
6月29日(水):コメダ、ソラスト上場、米個人消費支出など
6月30日(木):鉱工業生産指数、英1-3月GDP確定値、米消費者信頼感指数など
7月 1日(金):日銀短観、中製造業PMI、セラク上場など
<TM>
予想レンジ:上限15500-下限14800円
来週は、まずは市場の落ち着きを見極めることになろう。EU離脱の可能性、離脱した場合の金融市場の混乱はある程度予想されていた。しかし、市場のコンセンサスが僅差で残留となるなか、投票締め切り直後の出口調査で残留優勢であったこと、ブックメーカーの残留確率が90%を超えていただけに、ハシゴを外される格好となっている。24日の欧州市場は軒並み急落となり、ユーロストックが8%超、独DAXが6%超、英FTSEが3%超の下落となっている。米国市場ではNYダウが600ドルを超す下落となっている。シカゴ日経225先物清算値は大阪比170円高の15120円と、一先ず15000円はキープしている。
その他、予想はされてはいたが、今回の英国の問題が火種となり、他国へのEU離脱を窺わせる「EU離脱ドミノ」の動きが警戒されてくる可能性がある。既にスコットランド首相は独立の動きを示唆したほか、オランダ極右政党党首はEU離脱の是非を問う国民投票実施を呼び掛けており、スペイン北東部カタルーニャ自治州首相はスペインからの独立を求める根拠が強まったとの認識を示すなど、EU諸国の政治不安定化に対する懸念から、不透明感の強い相場展開は続きそうである。
週末には先進七カ国(G7)財務相・中央銀行総裁による電話会議が開かれ、「国民投票の結果を受けた市場動向を注視する」との共同声明を発表。また、日銀が7月の定例会合を待たずに臨時会合を開き、追加緩和に踏み切る可能性があるとの思惑もある。各国の協調政策への思惑も高まりそうであり、一気に混乱解消は期待しづらいだろうが、キャッシュポジションを高め、押し目拾いのタイミングを見極める展開になりそうだ。
英国には自動車や金融を中心に多くの日本企業が進出しているが、英国とEU諸国との間で関税などの見直しも予想されるほか、法律や規制内容が大きく変わるため業績への懸念が高まりやすいだろう。日立<6501>、トヨタ<7203>、日産自<7201>、ホンダ<7267>などは手掛けづらい。そのため、リスク回避の流れからも内需系にシフトしやすい需給状況になりそうである。また、日経平均は15000円での底固めが意識されそうだが、価格帯別出来高の積み上がりからは、支持線として意識される14000-14500円辺りまでは警戒しておく必要がある。
その他、経済指標では28、29日にEU首脳会議が開催されるほか、29日に米FRBがストレステストの結果を公表する。30日に5月の鉱工業生産指数、7月1日に5月の全国消費者物価指数のほか、日銀短観が発表される。大企業製造業DIは前回3月調査でプラス6に悪化し、異次元緩和直後の13年6月以来の低水準となった。予想はプラス4と小幅に悪化する見込み。先行きについては前回同様プラス3と見込まれている。予想以上に悪化した場合、7月追加金融緩和への期待感につながる可能性がありそうだ。
また、週初にはLINE<3938>の仮条件が決定する。外部環境が不透明なだけに、LINE関連などの中小型株等での短期的な値幅取り狙いの商いに向かわせる可能性もあるだろう。なお、米国は翌週4日が独立記念日の祝日で休場となるため、週半ば以降は商いが細る可能性があり、先物主導で振らされやすい相場環境にもなりやすい。
■為替市場見通し
来週のドル・円はもみあいか。23日に行われた英国の国民投票では、欧州連合(EU)からの離脱支持が残留支持を上回る結果となった。リスク回避に絡んだ取引はしばらく続く可能性があるが、主要7カ国(G7)は「市場の動向や安定度を綿密に監視していく」との声明を発表した。G7声明に対する世界の金融市場の反応が注目される。欧米諸国の株安が一服すれば、リスク回避の円買いは縮小するとの見方が多い。
ただし、ドル・円の取引では米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペースと日本銀行の追加金融緩和の可能性がより重要なテーマとなりそうだ。引き締めに前向きとみられていたイエレン米FRB議長は21-22日の議会証言で慎重なスタンスが目立った。英国のEU離脱を受けて年内利上げ休止の観測が浮上している。このため、29日に開催されるパネル討論会でのイエレン氏の発言に対する市場の関心は高まりそうだ。引き締め観測の大幅な後退は、米国株を押し上げる要因となるが、ドル買い・円売りにつながる要因ではないとみられる。
日本銀行は4月27-28日に開催した金融政策決定会合で、現行の金融政策維持を決めたが、実際には追加緩和が議論されていたことが6月21日に公表された議事要旨で明らかになった。英国民投票で欧州連合(EU)からの離脱が支持されたことから、7月28-29日に開かれる決定会合で追加緩和が実施されるとの期待が高まっている。24日公表された今月15-16日の決定会合における「主な意見」でも、2%の物価目標の達成に否定的な意見が散見された。このため、7月1日発表の日銀短観が前回を下回った場合、7月追加緩和観測を後押しすることになりそうだ。
■来週の注目スケジュール
6月27日(月):LINE仮条件決定、キャリア上場、中工業利益など
6月28日(火):ベガコーポレーション上場、米1-3月GDP確定値、欧首脳会議など
6月29日(水):コメダ、ソラスト上場、米個人消費支出など
6月30日(木):鉱工業生産指数、英1-3月GDP確定値、米消費者信頼感指数など
7月 1日(金):日銀短観、中製造業PMI、セラク上場など
<TM>